キューティーハニーF

登録日:2012/10/27 Sat 20:22:34
更新日:2025/04/03 Thu 14:46:25
所要時間:約 4 分で読めます





花は気高く美しい。

いかなる運命の荒波に翻弄されようと、
決して気高さを失わぬ、一輪の花。

奇跡の乙女が今、華麗に咲く!


ハニー・フラッシュ!!


愛の光を持つ乙女、
キューティーハニー!!

あなたの人生、変わるわよ!




『キューティーハニーF(フラッシュ)』とは、1997年2月15日から1998年1月25日まで、テレビ朝日系列で放送された美少女戦士アニメ。

アニメーション制作は東映動画(現・東映アニメーション)。

◇概要

1973年制作のアニメ「キューティーハニー」のリメイク作品で、お色気要素が強く少年向け的内容だった原作を女の子向けに改変した少女向けアニメである。


少女向けアニメである。


大事なことなので二回言いました。


初代キューティーハニーの土台はそのまま、従来は少年雑誌に連載されていたものを少女向け雑誌に連載させたため、まったく異質のキューティーハニーとなり、お色気要素もかなり控えめな作品に仕上がった。
といってもあくまで「歴代ハニーの中では」であり、他のアニメに比べれば十分エロかったのだが。
まさかのセックスシーンもあった訳だし。

このため、従来からのファンや佐藤江梨子版キューティーハニーや『Re:キューティーハニー』のファンなどからは黒歴史扱いされることも。
だが当時のバンダイの「好きなキャラクター」アンケートでは、本作が3〜5歳女児と6〜8歳女児の2部門で1位を獲得。
つまり本来のターゲットには大人気だった。

何故か別冊コロコロでも連載されたが、ストーリーも特に破綻しておらず、作画も良好でありボンボンの如く健康なエロスを提供してくれた作品であった。

◇主な登場人物


  • 如月ハニー
CV:永野愛
本作の主人公で、メタな表現をすれば三代目キューティーハニー。
1981年2月8日生まれ。
空中元素固定装置の力で七つの姿に変身出来、金髪の「如月ハニー」の姿から、
  • キューティーハニー(赤髪ショートヘアの戦闘形態)
  • ハリケーンハニー(黒髪ロングの凄腕レーサー)
  • ナースハニー(薄栗色のカールヘアのミニスカナース)
  • ステージハニー(金髪でアダルティーな妖艶女優)
  • エスコートハニー(茶髪のスチュワーデス)
  • スクープハニー(オレンジ髪ボブカットのカメラマン)
  • エレガンスハニー(金髪の西洋風花嫁)
と様々な姿を使い分けられる*1どうしてもタイトルを飾る戦闘用のキューティーハニーが目立ってしまうが…
キューティーハニー変身時には原典由来の武器でもあるハニーブーメランとフェンシング部経験を活かせるシルバーフルーレ(商品名:ハニーフルーレ)を振るっており、明確な“必殺技”である『ハニーライトニングフレア』を使う唯一のハニーである。
初代と二代目、四代目以降は全員アンドロイドなのに対し、彼女だけ空中元素固定装置から生まれた人工生命体、つまり誕生方法こそ人為的なものの基本は心臓のそばに装置が組み込まれた普通の人間である。
ただし、空中元素固定装置のお陰で即死、若しくは周囲に人体に必要な元素が不足した状況でなければ、並の切創や打撲は直ぐに修復され、常人とは比べ物にならないタフネスを発揮する*2「アンドロイドではなく再生能力と身体能力を強化された人間」と言うコンセプトから、少女向け作品の主役としては負傷・流血場面が多いヒロインである。
だから妊娠も出産も可能。て言うか実際に作中で孕んで出産してます*3
物語の初めから父親を拉致され、妹である聖羅に何回も殺されかけ、22話で自らと聖羅の出生を告げられて心に傷を負わされた挙句に目の前で父と聖羅を失うなど様々な悲劇に見舞われたが、最終回手前で青児と結ばれた、波乱万丈なヒロインである。

声を演じる永野氏のデビュー作。


  • 早見青児
CV:千葉進歩/くまいもとこ(幼少期)
私立探偵を営むハニーの相棒、後に旦那。
初代と違ってハニーの代わりに父親をパンサークローに殺されており、一味を憎んでいる。
ハニーとの出会いにより、彼女と共にパンサークローに立ち向かう。
三枚目で戦闘面では役立たず気味だった初代と違い、少女漫画向けのイケメン顔に整形されている。
最終回二つ前で土曜の夕方から女子高校生とラブシーンをしてしまった張本人。
それも生中出しだというのだからびっくりである。犯罪です。「俺は、俺は、あいつが好きだ!如月ハニーのことが好きなんだァァ!!」

  • 秋夏子
CV:大本眞基子
ハニーの同級生で親友。ツインテールのカメラ好き。そして協力者でもある。
シリーズによってキャラクターがコロコロ大きく変わるキャラで有名。
初代では一般人に変装して学園に潜入してきたシスタージルに目をつけられて焼き殺されて(漫画版ではハニーをかばって囮になって)しまうが、本作では死なない。
本作では物静かな優等生ではなく、姉御肌で面倒見が良いハニーの良き相談相手。
時には一緒に授業を抜け出すこともあった。
容姿は原作漫画版を踏襲したツインテールである。

