第三文明圏を含めた多くの国家の銃兵が使用する。
日本国でもかつて実在した古典的火器。
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概要
正確にいうならマスケット。
言葉の意味は「先込め式滑腔式歩兵銃」。
重箱の隅をつつくようだが、日本の戦国時代に猛威を振るった火縄銃はもちろん、ナポレオン時代以降の火打石・雷管銃も含めて、ライフリングがなされていない前込め式が全てが「マスケット」である。
異世界での状況
この世界においては、基本的に
地球の同名兵器に準じており、黒色火薬か魔石素材かは分からないが、それに類する装薬を用いて発射している模様。
ただし、着火方式や銃剣の有無については火縄銃(書籍だとフリントロック形式)と明言されたエスペラント以外は不明。
銃剣は
リントヴルムや
魔導砲などの銃器以外の兵器が19世紀以上の発展を遂げているような世界なので、必要性がほとんどないのかもしれない。(単に描写されていないだけかもしれないが)
少なくとも
パーパルディア皇国に関しては
フェン王国の戦いで白兵戦に持ち込まれた際、マスケットを投げ捨ててサーベルで応戦してたため、装備してないと思われる。
…と書籍版では描かれたが、コミカライズ版の皇国軍は銃剣を装備している。というより、モデルはまんま地球のフランス大陸軍。戦い方も18世紀の戦列歩兵相当なので、ブラウンベスやシャルルヴィルといったフリントロックマスケットと同等と思われる。
開発された経緯や歴史は不明だが、
ムーから流失、伝来されたものが広まったらしい。
第三文明圏では革命的兵器とされ、上位列強以外の国では最新兵器とされている模様。
パーパルディア皇国はこれをどこからか手に入れて実戦配備し、火炎放射戦車相当のリントヴルムと魔導砲をあわせた竜甲布陣をもって勢力拡張に乗り出した。
この布陣は少なくとも歴史上、日本と遭遇するまでは無敗だったらしい。
ただ、ムーと
神聖ミリシアル帝国はこの世界では技術水準が突出しており、すでにムーではさらに高性能な銃器が実用されているため、この世界でも旧式兵器に属するものと思われる。
作中での活躍
前述の通り、異世界でそこそこの文明を持つ国家なら技術を保有している模様。
そのせいか、異世界の最新兵器として前線に投入され、そして転移国家との圧倒的技術差を表現象徴するかのように敗北している。
とはいえ、概要の通り、威力がないわけでもないので、文明圏外の白兵が主の軍隊に対しては文字通り猛威を奮って
いるいたのだが、
リーム王国が開発した日本製防弾素材を使った盾によって見事に無効化され、パーパルディア皇国陸軍はあっさり敗北してしまった。それ以前に
フェン王国揚陸時の奇襲で白兵に持ち込まれた場合はそれなりに損害を蒙っているので、野戦における竜甲布陣のようなしっかりとした隊形で戦うことを前提としている模様。
イルネティア王国では同一レベルの銃かは不明だが、同国軍銃兵が
グラ・バルカス帝国陸軍と戦闘しており、塹壕戦術(といってもWW1のような本格的なものではないが)を展開したが、長距離の曲射してくる榴弾砲で叩かれた上、銃はもちろん魔導砲が通用しない
戦車によって一方的に蹂躙されることになった。
(参考)地球でのマスケット
まず前提としてだが、ムー以外のマスケットは地球のそれとは発射エネルギーを得る原理が異なる可能性は多分に残っている。
その上で話すぞ、な?
