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更新日:2026/10/19 Mon 19:54:00NEW!
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ネットワーククライシスとは、『
.hack』シリーズに登場するネット災害の総称である。
2026年現在、この単語が使われている作品は.hack以外に存在しない。
しかし、
いつか我々の現実でも起こりかねないことから、本項目では.hackシリーズに絞って記載する。
以下、.hackシリーズの各ストーリーに関わる重大なネタバレしかないので、これからシリーズに触れようとしている場合は特に閲覧注意。
【概要】
.hackの世界において、インターネットを通じて現実世界の主要機関全てに甚大な影響を与えた出来事のことを『ネットワーククライシス』と称する。
シリーズでは3回発生しており、そのうち2回がゲーム本編で実際に発生中の事件として取り扱われる。
このネットワーククライシスの裏で主人公たちが事件解決のために戦う、というのがシリーズの大まかなストーリーとなる。
第3期『
.hack//Link』以降は作中の舞台『The World』で事件が完結しているためか、第四次ネットワーククライシスが出てくることはない。
そのため、ネットワークライシスの言葉が出てきた時は、基本的に『シリーズ以前』『.hack(無印)』『.hack//G.U.』で発生した事件のことを指していると考えていいだろう。
また、ネットワークライシスには通称が設定されており、作中ではネットワークライシスの単語は出るものの、何が起きたかの解説に際しては通称の方でしか呼ばれない。
【ネット災害の歴史】
.hackのネット前史
前提として.hackシリーズのネット史について触れておきたい。
我々の現実世界と違い、.hackのインターネットは急速どころかありえないスピードで発展している。
1969年にARPA(アメリカ国防総省高等研究計画局)によってインターネットの基礎となるARPANETが構築され、ITバブルを経て、1999年にはインターネットに接続していない国はほとんどなくなり、日本でも国民の約半数がネットに接続できる環境を手にしている。
……というところまでは我々の現実と共通する点も多いが、.hackの世界では2000年代に入ると「情報の民主化」が発生。
情報の完全な隠蔽が不可能になったことで国家や警察機構は存続の危機に陥り、世襲制や軍事国家などは2005年までに改革や消滅を余儀なくされる。
我々の現実ではインターネットが普及しても情報や機密が全て筒抜けになったりはしていないのだが、作中世界では「体制は国民を偽れず、国民はもう沈黙しない」という理論のもと、国家の存続が危ぶまれるほど一般国民でも広範な情報を入手できる環境が整っていた。
時を同じくして通信トラブルや悪質なハッカーによるネット犯罪が急増し、2002年に国連の下部組織として対策機関ワールド・ネットワーク・カウンシル設立される。
このWNC、ネット環境のある全ての国に参加が義務付けられたうえ、議決案に対する異議申し立ては国家の規模に関係なく認められないという激ヤバな体制なのだが、世界規模での統一環境の構築ということで当時は問題視されなかった。
……のだが、2003年に実施された総会において各国の利害関係を調整することの難しさが露呈。
組織の基盤が問題視されるなか、新型ウイルス『Hello,WNC』が大量発生する。
このウイルスは、世界シェアの70%を占めていたM社のメールソフトを標的とし、個人情報の流出やデータ破壊を引き起こす自動増殖型ウイルスで、1000万人以上の被害者が発生する結果となった。
おまけに技術力がある者にとって「極めて改変しやすい」構造を有しており、亜流ウイルスが粗製濫造されたことも被害拡大に影響していた。
これを受けWNCは新たなセキュリティ対策の確立とウイルス製作者の捕縛を計画するも、犯人は一向に捕まらず画期的な対策も打ち出せず、いつしかWNC不要論が出るほど不満が高まっていく。
WNCがガタガタな基盤のまま活動を続けるなか、『
Deadly Flash事件』が発生。
同事件は同名のウイルスによって引き起こされた殺人事件であり、ざっくり言えば、強烈な点滅を起こす画像を表示させ人間の脳にダメージを与えて意識障害などを引き起こすというもの。要は
ポケモンショックの超すごい版。
結果、全世界で多数の被害者が発生し、うち7名が死亡。大捜索の末に日本からアメリカに高跳びしようとしていた犯人を捕まえることに成功。
