ルディアス

五大列強の一国にして、第三文明圏最強の大国、パーパルディア皇国の若き現皇帝。
世界を征服してその支配者となることを、本気で望む野心家。
レミールの前で『我が国こそ世界を支配すべき国だ』『世界は恐怖で支配されるべきだ』『我が国が世界を支配すれば、世界は平和になるのだ』と言い切るような、傲慢な男である。

その一方で、死罪を免れないほどの失態・規則違反を犯した者であろうと酌量の余地があれば最大限に汲んで、時には降格や減棒程度で罰を済ませることもある、寛大さも併せ持った支配者たるに相応しい人物でもある。
そのためなのか部下の報告は素直に信じてしまうところがあり、都合の良い情報に気を良くして、腐敗や自分の指示を逸脱した横行に気づけなかった節がある。

能力は非常に優れており、更には他者の才能発掘とそれを最大限に活かす人材配置の天才であるため、「彼が(現時点で)大臣なら、何を持ってかは不明だが今ごろ神聖ミリシアル帝国と互角」という裏設定が存在するほど。
彼の手腕によって皇国は10年で大きく力をつけることに成功したが、皇帝のプライド故に増長して過激なやり方に走ったことと、前述の内部の腐敗の結果、国が挫折し没落する切っ掛けを作ってしまった。

日本に対しては当初、文明圏外国と侮っていたことや、アルタラス王国への侵攻計画を優先したこと、皇国に屈しないフェン王国に視線が向いていたことから、あまり関心が無かった模様。
しかし、フェン王国の戦いで皇国軍が全滅するとレミールの進言を入れ、日本に対する殲滅戦を宣言*1
ところが、次のアルタラス島の戦いでも皇国軍は日本軍に惨敗。皇国史上初めて属領が再独立するという屈辱を味合わされ、即座に再占領を厳命している。(その時点では未だ日本の再調査を行っておらず、再占領が不可能なことに気付いていない。)

エストシラント沖大海戦で皇国海軍が壊滅したことでようやく日本の強さを認識するが、戦略を守勢に切り替えても*2もはや焼け石に水。
  • 皇国三大陸軍基地およびデュロ工業地帯の壊滅
  • 全属領の大反乱と反乱軍の皇国本国への侵攻
  • 文明国リーム王国の参戦
  • 日本軍がいつ本国に侵攻して来るかわからない
という、亡国寸前の絶望的状況に追い込まれる。

ところが、第3外務局長カイオスが祖国の存続を図るためクーデターを起こす。権力を掌握した上で、日本に条件付き降伏。結果、亡国は免れるも国は没落して列強の座から転落。(神聖ミリシアル帝国からは「実質的には終わった国」と認識されている。)
ルディアス自身は実権を失っただけでなく、自由も希望も未来も含めてすべてを失い、27歳にして一生飼い殺し(実質的な終身禁固刑)の運命が決まる
カイオスの能力を見抜けなかったことを含め、若くして権力を手にしたことによる増長がいかに足を引っ張っていたかが伺える。

レミールに対しては(書籍版では)彼なりに特別な感情を抱いていたようで、エストシラント沖大海戦直後の御前会議で、レミールを追い詰めようとしたカイオスを大声で怒鳴りつけ、側近ルパーサに「レミール様は、日本国大使の前で日本人観光客の殺害指令を出したため、もはや助けようがありません」と言われた時は、苦渋に満ちた表情を浮かべていた*3。カイオスのクーデターの際にも、レミールの処遇を気に掛けた質問をしている。
Web版では、逆にこれといった感慨を見せず、「その時は、レミールは切り捨てるか」と発言している。

