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スポンジケーキ

登録日:2010/11/07 Sun 16:05:48
更新日:2026/04/06 Mon 11:10:26
所要時間:約 35 分で読めます




スポンジケーキはショートケーキとかの中にある黄色いフワッフワッのあれである。
ケーキ作りをする際には避けては通れない登竜門的な存在である。
ブッセなどのように型は使わず、生地を絞り出して焼く場合もある。

近年は炊飯器で簡単に作れたりお店で売ってたりするが、手作りが一番。
自分の手で丹精込めたケーキは自分、友人、愛する人にとって最高のプレゼントになるからである。

  • 目次


材料

【基本的なスポンジ生地】
分量
  • 卵 3個 ※Mサイズ(正味:約50g)
  • 砂糖 90g ※微粒子グラニュー糖は癖が無い甘さで溶けやすく、上白糖だと甘みやしっとり感が増す
  • 薄力粉 90g ※生地をしっとりとさせたい場合は75gまで減量調整可能
  • 無塩バター 15g ※生地に牛乳を入れない場合は30gまで増量調整可能
  • 牛乳 大さじ1(15ml) ※無塩バターと一緒に湯煎して温める

これは直径18cmのスポンジ型(6号)を使う前提の分量、そしてあくまで例なので、それぞれ持っている型、レシピに基づいた分量にする。
生地にバニラオイルを加えると卵臭さをマスキングできて香りも良くなる。適量はメーカーによって異なるので、目安の表記に従った方が良い。
抹茶風味にする場合は、薄力粉を90gから81gに減らして、製菓用の抹茶粉末を9g加える。ダマになりやすいので、薄力粉と合わせて2~3回ふるう。
コーヒー風味にする場合は、製菓用のコーヒーパウダー4.5gか顆粒状のインスタントコーヒー6~9g分を湯煎した牛乳に加えて溶かし入れる。
溶かしバターの温度は、牛乳とともに温める場合は50~60℃、牛乳を入れないで無塩バターのみ湯煎する場合は70~80℃にすると混ぜ易くなる。
生地をしっとりさせる工夫として、砂糖の分量を約1割くらい減らして水飴か蜂蜜を加える方法もあるが、粘性があるので湯煎して約40℃に温めた方が失敗し難い。


【ココア風味のスポンジ生地】
分量
  • 卵 3個 ※Mサイズ
  • 砂糖 90g
  • 薄力粉 66g
  • コーンスターチ 9g
  • ココアパウダー 15g ※無糖で粒子の細かい製菓用
  • 無塩バター 15g
  • 牛乳 大さじ1(15ml)

ココアパウダーを加えたスポンジケーキは、ココアに含まれる油脂分で気泡が壊れてしまい、冷めると通常のスポンジ生地よりも締まってしまう。
薄力粉とココアパウダーのふるう回数を増やしたり、コーンスターチあるいはベーキングパウダー(18cmの型だと目安は0.7~0.8g)を配合して対策する。
気泡の安定性を高めるために、乾燥卵白を利用する手段もある(※乾燥卵白はダマになりやすいので、卵に直接加えず、予め砂糖と混ぜ合わせておく必要がある)。
また、砂糖を増量(18cmの型だと目安は+15g)すると保湿性が高まって柔らかくなり、ココアの苦みも抑えられるため、幼い子供を持つ家庭で作る場合は好都合だろう。
甘みを強くしたくない場合は、砂糖の20%をトレハロースに置き換える。トレハロースは甘味度が砂糖の38%と低く、スポンジ生地をしっとりさせる効果も認められている。
ちなみにココア風味のスポンジ生地は膨らみ難くなるが、生地内の気泡を取り囲んで気孔構造を形成する澱粉量の相対的低下が主因ではないかと推測する研究論文もある。


【アーモンドパウダーを使用するスポンジ生地】
分量(※括弧内はパン・ド・ジェーヌ風)
  • 卵 Mサイズ:3個(Lサイズ:3個)
  • グラニュー糖 90g(90g)
  • 薄力粉 75g(不要)
  • 片栗粉 不要(50g)
  • アーモンドパウダー 25g(90g)
  • 無塩バター 30g(50g)
  • キルシュ 不要(30ml)

薄力粉の何割かをアーモンドパウダーに置き換えたスポンジ生地で、アーモンドパウダーは薄力粉あるいは片栗粉とともに振るう。
大まかな目安になるが、アーモンドパウダーは薄力粉の約4割に換算できるため、薄力粉の分量はアーモンドパウダーの6割分差し引いて調整する。
油脂分が多くなるのでリッチな仕上がりになるが、油脂分には消泡作用があるので通常のスポンジ生地よりも膨らみ難くなる。
パン・ド・ジェーヌ風は別立て法のスポンジ生地で、キルシュは溶かしバターの後に加えて混ざる。
※括弧内のパン・ド・ジェーヌ風は配合の分量が異なるため、オーブンの焼成設定は180℃で25~30分くらいが目安になる。


【小麦澱粉かコーンスターチを使用するスポンジ生地】
分量(※括弧内はヴィーナボーデン)
  • 卵 Mサイズ:3個分(Mサイズ:3個)
  • グラニュー糖 90g(75g)
  • 薄力粉 60g(50g)
  • 小麦澱粉かコーンスターチ 30g(50g)
  • レモンゼスト 不要(0.5個分)
  • 無塩バター 不要(25g)
  • 食塩 不要(ひとつまみ)

