サキエル(新世紀エヴァンゲリオン)

登録日:2021/03/07 Sun 00:50:01
更新日:2023/01/26 Thu 13:38:10
所要時間:約 6 分で読めます






15年ぶりだな


ああ、間違いない


使徒だ


サキエル(SACHIEL) とは『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する謎の生命体「使徒」の一体。
本項目ではTVアニメ版を主体に、『新劇場版』に登場する「 第4の使徒 」についても記載する。

+ 目次

基礎データ

呼称:第三使徒
天使名:サキエル
全高:不明(エヴァと同程度)
体重:不明
象徴:水
能力:光の槍、怪光線、自爆


概要

西暦2015年。セカンド・インパクトから15年ぶりに出現した使徒。
特務機関NERVが初の迎撃にあたった使徒でもある。
名前の「サキエル」はキリスト教ユダヤ教における「水の天使」に由来する。ただし本編中直接この名前で呼ばれることはなく、主に「第三使徒」などの呼称が用いられている。

手足を二本ずつ持ち二足歩行をするなど、基本は巨大な人型であるが、頭部に相当する部位が無く、代わりに胴体正面に白い仮面のような顔らしき部位がある。
この顔らしき部位は下端が嘴のように伸びた円形に二つの穴が開いているだけの簡素なもので一見すると硬質な外殻(骨?)の類だが、作中では穴部分が瞬きのように開閉している描写もありその構造は謎である。
その他、肉体の大部分は薄緑かかった黒い皮膚に覆われ、肩や脇の下、大腿部などの一部は顔と同質とおぼしき白い外殻状のパーツが付いている。
ちなみに、普段は見えないが背面や大腿部の外殻には鰓のような器官があり、必要に応じて開閉する。
自爆のために組み付いた時には全身を非常に柔軟に巻き込んでおり、骨格の有無は不明。

出血時に見える血の色は青。
使徒の急所であるコアは顔の下、脇の下左右から伸びる外殻に挟まるように配置されている。

シリーズ内ではメディアでの露出が多く、使徒を代表する存在として認知されている。
また、その特徴的な顔は使徒のシンボル的に描かれることもある。


能力

作中最初に登場する敵ということもあり、使徒としての基本能力をおさえつつ攻撃もシンプルな物が多い。
主な武器は両手に備えた光の槍で、第二の顔出現後はそこから怪光線も使用するようになる。
格闘時には腕など肉体の一部が一時的に膨張し筋力を増強している描写がある他、短距離とはいえ飛行(浮遊)能力も披露している。

他の使徒たち同様
  • 通常攻撃のほとんどを無効化するA.T.フィールド
  • S2機関由来の半永久的な活動エネルギーと自己修復能力
を持ち、その生命力は常識の枠外の強靭さを誇る。
加えて敵の攻撃パターンを学習し、対策や模倣を行う知能も持つ。
作中では(ほぼ効果が無かったとはいえ)国連軍の通常兵器に対して当初は棒立ちのまま撃たれ放題になっていたが、学習したことで偵察機を即座に破壊するなど、予防策を取るようになっている。

今後現れる使徒達と比べても攻撃面に於いて多彩な手札を持つ使徒であった。

  • 光の槍
両腕に備えた槍状の器官。光のパイルとも呼ばれる。
普段は肘から飛び出ている骨のような部位だが、使用時には器官がエネルギーをまとって発光。
その状態で腕の中をスライドし掌部にある穴から杭打ち機のような形で突き出され目標物を射抜く
使用時には槍部分が伸縮しており間合いも広く、近接武器として以外に飛び道具代わりに使用された。

  • 怪光線
修復後新たに現れた第二の顔の両目から放たれる光線
着弾時に天に向けて十字架のような爆炎と閃光が上がるのが特徴。通称使徒ビーム。
国連軍から再三受けた火器攻撃を学習しそれを参考に身に付けたもの。
威力は連射すれば地上からでも短時間で隔壁をぶち破ってジオフロントに被害を出せたほどと申し分ない。
光線と言っても軌跡が描かれないため、見た目には実銃のように「目が光った瞬間、見てる先がいきなり爆発する」としか言いようがない。イメージとしては悟空がベジータの墓を掘ったアレに近いか。

