ところが、主人公の精神の奥底であり、主人公が人理修復の過程で倒した悪性情報が蓄積するとされる「廃棄孔」に、
監獄塔で七日間を過ごした巌窟王の因子が流れ込んだ結果どういうわけか「個」として成立し、後にカルデアに召喚された巌窟王とは別に、
「監獄塔に復讐鬼は哭く」の出来事を経験した巌窟王 エドモン・ダンテスが主人公の精神内に巣食う事になった。
この事もあって、本編およびイベントなどのストーリー上で主人公が精神攻撃を受けたり、夢の世界で何かしらの危機に陥ったりした場合、
精神世界にひょっこり現れて危機に対抗したり、主人公に助言をくれたりするようになる。
おかげでプレイヤーからは「セコム」「ぐだーずのメンタルセコム」などと呼ばれる事も……。
そのせいでどこぞの元ビーストが幕間で普通に主人公の精神に接触して妨害も入らない=エドモンに完全スルーされていた事実から、 ユーザーに益獣呼ばわりされる事に
「監獄塔に復讐鬼は哭く」はこのように本編にガッツリ絡むストーリーながら長らく期間限定のイベントで、
イベント後からゲームをプレイし始めるなどした新参ユーザーが主人公とエドモンの関係を把握できない状況にあったが、
2022年1月以降は常設ストーリーと化し、第1部4章をクリアする事で誰でも無料でプレイ可能になった。
主人公の精神世界に出てくる以外のエピソードでは、1部最終章「終局特異点 冠位時間神殿ソロモン」にて、
7つの特異点で接点を築いた英霊達に抑えられていない魔神柱・アンドロマリウス率いる「廃棄孔」の残り9柱が主人公達を襲撃した際、
7つの特異点では無い場所、いわば本来の流れの外(各種期間限定イベント)で会った英霊の中で真っ先に駆け付けていた。
第1.5部『Epic of Remnant』では「悪性隔絶魔境新宿」にて ホームズが宝具でエドモンに変装して行動していた他、
そのホームズを隠れ蓑にしてカルデアから来たのではなく現地に召喚されたエドモンが裏で活動していた。
また、「屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負」では主人公が「監獄塔に復讐鬼は哭く」と似たような状態で意識だけ飛ばされた際に、
宝具と主人公の精神世界に付属した自分との縁を利用したのか、正規ルートで向かった風魔小太郎とは別口で宣教師として下総国に侵入した。
そしてオーディール・コール「不可逆廃棄孔イド」にて、エドモンは再びメインキャラとして活躍する事になる。
エクストラクラスの濫用によって南極への侵入を阻まれているカルデア。
その状況において、巌窟王は主人公に復讐の意味を教える=「復讐者」というクラスの清算を行う試練を自分が担い、
主人公を決戦の地へと送り出す決意を固めていた。
その思いを同じくした「廃棄孔の巌窟王」と「カルデアの巌窟王」は改めて二つの存在に分かれた。
そして主人公の精神に亜種固有結界・疑似東京監獄を造り出し、
失ったはずの日常とそれを壊される事による復讐を体験させようとした。
地球白紙化とは、即ち汎人類史の人々を皆殺しにする一大殺人に他ならず、
家族も友人も失った汎人類史の生き残りである主人公には人類最後の復讐者となる理由と資格があった。
故に復讐の力と味を知った上で、主人公は何を選択するのかを人理に示す、
つまり主人公の深層心理で目を背けていた「身内が死んでいるかも」という感情を発端として燻っていた復讐心を増幅・自覚させ、
かつそれを意識的に乗り越えさせる必要があり、その役割を巌窟王が担ったのであった。
そして主人公は「自分達は殺すためではなく、いま生きている者として戦うためにカルデアに向かう」という答えを出した。
その答えこそ、巌窟王が望んだものであった。
主人公に復讐心を乗り越えさせる事、そのための試練として立ちはだかる事。
そして主人公が見事それを果たした時、別れを告げる事。
それが巌窟王が復讐者の清算として必要としたものだった。
かつてロマニの姿をしたカルデアの者が無自覚な歪みの清算を提唱した際に、
別離の時は必ず来ると警告していたが、復讐者達はまさにその別離する側であった。
世界を救うための戦いであれば、主人公が復讐のために戦う事を望まないなら、
己と共に仇を燃やし尽くす事しかできない復讐者は最後の戦いには同行できない。してはならない。
故にカルデアを南極に送り出すためには、復讐のための戦いではない事を人理に示す、
即ち復讐者達はカルデアから退去しなければならなかったのである。
そして巌窟王は主人公を現実へと帰し、自らは元の霊基へと戻り廃棄孔でアヴェンジャー達と共に最後の仕事へと向かう。
その仕事とは、自分の目を逃れる形で悪性情報として主人公の精神に潜り込み、成長を続けていた悪性存在、異星の使徒カリオストロ伯爵の排除であった。
エドモンの『イド』の行動は主人公が人理へ歪みの清算を示すのに必要な事だっただけでなく、
主人公の精神に巣食うカリオストロを炙り出す目的も兼ねており、その上でカリオストロを完全に根絶することがこの一件の最後の仕上げであった。