イタリアのパン・ディ・スパーニャやドイツのビスクイットタイクを参考にしている。
薄力粉の何割かを小麦澱粉かコーンスターチに置き換えた別立て法のスポンジ生地で、小麦澱粉かコーンスターチは薄力粉とともに振るう。
乳製品を入れないので軽い仕上がりになるほか、澱粉を含むことでほろりとした食感に変わり、アンビバージュもよく染み込むようになる。
油脂分が少ないので通常のスポンジ生地よりも劣化が早く、唾液量の少ない日本人にはパサつきを感じられ易くなるという欠点も併せ持つ。
ヴィーナボーデンは共立て法のスポンジ生地で、レモンゼストは卵を泡立てる時に入れて、溶かしバターは粉類と混ぜ合わせた後で加える。
※括弧内のヴィーナボーデンは配合の分量が異なるため、オーブンの焼成設定は180℃で20~25分くらいが目安になる。


【アンビバージュ】
分量
  • 水 30ml
  • 砂糖 15g
  • 洋酒 15ml ※キルシュ、コアントロー、グランマルニエなどから選択する

保湿用のシロップで、スポンジ生地に塗って染み込ませる。
水と砂糖を煮溶かして沸騰してきたら火からおろし、冷ました後で洋酒を加えて作る。
子供用は製菓・製パン用のストロベリーエッセンスないしバニラエッセンスで香りを付けるか、蜂蜜やジャムを薄めてシロップ代わりにする。


調理用具

  • 泡立て機(ハンドミキサーを使った方が成功しやすい)
  • 計量スプーン(分量は正確にしないとだめ)
  • はかり
  • 温度計
  • ボール
  • ヘラ
  • 粉ふるい
  • スポンジケーキ型
  • クッキングペーパー
  • 鍋(湯煎やシロップ用)
  • 刷毛(シロップ類を打つ場合や切った時に出る欠片を払う場合)
  • 金網(ケーキクーラー)
など


作り方

基本的にスポンジケーキを作る方法は2種類ある。卵を卵黄、卵白別々に泡立てる「別立て」と、そのまま泡立てる「共立て」の2種類。
別立ては「全体的に粗さと軽さがあり、フワッフワッ度が高い」。
共立ては「全体的にキメが細かくシットリとしたテイスト」になる。
まぁどちらもプロがやるならいざ知らず素人がやってもそんなに大差はない。両方作ってみて好きな方を決めると良い。
注意点として、共立ては気泡が消えやすいので速やかに作業し、別立ては油脂による消泡作用の影響をより受けることからバター控えめの方が失敗し難い。
手間と言う部分に関して言えば別立ての方が簡単だが、愛情を持って作る上で「手間」と言う物がどれほどの意味を成すのかは語らずとも理解できるであろう。

  • 別立て

卵黄と卵白に分ける。注意点として、卵白に黄味が混じらないようにすること。卵白の泡立ちが悪くなること必至。
卵黄に砂糖の約2/3を加えて泡立てる。なお速やかに泡立てないと砂糖が卵黄を吸ってダマの原因になってしまう。
マヨネーズみたく白っぽくなるまで充分に混ぜるべし。卵黄を白くなるまで攪拌する作業はブランシールと呼ばれる。


卵白を泡立て、砂糖を加え、さらに泡立てメレンゲを作る。
使うボールや泡立て器は真っさらな綺麗なものを使う。じゃないと上手く泡立たなくなること必至。皮脂すらも失敗の原因になる。
ちなみにプラスチック製のボールは洗浄して拭き取っても油脂や洗剤が残留し易いため、メレンゲ作りは銅製あるいはステンレス製のボールが向いている。
泡立て器を上げた際に「角が立つ」ようになってきたら砂糖を数回にわけて加える。ここでフワッフワッが決まる。
成功か失敗かのターニングポイントと言っても良い。


装備を泡立て機からヘラに替える。
ブランシールした卵黄をメレンゲの1/3と合わせてから、メレンゲの大部と混ぜる。
ダマになるのを避けるため、ふるった粉を少しずつ加えながら混ぜ合わせる。
粉気がほとんど無くなったら、湯煎して温めた牛乳とバターの混合液を生地の一部と合わせてから加えて混ぜる。
溶かしバターのみ加える場合はヘラに当てて全体に散らして入れる。溶かしバターは散らさないと底に溜まって上手く混ざらなくなる。
混ぜ過ぎると折角のフワッフワッのメレンゲが台無しになる。練らないように底のほうから「サックリ」混ぜて艶を出す。


型に薄く分量外のバターを塗り、生地を流し込む。
生地の表面を均したら、こぼれないよう注意しながら作業台に2~3回くらい落として余分な空気を抜く。
出来上がった時に型にくっつく場合もあるため、型に油脂類を塗るだけでなく薄力粉を塗すか型紙を敷くのもあり。
オーブンはあらかじめ温めておく。基本。


竹串で刺して火の通りを確認したら、10~15cmくらいの高さから作業台に4~5回くらい落として籠った水蒸気を逃がす。
型ごとひっくり返して逆さまにした状態で金網(ケーキクーラー)に置き、粗熱が取れるまで待つ。
これらは冷める間に生地が萎むのを防ぐための処置である。

終了


  • 共立て

ボールに卵を割りいれほぐし、砂糖を加えダマにならないように混ぜ合わせる。砂糖はふるっておこう。


湯煎にかけて泡立てる。最難関。
お湯の温度は60℃くらいがベストで、それ以上だと卵に火が通ってしまいダメになる。
卵液の温度が35~40℃(季節によって調整)になったら湯から外し、冷めるまで泡立て続ける。
泡立て時に「ボールの底が見える」のが大体の目安。生地は最初の3、4倍くらいでモッタリしてると良い。


