E5・H5系新幹線電車

登録日:2025/09/08 Mon 12:42:57
更新日:2025/10/17 Fri 10:40:11
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MADE IN DREAM. 21世紀の夢の超特急をカタチにしたら、こうなりました。


E5系はJR東日本の新幹線電車である。
本項ではJR北海道が導入した同一設計車のH5系についても解説する。


概要

東北新幹線新青森開業および北海道新幹線開業を見据えて開発されたE2系の後継車種である。

開発に際しては2005年にE954・E955形「FASTECH360」を導入し、地上設備を含めて走行試験を実施。
その後「スピードアップは320km/hまでの引き上げが妥当」という最終決定がなされ、本形式の開発が開始された。
2009年に量産先行車が登場し、2011年3月5日より「はやぶさ」で運行を開始した。
航空機との競合を加味して開発され、従来のグリーン車よりも高級な座席サービス「グランクラス」を導入した最初の形式である。

速達列車の「はやぶさ」用として登場したが、以降も200系・E4系・E2系の置き換え用として大量に増備され、現在は東北新幹線の全列車に使用されている。

山陽新幹線500系以来となる最高速度の向上とと独自の車内サービスが評価され、2012年には東北・上越系統の新幹線電車では初となるブルーリボン賞を受賞。
同種の表彰も1982年の200系以来となった。

ちなみに冒頭の一文は登場時のキャッチコピー。このコピーからも本形式に対するJRの期待ぶりがうかがえる。

車両解説

車体

アルミダブルスキン車体で、先頭形状はFASTEC360Sのアローラインをベースとした15mのロングノーズが最大の特徴で、下り仙台方面の先頭車には分割・併合装置付きの連結器を搭載する。
車体連結部分は揺れと騒音防止の観点から全周幌と車体間ダンパーが装備されており、騒音低減と車体間の揺れの低減がなされているほか、E2系に引き続きアクティブサスペンションを装備し、採用範囲も全車に拡大している。
また、JR東日本の新幹線電車では初となる車体傾斜機能を搭載しており、半径4000mでの曲線区間において320km/hでの走行が可能となっており、上り3パーミルでの均衡速度は360km/hとなる。
落成当初は抑速ブレーキが装備されていなかったが、後期型からはH5系と同じく青函トンネル対応として追加装備され、前期型ものちに追設された。
塗装は上半分が常盤グリーン、下半分が飛雲ホワイトで、中心部につつじピンクのラインが入り、車体側面には鳥類のハヤブサをモチーフにしたロゴが描かれている。
U28編成には検測装置が搭載されている。

内装

普通車・グリーン車・グランクラスの3種類が存在し、普通車はシートピッチが大幅に拡大された。
なお、2017年からはインバウンド客の増加に伴い普通車の偶数号車の東京寄りと9号車のグリーン車のデッキスペースに荷物置場の追設が実施されている。

グランクラスは当初名称が決まっておらず、内装と名称が決定したされたのも2010年に入ってからだった。
そのため、量産先行車では落成当初この部分だけ公開が見送られていた。
なお、アテンダントが乗務し供食サービスのある列車は「グランクラスA」、座席だけの列車は「グランクラスB」と区別されている。

なお、U29編成以降の増備車は次述のH5系から採用された新機軸(LED照明、全席コンセント設置など)を反映しており、このグループを後期型と呼ぶ向きもある。

H5系

2016年の北海道新幹線新函館北斗開業に向けて導入された。
外見では車体の帯が彩香パープルに変わっているほか、側面ロゴが北海道の雄大さとシロハヤブサをかけ合わせたデザインとなっている。
車内は普通車の床に雪の結晶模様、グリーン車は流氷模様のカーペット、グランクラスは湖や海の水面をイメージした模様のカーペットに変更されている。
乗降ドアの車内の内装が普通車はベージュから緑に、グリーン車・グランクラスは赤から赤紫に変更されたほか、ブラインドは縄文・アイヌ土器をあしらったデザインとなっている。
性能面では青函トンネル対応のため抑速ブレーキが設置されており、E5系ものちに前期型で追設改造された。

元々編成が少ないせいか運用は固定されており、充当列車は「はやぶさ」と夜間の下り「やまびこ」のみ。

4編成導入されたが、H2編成は2022年3月に発生した福島県沖地震で脱線し廃車となった。その後、4~7号車を除く6両は2025年4月より改造の上、乗務員訓練用機械「H296ふくろう」として使用されている。