しかし、時間をかけて主人公の体内魔力を掌握していた伯爵は廃棄孔にとっては全魔力を手中にしているに等しく、アヴェンジャー達は苦戦を強いられる。
そこに現れたのは、これらの説明を省いたまま別れる事に納得できず、術者達の手を借りて再び廃棄孔に戻ってきた主人公であった。
主人公の参戦によってカリオストロの優位は崩れ、復讐者の中で姿を見せなかったある英霊「黒い影」による支援も加わり、
そしてエドモン・ダンテスとモンテ・クリスト、二人の巌窟王の攻撃によって、
カリオストロは廃棄孔から消え去り、巌窟王の目的は完遂された。
そして巌窟王達は改めて主人公に別れを告げようとするが、主人公は首を縦には振らなかった。
しかし、主人公も理解した通り、復讐者は過去に囚われて誰かを憎み殺すための英霊達。
よって、彼らが居ては南極へ向かう事はできない。
最終的に妥協点として、影のみを霊基グラフに残し、主人公に力を貸す事には同意したが、
それでも本体は去らない訳にはいかず、復讐者達は親しかった者達に別れの挨拶をしながら退去した……。
はずだったのだが、上記の試練のため2つに分離した後発の霊基「巌窟王 モンテ・クリスト」が別で登録される誤算が発生。
カルデア式召喚および現界が可能となってしまった。
とはいえ、他の復讐者と同じく遠からず消えるらしいが。
加えて、『イド』で想定外の行動をとったマシュの複製品を殺さざるを得ない状況になったため
(この事は主人公ですらエドモンを糾弾しており、当人もばつが悪そうにしていた)、
主人公に復讐心を乗り越えさせたまではよかったが、同時にエドモンにも不本意な形で「死別」への多大なトラウマまで植え付けてしまい、
おまけに直後に同じく不本意な形で復讐者たちと別離しなければならなかったことも相まって、
主人公が第IV章『人類裁決法廷トリニティ・メタトロニオス』内でPTSDに苦しむ描写が描かれるなど、後々まで大きな影響を及ぼしている。
- 君よ、輝きの道を征け
ランク:B++ 種別:結界/試練宝具 レンジ:特殊 最大捕捉:1人
かつて、魔神王ゲーティア配下の英霊としてカルデアのマスターを七日間捕らえた、
「監獄塔の巌窟王エドモン・ダンテス」の第四宝具。
「監獄塔に復讐鬼は哭く」の舞台となった監獄塔は、元々この宝具により形成されたもの。
巌窟王の精神は金城鉄壁にして難攻不落の城塞であり、同時に命ある者の脱獄を許さない牢獄でもある。
範囲内の対象1名の精神内部に入り込み、掌握・侵食・同化する事で、対象の魂と精神に亜種固有結界を構築し、
捕らえた者に対して七つの試練を与える。
捕らえられた者が脱出するには この七つの試練を突破した上で巌窟王を打倒する必要がある。
『イド』の舞台となった疑似東京はこの宝具の効果を応用して創り出されたものだが、
真名解放のためには聖杯或いはそれに準じる強力な魔力リソースが必要となるため巌窟王単独で発動はできない。
物語内で使用できたのは、「先輩」と称するとある漆黒の存在が助力したためのようである。
未練の巌窟王が復讐者を疑似東京に移動させる形で主人公に助力できたのも、その漆黒の存在の加護らしい。
明言されていないが、真名の「君」とは主人公を指すと思われる。
- 星よ、輝きの道を征け
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:0〜70 最大補足:1人
厳密には先述の第一宝具と同様の宝具だが、
攻撃に使用した場合は性能が激変するため、例外的に別宝具として登録されている。
対象を瞬間的に自らの牢獄へと取り込んだ後、超高速移動により最接近し、
黒炎を凝固させた複数の巨大爪で連続攻撃した後、全ての爪で強制拘束すると同時に、
魔力を暴走させる事によって自身諸共対象を爆裂させる。
最後の爆裂は威力甚大ではあるものの、この宝具の真価ではなく、攻撃宝具としての本宝具の真価は命中性能にある。
精神の牢獄へ取り込まれ、逃げ場の無くなった相手への超高速接近、
つまり──因果レベルでの命中攻撃に肉薄する程の、無判定での命中確定自爆攻撃。これこそ、本宝具の真価である。
明言されていないが、真名の「星」とは主人公を指すと思われる(2回目)。
なお、設定上は「巌窟王 エドモン・ダンテス」としての宝具も引き続き全て使用可能。
加えて余談になるが、巌窟王という英霊には生前エドモンが復讐のために利用すべく救い出した少女・エデが、
霊基の片隅に使い魔のような形で同行していたと判明。
エデはデュマの小説ではエドモンの復讐対象の一人だったフェルナンの手によって父親が暗殺されて奴隷堕ちした人間として書かれていたが、
型月世界においてはデュマの脚色であり、実際の彼女は人外の存在だったようである。
ただし、精神を負傷している者以外には姿が見えており声も聞こえているが、
精神を負傷しているエドモンを始めとした人物達には気付かれず、その存在を知られていないらしい。
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