ふるった粉を入れつつ混ぜ合わせる。こちらもサックリやろう。


以降の工程は別立て法と同じである。

終了


  • 焼く
大体160~170℃くらいで30~35分くらい。ここは各家庭のオーブンの仕様により異なる。慣れるしかない。
家電メーカー側のレシピ集で機種に対応した温度設定や加熱時間の目安を記載している例もあるため、確認できるなら公式に従った方が良いだろう。
竹串で刺して「何も付いて来なかった」が完成の目安。

冷ます時は固く絞った濡れぶきんをかけて、乾燥を防ぐ。型から外すのは触ってもOKなくらいにあら熱が取れてから。慎重に。

出来上がり。

出来上がりなのである。


後は好きに切ったりして生クリームを塗りたくるなりしてお好みのケーキを作ると良いだろう。
長崎のシースケーキ、イギリスのトライフル、イタリアのズッパ・イングレーゼといったようにカスタードクリームとの組み合わせも悪くない。
バタークリームも良いが、バター+粉砂糖か加糖練乳+バニラエッセンスのお手軽な作り方だと食べ進める内にくどくなりがちなので、酸味の強い果物も添えた方が無難である。
クリーム以外だと、切り分けた生地の間に杏などのジャムを挟んで、粉砂糖を振り掛けるだけでも美味しく頂ける。

余談だが隣で作ってる人を見ても手伝わない方が良い。
人によっては自分のリズムを狂わせる邪魔者と認識される場合もある。そう言う時は大人しく待機、全てを終えた人にアフタヌーンティーなどで労おう。



海外のスポンジケーキ

スポンジケーキの元祖は、18世紀にジョノヴァ出身の菓子職人が製作し、スペイン王フェルナンド6世に振舞われたパン・ディ・スパーニャの原型とされている。
ただし似たような生地はそれ以前に確認されていて、ポルトガルの宮廷料理人が17世紀の史料に残したビスコウト・デ・ラ・レイナを起源とする説も唱えられている。
ちなみに日本のカステラもビスコウト・デ・ラ・レイナが先祖ではないかと推測している研究者が存在する。
上記以外では、存在自体は14世紀まで遡れるビスキュイ・ド・サヴォワを源流とするなど諸説ある。

フランスでは別立て法の生地をパータ・ビスキュイ、共立て法の生地をパータ・ジェノワーズに分類している。
辻製菓専門学校*1監修の『科学でわかるお菓子の「なぜ?」 基本の生地と材料のQ&A231』では、スポンジ生地の解説でバターの配合量について、
共立て法は砂糖の80%、別立て法は砂糖の40%を上限にしているが、ピエール・ラカンや河田勝彦などといった高名なパティシエの著書には上限を超えるレシピも記されている*2
サヴォワ型で焼成するビスキュイ・ド・サヴォワやガトー・ド・サヴォワは別立て法の生地で、小麦粉だけでなくコーンスターチも入れている。


ドイツ語圏のビスクイットタイク(ビスクイットマッセ)やヴィーナボーデン(ヴィーナーマッセ)は小麦澱粉(浮き粉)入りの生地もあり、ビスクイットタイクは油脂類が含まれない。
ケーキクラム(ビスクイットブルーゼル)入りのスポンジ生地もあり、リューベッカー・ヌスザーネトルテやルクレクレーム・シュトライフェンなどで使用される例もある。

イタリアのパン・ディ・スパーニャは小麦粉と澱粉類を併用する別立て法の生地だが、スポンジ生地の総称にもなっているため、共立て法の生地でも呼ばれることは多い。
油脂類を入れる共立て法の生地はパスタ・ジェノベーゼと呼ばれていて、フランスのパータ・ジェノワーズに相当するが、別立て法で作る馬鈴薯澱粉入りのレシピも存在する。
パスタ・マルゲリータ(トルタ・マルゲリータ)は馬鈴薯澱粉を使った別立て法の生地で、溶かしバターを入れたり、小麦粉と併用する場合があるほか、共立て法で作る例もある。
なお馬鈴薯澱粉はコーンスターチで代用されることも珍しくない。
イタリアではパン・ディ・スパーニャを挟んだトルタ・ディプロマーティカ*17が人気で、バニラシュガーか泣かない粉糖を振っただけのトルタ・マルゲリータは朝食にも供されているという。

欧米と日本ではスポンジケーキに配合する小麦粉が異なっていて、日本は肌理細かく製粉した灰分の少ない薄力粉で癖が少なくしっとりふんわりした生地を作るが、欧米は中力粉に近い小麦粉を使う傾向があり、日本と比較して小麦の風味や旨みは強い代わりに肌理が粗く口解けも悪いものの香り付けしたシロップをたっぷり打って対策している。


日本では薄力粉と強力粉をブレンドして本場の再現を試みるパティシエもいたが、完全に代替できる訳ではなく、エクリチュールといった製菓用小麦粉の誕生に繋がった。


海外では、古くなった生地をティプシーケーキやプンシュトルテ*18などに調理したり、削ぎ落とした生地をケーキクラムに加工してデコレーションや菓子の素材に転用する。

なおアメリカのイエローケーキやホワイトケーキ、イギリスのヴィクトリア・サンドウィッチ、スペインのソバオ・パシエゴやビカ・デ・カストロ・カルデラス、などもスポンジケーキとして紹介されることはあるが、シュガーバッター法を採用したバターケーキ生地であるため、本項目のレシピは流用できない。
もっともバターケーキ生地でも例外はあり、イタリアのトルタ・マントヴァーナはスポンジケーキと似たような同様の手順で作れる。詳細はJA全農たまごのCookpadを参照。
ただし溶かしバターの量が多いため、溶かしバターと小麦粉を交互に加えて混ぜるか、溶かしバターを生地の一部と馴染ませて数回に分けて元の生地へ戻して混ぜる必要がある。


