史進（ししん）は、中国の小説で四大奇書の一つである『水滸伝』の登場人物。 天微星の生まれ変わりで、序列は梁山泊第二十三位の好漢。登場時は18、9歳。 精悍な美丈夫で上半身に9匹の青竜を象った見事な刺青があるためあだ名は九紋竜（くもんりゅう）。 禁軍教頭王進に武芸十八般の教授を受け、特に両刃三尖刀（大刀の刃が三叉に分かれたもの）の使い手である。 108星中、最初に登場するが、前半の活躍に比べ、後半は度々失態を演じるなど尻すぼみに終わってしまう。 日本では若く刺青を入れているという設定が粋好みの江戸っ子に気に入られたため、 江戸時代は武者絵の題材に好まれ「九紋竜」の四股名をもつ力士が現れるほどの人気を博した。 （以上、Wikipediaより引用） #region(その生涯) 開封の都よりだいぶ西にある華陰県の史家村(住民の殆どが史性)の保正(現代でいう庄屋)の家に生まれたお坊ちゃん。 しかし、農家でのんびりした雰囲気の史家村に合わず、百姓仕事を放り出しては武芸に打ち込んでいる[[不良息子>斬真狼牙]]だった。 旅の武芸者を見かけては屋敷に招いて武芸を習っており、後に梁山泊で同僚となる「打虎将・李忠」はその師匠の一人である。 しかし、ある日無実の罪で華陰県に流れてきた、元禁軍(正規兵)教頭の「王進」にいつものノリで挑むも返り討ちにされてしまい、 その後は王進を師匠として武芸十八般を学び、メキメキと上達していった。 半年後、王進が華陰県を離れ、&link_anchor(*1){*1}父も亡くなり史家の跡継ぎとなるも、相変わらず武芸に打ち込む生活をしていたが、 村を襲撃してきた少華山の山賊「跳澗虎・陳達」を撃破したことから、彼の運命が動き始める。 その後、陳達の義兄弟である「白花蛇・楊春」と「神機軍師・朱武」は陳達を救うべく生身のまま山を降り、自分達も捕らえて欲しいと願い出る。 山賊だが義侠心溢れる彼らの姿に感動した史進は逆に陳達を解放し、少華山の山賊三人と親しい関係になる。 ところが、彼らとのやり取りが役人にバレてしまい、史進もまたお尋ね者となってしまう。 史進は楊春らと共に囲みを突破し(この時、先祖代々受け継がれてきた屋敷に火をかけて灰にしてしまう)、少華山に身を寄せる。 朱武から自分達の首領になって欲しいと頼まれるが、山賊になる気はなかった史進は王進を探しに諸国を漫遊する道を選ぶ。 旅の途中で渭州に立ち寄った史進はそこで提轄の魯達(後の「花和尚・魯智深」)と出会い意気投合、更にかつての師である李忠とも再会する。 その後、魯達絡みのゴタゴタに巻き込まれて渭州を飛び出すも、後に魯智深となった魯達と再会し、荒寺の悪党達を二人で退治した。 (この時、路銀が尽きたために偽行者を装いながら追剥をしている。まあ、追剥なんて他の好漢もみんなやってるし・・・) 更にその後は諸国を旅したようだが、結局最終的には少華山に戻って朱武達の要請通り少華山山賊の首領となったようだ。 ……以降、史進は長いこと登場せず、次に登場するのは魯智深らが梁山泊入りした更に次のエピソードである。 華州の太守が娘をかどわかすという非道を行っていると知った史進は憤慨し太守を殺しに行くが、逆に捕らえられてしまう。 更に梁山泊からは魯智深、「行者・武松」、「神行太保・戴宗」が援軍に向かうものの、これまた短気な魯智深もまた捕らえられる。 そこで梁山泊は、たまたま通りすがった貴族の「宿元景」を捕らえて彼に成り代わり、都からの使いを演じることで太守を騙し討ちにし、 あらためて史進達を助けだして梁山泊へと迎え入れたのだった。最初に登場した好漢なのに、道のりはすごく長かった・・・。 紆余曲折の末に仲間入りした史進であるが、その後の活躍はパッとせず、 芒碭山の「混世魔王・樊瑞」との戦いでは少華山組で先鋒を任されるものの敵将の「八臂哪吒・項充」に敗北し、 東平府攻略戦では潜入任務を帯びるものの、昔なじみの娼婦に作戦をばらして役人に引き出されてしまうなど、どうにも冴えない。 百八星終結後は騎兵軍八虎将兼先鋒使の一人に任じられ、多数の敵将を討ち取るものの、 強敵相手には遅れを取るなど、強さとしてはトップクラスの連中より多少下のようである。 #region(その最後) 多くの好漢を討ち取った、梁山泊にとって最強のラスボスである方臘の討伐戦において、昱嶺関の斥候に出た史進は敵の罠にハマってしまい、 陳達、楊春、李忠、「拚命三郎：石秀」、「病大虫：薛永」らと共に射殺されてしまう。享年三十歳。 %%・・・既に多くの頭領が戦死してる状況なのに、なんでこんな多くの頭領が一緒に斥候になんて出てるんだろう。%% #endregion と、このように、最初に登場した好漢として知名度はあるが、その後の活躍自体はパッとしない史進であるが、 無論、彼のオプションである陳達と楊春にも見せ場なんて無い。陳達なんて「跳躍力が凄い」って特徴が既に「挿翅虎・雷横」と被ってる始末。 例外は朱武で、地サツ星七十二星の筆頭である彼は「神機軍師」の二つ名の通り陣形を主とした軍略で活躍しまくり、 ぶっちゃけ軍師としては、うっかりミスを繰り返す「智多星・呉用」よりよっぽど活躍していたりする。 更に方臘戦後も生き残った彼はその後は樊瑞と共に「入雲龍・公孫勝」に弟子入りし、道教にも手を出したようである。 間違いなく少華山組では一番の勝ち組なのだが、まるで主人公のようだった史進とどこで差が開いてしまったのか・・・。 水滸伝には他にも山賊出身の好漢が多くいるが、キャラクターとしてバランスの取れている少華山組が、 物語の中でまるで目立たないのは、水滸伝の構成の失敗の一つであるとも言われている。 #endregion （以上、Wikipediaより引用・改変） 『三国志』でお馴染みの横山光輝もその前に水滸伝を描いているが、 やはりそこでも史進は一番最初のエピソードに登場するものの、その後は主人公的役目は林冲や宋江に取られてしまい、 本人は外伝エピソードで項充に敗北したり、死亡シーンが書かれる程度の出番に留まってしまった。 また、本作の史進は作者の資料不足による確認の不足から、原作の両刃三尖刀ではなく棒術の達人になっており、 現代日本において史進＝棒術のイメージが強いのはこの作品のせいであるとも言える。まあ、時代だから仕方なかったんだけど。 #region(で、横山作品といえば当然「あの作品」にも出てくるわけで……) **&font(i,red){「場合によってはこの俺が、再びこの手で・・・」} スーパー横山光輝大戦の異名を持つ、[[「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%9C_THE_ANIMATION_-%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%81%8C%E9%9D%99%E6%AD%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%97%A5]]・・・のコミカライズ作品である、 [[「ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日」>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%9C_%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%81%AE%E7%87%83%E3%81%88%E5%B0%BD%E3%81%8D%E3%82%8B%E6%97%A5]]においても、横山水滸伝からの出演で登場している。 第１話においてOVA版を知るファンの度肝を抜いた、国際警察機構の九大天王揃い踏みの場面で九大天王の末席として初登場した。 本来OVAでは彼ではなく「豹子頭・林冲」がその立場にいたはずなのだが、後に林冲も重要人物として登場している。 断崖門において、史進を助けるためにBF団の十傑集の罠に陥り死んだと思われていた林冲であったが、 その後彼の代わりに九大天王の補欠として入れられた史進は、重要な施設に自分だけ入れないなど 九大天王でありながら一人前としての扱いを受けられないことに苛立ちを覚えるようになっていった。 そして本編で林冲は「カナーリの牢獄」から10年ぶりに生還。