地球では14世紀に登場し、19世紀末になって弾体とカートリッジが一体化した
スナイドル銃が普及するまで、銃の歴史の中で長い間主流だったために、時期によって様々な様式のものが作られている。
スナイドル登場前夜には、ライフリングが施された「ライフルマスケット」が登場し、弾体も球形から、さらに現在のフルメタルジャケット弾のそれに近い椎の実形のものが出現している。
それで……まず言っとくが、"実質的威力"なるものの合算値が"物理的威力"を上回るなんてことは絶対ない。
それはエネルギー保存の法則を無視するものであり、「永久機関が造れる」と言っているのと同義だ。
弾体が15g~25gと、現在の小銃弾より重い為に威力が強い、と思われがちだが、銃弾の威力、侵徹力とはその持ちうる物理エネルギーの総量で表される。
これに基づくと、地球のマスケットとほぼ同等と仮定した場合、初速250~300m/s程度のマスケットの初活力(マズルエネルギー)は約800~1000J程度しかない。
現代の小銃弾だと弾体重量約4gの5.56✕45mm NATO弾はM16小銃で発射した場合、初速940m/sで1,767J、弾体重量約10gの7.62×51mm NATO弾をM14小銃で発射した場合は初速833m/sで3,304Jと、てんで勝負にならない。またこれらの数字は標準仕様の弾丸をアメリカ軍制式自動小銃で発射した場合の数字であり、狙撃のための高初速弾をより長い銃身の狙撃銃で発射した場合は、より大きい数字となる。
さらに加えて、マスケットは装薬がカートリッジで固定されていないため、使用者の技量やその時の状況によってばらつきが大きくなる。
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英Wikipediaの“ブラウン・ベス”の記事にあるレビューについて。 |
あれ確かに「マスケットは意外に強力だった」って書いてはあるんだけど……
初速が銃の公称値超えてるって事は銃がいつブッ壊れてもおかしくない状態で発射してるんだよね。
こんなんありなら現代銃だって機関部損傷上等で強装弾使えばいくらでもマズルエネルギー上げられる。だがそんなもんトライアル以外に意味がないからスペックには反映されていないだけだ。
ついでに比較参考用の現代銃のデータは不利だって解りきってるだろうフルメタルジャケット弾のデータしか乗せていない。公平を期するなら散弾やダムダム弾、ホローポイント弾の実験も行うべきだ。このあたりなんか結果ありきでやった実験のようにすら思える。
参考例として.357マグナム拳銃として日本では“コルト パイソン 357”と並んで高名な“S&W M19 コンバットマグナム”がある。だがあの銃、.38SP弾を基準にしたKフレームを採用している関係で、強装弾である.357Magを撃ち続けると短期間でフレームが歪み動作不良を起こす。M19は「.357マグナムも発射できる基本は.38SP銃」という商品になる。
このテストの条件でマスケットを撃ち続けると、こうなるってわけである。
ちなみにM19拳銃は、後にステンレス製フレームの“M66 コンバットマグナム”が発売され、この泣き所が解消された。
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Wikipediaを盲信してはいけない理由 |
Wikipediaは極端な出典至上主義である反面、その 出典元の信憑性・妥当性についてはほとんど言及されない。例えば、出典に基づいて記載されている日本語版の「 三河島事故」など、「脱線して停車した下り電車(取手行)から降りた乗客が上り線を 三河島駅(上野方面)に向かって歩いていたところへ、上り電車(上野行)が その乗客を次々と跳ねながら、 脱線して上り線を支障していた下り電車に激突」と書かれているのだが、現場との位置関係を考えれば こんなん一発で間違っていると解るのだ。三河島駅の方に向かって歩いていたなら、脱線した下り線車両が盾になって多数の人が跳ねられることはない。つまりこれらの人達は 南千住駅方面(取手・土浦方面)に向かって歩いていたのである。
Wikipediaは参考にはなるが、論文など重要な文書のソースとする場合は、 別のソースを確認しないと危険である。フランス製Modèle68 100mm砲の諸元、特に旋回範囲と仰角・俯角なんて、 日本語版も 英語版も多少ミリタリーかじってる人間ならすぐ解るムチャクチャが書かれているし。 全周砲塔の旋回範囲が40°ってどういうことなの……