  • ビスキュイ・ド・サヴォワ/ガトー・ド・サヴォワ(フランス)
サヴォワ伯国/公国(イタリア王国の前々身)で誕生したが、14世紀のレシピでは卵黄や澱粉類が使用されておらず、現在の形になったのは18世紀とされている。
サヴォワ型によって焼成される別立て法の生地で、香り付けにはレモンゼスト(ライムゼストで代用可能)、オレンジフラワーウォーター、バニラのいずれかを使用する。
主な材料は卵、グラニュー糖、小麦粉、コーンスターチ(他の澱粉で代用可能)で、仕上げに泣かない粉糖(プードルデコール)を振るか、糖衣(グラス・ロワイヤル)掛けされる。
基本配合はパータ・ビスキュイに近いが、卵黄とグラニュー糖は泡立て器を用いずに木杓子で混ぜていて、粉類には澱粉類も使用し、薪窯で焼くことによって食感の差を生んでいる。
他国で共立て法を用いるレシピも編み出されているが、配合比は全卵2:卵黄1:グラニュー糖2:小麦粉2で、ビスキュイ・ド・サヴォワとは大きく異なっている。

イギリスやアメリカにも伝わっていて、ティプシーケーキやそのバリエーションで生地にアーモンドを刺し込んだヘッジホッグケーキの土台となった。
澱粉を混合した油脂未使用の生地であるため、洋酒が染み込み易く、軽い食感からカスタードやホイップクリームと組み合わせても重くなり過ぎない点が良かったのだろう。
もっともティプシーケーキは残り物の活用という側面もあるので、ローフケーキ(パウンドケーキ)やイエローケーキといったバターケーキ生地が土台にされることも珍しくない。
なおビスキュイ・ド・サヴォワを洋酒に浸して飾り立てるアントルメはエスコフィエが考案し、イル・フロッタントと称したが、現在はウー・ア・ラ・ネージュの別名になっている。

ビスキュイ・ド・サヴォワから派生した焼き菓子もあり、1842年にパリのメゾン・フェリックスで誕生したのがガトー・マンケ(ビスキュイ・マンケ)である。
卵白に油脂が混入して泡立てるのに失敗したため、生地に溶かしバターを混ぜて焼成し、プラリネを被せて商品として提供したところ、評判になったと言い伝えられている。
当初はブリオッシュ型で焼成していたが、後にマンケ型と称される型が使用されるようになった。
基本配合は以下の通り、派生元と差がある。



  • ビスコッティ・サヴォイアルディピストックスビスコッティ・ラフィオリーニ(イタリア)
ティラミスなどの土台にもなるフィンガービスケット。サヴォワ伯アメデーオ6世の治世時代に誕生したと言われている。
別立て法のスポンジ生地で、伝統的な製法だと鶏卵、キビ糖、小麦粉、馬鈴薯澱粉、塩を使用していて、蜂蜜やバニラを加えることもあったという。
フランスで作られるビスキュイ・ア・ラ・キュイエールとの違いは、乾燥材料の分量が多く、焼成前に粉糖を振る回数が一回だけである点だとされている。
サヴォワ伯のサヴォイア家が統治していたサルディーニャやシチリアにも伝わっていて、前者はピストックス、後者はビスコッティ・ラフィオリーニと称している。
鶏卵の量が多いピストックスはビスコッティ・サヴォイアルディよりも柔らかく、デュラム小麦粉を使うビスコッティ・ラフィオリーニは平べったい楕円形の物も焼かれている。


  • ビスキュイ・ド・ランスビスキュイ・ド・シャンパーニュビスキュイ・ローズ(フランス)
1690年頃にランスの職人が創始したとされるシャンパーニュ地方の郷土菓子で、シャンパンに浸して食される。
長方形のフィンガービスケットで、ビスキュイ・ア・ラ・キュイエールと同様にスポンジ生地*19を使用するが、生地の配合や製法が異なる。
基本配合は卵1個あたり、キュイエールはグラニュー糖25g・小麦粉20g・コーンスターチ5g、ランスはグラニュー糖50g・小麦粉50g・着色料(赤)で、ランスの方が乾燥材料の量は多い。
ランスの生地はバターと蜜蠟を塗り広げて小麦粉も塗した専用の型へ絞り詰めるが、キュイエールの生地は天板に敷かれた紙の上に絞り出すだけで専用の型は使わない。
もっとも日本で製造する場合は専用の型を用いず、キュイエールと同様に焼かれることも多い。キュイエールの生地に着色料を加えただけという例すらも見られる。

ローフケーキタイプのレシピも存在する。
澄ましバターを塗り、コーンスターチと純粉糖の混合物を塗したローフケーキ型に、別立て法の生地を注いで均し、焼成後に粗熱が取れたら泣かない粉糖を振る。
ただし生地の配合はフィンガービスケットタイプと異なり、着色料も使用しない。


