シャムシエル(新世紀エヴァンゲリオン)

登録日:2021/04/12 Mon 23:20:21
更新日:2024/01/09 Tue 00:52:00
所要時間:約 7 分で読めます






父さんもいないのに、なんでまた乗ってるんだろう。

人に殴られてまで……


シャムシエル(SHAMSHEL)とは『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する謎の生命体「使徒」の一体。
本項目ではTVアニメ版を主体に、『新劇場版』に登場する「第5の使徒」についても記載する。

+ 目次

基礎データ

呼称:第4使徒
天使名:シャムシエル
全高:不明*1
体重:不明
象徴:昼
能力:触手


概要

第3新東京市地下のNERV本部を目指し侵攻をした使徒の一体。
名前の「シャムシエル」はキリスト教ユダヤ教の伝承にある「昼の天使」の名に由来している。
ただし他の使徒同様劇中では天使名で呼ばれることはなく、主に「第4使徒」と呼称される。

外見は赤紫のイカのような姿で筒状の胴体に鞭状の腕部、頭部と思われる部分には蛇の眼の様な部分があるが、これが模様なのか本当の眼なのかは不明。
また、胴体部分に甲殻類の様な足(モチーフはカブトガニであると思われる。)があるが、この部分が何かに使われるような描写は特になく、移動に使われるわけでもない。ぶっちゃけ何のためにあるのか不明である。


能力

攻撃方法は腕部から伸びる2本の触手。
なかなかに多芸で、
  • 第3新東京市内のビルを次々と切り崩す
  • 初号機の足に巻き付けて投げ縄のようにして遠くへ放り投げる
  • 胴体部分に突き刺してダメージを与える
など、意外と多くの用途に使っている。

移動方法は低空面での飛行が中心だが、胴体部分を起こすことで短いながらも前進が出来る。
飛行についてはあまり速度は出ていないが、音を殆ど出さずに移動できるという特徴を持っている。

サキエルとは違い、光線等の飛び道具は持っていない。

触手

腕部から1本ずつ、計2本の光る触手。
高熱を帯びているのか、触手を受け止めた初号機の掌の部分の装甲を融解させて中身が剥き出しになっている。
他にも「切る」「突く」「巻き付ける」など、様々な用途に使用可能と言う特徴がある。
ただ伸縮性はあまりないのか、初号機に2本とも掴まれた後に投げられた際に、触手部分を伸ばしてたわませる、もしくは縮めることで拘束から解放されるなどのアクションは起こしていない。

A.T.フィールド

使徒の共通能力。


劇中での活躍

TVアニメ版

第参話にて登場。

サキエルの襲来から3週間後に登場。
その再臨の早さにミサトからは「女性に嫌われるタイプ」と言われる。
(ちなみにこの時ゲンドウは不在だった。)

初号機を出動させ、パレットライフルで目標を狙撃するも、インダクションモードの訓練時に刷り込みの如く繰り返していた「目標をセンターに入れてスイッチ」を盲目的に実行し、むやみやたらに撃った結果、爆炎で相手の様子が確認できなくなりミサトに怒鳴られてしまう。*2


残弾が尽き、相手の様子をうかがうが、A.T.フィールドを中和しきれていなかったのか、シャムシエルはビクともしておらず、爆煙の向こうから触手を使って攻撃。

NERV側は予備のライフルを送るが、シンジは未だ慣れない使徒の恐怖、そしてその恐怖の中で必死に戦ったにも拘らず、トウジから怒り*3を向けられ、殴られた事などから精神的に不安定になっておりライフルの所まで向かえず、シャムシエルの攻撃をよけるので精一杯。