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「命中すると肉がえぐれる」というのは、マスケットの弾丸はほとんどただの鉛玉であるため、発射後安定飛翔しておらず、それに加えて発射時に装薬によって加熱されたそれが着弾した際に変形・破壊するのだが、この時その対象が人体のような柔らかい対象であると侵徹力が広範囲に分散し、
見かけの破壊領域がやたら大きいためである。なんなら作中でも
ランザルがこれに近い事を言っている。
現在の銃弾は安定飛翔させて有効射程を延長するため、鉛など鉄より重い弾体を真鍮など固く耐熱性の高い金属で覆った
フルメタルジャケット弾であるため、この現象が起きにくい。そこで、凶悪犯罪者などを確実に行動不能にするストッピングパワーを得るため意図的にこの現象を起こさせるようにしたものが
みんな大好きダムダム弾である。
「鎧を無意味にした」というのはマスケットが登場した当時はまだ冶金技術が稚拙であり、現在のように「粘る」金属の防具を作れなかったため、マスケット程度の威力でもパッカンパッカン割れたためである。しかし、20世紀後半に入ると素材技術の向上により、より高エネルギーの小銃弾をある程度阻害する素材のボディアーマー、防弾チョッキが作れるようになったため、銃が絶対の時代は終わっている(本作でもロウリア重装歩兵の防具が簡単にハチの巣にされている一方で、「合金」製とされる
スワウロの盾は
自衛隊の小口径弾を弾き、流石に70mmロケット弾の至近弾にはスワウロ自身が耐えられず倒れているが、その際彼に覆い被さった盾は彼に傷らしい傷を負わせずに戦闘終了まで耐えた)。
マズルエネルギーが小さい上に低初速で弾体が球形であるため安定飛翔せず、有効射程は短い。100m以上となると有効射程を外れるほど命中率が悪く、50mでも直立した歩兵戦列を模した的相手に2-3割しか当たらない(詳しくはこの動画を参照して欲しいが、5人が6人隊を模した的に向けて3発連射して、50ヤード前後でも3人強を撃ち倒す程度である)。
中距離以上となると、弾速が急激に落ちて脅しにしかならない石礫状態である。
というのも、マスケットはスナイドル登場直前の、パーカッション式の最後期を除くと、火薬を銃身内に直接詰め込んでいるため、手持ち花火の燃えカスが残るように発砲ごとに銃身に煤等が蓄積する。
その為、
ザビルのような狙撃を主としない、大勢いる一般歩兵は、装填速度を上げられるよう、銃口より小さい弾丸を使うことが多く、ただでさえカタログスペックが宜しくない銃の性能をさらに低下させている。
そうでなくとも、弾丸や火薬の製造精度や気象条件に影響を受け易く、天候が安定してかつそこそこ整った工房を保有する文明でないと十全な性能は発揮できないだろう。
特殊な状況でも無い限り基本的には現代の銃の方が威力は圧倒的と考えて良い。
まあそもそもそんなに飛ばないから山形に撃つようなもんだが。
逆にいうとザビルはそんな銃で何十人が何発も撃ってようやく当たるレベルの距離(しかも1mの的に)で的中させたことになるので、いくら名工製の銃とはいえ、彼の異常な天才っぷりが分かる。
地球の戦列歩兵を見てよく言われる「的になるような横に長い隙間ない隊形で行進する」のは半分はこれが原因。
全員がザビルレベルじゃない(むしろ直前まで一般市民なのが大半)から当たらないし射程が短いので、密集して撃たないと効果が少ない。こっちが当たるじゃん、とはいうものの、逆に当たらないからといって散開したら、市民あがりは騎兵で蹂躙されるか正規軍の歩兵に各個撃破されます。
すごい暴論だが、対重騎兵のために密集陣形を敷く槍兵の装備がそのままマスケットになったと考えると分かりやすい。
騎士の突撃に対抗でき、かつ農民クラスの徴収兵が熟練兵に対しても怖がらずにそれなりに戦える陣形で、飛び道具を扱うようになったのが俗に言うマスケット時代の戦列歩兵である。暴論だけど。
実際、地球におけるテルシオと呼ばれる16世紀の歩兵陣はパイク兵とマスケット兵の混成で、最初はパイク兵を援護するマスケットだったのが、段々比率が逆になり、近接が弱いマスケットを援護するパイク兵となり、最終的にマスケット兵だけになったのが地球のマスケット戦列の始まりである。
上記の脆弱性こそ戦列歩兵の欠点ではあるが、これは『ただの市民でも僅かな訓練さえ積めば標準以上の戦力になる』という絶大な長所の裏返しでもある。