  • パン・ド・ジェーヌビスキュイ・ジェノワ(フランス)
菊型(マンケカヌレ)で焼成するスポンジケーキだが、原型はピティヴィエ・フォンダンかピティヴィエ・フィユテとされている。
ピティヴィエ・フォンダンはバターケーキ生地で、パン・ド・ジェーヌよりもバターの比率が高く、生地はバターを常温に戻してから他の材料と混ぜ合わせて作る。
俗説ではフォヴェルがピティヴィエ・フィユテ用のアーモンドクリームを基に考案したとされていて、彼のレシピはアーモンドパウダーと小麦粉が同割の配合だったという。
ちなみに、1850年当時はアンブロワーズと命名していたが、1852年にジェノヴァ包囲戦の逸話から編み出された現在の呼称へと変更された。

ラム酒かキルシュで香り付けするが、バニラシュガーやオレンジフラワーウォーターやグラン・マルニエなども使用される例がある。
パート・ダマンド・クリュと全卵を練り合わせて攪拌し、ふるった粉類(コーンスターチのみかコーンスターチと小麦粉の混合)、溶かしバターの順に混ぜてから焼く。
ローマジパンの代わりにアーモンドパウダーを用いる時は、攪拌する際に純粉糖も加える。なお別立て法で作る場合は、メレンゲを最後に混ぜる。
仕上げに緩めたアプリコットジャムを塗ってグラス・ア・ローで表面を覆うか、焼成して粗熱が取れた後で粉砂糖を振る。
アーモンドスライスを貼り付けることも多い。


  • コロンビエ(フランス)
プロヴァンス地方で聖霊降臨祭(パントコート)の日に食される伝統菓子。
パン・ド・ジェーヌの一種として扱われる例もあるが、発祥はマルセイユとされている。
当たった人に幸運が授けられると言い伝えられる鳩形の陶器(フェーブ)を中に仕込むか、中央にマジパン細工の白い鳩(コロンブ)を添える。
パート・ダマンド・クリュを卵黄や全卵で延ばしてから攪拌し、ふるったコーンスターチ、メレンゲ、溶かしバター、果物の砂糖漬け、洋酒の順に加えて混ぜる。
生地はバターを塗ってアーモンドスライスも貼り付けた型に流して焼成し、粗熱が取れたら緩めたアプリコットジャムを塗り、乾いてから洋酒入りのグラス・ア・ローで表面を覆う。
洋酒はグランマルニエやラム酒などが用いられる。

なお、パン・ド・ジェーヌも含めてバターケーキに分類することもあるが、バターが多い例でもジェノワーズ・フィーヌと同程度であるため、スポンジケーキの一種として採り上げた。


  • ビスキュイ・デックス(フランス)
エクス・アン・プロヴァンスの銘菓に数えられている伝統菓子で、フランス国内の気候だと1週間くらい保つ。
生地は、卵黄とグラニュー糖をすり合わせて白くモッタリするまで泡立てて、アーモンドパウダーとレモンゼスト、固く泡立てたメレンゲ、小麦粉の順に混ぜて作る。
バターを薄く塗ってクリスタルシュガーが塗された型に流したら、150℃のオーブンで焼き、型から外して網台で冷ます。
鶏卵の量はビスキュイ・オ・ザマンドよりも少なく、溶かしバターは入れない。


  • アニョー・パスカル(フランス)
  • ベラーネック(チェコ)
復活祭に向けて焼かれる仔羊形のスポンジケーキ。
アニョー・パスカルはアルザス地方の伝統菓子で、アニョー・ド・パックやラマラとも称している。
アニュー・パスカルもベラーネックも別立て法のスポンジ生地で、アニョー・パスカルは澱粉類を加えることが多く、ベラーネックは油脂類を多めに入れる。
バターを塗った陶器製の型で焼成し、粗熱が取れたら泣かない粉糖(プードルデコール)を振り、リボンで飾り付ける。
なお糖衣掛けしたり、チョコレートでコーティングする例もある。

同種の菓子としてドイツやスイスのオースターラムも挙げられるが、こちらはバターケーキ生地を使用する例が多く、発酵生地の物もあるという。
ちなみにイタリアのシチリア島では、アニェッロ・パスクアーレという仔羊形の菓子を用意するが、ピスタチオペースト入りのマジパンで作られている。


  • パン・コンプレパン・ビー(フランス)
ブルターニュ地方ナントの菓子で、外観は全粒粉で作る同名の丸形パンやパン・ド・カンパーニュに似せている。
小麦粉の一部を澱粉に置き換えた別立て法のスポンジ生地を使うが*20、アーモンドクリームが詰められた折り込みパイ生地にマジパン生地を被せたタルト・オランデーズ風も存在する*21
スポンジ生地を絞り出して成形し、格子状の模様を付けて打ち粉も振ってから焼き、冷めたら横半分に切ってプラリネ風味のバタークリームを挟み、仕上げに泣かない粉糖を振る。
バタークリームは牛乳の代わりにクレームフレーシュを用いたクレーム・アングレーズとイタリアンメレンゲを組み合わせたタイプで、プラリネペーストやキルシュも加える。
スポンジ生地は本来ならばオレンジフラワーウォーターで香りを付けるが、バニラやレモンゼストで代用しても良い。

パン・ビー(pain-bis)とも称する。
1983年頃にnon‐noで発表した藤野賢治氏の造語とされていたが、1980年刊行の『現代フランス料理全集 6 デザート Trente Ans de la Cuisine Francaise』で既に確認されている。
辻調の特別授業で使用されたルネ・デュリー氏のルセットでは、クレーム・ムースリーヌやクレーム・ディプロマットではなく、キルシュ風味のクレーム・パティシエールを挟んでいる。