しかし結論づけるならば、彼の最大にして唯一の致命的な失態は外交をレミールのオモチャにさせたことということになる。彼の日本に対する瑕疵はそのほとんどがレミールが間に挟まっていることが原因で発生しており、彼自身の理解力に由来するものは無いと言っていい。彼女にエルトやカイオスのような冷静かつ現実的な判断ができる人間の邪魔をさせなければ、カイオスあたりであればフィルアデス・ロデニウス間海域の航路妨害をしてムーとの交通を制限したりでもしない限りは怒らないと判断できるであろうから、いい顔をされないまでも良かれ悪かれ今までの日本型外交で付き合っていくことができ、レミールのように一瞬にして1941年12月初旬状態ということにはならなかったと思われる。

ちなみに書籍版2巻巻頭には彼(とレミール)のイラストが掲載されており、オールバックにした銀髪に彫りが深めな顔つきとして描かれている。
コミカライズ版ではさらに眉毛が目立たないという特徴があり、これに国家戦略局長を威圧する眼力を効かせているシーンもあって、どこぞの長男坊を彷彿とさせる。
関連項目
登場人物パーパルディア皇国レミール

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過去のコメント
  • 作中で有能みたいな扱いだけど、人材登用以外は微妙だよね。フェン王国での対日戦で海軍勢力の3分の一を失うほどの大敗をしてるのに、特に調査もしないまま日本に対して殲滅戦って……。対グラバルカス戦で、日本とパ皇より戦力差は拮抗している相手に対しても、念のためとパルキマイラを派遣したミリシア8世との差が際立ってしまっている。 - 名無しさん (2018-08-12 16:20:30)
    • 文系仕事(人材登用など)は有能で軍事系は無能な可能性。編集さんが以前話していた「こいつが大臣だったらすげー」ってのもこういうことかも - 名無しさん (2018-08-14 08:52:55)
      • 大臣だった場合の最大の違いは『情報』かと。二巻の後半や三巻の前半でムーからの情報が皇帝に届いてる描写が無い。もしレミール、エルト、アルデの地位にルディアスがいたら随分違ったかと(まあ、敗北は確定)。 - 読歩人 (2019-01-16 02:49:21)
        • まぁその場合、早めに対応できるから、降伏内容の度合いがゆるくなるだろうね - 名無しさん (2019-02-11 16:42:28)
      • 財政系は駄目だから自転車操業化したのではないか? - 名無しさん (2021-12-11 13:05:17)
    • 27歳って大国の最高権力者としてはガキの分類だし、一部の人類のバグみたいな傑物 - 名無しさん (2021-02-12 07:46:36)
      • 失礼誤爆。みたいなやつを除けば、年齢鑑みれば十分有能では?ミリシアルの皇帝は数百年も生きてる訳だし。 - 名無しさん (2021-02-12 07:48:05)
      • 失礼誤爆。みたいなやつを除けば、年齢鑑みれば十分有能では?ミリシアルの皇帝は数百年も生きてる訳だし。 - 名無しさん (2021-02-12 07:49:19)
      • 追記。しかも10年で国力を増大させたってことは17歳から仕事してる訳だし高校生ぐらいの年齢で国力を増大させて列強として押し上げたって考えれば、世界史的に見ても十分有能かと。(まぁそのせいで増長してしまったんでしょうが、、、) - 名無しさん (2021-02-12 07:53:22)
  • 観光客惨殺はモンゴル帝国の施策にならった所業なんかな、あっちは外交使節や商人が惨殺された場合に侵略しかけるわけだけどさ。北条時宗もホラズムもそうであったように。 -   (2019-02-08 20:37:56)
    • モンゴルは最初の接触で降伏すると丁重に扱われるけど、一度抵抗すると徹底的に潰すことになるらしいから、そういった意味でも似てるかも - 名無しさん (2019-02-13 18:14:32)
    • 北条時宗は違うよ。よく勘違いされるけど日本へ送られたモンゴルの外交使節は侵略の前は殺されてない。侵略された(文永の役)その翌年に殺された。 - 名無しさん (2019-09-19 18:53:59)
