えすぺらんとおうこく
閑話:忘れられた世界編および、その書籍リメイク版である新世界異譚Ⅱ「
孤高の戦士たち」の舞台となる国。
人口30万程度の極小国で、
グラメウス大陸に存在する唯一の
人類国家。
国名の由来は実在する人工言語「エスペラント」からと思われる。
忘れられた世界
一万数千年前、
太陽神の使いによる
魔王ノスグーラの撃退後、魔王討伐軍が組織され勇者たちと共に
グラメウス大陸に派遣された。
しかし討伐軍は撤退中に遭難し、やむなく天然の要害に立てこもって捜索隊を待つことを強いられた。この時点で、当初千人いた討伐軍は半数以下まで減少している。
そのまま何年も捜索隊が現れなかったため、討伐軍は次第に「他の人類は魔王に滅ぼされたのではないか」「自分たちが人類最後の生き残りなのではないか」と考えるようになる。
実際にはその認識は間違っており、単に捜索隊が彼らを発見できなかっただけなのだが、結果として
種族間連合側にも『魔王討伐軍は全滅した』と判断されるという、
不幸な行き違いが起こってしまった。
数年経つと討伐軍隊長
エスペラントは定住を決意し、
魔物と戦いつつ少しずつ町を発展させていった。後に彼は初代国王に即位し、その際に国号がエスペラント王国と定められた。
このような経緯があるため、国民からは「
人類最後の砦」とも呼ばれる。
常に魔物と戦ってきた経緯から、他国の様に
魔法だけを頼りにするのは難しいことを悟り、王立科学庁を設置して独自に
科学も発達させている。
マラストラスは彼らの存在を把握していたが、周辺の魔物をコントロールし、意図的に人口が減りすぎないよう管理していた。
これは配下の魔物の食料源として、また人類の研究サンプルとして有効活用するためである。他の人類と接触することが無いよう、外界との遮断も徹底して行っていた。
しかし、
第二次魔王軍侵攻の際にマラストラスが死亡すると魔物を統制する者がいなくなり、さらに
アニュンリール皇国の
魔帝復活ビーコン発掘計画がこれに重なって、王国は存亡の危機にさらされることになる。
岡が遭難したのは、ちょうどこの時期にあたる。
なお、
太陽神の使いが使用した鋼鉄の神船の魔写(写真ではないため、白黒ではなく総天然色)が国宝として大切に保存されている。
新世界異譚Ⅱ
建国から岡の遭難までの経緯は「忘れられた世界」とほぼ同じだが、いくつか変更が加えられている。
まず、王家が初代エスペラント王が娶った3人の側室の系譜、エルフ系のエリエゼル家、ドワーフ系のザメンホフ家、獣人系のレヴィ家の3王家に分かれており、
持ち回りで王位を継承することが通例になっている。
これは、王家が進んで混血を進めることで多民族国家故の民族間の諍いを抑制すると同時に、近親婚による弊害を避け、寿命が長い代わりに繁殖力の弱い
エルフ、
ドワーフの人口を増やすことに繋がっている。
その他にも種族の特徴を活かすために「
種族別特殊職業」を定めており、種族の特性を活かして、エルフは林業、ドワーフは鉱山の管理、獣人は畜産業と水産業をそれぞれ担当している。人間は特に定められていないが、ライフラインの構築や各種技術開発を主に受け持っている。
また建国の経緯もあり、他国ではほぼ忘れられている「
種族間連合の誓い」が今でも守られている。
科学についての理解も「忘れられた世界」よりも高く、専門の研究機関である王立科学院を設けているのは同じだが、装備開発室である「工房」が設けられており、100年前には火縄銃を開発し、フリントロック式の
マスケット銃に発展させている。試行錯誤を重ねている様で、化学成分の特徴や生成、合成方法等についての理解も高い。
国民もある程度科学についての理解がある様である。
なお、国宝として
太陽神の使いが使用した
神の軍船の魔写が残されているのは「忘れられた世界」と同じだが、こちらは魔写ではなく正真正銘の写真で、
太陽神の使いと
種族間連合の幹部も一緒に写っている。
由来もはっきりしており、
太陽神の使いが撮影して種族間連合幹部に記念として配布された内の一枚が討伐軍の一員に渡ったもので、
時間遅延式魔法のおかげで朽ちることなく現在まで保存されている。
事変解決後は日本のみならず、
ヘイスカネンや兄弟国とも言える
トーパ王国などとも国交を結び、外の世界との交流を始めた。
国内においても、政治体制を君主制から日本をモデルとした民主制への移行を試みている。
豊かな地下資源を持つ立地条件と岡による技術供与から急速に発達し、『
北方の列強』と呼ばれるようになる。
創始者予言によると、日本を助けて復活した魔帝と戦う事になる様である。
登場人物一覧
王族
軍関係者
その他
- バルサス - 医師・サフィーネの父親
- ランザル - 鉄砲鍛冶
地区名
エスペラント王国は多数の地区で区切られた巨大な城塞都市であり、1つの地区が魔獣の攻撃で陥落しても隣接地区からの集中攻撃で奪い返すという防衛戦略を採用している。
地区名は国名の元ネタである人工言語エスペラントの単語をもじったものであり、ほとんどの地区がエスペラントの名詞語尾-oで統一されている。
- レガステロ区
- 王国の中枢であり王宮となるラスティネーオ城が存在する。エスペラント語reĝa stelo(レーヂャ・ステーロ/王の星)に由来か。
- セントゥーロ区
- レガステロ区を取り巻く区域。物語終盤に魔獣軍団の侵入を受け、大きな人的被害を出す。エスペラント語centro(ツェントロ/中央)に由来。
- ラボレーオ区
- セントゥーロ区の南方。政府直轄の特別区。王宮科学院が存在する。エスペラント語raborejo(ラボレーヨ/仕事場)に由来か?