使徒の共通能力。
棒立ちで通常兵器を受けていた際もダメージを軽減していた。

万が一生命の危機に追いやられた場合、敵を道連れに行う大爆発。
威力は怪光線の爆発をはるかに上回る。

  • 格闘
人型という点から手足を用いた格闘も行え、上記の通り攻撃時には筋肉を膨張させたりもしている。
漫画版では初登場のレイ初号機に対して、タックルでミサトたちを守ったお返しと言わんばかりにタックル返し。
そのままうずくまっている初号機にキックをお見舞いし退場させる。初期の劇画調の作画もあって結構ヤクザ。
なんだかんだ特殊能力のイロモノ揃いな使徒にしては珍しい格闘である。


劇中での活躍

TVアニメ版

第壱話冒頭から登場。
第3新東京市を目指し行動を開始しており、海中を移動し相模湾から上陸。
そのまま待ち構えていた国連軍の防衛線を正面から次々と突破し内陸部へと侵攻する。
途中市街地にも踏み込み、ここでNERV本部へ向かう途中の碇シンジとニアミスしている。
その直後国連軍が最後の手段として仕掛けたN2地雷の直撃を受けるが、A.T.フィールドの効果もあって体表の一部を破壊される程度で生存。
損傷部位の自己修復を行うが、その際元の顔の下からやや小さい新たな顔を形成(元の顔は右肩側へズレて残った)し、そこから怪光線を使用可能になった。

数時間かけて修復が完了した後、第3新東京市への侵攻を再開。
市内到達後はジオフロントの存在を察知して怪光線による攻撃を行い、やがて隔壁を破壊してジオフロント内にまで被害を及ぼした。

そしてここで地上に出撃してきたシンジが乗り込んだエヴァンゲリオン初号機と対峙。
睨み合いとなりかけるが操縦に不慣れなシンジは初号機を転倒させてしまい、サキエルはそれを捕獲し力任せに左腕部をへし折り破壊。
更にされるがままとなった初号機の頭部を掴んだまま光の槍を連続で打ち込み右目を貫き、その勢いで吹っ飛ばしてビルに叩きつけ沈黙させた。

ところが、突如初号機が暴走。
凄まじい運動性を見せ始めた初号機に対しサキエルもA.T.フィールドを展開し防御に出るが、即座にA.T.フィールドを中和されてしまい、接近してきたところに至近距離から怪光線を放つも、それを耐えた初号機に捕まり今度は自身の両腕を破壊される。
更には蹴り飛ばされたうえにタックルを喰らわされ、マウントポジションをとられたまま引き千切られた自身の外殻の一部を凶器にコアを砕かれそうになる。
するともはや勝ち目はないと悟ったのか、サキエルは初号機に組み付き自爆を敢行。
凄まじい閃光と共にあたり一帯を破壊するが、結局初号機にダメージを与えることは出来なかった。

TV本編中のサキエルの出番はここまで。
ちなみに初号機暴走以降の戦闘は第弐話でのシンジの回想として描かれた。
以降は回想シーンや劇中資料などの他、第弐拾参話「涙」(第十六使徒アルミサエル戦)ビデオフォーマット版で零号機から出現した過去の使徒を模した物体の一部としてもその姿が垣間見える。


漫画版

基本はTV版と同じだが、最初にシンジとニアミスする際にレイが乗った初号機と交戦。
しかしレイは零号機起動実験時のケガが回復していない状態であったため満足に戦えず、あっさりと返り討ちにし撤退に追い込んだ。

その後は暴走初号機との戦闘シーンに細かな違いはあるものの、やはり最後は自爆する。



第4の使徒

新劇場版:序』において劇中最初に登場する使徒。
姿形や能力はTV版のサキエルとほぼ同じであり、違いは浮遊時に天使の輪が出現していたり、血の色が青でなく他の使徒同様の赤である程度。
また番号が「第三」から「第4『の』」にずれ、番号の表記がアラビア数字に統一されている。*1
そして新劇場版での使徒には天使名が無いため、専ら「第4の使徒」とのみ呼称されている。