犯人の日本人男性『瀬戸悠里』が
ネットワーク騒乱罪に基づいて死刑判決を受けるという一大事件となった。
犯人の瀬戸もといユーリ・カジンスキー・セトは生きていた。
実際には悪質なハッカーの情報をリークすることを条件に司法取引によって無期懲役へ減刑され、その後さらに減刑を経て身柄をCC社サンディエゴ本社に引き渡されていた。その後、『.hack//bullet』の時代でCC社の機密を持ち逃げし、再び事件を起こそうとするわけだが。
2004年に入ると、『Deadly Flash事件』など続発するネット犯罪に対処すべく『新世紀ハイパーネット構想』と呼ばれる施策が提出される。
WNC主導で全世界共通のOSを開発し、その採用を推進しようというもので、画期的な施策と評されたものの既存のネットワークシステムを根本から置き換える構想であったため、強い反発を受け、アメリカと中国の反対によって否決された。
現実でもOSのシェアや独占をめぐってMicrosoftが競争法上の問題に直面しており、世界共通のOSを導入するとなれば技術面だけでなく競争や市場支配の面でも大きな議論を呼ぶことは間違いない。.hackの世界も似た理由で拒否されていたのだ。
しかし、ネット犯罪は一向に止まらず、スイス国立銀行のコンピューターがハッキングされ口座から日本円にして19兆円以上が盗まれる事件も発生。
さらに、ニューヨーク株式市場でもハッキングによる混乱が発生するなど被害は拡大。具体的な対策を打ち出せないWNCは、スローガンを掲げる程度の対応に終始。後手に回らざるを得ない状況が続き、その存在意義を失っていく。
というところまでが、後述の『Pluto Kiss』までのネット史である。
WNCという世界規模の統一機構が作られたものの、その活動にもかかわらずネット犯罪の巧妙化は一向に止まらず、対策が追いついていない状況が続いていた、というのがざっくりとした世界観である。
当初、上記の設定は設定資料集でのみ詳細が語られていた程度だったが、『新約小説.hack』にて、上記の設定解説が世界観補完の一環として登場している。
……そしてその時が訪れる。
第一次ネットワークライシス『Pluto Kiss』
2005年12月24日。
クリスマスイブというタイミングで全世界のネットワークが一斉に停止。
各国のホストコンピューター、一般家庭のパソコン、白物家電など、ネットに繋がるあらゆる機器が一斉に沈黙した。
77分後になんとかネットワークは復旧するも、その間、全世界の人々は家庭生活どころか飲食すらままならなくなっていた。
また、アメリカの自動報復システムがネット通信の停止によって起動寸前になったことも判明しており、下手をすればミサイルが発射され、第三次世界大戦が勃発するというギリギリのタイミングで発射態勢は解除された。
我々の現実と違い、あらゆるものがネットワークに接続している.hackの世界では、たった1時間14分にわたって全世界のネットワークが停止しただけで、世界が破滅する寸前までいってしまったのだ。
- あらゆる商取引が停止し、世界経済に甚大な被害が発生。
- 全世界の医療インフラが停止し、医療現場では手術ができなくなったり、生命維持装置の異常が頻発したりする。
- 金融機関のコンピューターに異常が発生し、顧客管理が不可能になる。
- 都市部の交通システムが制御不能になり、あらゆる事故が発生。
- 空港の管制機能が失われ、航空機事故が多発する。
- アメリカ国防省の自動報復システムが誤作動を起こし、報復用ミサイルの発射寸前に陥る。
要するに、全世界のネットが止まっただけで、機器は暴走するわ、国防システムは起動しそうになるわで、本当に世界が滅びそうになった。
冥界の王が全人類に口づけをした、ということで『Pluto Kiss』と命名された本事件は未曾有のネットワークライシスと断定され、WNCが国連とともに全力で原因究明にあたった。
懸命な捜査の結果、各サーバーの基幹システムを狙い撃ちする新種のコンピューターウイルスが原因であることを突き止め、その製作者をロサンゼルスで捕らえることに成功。
そして、件のウイルス製作者であるウォーレン・ブロックを尋問した際に判明した事実に、全人類は再び恐怖する。
ウォーレンは、なんと当時10歳。知り合いにプログラミングを教えてもらい、自分が作ったプログラムを試したいという、ただそれだけの理由で事件を起こしたのだ。
何らかの抗議活動でもなく、国家間の争いでもなく、金銭目的でもない。
