ウィルソンテソーロ(競走馬)

登録日:2025/09/17 Wed 05:01:19
更新日:2025/09/30 Tue 02:13:37
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ウィルソンテソーロ(Wilson Tesoro)は、日本競走馬



【データ】


生誕:2019年2月25日
父:キタサンブラック
母:チェストケローズ
母父:Uncle Mo
調教師:高木登 (美浦)
馬主:了徳寺健二ホールディングス
生産者:リョーケンファーム
産地:日高町

【概要】


2019年2月25日生まれの鹿毛の牡馬。
父は2015年の菊花賞馬にして二年連続でJRA年度代表馬にも選ばれたキタサンブラック。
2023年のドバイWCを制するなどGⅠ級4勝をあげる現国内賞金王ウシュバテソーロと同じ了徳寺健二ホールディングスが所有、高木登調教師が管理する一頭。

【戦歴】


2021年8月28日に新潟競馬場の2歳新馬戦芝1800mでデビュー。
このレースには同父のイクイノックスも出走しており、デビュー戦はイクイノックスの背後で6着。
転厩等もありウィルソンテソーロの2歳での出走はデビュー戦のみで終了。

2戦目は翌年6月の東京競馬場3歳未勝利戦芝2400m、3戦目は7月の福島競馬場3歳未勝利戦芝1800mに出走するもどちらも掲示板外、とここまでは掃いて捨てる程いる未勝利馬の1頭に過ぎなかった。
転機となったのは8月暮れの新潟競馬。ここ2戦で騎乗した戸崎騎手の進言もあり、残り開催3日で未勝利戦がなくなるという瀬戸際でダート路線に転向すると1.8秒もの大差をつける激走を見せつけ才能開花。破竹の4連勝(うち3戦で上がり最速)でわずか4カ月半にして未勝利馬からオープン馬へと成り上がった
その後はオープン競走初戦の名古屋城Sこそ5着に敗れたものの、ハンデ制のダートグレード競走であるかきつばた記念(JpnⅢ)で全日本2歳優駿の勝ち馬ドライスタウトをハナ差競り落とし、産駒としてのダート重賞初制覇&コースレコードを達成。

次走は帝王賞(JpnⅠ)を予定するも去年の東京大賞典はもっと賞金低くても出れたのに今年の帝王賞の出走ボーダーが異様な事になっていた為除外*1、マーキュリーカップへと向かう事に。
そしてマーキュリーカップではいつもの捲り逃げを仕掛けたテリオスベル*2に惑わされずに先行競馬から残り200mで抜け出すとそのまま4馬身ちぎり捨てて交流重賞連勝となった。
なおボーダー状況から見ると交流GⅠ出走にはまだまだ話にならない程足りない模様*3
白山大賞典でも1番人気に支持され5番手でレースを進め最後は逃げるメイショウフンジンを交わし重賞(JpnⅢ)3連勝を達成した。

次走はJBCクラシックを予定するも最後の南関東三冠馬・ミックファイア*4が出走予定だったこともあり出走回避が続出、更にそのミックファイアも調子が戻らず出走回避で初のGⅠ級挑戦はゲート割れ。
いつも通り番手でレースを進めたが最後は伸び脚を欠き連勝数は3でストップ。しかし、大井はこの開催からダートの質を変更しており、スプリントを地方馬のイグナイターが勝つなど結構波乱が起きていた、と言い訳はまだできるものであった。

次走にチャンピオンズカップを選択。鞍上はこのレースから原優介に乗り替わり。しかし前走と原?誰だそれ?という状況から単勝92倍の12番人気。
レースは後方待機からの大外ズドンを敢行、レモンポップにこそ届かなかったものの2着に食い込みキタサンブラック産駒初のダートGⅠ連対となった。2着12番人気ウィルソンテソーロに加えて3着に9番人気ドゥラエレーデが突っ込んだことで、1番人気が勝ったのに馬連万馬券、三連単は190万超の大荒れに。
ちなみにグリーンチャンネルの実況では一瞬アーテルアストレアと間違われていた模様
これで本賞金を加算できたので東京大賞典に出走できる…と陣営は安心していたのだが、事前登録の時点でウシュバテソーロとミックファイアが名を連ねていたため、中央、地方を問わず回避馬が続出。結局またゲート割れの9頭立て、とはいえ中央枠の7頭分は埋まっており、地方での出走はミックファイアとマンガンの2頭のみであった。
レースは誰もハナを切ろうとしないのを見るや、前走と打って変わって逃げの手を打ち、馬群を引っ張ることに。これはJBCで最終直線までに前に位置取れなかった反省を活かしたものだったと思われる。そしてそのまま最終直線を先頭で迎え、2番手集団の手応えが怪しくなりあわや2強共倒れの大金星な場面を作るも、最後は後方から差し脚を伸ばしたウシュバテソーロに交わされて2着。結局テソーロ2頭のワンツーという結果で、2023シーズンを終えた。
しかし、これは前残りのレースでしっかり差し脚を伸ばしたウシュバが強すぎたという他なく、逃げ粘ったウィルソンも、パフォーマンスの高さや脚質の自在性など、存分にポテンシャルを見せつけた格好だった。