  • 国家戦略局ni - 名無しさん (2019-03-04 17:35:58)
    • 失礼、誤爆しました。国家戦略局に対する対応から本当に公正な判断ができるのはわかるけど、結果的にはレミールを庇いすぎた事が停戦のタイミングを逃してギリギリまで追い詰められた気がする。 - 名無しさん (2019-03-04 17:37:48)
      • と言うより、レミールを信頼しすぎた。加えて、日本をただの蛮族国家としか思っておらず、日本という国そのものに関心が無かった。その結果、日本への対応について深く考えなかった。それが致命的な過ちになったのだと思う。 - 名無しさん (2019-03-04 21:03:07)
  • あの程度の軍事力で最終的に中央世界や第二文明圏を支配して世界征服できると思っちゃってたし、はっきり言って無能だなぁ。せめて「今の皇国の実力と発展スピードでは世界征服は無理」って自覚してその対策をする描写でもあれば…。 - 名無しさん (2019-06-23 00:06:43)
    • 追記。航空戦力なら最終的に追いつけると思っても確かにおかしくは無いが、海上戦力と地上戦力が段違いすぎるのは列強の立場で少し調べたらわかるだろうに… - 名無しさん (2019-06-23 00:08:37)
      • まあ、現実でもナチスなんかは”自分の代で覇業を成し遂げたい”という幹部たちの動機から性急に開戦へ走ったんでないかなんて話があるしな。 - ハインフェッツ (2019-06-23 12:47:30)
  • てか27歳なのに驚きやわ。 - 名無しさん (2020-08-08 17:27:08)
  • 立場的には戦後の昭和天皇みたいな扱いってことか? - 名無しさん (2020-08-22 23:27:06)
  • ある意味カイオスの人事は間違ってなかったような。 - 名無しさん (2020-09-01 15:14:43)
  • 裏設定とはいえ、魔帝の遺跡無しでミ帝と同格まで持っていけたって有能すぎるやろ。 - 名無しさん (2021-01-07 03:07:25)
    • 有能だったけど傲慢過ぎた。それゆえに国は道を誤り、自身はすべてを失った。 - 名無しさん (2021-01-08 22:45:10)
  • もったいない人物ではある。どこぞのバカ皇太子と比べてはいけないレベル。 - 名無しさん (2021-04-24 16:35:30)
    • 良くも悪くも、でしょうけれどね。彼は国政に直接、最高責任をもつ立場ですから。可能性の話ですが彼がもっとボンクラで、国の伸長や膨張のスピードがもっと遅かったなら、日本との全面衝突や母国の崩壊までは至らなかった可能性はおそらく否定できません。 - 名無しさん (2021-04-25 10:33:04)
  • 書籍版で具体的なその後は描写されているのでしょうか? - 名無しさん (2021-05-22 12:33:13)
    • 気になるなら購入。電子書籍なら販売元によっては割引もあるし文字の拡大も出来て老眼に優しいぞ - 名無しさん (2022-06-27 08:46:43)
  • ルディアス自身はデュロ空爆時点で降伏は覚悟してたみたいな表記があったと思うけど、削除されたのかな? - 名無しさん (2021-07-25 23:46:44)
    • 「ルディアスも馬鹿ではない。デュロ壊滅の時点で、日本に敵わないのは気づいていた」 - 名無しさん (2021-07-26 05:29:25)
  • この人が無能なら、有能な人間なんていないと言えるレベルで有能だと思うけどな。 - 名無しさん (2021-11-06 16:10:42)
    • 項羽と一緒で全体のトップをさせてはいけないタイプの有能  - 名無しさん (2021-12-14 09:24:37)
  • 傲慢さとか短慮な部分は若い内に成功を積み重ねてきたが故にだし、27歳という若さを鑑みても伸展性があり、歳を経験を積めば相応の落ち着きも身に付いただろう。そうすれば、歴史上屈指の名君になれたかも知れない。そう考えると、ある種の悲劇の天才と言える。 - 名無しさん (2021-11-06 16:16:06)