知的好奇心を満たすためだけに、文明が滅びる寸前まで追い詰められるようなウイルスをネットワークに放流したのだ。
幸いにも、ウイルス本体に自死プログラムが組み込まれていたおかげでネットワークは復旧。インフラが完全に破壊されずに済んだものの、それがなければ本当に世界は終わっていただろう。
.hackの世界では、前史で触れた通り、ネットワークが完全に普及し、パソコンが当たり前の存在になっていた。
しかし、それは幼児教育や学校教育の現場にもネット機器が配備されていたことを意味し、ネットユーザーの低年齢化というまた別の問題を引き起こしていた。
大人から幼稚園児まで、あらゆる人々がネットに接続し、情報を利用できる世界。
それは、全世界の人々が簡単にネット犯罪に手を染められることを意味し、その実例がPluto Kissだった。
事件後
Pluto Kiss発生後の2006年。
ネットワークの現状と未来について緊急協議が開かれていたまさにその最中、ある事象が確認される。
ウイルスによって全世界の機器が停止したにもかかわらず、稼働し続けていたコンピューターが存在していたのだ。
そのコンピューターには独特な構造を持つOSが導入されており、そのOSを搭載した機器だけが沈黙せずに稼働し続けていた。
その名は『ALTIMIT OS』。アメリカのベンチャー企業ALTIMIT社が独自開発したOSである。
ALTIMIT OSは、その構造のおかげで従来のコンピューターウイルス全てに耐性を有しており、有事の際の危機管理能力という面で、他の追随を許さない性能を持っていた。
冥王ですら究極のOSには手を出せなかったという事実が確認されたことで、『新世紀ハイパーネット構想』が改めてクローズアップされる。
日・独・伊のどこかで聞いたことがあるような面子が、「現状のOSでは限界があるため、Pluto Kissを無傷で乗り切ったALTIMIT OSを世界統一OSとして採用しよう」と提案。
Pluto Kissの惨劇からの復興で疲弊していた国々は、二度と同じことが起きてはならないという点で利害が一致し、ALTIMIT OSの全世界配備を決定。ALTIMIT社はWNCの支援とALTIMIT OSの需要により、短期間で巨大企業へと成長する。
WNCの正式な決定を待たずして配備が進められたALTIMIT OSだったが、当然、既存OSを使用していた機関は反発。
様々な利権構造を理由に既存OSの使用継続を提言するも、Pluto Kissの記憶が残る一般ユーザーからは完全にそっぽを向かれてしまった。
結局、ALTIMIT OSの配備に協力しなければ企業体制を維持できない状況となり、既存OSを扱う企業もALTIMIT陣営に参入する。
こうして既存OSは駆逐され、ALTIMIT OSが全世界に配備されていく。しかし、WNCの特別予算をもってしても、完全移行には時間がかかるのが当然というもの。
まずは各国の中枢部に配備し、次に主要金融機関、その次に大企業を中心とするビジネス用途へと、段階的に配備を進めていった。
個人利用やエンターテイメント関係など、緊急性の低いものは後回しにされていく。
ALTIMIT OSが配備されていない場所では、既存のシステムを用いて稼働を続けることになるが、当然WNCは待ったをかける。
不特定多数の利用が前提となるもの、特に「利用者の悪意を防ぎにくいもの」の使用そのものを、原則として禁止したのだ。
当然、大部分の人々は不満を抱くも、Pluto Kissの悪夢を忘れられず、渋々受け入れるしかなかった。こうして、2000年代から隆盛を誇ったネットカルチャーは死を迎える。
新たな神々の黄昏
かくして、ALTIMIT OSが完全に配備されるまでの間、民間のネットワーク利用を禁ずる『ネットワーク規制法』が可決された。
再びネットワークが民主化されるまでの耐え忍ぶ期間は、『新たなる神々の黄昏』と呼ばれ始める。
期間中、人々の生活様式は1980年代頃にまで退化してしまう。
しかし、地域コミュニティが復活したり、電話や郵便など、かつての通信手段が日の目を見たりと、決して悪いことばかりではなかった。
中には、ネットワークが肩代わりしていた労働力が一時的に失われたことで、それを補うための人間の労働力を確保すべく、雇用が促進されるなど、有利に働く面もあった。
……とはいえ、そんな美味しい話ばかりではないのが世の常。エンターテイメント業界は大打撃を受けていた。
この時、アニメ・ゲーム・漫画・音楽など、あらゆる娯楽がダウンロード販売専用となっていたため、パッケージなど存在しなかったのだ。