  • ダイエットブレッドケーキ(英米圏)
19世紀の文献で確認されているスポンジケーキの一種で、ローフ型(パウンドケーキ型)を使用する。
文献によって内容が錯綜していて、生地作りの段階における作業手順がスポンジケーキと入れ替わっている例もある。
主な材料は、卵、小麦粉、砂糖、水(※卵にシロップを入れて泡立てる場合のみ)で、ローズウォーター、レモンゼスト、バニラエクストラクトなどで香り付けされることもある。
生地にキャラウェイシードを加えたり、焼く前に少量の砂糖を振ったり、仕上げで糖衣掛けするレシピも存在する。

小泉八雲の『ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』(原題『La Cuisine Creole』)にも“BOILED SPONGE CAKE”(邦訳「煮込んで作るスポンジケーキ」)という呼称で登場する。
レモンの表皮を煮出したシロップに、泡立てた卵黄と卵白を入れてよくかき混ぜ、小麦粉を加えてさっくり混ぜ、油を塗って紙の敷いた型に流し、予熱したオーブンで焼くという工程で、数種類のパターンが存在するダイエットブレッドケーキの作り方と一致している。


  • エンジェルフードケーキ(アメリカ)
シフォンケーキの原型とされるホワイトスポンジケーキで、卵黄も油脂類も使用しない。
主な材料は、卵白、グラニュー糖、純粉糖、薄力粉、コーンスターチ、バニラエクストラクトで、メレンゲ作りで塩やクリームオブタータ(酒石酸水素カリウム)を足すと失敗し難くなる。
クリームオブタータはレモン果汁による代用も可能で、レモンを絞るついでにゼスト(表皮)も削ぎ落とし、バニラエクストラクトとともにメレンゲへ加えたら卵臭さをマスキングできる。
純粉糖も含めた粉類を数回に分けてふるい入れて、メレンゲと混ぜ合わせたら、エンジェルフードパン(シフォン型)に優しく注ぎ、予熱したオーブンで焼いて冷ましたら完成する。


  • ホットミルクスポンジケーキ(アメリカ)
  • ホイップクリームケーキ(アメリカ)
両者に共通するのは、卵の配合が普通のスポンジケーキよりも少なく、必ずベーキングパウダーを使用する点である。
ホットミルクスポンジケーキは、卵(Largeサイズ)1個につき中力粉60g・ベーキングパウダー1.5g・グラニュー糖100g・塩少々*22・牛乳60ml・バター13g・香料2.5ml*23の配合で、共立て法で作った生地に、沸騰寸前まで温めたバター入りの牛乳をヘラで受けつつ端の方から注いで混ぜたら、急いで型へ流して摂氏180℃相当に予熱したオーブンで焼くと出来る。
ホイップクリームケーキは、卵(Largeサイズ)1個につき薄力粉90g・ベーキングパウダー1.5g・グラニュー糖100g・塩少々・生クリーム*24120ml・バニラエクストラクト2.5mlの配合で、卵黄と卵白を別立てし、バニラエクストラクト入りのホイップクリームに卵黄、卵白、ふるった粉類の順番で混ぜたら、型へ流して摂氏180℃相当に予熱したオーブンで焼くと出来る。
ちなみに卵のサイズは米国基準で、Largeだと1個あたり2オンス(約56.7g)とされていて、日本の基準ならMSサイズ(52~57g)とMサイズ(58~63g)の中間に相当する。


  • ソッケルカーカ(スウェーデン)
ソッケルカーカ型(サバラン型やエンゼルケーキ型で代用可能)に分量外のバターとパン粉(ストローブロード)を塗して焼く共立て法のスポンジケーキ。
基本的な材料は卵1個につき、グラニュー糖85g(1dl)、中力粉50g(1dl)、ベーキングパウダー4g(小さじ1)、バニラシュガー4g(小さじ1)、バター25g、牛乳100mlで、マーブル模様のティーゲルカーカにする場合は生地を分けてココアパウダー6g(大さじ1)、カルデムンマカーカにする場合はふるう前の粉類に粗挽きカルダモン1g(小さじ1)を加える。
なお上記の分量は一例で、フィールミョルク(サワーミルク)や柑橘類のゼストも足したり、シュガーバッター法で作るバターケーキに近いレシピも存在する。


  • シルヴィアカーカ(スウェーデン)
ファッティマンツカーカにバターソースとココナッツ(フレークorファインorロング)を組み合わせたケーキ。
ファッティマンツカーカはソッケルカーカの前身に相当するスポンジ生地で、牛乳ではなく熱湯を使用していて、油脂類も入れていない。
バターソース(有塩バター+グラニュー糖+バニラ+卵黄+レモン果汁)を広げた後で、オーブンに入れて生地の表面をキャラメリゼ化させる場合もある。



スポンジケーキが好きなキャラクター



余談

  • ジェノワーズとビスキュイの分類
当項目では本邦の慣習に則って、共立て法のスポンジ生地をジェノワーズ、別立て法のスポンジ生地をビスキュイとして紹介しているが、異なる分類もある。
共立て法か別立て法かは不問で、溶かしバターが入るスポンジ生地をジェノワーズ、溶かしバターの入らないスポンジ生地をビスキュイに分類する例も存在する。

  • ジェノワーズ法
湯煎にかけて温めた全卵とグラニュー糖を合わせてリュバン状(泡立て器を持ち上げた時に、卵液が帯状のまま途切れず落ちる状態)になるまで泡立てる手法。
例外もあるが、通常は湯煎にかけない別立て法*25との対比から温製法(ホットスポンジミックスチュア)と呼ばれることもある。
別立て法に比べて起泡性や空気量も劣るが、気泡の安定性は増して溶かしバターとの相性が良くなる。