- ノバールボ区
- セントゥーロ区の南西部。岡が収容されていた騎士団病院が存在する。ジャスティード率いる憲兵隊の警備地区。サフィーネの私邸があるのもこの地区。エスペラント語nova arbo(ノーヴァ・アルボ/新しい木)に由来するかも知れない。
- ペリメンタ区
- ラボレーオ区の南側。ラボレーオ区で作られた武器の試験場となっている。唯一語尾が-oではない地区。エスペラント語eksperimenta(エクスペリメンタ/実験の)に由来か。
- ランゲランド区
- ノバールボ区の南西。殉職した自衛隊員56名の遺体がここで火葬された。
- スダンパーロ区
- 王国最南部の広大な区域。人口は少ないが広大な農地が存在する。岡が載っていたC-2輸送機が墜落した。王国南部の前線基地となっており、物語の序盤と終盤に戦場となった。エスペラント語suda paro(スーダ・パーロ/南の一対)に由来か。
- オリエンタバロ区
- セントゥーロ区の東側。設定上存在するのみで物語には登場しない。エスペラント語orienta baro(オリエンタ・バーロ東の障害)に由来か。
- オキンパーロ区
- エクゼルコ区の東側、王国の東縁部にある区域。物語終盤に魔獣軍団主力の襲撃を受けた。エスペラント語okcidenta paro(オクツィデンタ・パーロ/西の一対)に由来か。
- セントラクバント区
- セントゥーロ区の北東部。巨大な湖が存在する。エスペラント語centra kvanto(ツェントラ・クヴァント/中央の量)に由来か。
- ノルンパーロ区
- セントラクバント区の北方。王国の北縁部。終盤に魔獣軍団の奇襲部隊が襲来し、市民に大きな犠牲が出た。エスペラント語norda paro(ノルダ・パーロ/北の一対)に由来か。
- マルノーボ区
- セントゥーロ区の北西部。人口が多いがそれほど裕福ではない地域とされ、陥落したオキストミノ、ノルストミノ区の避難民が流入していた。終盤に魔獣軍団の奇襲部隊の襲撃を受ける。エスペラント語malnova(マルノーヴァ/古い)に由来。
- ノブラウルド区
- セントゥーロ区の西側。貴族が居を構える高級住宅街。王族に連なるセイの邸宅も存在する。エスペラント語nobla urbo(ノブラ・ウルボ/高貴な街)に由来。
- フミダゾーノ区
- マルナルボ区
- ノブラウルド区の西側。かつて魔王討伐隊が道に迷って流れ着いた場所。旧王城が存在した。
- エクゼルコ区
- ノバールボ区、ノブラウルド区の西側。区域全体が演習場となっており、岡とザビルが勝負した大競技場や兵舎、厩舎も存在する。エスペラント語ekzerco(エクゼルツォ/演習)に由来。
- フォンノルボ区
- マルノーボ区の北側。巨大な湖が存在し「北の水源」と呼ばれる。物語中盤に魔獣軍団の威力偵察部隊が襲来した。
- ノルストミノ区
- フォンノルボ区の西側。鉱山区と呼ばれ、王国の武器製造に必要な区域だったが、魔獣軍団の攻撃で陥落していた。魔獣軍団の威力偵察部隊を壊滅させた際に奪還に成功する。
- オキストミノ区
- ノルストミノ区の西側。王国の西縁部。ノルストミノ区と共に魔獣の支配下にあったが、戦力温存のため積極的な奪還作戦は行われなかった。
- オキデンタバロ区
- マルナルボ区の西側。オキストミノ区が陥落していたため、実質的な王国の西縁部。ノルストミノ区奪還作戦や最終決戦の際には王国軍の策源地となった。エスペラント語okcidenta baro(オクツィデンタ・バーロ/西の障害)に由来か。
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最終更新:2024年06月26日 19:11