おまけに、各家庭の機器がネットワーク端末化している現状では、パッケージを作ったところで、それを起動できる受け皿も存在しなかった。
終いには、業界へのALTIMIT OSの配備が最後の方に回されたため、ビジネスをしようにもユーザーがついてこない事態が発生。
過去の機器を保管していた一部のユーザーを相手に細々と商売をするしかなく、ユーザーは娯楽に飢えることになってしまう。
中でも、ネットに接続して遊ぶことが当たり前となっていたゲーム業界への打撃は非常に大きく、後にCC社製のネットゲームが世界の覇権ゲーとなる理由もここにあった。
この頃になると、ALTIMIT社だけでは完全配備は困難ということで、他企業もOSの中身を極秘にしたまま供給を開始。
WNCから、業務用に特化していたOSを個人用にも対応させるよう進言されたことも手伝って、製造されるコンピューターのほぼ全てにALTIMIT OSが導入された。
こうしてWindowsM社製OSのシェアを追い落としたALTIMIT社だが、ここに来て中心メンバーの1人が退社。
代わりに、その人物が役員を務める会社が設立される。表向きには資本関係が存在しない会社、CC社である。
CC社はALTIMIT社が経営母体にいるおかげで、本来ならソフト開発が難しいはずのALTIMIT OS専用ソフトウェアを次々と開発・販売し、急成長を遂げる。
常識的に考えれば独禁法違反も当然なのだが、この時はPluto Kissがもはやトラウマと化していた世界では黙認せざるを得ず、批判はされても、何らかの制裁を受けることは一切なかった。
また、CC社は全世界が娯楽に飢えており、前述の通りゲーム業界が危機的状況にあることを把握していた。
ネット利用の制限が解除されれば、エンターテイメント、特にゲームの市場価値が何倍にも跳ね上がることは確実。
利用解禁と同時に全世界対応のゲームをリリースすれば、市場を独占することも不可能ではない。
前述の通り、ソフトウェア開発において圧倒的に有利な要素を持つCC社にとって、ゲーム開発は造作もなかった。
最大の問題点である「いつネットが解禁されるか知らなければ、独占など不可能」という点も、ALTIMIT社からネット解禁日の情報を極秘にリークされていたことで解決していた。
あとはゲームさえ作ってリリースすればOKというところまで来ていたCC社のもとに、ある男が姿を現す。
その名は『
ハロルド・ヒューイック』。
何が起きたかは本人の項目を参照してほしいが、要は「ハロルドがネットゲームを持ち込んできたので、契約を結んでテストプレイまでやった」と思ってほしい。
Mother Mary's Kiss
2007年、ALTIMIT OSの全世界配備がほぼ完了し、Pluto Kiss以前の通信網が再構築される。
ALTIMIT社が12カ国、CC社が10カ国に現地法人を設立して盤石な体制を築くと、WNCはいよいよ12月24日にネット解禁を宣言。
この宣言は『ネットワーク平和宣言』と題され、12月24日は国連によって『Mother Mary's Kiss』と命名され、国際的な祝日に位置づけられる。我々の世界でもクリスマスイブを祝日にしてほしいところ。
時を同じくして、CC社はハロルドが持ち込んだネットゲームを『The World』と名付け、同日0時からダウンロード販売を開始すると発表。
発売1カ月前から開始された予約受付では、先着100万名に1時間前からアーリーアクセスできる権利を配布すると発表された。
その結果、1時間に100万件というありえないレベルのアクセスが発生するも、ALTIMIT OSが余裕で耐えたことで、改めてその安定性を証明する結果となった。
一時は『The World』の発売中止が噂されるも、CC社が直々にこれを否定。そして12月24日のネット解禁と同時に発売された。
当日のダウンロード件数は457万、年内には658万と、凄まじい記録を叩き出し、CC社はゲーム業界の覇権を手にする。
これらの経緯を経て、ようやく.hackシリーズの物語がスタートする。
第二次ネットワークライシス『禍々しき波事件』
- .hack//AI buster(小説)
- .hack//SIGN(アニメ)
- .hack//ZERO(小説)
- .hack(ゲーム)
- .hack/ANOTHER BIRTH(小説)
- .hack//XXXX(マンガ)
- 新約小説 .hack(Web小説)
- .hack//Liminality(アニメ)
『ドットハック事件』『黄昏事件』『モルガナ事件』など様々な名称で呼ばれているが、
本項目では『.hack//Archives_03』に則り『禍々しき波事件』と記載する。