自分の立場をおびやかされることを危惧した史進は何と自らの手で林冲を葬ろうとする。 原作の水滸伝からは到底考えられないようなキャラ付けであり、このあと林冲が九大天王としての力の一端を見せたら ''一転して命乞いを始める''など(勿論''裏では不意打ちの準備済み'')、精神的に非常に弱い人物として描かれているが、 本作品は元々、原作及びOVAでは正義の組織であったはずの国際警察機構がかなり悪役じみた演出で描かれており、 その煽りを受けた人物の一人であるとも言える。(ただし、それと対抗するBF団もまたOVAと同じように悪の組織バリバリなのだが) しかし、その裏には林冲に対する憧れがあり、林冲のようになりたいと思うがあまり、しかし林冲がいては絶対成り代わる事はできないという 強い思いがあったが故であった。・・・トドのつまり''小物地味た発想''なわけだがそこは大目に見てあげよう。 %%てゆうか、水滸伝の派生作品において、大抵主人公的ポジションを林冲に取られてしまうやっかみが込められている気がしないでもない。%% そして、敵の攻撃から彼を救い出した林冲の姿を見て彼は今度こそ林冲に完全に惚れ直し、子分になりたいと付き従うようになった。 その林冲の心意気に答えるように、彼は続く「カナーリの牢獄編」において多大な功績を上げている。 まあ、この章では林冲自身が大変なことになってしまうのだが、ネタバレになるのでここでは省略する。 能力として、棒術は勿論のこと、背中の入れ墨から九匹の龍を召喚することが出来る他、 「真の姿」として、自らが巨大な龍になる「史進龍」という技を持つ。とんでもない技だが、これを見た九大天王の一人、大塚署長は ''「これなら九大天王補欠卒業ですかな？」''などと呟いている。つまり、''この程度のことが出来なければ九大天王足りえない''のである！ まあ、[[今川だからしょうがない>http://dic.nicovideo.jp/a/%E4%BB%8A%E5%B7%9D%E3%81%A0%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%84]]っつうわけで。 **&font(i,red){「九紋の龍が天を貫く！！ 」} #endregion また、歴史小説家の北方謙三が書いた超大作「水滸伝」にも勿論史進は登場し、こちらでは最後まで生存する。 若い頃は師事した王進に似て武術馬鹿で融通の効かない部分があったが、実力は梁山泊でも屈指である。 老いていくにつれて、豪放磊落な部分や、その一方で深い優しさを持つ好漢へと成長していくことになる。 武器は特注の赤い鉄棒。老いてからは副武器として日本刀を使用するようになった。 #region(史進の黒歴史) 水滸伝とは、いくつもの好漢達の説話集をまとめて一つの物語にしたものであり(例えるならスーパーロボット大戦みたいなもの)、 その成立以前ではエピソードやキャラクターに大きな違いがあることが多い。 その一つに「水滸戯」という舞台劇があり、梁山泊の好漢達が織り成すエピソードを一つの舞台としたものである。 史進はそれの一つ「大婦小妻還牢末」という話に、東平府の牢役人として登場するのだが、 ぶっちゃけ''良識はあるのだが、兄貴分である劉唐に怒鳴られると何も言えなくなってしまうヘタレ''として書かれている。 というか、兄貴分の劉唐はもっと酷い男で、水滸伝の「赤髪鬼・劉唐」もどちらかと言えば暴れ者の無頼漢なのだが、 自分の失態をかばってくれなかった裁判員の李孔目が、無実の罪で牢に入れられたらこれ幸いと暴力を振るったり、 李孔目の子供達が差し入れを持ってきたらこちらにも暴力を振るったり、李孔目を暗殺して欲しいと依頼されたら二つ返事で引き受け、 [[短命二郎阮小五]]が劉唐と史進を梁山泊に入れるためにやってきたら、史進を「お前も梁山泊の仲間か！」と暴力を振るい、 終いには、自分も梁山泊に勧誘されていると知ったら、手のひらを返して李孔目を救い出す始末。 そして劉唐は何のお咎めもなく梁山泊入りしたのでした・・・これは酷い。史進も酷いが劉唐はもっと酷い。 #endregion ---- *&color(red){&i(){「九紋龍史進とは俺のことだ！」