  • 如月猛
CV:神谷明
ハニーと聖羅の父。空中元素固定装置開発者。美少女戦士の某マッドサイエンストではない。ぶっちゃけもっこりが消えたスイーパー。
初代と異なりパンサークローに拉致されただけで済んだため生きている。本編から16年前にパンサークローに騙されて空中元素固定装置を作ってしまうも、その際に二人の娘に恵まれた。そして一級品の装置から生まれたハニーを連れてパンサークロー研究所を爆破し、彼女を人間として育てた。が、終盤で…。

  • 葉月聖羅
CV:平松晶子
聖チャペル学園に突如現れた転校生でクールな性格の少女。ハニーの妹。
その実態は姉と同じ空中元素固定装置から生まれ人工生命体、ミスティーハニー。
如月博士に引き取られた彼女と違い、生まれた直後にさらわれパンサークローの下で育てられた。
父と姉を敵視するよう偽の記憶を植え付けられ、ハニーのことを強く憎悪している。

レッグバンドと指輪のエンブレムはダイヤ型。必殺技はハニーセクシーダイナマイト。
後半で彼女の空中元素固定装置は未完成の失敗作だった事が判明。 変身するたびに寿命が縮まっていたことを知る。22話で改心し、怪人ダークパンサーから姉であるハニーを守るために変身し、相打ちとなって炎に消えた。
今際にハニーに遺した「いつまでも泣いてるんじゃないわよ……それでも私のお姉様なの?」は涙腺崩壊もの。

最終回、ハニーと青児の間に産まれた娘(3歳)には聖羅という名前が付けられた。

「ミスティーハニー」という名前は視聴者からの公募で決まったもの。
CMの間に流れた告知によると11000通もの名前案が集まったそうで、10~20人が入賞した(男性も含む)。

  • 神崎美津子
CV:増山江威子
番組終盤にハニーをサポートするために登場した女性科学者。如月博士の知人であり、憧れでもあった。
演者は初代キューティーハニーの中の人。


◇余談

実はこの番組、『美少女戦士セーラームーン』とコラボレーションすることを前提に製作された。
しかしながら本作の連載は小学館の「ちゃお」、セーラームーンは講談社の「なかよし」と出版社が違っていたことから、夢幻に終わってしまった。

また、漫画もアニメを追いかける形となったため、今でこそ漫画のほうがアニメよりも後というのは当たり前のようになっていた。
だが、当時の日本では斬新過ぎて、ネタバレと見なされてしまったため、鳴かず飛ばずで単行本はわずか二年で絶版となった。

視聴率についてはとても良かったものの、グッズの売れ行きがそこまでは良くない状態であった。
そのため、永井豪が「あまり触れないでほしい」と言った説もあるらしい。

とはいえ、作品としてはむしろ良作である。
確かに「キューティーハニー」としては異色かもしれないが、好きな人だっているのは紛れも無い事実なのだ。
OPやEDについても高い評価を得ており、特にEDの「泣けちゃうほど切ないけど」は神曲と呼ばれる程。

インタビューによると、実写版に出演した原幹恵氏と竹田真恋人氏は幼い頃Fを観ていた。
原氏にとっては憧れの存在だったそうで、カードやおもちゃを集めていたという。
竹田氏も改めて勉強したらしい。

この作品では永井豪は「原著作」であり、その上で、実質の原作者・飯坂友佳子が少女漫画に翻案した形で企画当初より参加・漫画化した。コミックスのカバーとカラーイラストは飯坂友佳子描き下ろしセル画となっている。
飯坂氏の漫画家活動終了後の消息は不明だったため、永井豪の『激マン!キューティーハニー編』で『キューティーハニーF』が紹介された際に、ダイナミックプロが同作の海外出版がストップして困っているとして「飯坂友佳子様ご連絡下さい!」との告知が作品内でされている。
なお飯坂氏の単独作品は電子書籍化されており、2023年のイベント『50周年記念キューティーハニーFES』にコメントを寄せているため、無事連絡が取れた模様。


2004年にはTVシリーズと劇場版のDVDが発売されている。



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  • 感動のラスト
最終更新:2025年04月03日 14:46

*1 ちなみに原作では「如月ハニー」自体が「七変化の一つ」にカウントされていた。

*2 劇場版では空中元素固定装置をフル作動させて背骨を折られる+胴体貫通の重傷も即座に修復した。

*3 尤も、ガチで生物学的に考察すると、ライオンと虎のように哺乳類の同属の近縁な種同士は「交配可能ではあるが、混血個体は雌にしか繁殖能力が無い」、馬とロバのように同属内でもやや疎遠な場合は「混血児には雌にすら繁殖能力が無い」例もあるので、人間の男との間に子供を作っただけでは「同属」の証明に過ぎず、男児を出産して尚且つその男児に生殖能力が認められれば「同種」扱いされる可能性が極めて高い。