禍々しき波事件は、2009年から2010年末にかけて発生したニ度目のネットワーククライシスを指す。
The Worldで発生したウイルス汚染が、やがて現実世界のネットワークインフラに大規模な影響を与え、規模こそPluto Kissより小さかったもののPluto Kissの再来と恐れられた。
この事件の発生~解決までを描いたのが、第1期シリーズに該当する『Project .hack』作品群である。
事の始まりはThe Worldのプロトタイプを作っていたハロルドが、究極AIアウラ誕生のためのプログラムをゲームに仕込んでいたことである。
このハロルドシステムは解析不能のブラックボックスと化しており、除去するとゲームがクラッシュするおまけ付きだったため、止むなくThe Worldに搭載された。
このアウラを生み出すための基幹システム『モルガナ・モード・ゴン』が自己保存の自我に目覚め、アウラ覚醒後に自分の存在が不要になることを恐れたことでその覚醒を妨害し始める。
やがてアウラを抹殺すべくゲーム内どころか仕様外のあらゆるシステムを利用して暗躍。The Worldにてウイルス汚染が発生するのであった。
リコリス抹消事件 ~ 黄昏の鍵事件
2009年当初、モルガナは自ら手を下さない方法でアウラの抹殺を計画していた。
この時からNPCが意思を持ったかのように勝手に動き始めた存在『放浪AI』の噂が流布されており、そのほとんどがアウラ誕生の過程で発生した失敗作だった。
その失敗作たちが自身の存在をロールする過程でアウラ成長のデータ蓄積を担い始めたので、CC社内で結成されたデバッグチーム『碧衣の騎士団』に対して、彼らの駆除対象たる放浪AIの目撃情報を横流しして処理させる作戦に出る。
ところが、紆余曲折を経て放浪AIの1体リコリスが騎士団リーダーのアルビレオと行動を共にし、その過程で自身の記憶をアルビレオに見せたことでモルガナの存在に勘付かれてしまう。
騎士団を利用する作戦を放棄し、今度はアウラと特定のPCの精神をリンクさせ、負の感情の増幅により成長そのものを阻害する作戦を決行。
都合よく現実への絶望から逃避のためにThe WorldをプレイしていたPC司を発見し、彼の意識をゲーム内に幽閉。
司の亡くなった母を騙って誘導し、司も現状を受け入れていたことで順調に進むものの、彼の心は完全に現実に絶望しきっておらず、それどころかミミル、ベア、昴などのPCとの出会いを経て現実への帰還を望み始める。
その状態が続けばアウラが覚醒すると思ったモルガナの手により死を体感させられたり精神を破壊されそうになるも、何とか正気を取り戻した司が前向きな感情を取り戻したことで、ついにアウラが正常な覚醒を遂げる。
アウラ逃亡
しかし、モルガナの計画はこんなことでは終わらない。
自らの手でアウラを抹殺する方針にシフトし、ハロルドシステムに組み込まれた八相の碑文プログラムを起動。
モルガナ八相という自らの化身にして尖兵たるモンスターの
スケィスを生み出し、逃亡したアウラの追跡を開始。
同時に、The World内のウイルス汚染が拡大したことで、一般PCから不死身のバグモンスターの目撃情報や、特定のエリアが侵入不能になるなどの情報交換が行われるようになる。
2010年に入ると、追跡の過程でアウラ保護のために動いたカールとアルフの2人を、『
Δ隠されし 禁断の 聖域』で偶然遭遇したカズを、『
Θ選ばれし 絶望の 虚無』に訪れていたジークを未帰還者にする。
『
Δ萌え立つ 過越の 碧野』で発見したアウラがスケィスから逃げている場面を偶然目撃していたオルカを未帰還者にするも、同行者の
カイトだけは偶発的に離脱に成功。
そのカイトがアウラから八相に対抗できる力『
黄昏の腕輪』を託されたことで、モルガナに立ち向かう腕輪の勇者が誕生する。
途中、スケィスがようやくアウラを捕縛して3つのセグメントに分割封印するも、その場に居合わせたカイトに撃破されるアクシデントが発生。残り7体の碑文を1体ずつ呼び出して腕輪の勇者迎撃に当たらせる。
時を同じくしてThe Worldで意識不明になった人が出たという噂が流布されるようになるも、そんなわけあるかと多数の専門家が反論。CC社もそれに同調したことで都市伝説扱いとなる。
Pluto Agein
蒼ざめた馬の疾駆するがごとくに
見えざる疫病の風、境界を超えゆく。
阿鼻叫喚、慟哭の声、修羅、巷に溢るる。
逃れうるすべなく、
喪われしものの還ることあらざる。
時の流れは不可逆なればなり。
―――第四相『運命の預言者』フィドヘルの預言より。