2024年の始動戦は招待が来ればサウジカップと表明していたものの、招待状が来るのが難しいことから、フェブラリーSに決定。こっちは流石に賞金で突っぱねられるとは考えにくいし
しかし、単勝11番人気のペプチドナイルの激走の前に番手から伸びあぐね、ダート戦で初めて掲示板を外す8着と惨敗を喫してしまう。その後ドバイからは招待状が届いたため挑んだドバイワールドカップでは、ウシュバテソーロ共々後方から追い込むも4着まであがるにとどまる。
帰国後の帝王賞は2着と、このあたりですっかりシルバーコレクターとして定着しつつあった。
しかしコリアカップ2着を経て、川田将雅騎手と組んでの2度目のJBCクラシックで躓きながらも直線で突き抜け、遂に悲願のGⅠ級勝利を果たした*5。これによりキタサンブラック産駒は3年連続でGⅠ勝利となった。
なお了徳寺健二ホールディングスは馬主資格取得からこのウィルソンの勝利までの10年足らずで重賞累計13勝、内海外GⅠを含むGⅠ級6勝を挙げる大活躍を見せている中央馬主であるにもかかわらずJRA主催の所謂中央競馬では未だに重賞すら勝っていない*6と言う意味不明な状態となっている
その後、チャンピオンズカップに再挑戦するもラストランを宣言していたレモンポップには勝てずまたしても2着(尚、ドゥラエレーデも3着だった為、前年と3着までが全く同じになるという珍事が起きた)。次はまたしても転厩を挟みつつも前年2着だった東京大賞典に。ウシュバテソーロ*7へのリベンジとともにフォーエバーヤングやラムジェットといった後輩ダート馬を迎え撃ち、ウシュバテソーロには初めて先着するがフォーエバーヤングに1と3/4馬身差の2着。GⅠでの2着はこれで5回目となり完璧に近い競馬をしてもその前に怪物が居るという運の無さを痛感させられ24年を終えることとなった。

翌6歳、2025年の始動戦はサウジカップ。ただでさえフォーエバーヤングとウシュバテソーロが居るところに、香港最強馬ロマンチックウォリアーまで出走してきた。道中は中団に位置取るものの、直線でのフォーエバーヤングとロマンチックウォリアーのマッチレースに割り込むこと敵わず、結果は4着。フォーエバーヤングとロマンチックウォリアーにちぎられ、最後方から突っ込んできたウシュバテソーロにも先着された。この後はフォーエバーヤング、ウシュバテソーロと共にドバイへ転戦し、同馬主同厩舎の戦友のラストランを見届けることになる。ドバイWC本番では中団内目の位置取りを選択するが、コーナー途中から左右にブレるような動きを見せてしまい、7着と惨敗。加えて川田騎手は進路妨害と見なされ騎乗停止処分になるという後味悪い結果に…
その後帝王賞に出走するも、エバヤンと同世代の出走馬中筆頭格のミッキーファイトに完敗の5着。勝ち味に遅いが掲示板は確保するのは相変わらずであった。
休養を挟んで秋はMCS南部杯から始動。


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最終更新:2025年09月30日 02:13

*1 最上位格が数頭回避していても1億以上稼がないと話にもならない状態だった。

*2 逃げないと話にならない逃げ馬なのに致命的にスタートダッシュが効かない為、道中で強引に押し上げて逃げ込みを図る「捲り逃げ」戦法を得意とするキズナ産駒の牝馬。交流重賞2勝・その他掲示板入り多数としっかり実績も持っており、「穴男」江田照男と共に交流重賞戦線を個性派として盛り上げた。2024年3月のダイオライト記念(JpnⅡ)2着を最後に引退・繁殖入り。

*3 現状で賞金ボーダーに関係する収得賞金が約1億少々だが、最上位格数頭回避している帝王賞ボーダーは1億2000万前後。

*4 シニスターミニスター産駒。ダート三冠移行前最終年度の2023年、羽田盃・東京ダービー・ジャパンダートダービー(現ジャパンダートクラシック)の南関東三冠を無敗で制し、旧制度最後の三冠馬となった。

*5 ちなみにこの年のJBCクラシックは佐賀開催、そしてBC開催から帰国して中1日の川田騎手は佐賀出身であり、地元での勝利に川田騎手も相当嬉しかった様子。

*6 勝鞍全てが海外GⅠ、もしくは地方交流重賞、JpnⅠの物となっている。もしかしてテソーロ冠名は中央競馬を勝てないジンクスでもあるのでは…?

*7 主戦被りのためこちらはここから菅原明良騎手とコンビを組むことに。