スポンジケーキだけではなく、パウンドケーキ(カトル・カール)やバタークリーム(クレーム・オ・ブール)でも採用する例がある。
マドレーヌにもジェノワーズ法で作成するマドレーヌ・ア・ショウがあり、オール・イン・ワン法で作る一般的なマドレーヌと違って膨張剤は不使用で、全卵を多く配合する。
パウンドケーキでジェノワーズ法を採用した場合、オール・イン・ワン法と違って肌理が細かく、シュガーバッター法やフラワーバッター法より膨らんで軽い食感になるが、しっとり感は薄れる。
※オール・イン・ワン法はジェノワーズ法と同一視される例もあるが、上記の比較では卵の起泡性もバターのクリーミング性も利用しない膨張剤頼りの製法を指している。
ちなみにイタリアのバターケーキであるトルタ・サッビオーサもジェノワーズ法と似た製法だが、バターは溶かさないでリュバン状となった卵液に少しずつ加えて攪拌する。

ジェノワーズ法で作るバタークリームは、クレーム・オ・ブール・ア・ラ・ファソン・ジェノワーズ、あるいはクレーム・オ・ブール・エクスペディテブと呼ばれている。
パータ・ボンブ(卵黄+117~120℃のシロップ)やカスタードソースをベースにした物よりも軽く仕上がるが、イタリアンメレンゲをベースした物ほどあっさりはしていない。
卵を使用しながらも十分に加熱できないため、カスタードソースを使用する製法よりも長持ちせず、衛生面でもリスクを抱えてしまうせいか、今日では見かける機会が減少している。
ジェノワーズ法で作るバタークリームの長所は、夏季でも比較的溶け難く、手早く作れる点にあったとされている。

  • スポンジケーキの配合
スポンジ生地の基本配合は、鶏卵、砂糖、小麦粉の三同割とされている。
しかしながら配合通りに作ると口当たりが重くしっとり感も乏しいため、実際は砂糖と小麦粉の分量を鶏卵の5~6割に抑えることが常態化している。
薄く焼いてクリームや果実などを巻き込むロールケーキや折り畳むオムレットのスポンジ生地は柔らかさが求められるので、砂糖と小麦粉の分量を更に減らすことが多い。
小麦澱粉も配合するドイツ語圏のスポンジ生地は少量の塩を添加することも珍しくないが、小麦粉を少なくした影響で生地の形状が保ち難くなるのを避けるためだとされている*26

本項目は別立て法と共立て法で基本的なスポンジ生地の配合を変えていないが、パティシエが焼く時は以下の通り分量を変更する例もある。


  • ザッハートルテの生地
ザッハートルテの生地であるザッハーマッセ(ザッハーボーデン)/ビスキュイ・サッシェは、一般的にチョコレートバタースポンジと認識されている。
常温に戻したバターとグラニュー糖を攪拌し、卵黄、湯煎したクーベルチュール、メレンゲ、ふるった乾燥材料の順に加えて混ぜて、型に流して焼くというバターケーキ形式で、乾燥材料は小麦粉(墺:タイプW480/独:タイプ405/仏:タイプ45)のみで良いが、アーモンドパウダー、澱粉類、ココアパウダーなどとの混合物を使用する場合もある*27
日本では口当たりを良くするため、グラニュー糖を純粉糖に置き換えたり、製菓用チョコレートを溶かす時に生クリームと合わせるなど、アレンジされる例が多い。

しかしバターを入れないレシピもあり、この場合はショコラーデンマッセ(ショコラーデンボーデン)/ビスキュイ・オ・ショコラに近いスポンジケーキ形式の製法を採用する。
マルツィパン・ローマッセ/パード・ダマンド・クリュを卵黄や全卵で解し、純粉糖と合わせて攪拌し、メレンゲ、ふるった小麦粉とココアパウダーの順に加えて混ぜ、型に流して焼く。
ちなみにドイツの製菓・製パン用ガイドライン(Leitsätze für Feine Backwaren)でザッハーマッセはバター1:チョコレート1:鶏卵2:小麦粉1の配合比が規定されているため、上記の製法はドイツ内でザッハーマッセと見做されないが、ハンブルクにある超高級ホテルの製菓部門で総責任者だったマックス・ライナー氏は来日した際に上記と似た製法を紹介している。
ロシア版ザッハートルテであるプラガ(※菓子名はチェコの首都プラハに由来している)も別立て法で作るココアパウダー入りのスポンジケーキを土台にしている。

ちなみにフランス料理学校として有名なル・コルドン・ブルーは、ショコラ・フランボワーズやショコ・オランジュに使うビスキュイ・サッシェで上記とやや異なる製法を採用している。
パート・ダマンド・クリュをグラニュー糖や卵黄と攪拌し、メレンゲ、ふるった小麦粉とココアパウダー、攪拌物の一部と合わせた溶かしバターの順に加えてさっくり混ぜてから焼成する。


関連項目

カステイラ
英語圏では、ジャパニーズスポンジケーキと呼ばれることもある。見た目と工程が概ね似ており代用されることもあるが、グルテンと糖分が多く低温で長時間焼いてモチモチしているカステイラに対し、スポンジケーキは牛乳と油脂が多く高温で短時間焼くのでふんわりしている。
ホットケーキ
パンケーキとも言い、フライパンで焼き上げるケーキ。形状や触感はだいぶ異なるが、糖分を加えてオーブンで焼き挙げればホットケーキミックスでスポンジケーキを作ることも可能だという。
たぬきケーキ
スポンジケーキなどを土台にした創作ケーキで、バタークリーム、パータ・グラッセ、アーモンドスライスと組み合わせて狸を象る。