カイト達とモルガナの戦いの最中で、The Worldには深刻なダメージが蓄積されていた。
2体目のイニスを撃破した時は
サーバーが飛び、3体目の
メイガスを撃破した時は
一部エリアに留まっていたウイルス汚染が全エリア、ひいてはタウンにすら波及してしまう。
それでも事態解決のために4体目のフィドヘルを撃破するも、上記の預言の内容通りに
今度は現実世界にThe Worldのウイルス汚染が波及。
通信・交通・経済活動が混乱して医療事故や交通トラブルなどの実害が起き始めると、WNCは第二次ネットワーククライシスを宣言。オンライン取引の一時停止が呼びかけられる。
一連の出来事を人々はPluto Kissの再来ということで『Pluto Agein』と呼び始め、The Worldの噂は実は本当なのではという疑惑が深まる。
これを受けてCC社は「未帰還者もネットワークの混乱もヘルバを中心としたハッカーグループによるサイバーテロのせいだ」と告発。
事態終息のためにカイトと協力関係を結んでいたヘルバに罪を擦り付ける。ヘルバ本人は茶番呼ばわりしていたけど。
自社のゲームのせいですなんて言えるわけがなく、ヘルバはスーパーハッカーだし出来るかと言われれば出来そうなのが遠因だろう。
- The Worldをプレイ中に意識不明になったプレイヤーの存在が報道され始める。
- 京浜地区の広い範囲で電話回線が不通になる。
- 東京株式市場オンラインが混線し、300億円もの被害額が発生。
- 列車ダイヤの集中管理システムが誤作動し、8万人の利用者の足が乱れる。
- 福岡県の1万戸にて2時間にもわたって停電が発生。各家庭のヒューズが飛ぶ事態に。
- 電子医療機器がすべて使用不能になったことが発覚し、病院の電話回線がパンク。
- 専用線を含む全電話回線が2時間6分にわたって不通になる。
- みなとみらい21にて大規模な火災が発生。防災システムが作動しなかった。
- 各地で渋滞が発生し、高速道路が全く動かなくなる。
しかし、止まらないThe Worldの汚染と現実への波及により、いよいよThe Worldが原因と断定され始めてしまう。
ここに至ってCC社は「The Worldのサーバーを物理的に破壊して、全部ハッカーの仕業にして闇に葬る」という隠蔽工作を画策。
さも当然のように情報を持っていたヘルバがシステム管理者リョースにリークしたことも相まって、システム管理者とハッカーの共同戦線が構築される。
営利と保身に走った大人たちという見えざる敵の脅威が迫る中、共同戦線によりカイト達のパーティーは強固となり、5体目の
ゴレ、6体目のマハ、7体目の
タルヴォスが撃破され、セグメントに分割されていたアウラが復活。
さらに、腕輪の反存在クビアをも撃破し、いよいよモルガナの化身は最後の1体
コルベニクとなる。
ところが、クビア撃破の余波で腕輪を失ったカイト達はコルベニクに対抗する力を持っていなかった。
この隙を狙ってコルベニクを送り込んで彼らを追い込むも、カイトの起死回生の一手、そしてアウラの自己犠牲によりコルベニクは撃破される。
8体の化身全てが倒されることはモルガナの死を意味しており、基幹システムからモルガナの存在は消滅するのであった。
事件後
- .hack//Legacy(特典小説)
- .hack//黄昏の腕輪伝説(マンガ/アニメ)
事件後、Pluto AgeinおよびThe Worldのウイルス汚染は急速に終息。未帰還者も全員が現実世界に帰還を果たす。
アウラは究極AIとして再誕し、腕輪を失ったカイトに対し『薄明の腕輪』を託してウイルスバグの残滓の駆除に出るよう促す。
同時に、一連の事件を解決させた伝説のパーティー『.hackers』の噂が流布され、CC社もその功績を称えて同パーティーのリーダーのPCデザインを一般エディット不可に指定する。
これで一件落着……と思いきや、現実世界では少し波乱が起きていた。
Pluto Ageinを受け、WNCは発展的解散を宣言。新たな組織として再出発することを発表するのに併せて、アメリカ大統領が辞職する事態に発展。
おまけにALTIMIT社とCC社はFBIによりネットワーク娯楽産業における独占禁止法違反の疑いを今更かけられ強制捜査される。
事件解決から4年後、再び未帰還者が発生する事件が起きるも、この時はその影響が現実世界に波及することがないまま終息している。
第三次ネットワークライシス
2016年から2017年にかけて発生した三度目のネットワーククライシス。
前2回と違って具体的な通称は存在しない。