運用

2011年3月5日に「はやぶさ」として輝かしく営業運転を開始した。
が、その直後に悲劇が発生する。

そう、東日本大震災である。

これによりE5系は4月28日の東北新幹線全線再開まで運用離脱を余儀なくされ、復旧後も同年9月末までは300km/hでの運行が出来ず、しばしの間はやぶさは翼をもがれた状態だった。

その後は順当に増備が進められ、2013年3月改正での秋田新幹線「こまち」E6系導入に合わせ320km/h運転を開始した。
なお、320km/hでの運行は宇都宮~盛岡間の「はやぶさ」のみとなっているが、2020年10月より盛岡以北の区間も320km/h走行対応工事が実施されており、2027年に完成予定。
2024年3月からは山形新幹線「つばさ」へのE8系導入に伴い、E8系併結列車は宇都宮~福島間で300km/h運転を開始している。

一方、大量増備された故に「はやて」や「なすの」等、明らかに需要のなさそうな列車にもグランクラスが連結される無駄な事態も生じるようになった。
そのためか、後継車種であるE10系の量産先行車ではグランクラスの設置見送りが発表されている。

今後の計画として、建設中のインド高速鉄道用の確認試験車としてE3系とともに1編成の無償譲渡が報じられている。
なお、当初は営業用車両もE5系ベースで計画されていたが、こちらは計画の遅れなどからE10系ベースへと変更された。

余談

  • デビュー当時話題となっていた小惑星探査機「はやぶさ」とのコラボ企画として、2012年にはデビュー1周年を記念して映画「はやぶさ 遥かなる帰還」の主演俳優・渡辺謙とのコラボポスターが製作された。
  • 大宮の鉄道博物館には本形式の先頭車(グランクラスのE514型)モックアップが展示されている。モックアップといっても実車と同じ日立製作所製で、制御機器類以外はすべて量産車と同じ部品を使った本格的なものとなっている。ちなみにこの車両はU0編成・9000番台を名乗る。
  • 本形式とは縁もゆかりもない京都鉄道博物館でも人気車種らしく、模型やプラレールの展示は勿論、公式サイトのパノラマレイアウト紹介ページでは「ドクターイエローとE5系が一緒に走ることがあるかも!」と紹介されているほか、ドクターイエローとの抱き合わせクッションも販売されているなど妙な優遇ぶりを受けている。
  • 運行開始に際しては列車愛称の公募が実施され「はやぶさ」と決まったが、カラーリングがボーカロイドの初音ミクを連想させるということで「はつね」の愛称も人気を集めた。その後、後述する「シンカリオン」のテレビアニメではH5はやぶさのパイロットとして初音ミクの派生キャラクター「発音ミク」が登場している。

関連作品

E5系は2011年3月に「テコロジー」で初商品化(先頭車のみ)。
3両編成では2011年4月発売のオールインワンセット「連結!E5系『はやぶさ』&トミカ駅前ロータリーセット」に収録されたのが初登場である。
2012年には「E5系&E3系0番台連結セット」で車両のみでの販売を開始。
動力が3代目のものに切り替わった2014年6月より単品化、品番はS-03で発売された。

2015年からシリーズを重ね販売されている、タカラトミー発売のロボット玩具シリーズ。シリーズ開始当初よりJR東日本が監修に入っていることもあり、企画当初のプロジェクト名は「Project E5」だった。テレビアニメシリーズではいずれも、E5系から変形するものは主人公が操縦、H5系から変形するものは女性キャラが操縦する法則がある。
初代テーマソング『チェンジ!シンカリオン』でも明確にE5の武装が歌詞で歌われており、主役メカに相当するシンカリオンはE5ガインのぞみウエストに相当する役を務める車両であると言って差し支えないだろう。
ただ、アニメ1stだと『チェンジ!』をN700やリュウジのテーマとして使っているシーンが結構…

本作の舞台は東北新幹線となったため、爆弾が仕掛けられた車両もE5系に変更されている。なお、一部のシーンは前述したH5系のH2編成を使用して撮影している。

E5系が新登場した車両としては後期に発売開始。トイザらスから発売された「つないでかんたん」シリーズでは、E6系との連結を再現可能な連結パーツ付属の特別仕様で販売。

H5系がモチーフの木古内さいかが登場する。
名前の由来はそのままラインカラーから。



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最終更新:2025年10月17日 10:40