例えば、劇中でも触れられていたが、絶大な機動力と遠隔火力を有する弓騎兵は、才能と技術がある兵士が何年も継続して訓練を積み、馬や馬上用弓といった補給がなされてようやく戦列歩兵に対抗できる代物であるので、マスケットさえ用意できればそこらの農民や市民を数か月訓練するだけで千から万もの大軍を用意できる戦列歩兵には到底敵わない。
実際、イングランド内戦では少数の長弓兵や騎兵が銃士を圧倒した記録はあるが、『罰則付きで毎日訓練を義務付けた民』や『戦闘訓練が日常の騎兵』ではとてもじゃないが数が揃う訳もなく、これ以降の戦場では戦列歩兵がメインとなっている。
だが、1866年に現在の小銃の原点となるスナイドル-エンフィールド銃が登場する。カートリッジ式装薬のスナイドル銃は同じような即席兵でも安定した射撃が可能となり、マスケットは急速にその地位を失っていった。
着火方式の違い
前述の通り、マスケットは前込め式銃の総称であり、着火方式でさまざまなものがある。
代表的なものは日本の火縄銃に代表される火縄で着火するタイプはマッチロック。
ナポレオンで有名な火打石での着火はフリントロックといわれるものである。(原初はも○○け姫の石火矢のように直接点火するファイヤーホール式や近代の雷管を使ったパーカッション式があるが、ここでは割愛)
どちらも一長一短があり、フリントロックは火打ち石を使う関係で打ち付ける衝撃のブレが生じるせいで命中精度が悪化するが、火縄の場合は雨天に比較的弱いのと火が露出しっぱなしの関係で付近の銃や火薬の暴発を招きかねないという欠点がある。
その為ほぼ散兵戦術が主の日本では火縄が使われ、密集する戦列歩兵による一斉射撃が主の西洋では火打石が主となっている。それ以外にも火打石の性質の問題だとか、軍事制度の違いだとか、いろいろ言われている。というのも、日本は戦国時代にあっても戦闘員と一般人(農民・町民)は分離されているのが当然で、兵士は基本、職業軍人であるため散兵戦術でも射撃精度をある程度高められたためである。とは言え、日本では戦列戦術から、下手をすると第二次世界大戦以降も通用する「障害物を設けて敵兵の進撃を阻害しつつ、そこを鉄砲兵で狙い撃つ」という戦術が編み出されているのだが、それからあまり時を経ずして徳川300年の太平の世になってしまったため、あまり目立たないのである。
銃剣について
劇中には出てきてないが、銃火器の転換期なので記述を。
その名のとおり、銃につける剣。
始まりはフランスでの喧嘩の際、誰かがナイフを銃口に突っ込んで即席の槍にしたのが発端だとかなんとか(いや、どういう状況なんだ、というのはさておき……)。
はじめは銃口に小型の剣をそのまま突っ込んで使用していたが、ソケット式にすることで誰もが見たことある銃口の横に銃剣が装着されたものが開発された。
これにより、銃士はマスケットを撃ちながら白兵ができることとなり、近接、特に騎兵に脆いのでパイク兵で支援する必要があったのが銃を短いとはいえ槍として扱えるようになったことで、騎兵に対して優位に戦えるようになる
その結果、パイク兵は存在意義をなくし、全員がマスケット兵で構成される戦列歩兵が誕生することになる。
というか、とあるおそロシアな国の将軍の言葉に「銃剣は嘘をつかない」なんて言葉があるとおり、ただでさえ当たらないマスケットより銃剣突撃を好んだのが結構いるので・・・。
実際ナポレオン戦争の時代は最後は双方が銃剣突撃をして決着が着く事も多かった。
なお、銃剣は現代まで命脈を保っており、さすがに銃剣で敵を粉砕する戦術を取るような国は
殆ど存在していないが、たとえ弾丸を撃ちつくしても、徒手格闘するより遥かにマシということで銃剣格闘の訓練は廃れていない。
そもそも拳銃やナイフを使ったCQBなんてのは特殊部隊とかのレベルであって、一般兵は拳銃は使用する機会が皆無なので本来は装備してないのが普通。(最近は支給されることが多いが、本来拳銃は将校や特殊兵科など
その他装備品が多くて普通の武器がもてないor持つ必要がない兵士用の装備)
そんな最悪の状況でも兵士があきらめずに戦える安心感、ということで殆どの小銃に着剣装備が付いている。
だから、
まかり間違っても銃剣突撃して現代部隊を撃破するとか、真似しちゃいけない。特に
アジアとヨーロッパの島国の諸君。
特にヨーロッパの某島国は、フォークラ◯ドの紛争等で成功させていたりする。(銃ってなんだっけ?)
あくまで現代の銃剣は「汎用ツール」的なナイフであり、戦闘工作・日常雑事に使え、最悪の場合に銃剣として使えること、なのだ。
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〔最終更新日:2023年10月23日〕
最終更新:2023年10月23日 14:58