AIの異常暴走により出現したバグシステム『AIDA』による異変を発端とするネットワークのリセット、それを由来とする反存在クビアの再臨により、全ネットワークインフラに致命的な負荷が生じ、Pluto Ageinを超える世界的危機が発生しかけた。
この事件の発生~解決までを描いたのが、第2期シリーズに該当する『Project G.U.』作品群である。
事の始まりは本来無害だったAIDAに、突然変異を起こして凶暴性を持った個体『
Triedge』が出現したことにある。
Triedgeは偶然その場にいたPC
オーヴァンの左腕に寄生し、
彼の精神を暴走させて同行していた妹のアイナを未帰還者にしてしまう。
その時の精神的ショックから自身がコルベニクの碑文使いPCであることを知ったオーヴァンは、AIDAが凶暴性を学習して他のPCにも感染し始めたこと、AIDA感染PCにPKされると未帰還者になることを把握。
未帰還者たち、特に最愛の妹を救うべくコルベニクの能力を利用してAIDAを全ネットワークから消し去ることを画策する。
真の再誕
当初、オーヴァンは究極AIの御力を秘めた伝説のアイテム『
黄昏の鍵』を使う選択肢を考えていた。
そのために鍵を探求するギルド『
黄昏の旅団』を結成して大々的に動くも、システム側に立って自身と対立する碑文使いPCの策にかかってしまい、意図せず暴走したTriedgeで旅団メンバーの志乃を未帰還者にしてしまう。
予想外の出来事を受け、日に日にTriedgeを抑えられなくなっているのを確信したオーヴァンは、いよいよ最後の手段に賭ける。
コルベニクの能力『再誕』はただ発動しても五体満足で復活する能力にしかならない。
しかし、ある条件を満たすことで『
真の再誕』となり、ネットワーク全体をリセットできる力を発揮できるようになる。
その条件は「
能力発動時に、黄昏の鍵をトリガーにすること」。黄昏の鍵は「
八相の碑文全てを1つに集約させる」という手段でしか誕生しない。
最後の手段とはすなわち「
八相の1体スケィスの碑文に残る7体の碑文を喰わせ、黄昏の鍵に仕立て上げること」。
なぜスケィスでなければならないのかは不明だが、八相の中で最も攻撃に特化し『
死の恐怖』の異名を持つスケィスならば、全ての碑文を喰らって鍵に至ることが可能と踏んだのだろう。
何より、オーヴァンは旅団として活動する過程で偶然にもスケィスの碑文使いPCを発見している。
それこそが.hack//G.U.シリーズの主人公にして旅団に加えた最後のメンバー、
ハセヲである。
事に当たって、まずオーヴァンは志乃がPKされたと知ったハセヲに「
三爪痕という伝説のPKが志乃を未帰還者にした」と嘘をついて彼の復讐心を煽り、力をつけるように教唆。
そのとおりにハセヲは
色々すっ飛ばして力をつけたもののスケィスが開眼しなかったため、三爪痕に仕立て上げた
葬炎のカイトと戦闘させるついでにカイトのデータドレインでPCを初期化させる。
その後、1からやり直しになったハセヲを自身と対立関係にある八咫を利用しながら巧みに誘導し、会うたびにもっと強くなれと言いまくった甲斐もあってスケィスを開眼させることに成功させる。
同時に、自身に備わったAIDAを操る能力を利用してAIDA感染PCがハセヲの行く手を阻むように企て、時には他の碑文使いPCをAIDA感染させ碑文を暴走させることでハセヲと戦わせたり、自分の正体を明かして碑文を喰らうように仕向けてみせた。
碑文使い全員の開眼に時間がかかるために強硬手段を取ることもあったが、こうして8つの碑文全てを喰らわせたところで、ハセヲを引き寄せて真の再誕を発動。自身の精神を代償に全ネットワークからAIDAを駆除することに成功する。
AIDAが消え去ったことで未帰還者たちも復帰したものの、ネットワークのリセットを起こしてしまったために全世界でトラブルが多発。
かつてニ度起きたネットワーククライシスを彷彿とさせる甚大な被害が立て続けに起きてしまう。
そのまま一連の事件の全責任をCC社から押し付けられたオーヴァンは、ネット史上最悪の犯罪者として国際指名手配されてしまった。
当然、代償を払うように未帰還者となったオーヴァンに自己弁護をする能力などなく、このまま犯罪者として裁かれるのも時間の問題だった。
真の第三次ネットワーククライシス
一連の事件の元凶が消えてなお、危機の火種は消えていなかった。
スケィスを黄昏の鍵に仕立て上げてしまったことで、The Worldの基幹システムは「本来存在し得ない巨大な力が芽生えた」と認識。
それを迎撃するためのカウンタープログラム、すなわち反存在クビアが起動してしまっていたのだ。