更に悪いことに、シャムシエルの触手の切り裂きでビルと共に初号機のアンビリカルケーブルが断線し、制限時間5分の内蔵電源に切り替わってしまう。
負の連鎖は続き、弱り目に祟り目と言わんばかりにシャムシエルに触手を巻き付けられて投げ飛ばされた結果、避難エリアから抜け出ていた*4トウジ・ケンスケのいるエリアに落下。
幸いにも初号機の手の指と指の間に2人がいた為両方とも無傷だったが、シンジは彼らを使徒から守るために、触手部分を手で受け止めることで守勢に回らざるを得なくなる。(また、落下地点によっては同級生2人を殺していたかもしれない事も、少なからず彼にショックを与えていた可能性も高い。)


ミサトは彼らを安全なエントリープラグ内に入れ、触手の部分から相手を投げ飛ばして距離を取った。
この状態のエヴァはプラグ内に異物を取り込んだためにシンクロ率が低下し、動作にも支障が出る。
電源の事もあり、彼女は一時退却するようシンジに命令。
しかし………



逃げちゃ駄目だ……逃げちゃ駄目だ……

逃げちゃ駄目だ……!!


精神面で追い詰められたシンジが吐露したのは、初めてエヴァに乗る前に自分にかけた暗示。



シンジ君。命令を聞きなさい!退却よ!


ミサトの制止も聞かず、活動限界まで1分を切ったところでその暗示は呪縛のように彼を突き動かし……。



ウワアアアアアアアァァァァァァァァァァァアアアアアアア!!!!!


あのバカ……!


プログレッシブ・ナイフを構えて狂ったように叫びながら山を滑り降りるシンジ。
シャムシエルは触手で初号機の腹を貫くが、シンジは発狂しながらコア部分にナイフを突き立てる。

そのままお互いに相手にとどめを刺そうと力を込めていたが、最終的に活動限界2秒前にコアが壊れてシャムシエルが先に力尽き、直後に初号機も活動限界に。
電源が切れ、明かりが落ちた初号機の中で嗚咽するシンジ。トウジとケンスケはそんな彼をただ見ていることしかできなかった……。
第3新東京市の夕暮れの中で完全に沈黙した使徒と初号機がセミの鳴き声の中で立ち尽くすのだった。
なお、シャムシエルはコア以外はほぼ無傷の状態だった為、その骸はNERVに使徒のサンプルとして回収されることとなった。

結果として使徒の撃破に成功したが、命令を無視したことでミサトとシンジの間にトラブルが発生することとなる…。

漫画版

若干デザインが変更されており、胴体部分の節足部分が簡略化され、平面上にラインの走った模様に見えるようになっている。
基本的な流れは同じだが、トウジとケンスケのサルベージはミサトの指示ではなくシンジが自ら行っている。

また、前後のエピソードに微妙な改変がなされ、それに伴い心情描写に変化が生じている。


第5の使徒

新劇場版:序』に登場する使徒。
シャムシエルが元になった使徒で、外見や攻撃方法は大体シャムシエルと同じ。

ただ何から何まで同じという訳ではなく、外見は背面部に「第4の使徒」の顔と同じ模様がある、カラーリングがアニメ版に比べて明るくなっている、背中の模様と思われる眼の部分が動く、そしてTV版では特に動いていなかった胴体部分の脚部がワシャワシャと動いている点が挙がる。
脚が蠢く点は、TV版でもやろうと思っていたものの実現できなかった演出らしい。
相変わらず脚は何に使うのかは不明


劇中での活躍

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

基本的にはアニメ版とほぼ同じ。しかし、

  • 初号機の使用する武器がEM-226 エヴァンゲリオン専用携帯型回転式多砲身440mm機関砲(要するに手持ちガトリングガン)に変更*5
  • 新劇場版の使徒の例に漏れず、倒された後に形象崩壊を起こして亡骸は崩れた。しかし何故か触手部分だけは崩壊することなく残っている(これだけでサンプルとして役に立ったかは不明)。
  • 使徒を倒した後の画はアニメだと晴れた夕方になっているが、新劇場版は形象崩壊時の血の雨が降り注ぎ、虹がかかるというものに変わっている。