}} 『水滸伝』の世界を舞台に狂った連続技の炸裂するデータイーストの格闘ゲーム『[[水滸演武]]』のキャラクター。 CVはAC版がデコ社員、コンシューマー版及びセガサターンのみで発売された『水滸演武 風雲再起』版が[[堀>ガンダムシュピーゲル]][[秀行>ギニュー]]氏。 ゲーム中では主人公的なポジションで、使用武器は剣。 ただ、他のキャラが[[こいつ>短命二郎阮小五]]を筆頭に濃すぎる連中ばかりなのでいまいち目立たない。 なんというか、[[主人公（笑）]]ぎみなポジションであろうか。 と、言ってもあくまでマトモなため影が薄いだけであり別に主人公として認識されてない訳ではないので注意。 全体的に濃すぎるため他に主人公っぽい見た目のキャラがいないのもある 性能的には万能パワータイプという位置付けである。 [[飛び道具]]、無敵技、突進技と非常にスタンダードな主人公タイプの[[必殺技]]を装備しているが、 突進技は素手状態のものでないと使い物にならないというのがなんともいえない。 普通の格ゲーのように、飛び道具で飛ばして無敵技で迎撃し相手の反撃を無敵技で刈るという戦い方をしてもいいのだが、 連続技が[[世紀末]]級の『水滸演武』ではダメージ効率からいくと連続技の研究をしなければどうにもならない。 さらに同作には「特殊ガード」の存在があるため、[[コンボ]]の繋ぎ方を考えないと喰らってる途中で抜けられてしまったりもする。 同作独特のシステムについては『[[水滸演武]]』の項目を参考にしていただきたい。 //加筆修正お願いします。 ---- **MUGENにおける九紋龍史進 『水滸演武』のキャラは長らくMUGENには登場していなかったが、2010年秋にですからー氏の製作した史進が登場。 原作独特のコンボや特殊ガード、紳士なボイス付きの[[勝利デモ]]も再現している。%%ウホッ！いい男%% 素手状態は省略されており、従って武器が壊れることも無い。 11段階調整可能でよく動く[[AI]]が標準で付いているが、AIは特殊ガードを使用しない。 外部AI製作も歓迎とのこと。 AIの空中コンボが炸裂（3:59～） &nicovideo(sm12567043) *&color(red){&i(){「わりぃ事したなぁ、大丈夫かい？}} *&color(red){&i(){ けど、手を抜いた勝負はしたくねぇしなぁ･･･」}} **出演ストーリー [[豆腐屋 早苗さん]] ---- &aname(*1,option=nolink){&color(red){*1}} ある意味、水滸伝の物語の始まりの男である王進。彼は史進を師事した後、どこへ行ったのか。 ……さあ？序盤の史進の旅の目的は王進を探すことなのだが、以降物語に王進は一切登場しない。 一応、「延安府の弟子達の元に身を寄せ、チュウ(のぎへんに中)相公に士官する」と道筋を語ったことはあるのだが、 実際に延安に辿り着き士官出来たのかは不明である。[[おーい、誰か王進先生の行方を知らんか。>魅魔]] そんなわけで、百八星の一人に数えられてもおかしくないキャラクター性を持つ王進は、 後に書かれた多くの水滸伝の二次創作において、梁山泊と関わる形で再登場することが多い。 代表的なのは、水滸伝の後日談を描いた「水滸後伝」であり、王進は新生梁山泊の一員の一人となっている。 (ついでに、同じように好漢でありながら死亡した欒廷玉が、[[実は生きてました>剛拳]]という荒業で仲間になってたりもする) また、日本テレビでドラマ化された水滸伝では武術指南役として梁山泊入りしたり、 北方謙三による小説「水滸伝」では、史進以外にも「喪門神・鮑叔」「鉄笛仙・馬麟」など多くの好漢が彼の元で武と心を磨いている。 アレなところでは、百八星が勢揃いした時点を最終回とする「七十回本」の後日談を描いた蕩寇志(結水滸伝)があり、 王進は梁山泊を討伐する官軍の一員として登場し、「豹子頭・林冲」を罵って彼をショック死させたりしている。 どうも作者は「皇帝に刃向かう連中が英雄とか許せない」と考えて書いたらしいんだが、%%これって現代でいうヘイトSS(ry%%