黄昏の腕輪の反存在だった時と違い、碑文使いPCの反存在であるクビアはかつてをはるかに超える力を有して出現し、瞬く間にThe Worldのサーバーどころか全世界のネットワークに膨大な負荷を掛け始める。
当初こそめちゃくちゃ重いだけで何とか持ち直していたものの、クビアが更に活発化したことでThe Worldのサーバーは完全に沈黙。
一般PC諸共非正規サーバーに避難せざるを得ず、現実でも真の再誕からの立て直し中にクビアが出現したことで大混乱に陥る。
追い打ちをかけるかのように、クビアをこのまま放置すればネットワークは完全に停止し、全世界の原発がメルトダウンを起こしかねないという危機的状況に追い込まれてしまった。
残された時間は少ない中、ハセヲ達は一般PCやかつて敵対していたPC達をも味方につけクビアに戦いを挑む。
追い詰めたクビアは自爆してネットワークを道連れにしようと企むも、7人しかいないこの土壇場で8人の碑文使いPCが揃ったことでクビアの撃破に成功。
クビアの消滅に伴い異常負荷は無くなったことで『真の第三次ネットワーククライシス』はひとまず回避されるのであった。
事件後
- .hack//G,U. Returner(特典アニメ)
- .hack//G.U. Last Recode(ゲーム)
- .hack//G.U. Innocent Cell(特典ボイスドラマ)
- .hack//G.U. RAGTIME(特典小説)
事件解決後、The Worldを含む全世界のネットワークは安定稼働に戻った。
時を同じくして、CC社内の内部告発により上層部が嘘の証拠を提示してオーヴァンに全責任を被せようとしていたことが明るみになり、手配が解除され汚名を晴らすことになるが、オーヴァンの精神が現実に復帰していなかったため、彼がそれを知る由はなかった。
また、クビア再発を防止すべく、黄昏の鍵たるスケィスをハセヲから切除・封印する処置がとられる。
ハセヲ本人もこれに同意し、一般PCになったことを理由にThe Worldを引退した……はずだった。
それから1年後、The Worldは度重なるトラブルとシステムが生み出した歪によりサービス終了を宣言されてしまい、このままではオーヴァンが一生復帰できない事態になってしまう。
さらに、一度オーヴァンが消し去ったはずのAIDAは再誕を果たしており、長い時を経て人間と同等の知性と姿を得ていたことが発覚。
新生を果たしたTriedgeことクサビラがハセヲにオーヴァンの居場所を教えたことで、オーヴァン救出作戦が決行。
クサビラがオーヴァンと再融合する形で消滅したが、1年の時を超えて現実世界に復帰することに成功する。
それからしばらくが経過した2020年、真の再誕の影響を受けなかった良性AIDAの存在が確認される。
そのAIDAは、全人類電脳化という未曾有の事象が未遂で終わった不滅なる黄昏事件に挑んだ者達をサポートしていたという。
【余談】
.hackの世界には『無限的多様性理論』という理論が存在する。
この理論は「V=L×(I-F)」という数式で表現され、Lは人間の中にある光、Iは主体となるものの想像力の強さ、Fは主体の属する世界の状況や現象を表す。
これらの変数に数値を当てはめることで、未来における出来事の数や可能性の幅を算出できるというものだ。
ハロルドはこの理論を研究し、それを基にThe Worldの基幹システムを構築したとされている。
要約すると「未来の出来事のすべては人間の想像力の強さで決まり、意志の強さが未来を規定する」というもの。
これを用いることで「人工知性であるモルガナの、アウラを排除しようとする悪意が現実世界の災害を招いた」と考えることができる。
実際、『.hack//Liminality』では、モルガナの悪意がネットワークと現実世界の境界性に歪みを生じさせたことが、一連の事件の真相であると考察されている。
とはいえ、この仮説が正しかったとしても、モルガナの意思が現実世界に波及した理由やその因果関係は不明なままであり、疑問は残る。
作中でも「ネットゲームに意思があるわけないだろ」という至極もっともな意見が多数派であり、Pluto Againとの関係もすべてを知る者たち以外からは一種の都市伝説として扱われている。
「たかが世界規模のネットゲームにおけるウイルス汚染で、現実世界に甚大な影響が生じるわけがない」という当たり前の疑問に対し、理論的な説明を与えることで物語にリアリティを持たせた設定といえる。本編での言及は全然ないけど。
追記・修正はネットワーククライシスから復帰してからお願いします。
最終更新:2026年10月19日 19:54