などのマイナーチェンジがある。


他作品での活躍

新世紀エヴァンゲリオン2

勿論登場。
接近戦型なので距離を取って射撃すれば余裕……と言いたいが移動速度が速く、行動パターンがランダムに設定されている都合上動きが読みにくいためいつの間にか距離を詰められているという事が結構ある。
特に終盤に襲来すると移動速度に補正がかかり更に速くなるため接近戦を強いられ、準備不足だと苦戦する事になるのでしっかりA.T.を上げ、僚機と上手く連携して袋叩きにしてやろう。
一部の高難易度シナリオでは序盤から移動速度に補正がかかっており、アンビリカルケーブルを切断した状態のエヴァより速いので、接敵に失敗すると一気にジオフロントまで侵攻されてしまう。暴走した初号機があっさり振り切られ置き去りにされるというシュールな光景になることも。

エヴァンゲリオン バトルオーケストラ

触手による圧倒的な連続攻撃を得意とする使徒。
中距離線が得意だが、それ以外だと上手く実力を発揮できない

スーパーロボット大戦シリーズ

一部のシリーズにシャムシエル及び第5の使徒が登場するが、あまり重要な立場にさせてもらえない事が多い。

F』で初登場だが、武器の最大射程が1しかない上に飛行不可能で空中のユニットに攻撃出来ない、ボスクラスの敵としてあんまりな設定になっている。
同じような扱いを受けた機体にガンダムエピオンが存在するが、あちらは飛行可能な分だけマシ。不遇なことに変わりはないが...。
ちなみに、F完結編の攻略本には「(同じく最大射程1で空の敵に攻撃不可能な)ボスボロットでも余裕」と言うあんまりすぎるコメントをされている。

α』でも性能は変わらず。選択次第でヒイロウイングガンダムがスポット参戦し、味方として初号機と共に対抗することになるのだが、ヒイロの気力を上げれば遠距離からバスターライフルでA.T.フィールドごと貫けてしまう。
原作では不遇な扱いのウイングガンダムよりもさらに不遇ということに...



巨影都市

エヴァ枠の巨影として第5の使徒が登場。
主人公達がいるビルを触手で切り裂くというインパクトある登場シーンが用意されている。


余談

立場的には最初の使徒サキエルとヤシマ作戦と言う印象的な作戦の攻略対象であるラミエルの間に挟まれる為か、印象に残りにくいという意味で、少し不遇な扱いを受けている*6

前回のサキエルは初号機の暴走で倒された使徒である為、シンジの意思が介在する形で撃破された使徒はシャムシエルが初である。

シャムシエルが正しい表記なのだが、公式非公式問わずシャムシルと誤植される事が多い使徒である。

デザインモチーフはフラットウッズモンスター(3mの宇宙人)。また、独特な体型と触手を武器に使う事から『帰ってきたウルトラマン』に登場する怪獣、グドンツインテールもモチーフではないかと推測するファンも多い。

ちなみに『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』では庵野監督の「ウルトラセブンに出て来るビラ星人みたいにして欲しい」という要望で特撮における機電の動きをしたシャムシエルがCGで描かれている。この要望を聞いた桶口監督からは「こんなの特撮マニアしか分からないよ」と言っていた。



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最終更新:2024年01月09日 00:52

*1 エヴァより一回り大きいサイズ

*2 「訓練通りに行ったのになぜ怒られるのか」と思う人もいるかもしれないが、爆煙の向こうで相手が移動していた場合、市内に無駄な被害が出る上に、相手側が攻撃してきても視認が出来ない関係ですぐには対応できないなどの問題を考えれば仕方ない面もある。

*3 戦闘時に初号機が暴走したことで妹・サクラが瓦礫の下敷きになったため。

*4 使徒と初号機の戦闘を見たいケンスケがトウジを巻き込みながら外に出てきていたため。

*5 後で出て来た「予備のライフル」はTV版通りパレットライフルである。

*6 尤もシャムシエルはアニメ・漫画・新劇場版全てに出ているが。