劇中での活躍

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

行動もTV版のそれと同じで、第3新東京市で暴走した初号機に敗れ自爆する。
しかしTV版と違って形象崩壊によって戦闘後の周辺は血の池地獄と化した。

上記の通りサキエルとは区別されてはいるが、他の使徒がアレンジされたり完全に別物になったりしている中、コイツだけTV版とそう変わらないため混同されやすい。
まあ混同されても別に問題無いレベルかもしれないが。


他作品での活躍

『新世紀エヴァンゲリオン2』

勿論登場。
チュートリアルシナリオの『使徒、襲来』では原作通り最初に戦う事になるがこちらのA.T.が低い上武装もないため、ろくにダメージが通らず、こちらのHPが一定値以下になると初号機が暴走するのでそれで倒す事になる。
その他のシナリオではランダムで襲来してくる。
最初の敵だし雑魚……と思いきや攻撃範囲に隙が少ない事に加えて移動速度も早めなので実は意外と強い。
幸い遠距離攻撃手段は持たないためライフルで攻撃範囲外から蜂の巣にするのが一番安全。
エヴァを優先的に狙う思考ルーチンをしているためゼルエルと並んで捕食を狙いやすい。F型装備を使いたい場合は狙ってみよう。

スーパーロボット大戦シリーズ

エヴァの原作再現が最初から行われる場合は必ず登場しているがだいたい、原作同様となる。
αにおいては十傑集の衝撃のアルベルトと対決という場面も。なおαでは原作と異なりN2地雷が使用されなかったため、ロンド・ベル(自軍部隊)によって撃破された後に再生したことで二つの顔となっている。


立体化

LMシリーズ

バンダイが発売したプラモデル。
修復前・修復後バージョンを選択式で再現可能。
ただしLMシリーズ自体がガレージキットに近い限定生産シリーズだったので黒単色でパーツ数も少なく非可動。
現在は絶版。

LMHGシリーズ

こちらもバンダイ製のプラモデル
内部骨格に樹脂製カバーを被せることで生物的なフォルムを再現している。ただし修復前バージョンなので頭部は一つだけ。
やや可動はキツく自立もさせ難いが、シルエットはしっかり再現しているので素立ちでも結構カッコいい。
LMHGシリーズの中では量産機最終仕様と共に再版が全くされないキットだが、エヴァブーム全盛期の商品であるため生産数もそこそこあり、ひと昔前は模型店の棚に零号機や量産機に混じって眠ってたりした。

フィギュア

バンダイの魂シリーズからソフビがリリース。
海洋堂などもフィギュア化しており、食玩やプライズのラインナップにもしばしば含まれていたりと使徒の中では立体化される機会はかなり多い。


余談

上記の瞬きのようなシーンはTV版と新劇場版の両方に存在するが、どちらもまるで明るく笑っているように見える。

デザイナーは漫画家のあさりよしとお。氏は使徒の中ではサキエルの他にもシャムシエルゼルエルのデザインを担当している。そのため漫画版二巻のあとがきにはコメントと共に、サキエルに惚れたシャムシエルが手編みマフラーを渡そうとするもゼルエルがサキエルの首にマフラー(手)を巻いているのを見て失恋する、という四コマが掲載されている。

TVサントラ第二弾「NEON GENESIS EVANGELION II」のブックレットによれば、「イシュタル(あさり氏のマンガ『ワッハマン』に登場する敵アンドロイド)みたいなやつ」という「ミもフタもない注文」でデザインしたという。おかげで後に描いたイシュタルの後継機オシリスが使徒のマネと言われたとか……またぽっかり黒く開いた目の穴は万国共通の死のイメージで、瞬きは現場のアニメーターさんのアイデアだという裏話も書かれている。デザイン段階では肩の穴からビームを撃つつもりだったらしい。*2



追記・修正はN2地雷に耐えてからお願いします。
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最終更新:2023年01月26日 13:38

*1 TV版の第四使徒はシャムシエル。こちらも新劇場版では「第5の使徒」となっている。また、新劇場版の「第3の使徒」はベタニアベースでエヴァ仮設5号機と戦闘を行なった、新劇場版初登場の使徒である。

*2 実際に画面を見たら劇中の演出の方が良いと認めている。