    • だとしても、そうなった原因が自業自得だから同情はできないね。 - 名無しさん (2021-11-07 09:51:10)
  • 国の急拡大は間違いなくルディアスの功績だけど、同時に最大の - 名無しさん (2021-11-11 07:39:07)
    • ↑誤投稿 同時に最大の問題点だよな。10年ちょっとで72ヵ国を属領化は上手く行き過ぎ。人材の育成が追い付かんし、統治モデルの醸成も出来ないまま中途半端な圧政で現地のヘイトを買い、しかも組織の肥大化により現場の状況が上に伝わらない。しかも本人や政府機構のみならず、国民全体が浮かれて傲慢になり、属国を見下すというね。ていうか、これ割りと旧大日本帝国と似てるよね。 - 名無しさん (2021-11-11 07:47:20)
      • 側室もそれぞれの国から72人抱えておけば統治も上手くいった可能性 - 名無しさん (2021-12-14 09:25:54)
  • コミック版でどう描かれるか? ロウリア34世みたいに、奇抜な特徴が付け加わるかも。レミールが先に登場するだろうが。 - 名無しさん (2021-12-11 12:26:05)
  • まぁ、俺らだって、南米やアフリカで突如名乗りを上げた新興国が、アメリカ並に強いとは思わんわな。インターネットもないわけで、ルディアスが判断を誤るのも無理はない。ただ、最初はともかく、フェンから撃退された時点で慎重になるべきではあったな。レミールが阿呆すぎたのもあるが……。 - 名無しさん (2021-12-14 09:52:17)
    • でも南米やアフリカ「沖」に突然陸地が現れてそこからなんか来たら警戒するぞw - 名無しさん (2021-12-15 09:01:01)
      • 完全な世界地図がまだないみたいだから、未発見の陸地程度の認識だったのかも - 名無しさん (2022-02-19 19:25:52)
  • レミールもそうだがこいつも、自分を信じすぎて失敗したと言える。自分の判断や決断を信じすぎたんだ。 - 名無しさん (2022-01-05 22:20:24)
  • こうしてみると、やはり一角の人物だろうとは思えるんだけどな。部下がついていくのも分かる気がする。…その部下を信用し過ぎたのがある意味命取りというのは皮肉極まるけど。 - 名無しさん (2022-02-19 09:39:23)
    • とはいえ、部下からの情報以外に判断材料ないからなぁ。「神の視点」で見てる俺らは何とでも言えるが・・・。まぁ、カイオスの見識を見抜けなかった自分の不甲斐なさを悔いる描写がある辺り、小物ではないよね。 - 名無しさん (2022-02-19 17:26:51)
  • コミカライズでは結構なイケメンに、それも美男子系の - 名無しさん (2022-05-17 10:30:05)
    • 若いギ◯ン - 名無しさん (2023-09-12 22:43:36)
  • この人は最低限の礼節を持って90歳まで生きそう。死んだら死んだで困る - 名無しさん (2023-02-03 23:45:59)

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〔最終更新日:2023年09月12日〕
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最終更新:2023年09月12日 04:36

*1 侮りだけでなく、日本がアルタラス王国の王女を匿った上、属領に対する独立扇動まで行ったため、恐怖統制のために見せしめが不可欠だった。なお敗戦直前、『外務局や軍部が詳細な調査を行っていれば、開戦には踏み切らなかった』と後悔している場面がある。

*2 列強に対し陸上戦を行う場合、膨大な戦力が必要であり、日本の防衛予算に関する情報から、質が良くても絶対数が少ないと判断した結果。

*3 彼自身はデュロ壊滅の時点で、もはや敗戦は不可避との認識を受け入れていたようだが、それでも降伏に踏み切らなかった理由は語られていない。自身の列強皇帝としてのプライドと、何よりレミール引渡しの要求が受け入れ難かったからかもしれない。