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最終更新:2026年04月06日 11:10

*1 2024年に辻調理師専門学校と統合済み。

*2 ジェノワーズ・フィーヌ(ジェノワーズ・フォンダント)は全卵16個・砂糖500g・小麦粉500g・溶かしバター500g、マスコット・プラリネやガトー・マルグリット用のジェノワーズは全卵4個・グラニュー糖125g・薄力粉125g・溶かしバター125gという基本配合で、砂糖類と溶かしバターが同量である。

*3 鶏卵は1個につき60g、卵殻7g、卵黄18g、卵白35gを基準にしていて、卵殻を含まない正味量だと配合比は1.696になる。

*4 日本洋菓子界の重鎮に数えられた大谷長吉は「バターを混ぜるときは、熱いくらいのを溶かして混ぜる」とアドバイスしており、日本家政学会誌に掲載された論文『スポンジケーキの性状におよぼすバター添加温度の影響』では同氏のアドバイスを裏付ける記述が確認できる。ただし温度を上げ過ぎるとバターの香気が飛んだり、生地の口解けも悪くなる。

*5 『オーボンヴュータンの菓子 ベーシックは美味しい』ではマスコット用の湯煎せず攪拌する生地の配合についてジェノワーズ・オルディネールと記載していたが、『Le mémorial historique et géographique de la pâtisserie contenant 1600 recettes de pâtisseries, glaces et liqueurs』ではジェノワーズ・フィーヌを指定していて、生地の配合もジェノワーズ・フィーヌの方と一致する。

*6 皮を剥いて乾かしたアーモンドに同量のグラニュー糖か純粉糖を加えた非加熱のペーストで、卵白かシロップも加えて滑らかにしている。グルコース、香料、アルコールなどが添加されている場合もある。

*7 ナッツ類を同量のグラニュー糖か純粉糖と合わせてミキサーで粉砕し、ローラーに掛けて作る。タン・プール・タンはアーモンドが一般的で、皮無しアーモンドを使う場合はタン・プール・タン・ブラン、皮付きアーモンドを使うタン・プール・タン・グリと呼ばれる。なお、数種類のナッツを組み合わせたり、粉末香料を加える例もある。アーモンドパウダーと純粉糖を混ぜ合わせて代用した場合、風味は劣る。タン・プール・タンは、パート・ダマンド・ア・セックやマジパンパウダーとも呼ばれている。

*8 ピスタチオペーストのことで、無糖タイプと加糖タイプがある。

*9 『L'APPROCHE』vol.26で紹介されているレシピのように、パート・ド・ピスターシュは小麦粉を混ぜる前に加える例もある。

*10 胡桃と砂糖を同割で細粉状に挽いた混合物。

*11 ヘーゼルナッツと砂糖を同割で細粉状に挽いた混合物。

*12 ヘーゼルナッツペースト。

*13 鶏卵は1個につき60g、卵殻7g、卵黄18g、卵白35gを基準にしていて、卵殻を含まない正味量だと配合比は1.908になる。

*14 生地を分けて、片方にココアパウダーを混ぜて、2種類の生地を交互に絞り出せば、ビスキュイ・パナシェと呼ばれる縞模様の生地も作れる。

*15 製菓用チョコレートの一種で、カカオ分35%以上(※カカオバター31%以上、カカオマス2.5%以上)かつ代用油脂5%未満の製品が該当する。カカオバターが40%程度だとコーティング、50%程度だと細工に向いていて、ガナッシュやガトーショコラなどでも使用される。

*16 パート・ダマンド・クリュをコーンスターチで代用するレシピもある。両方とも加えずに作ることも可能だが、生地はだれやすくなる。

*17 日本ではイタリア版ミルフィーユ扱いもされる菓子で、折り込みパイ生地のパスタ・スフォッリアとシロップを打ったパン・ディ・スパーニャの間にクレーマ・パスティッチェーラ(カスタードクリーム)を塗っている。生地の間に塗るクリームについては地域差もある。

*18 一口菓子用の小型版はプンシュクラップフェンと呼ばれている。

*19 別立て法で作られることは多いが、共立て法のレシピも存在する。

*20 ビスキュイ・ア・ラ・キュイエールにも言える話だが、澱粉類を配合しない場合もある。

*21 フランスパンの神様と謳われたパン職人の藤森二郎氏によれば、パン・コンプレはパイ生地(パート・フィユテ)で作るのが一般的だという。同氏はブリオッシュ生地を使ったアレンジも製作したことがある。

*22 g換算だと0.5~0.7gで、入れないレシピもある。

*23 バニラエクストラクトかレモン果汁で、入れないレシピもある。

*24 普通のスポンジケーキと違ってバターを使わないので、乳脂肪分40%以上の濃厚なホイップクリームが推奨されている。

*25 ロールケーキ用のビスキュイ・ルーレはメレンゲ用の卵白こそ温めないが、リュバン状となるまで泡立てる卵黄は予め湯煎に掛けることがある。

*26 グルテン形成は生地の目詰まりや膨化阻害の原因になるが、過少だと焼き縮みし易くなってしまう。塩にはグルテン形成を補強する役割もある。

*27 ル・コルドン・ブルーでは軽めに仕上げるため、乾燥材料の全量をコーンスターチに置き換えたルセットも紹介している。