陸海空を暴れ廻る魔のバラン!空想怪獣映画の決定版!
1958年の東宝映画『大怪獣バラン』で初登場した
怪獣。別名は「大怪獣」または「むささび怪獣」、「有翼膜竜」などとも呼ばれる。
北上川上流の湖に生息していた、中生代の恐竜「バラノポーダー」の生き残り。
皮膚が非常に
弾力性に富んでおり、
銃弾やミサイルなど弾き飛ばしてしまう。
腕と足までの間に皮膜があり、それを広げ空中を颯爽と滑空する。その飛行速度はマッハ1.5。あの空の大怪獣
ラドンに匹敵する。
光を好む習性があり、照明弾を飲み込むという奇妙な一面もある。
また本来は気の優しい性質であると説明されている資料も存在する。
北上川の秘境の岩屋村で、村人達の
守り神「婆羅陀魏山神(ばらだぎさんじん)」として恐れられ、崇められていた。
ある時、自分の縄張りに人間達が大人数で押しかけた上に大騒ぎをかました事に怒ったのか、
湖から姿を現し、岩屋村を全壊させてしまった。
それによって
自衛隊がバラン撃滅のために湖を攻撃し、住処を追われてしまう。
陸上自衛隊の集中砲火、空軍の爆撃、海上自衛隊の爆雷攻撃とあらゆる火力をものともせず、
やがて東京湾に入り込み、羽田空港へと上陸しようとしていた。
対策本部はバラン打倒のために藤村博士(
演:平田昭彦氏)が発明した、
ダイナマイト数十本分の威力を持つ特殊火薬の使用を考案。
トラックに詰まれた特殊火薬をバランの至近距離で爆発させるのに成功はしたが、
瞬間的なダメージを与えただけで倒すには至らない。
最終手段として、光り物を飲み込む習性を利用し、特殊火薬を仕込んだ照明弾を飲ませ、内側から爆発させると言う作戦が取られた。
それにより特殊火薬を計2発盛られたバランは、1発目の爆発で大ダメージを負い、
海中に逃れようとした所を、2発目の爆発で遂に絶命。東京湾にその命を散らした。
人間達の
自然へのむやみな介入、それによって生活していた生き物が行き場を失くし、
逆に人間達のテリトリーに入り込んだがために無残にも殺されてしまうという悲劇が、この映画から感じ取れる。
『
モスラ』以前に人間達の自然破壊を題材にした映画と言われ、
また、モスラ以前に「怪獣=神」というのを全面的に表現した映画であり、モスラの歌同様にバランを崇める合唱曲が存在する。
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作品の立ち位置や後の作品でのバランの出演など |
ポスターなどの宣伝文句であるように、当時としては ゴジラ、ラドンを超える怪獣という設定だった。
それだけにバランの造形は鬼神の様な表情の上、生物感あふれる皮膚の作り、
かなり筋肉の引き締まったボディ、更に腕と足の間に飛行するための皮膜があるという、
かなり凝りに凝ったデザインで、十二分に最強の新怪獣たる威厳の持ち主………であったのだが、
比較的低予算で映画を作らなければならず、更に元々海外テレビドラマとして作られていて劇場公開が決まり、
前回のカラー作品『 地球防衛軍』があるにも拘らずモノクロ映画となり、全体的に地味な雰囲気の映画になってしまった。
そのため、徐々に忘れられて行く作品となってしまい、バランというキャラクターもメジャーに成り得る可能性を持ってはいたが、
結果的にはそこまでメジャーになる事は無かった。
1968年の『怪獣総進撃』にも登場しているが、ほぼ2カットのみで 名前すら呼ばれないというあんまりな扱い。
しかも元々はゴジラ達と同じ着ぐるみを使用した巨大怪獣だったにも拘らず、
劇中で使用されたのが小型のそんなに精密に作られていなかった飛行ポーズの人形のため迫力も薄く、
予備知識の有無に関係無く「 キングギドラを倒したと思ったら、何故かちっこい怪獣が空に浮かんでいた」
というような印象しか受けない。本来はゴジラクラスの巨大怪獣なのだが……。
そのため、一部の資料や雑誌などでは、「怪獣ランドに生息しているバランはまだ幼体」と説明している記述も見られた。
1972年の『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』においてはラドンと共に登場する企画が練られたものの、
アンギラスに変更され登場出来ず、更には2001年の『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』にも、
アンギラスと共に登場する予定だったが、モスラと キングギドラに変更されてしまうという後々の世では非常に悪い扱いを受けている。
『大怪獣総攻撃』では一応、作中に登場する書籍に「婆羅陀魏伝説」の存在が記載されているものの、
「婆羅陀魏は 護国聖獣とは異なり、伝説の域を出ていない」とも書かれており、作中でその存在が否定されているという有様。
そもそも映像上では「陀魏」の部分しか映ってないし、セリフでも触れられていないので、映画を見ただけで気付くことはまず無理だろう。
しかしながら『大怪獣バラン』は、後々の東宝特撮映画シリーズに大きな影響を与えた作品でもある。
バランのキャラクター性はモスラのアイディアに繋がり、その鳴き声は バラゴンを始めとする、
多くの怪獣の声にアレンジされていった。
伊福部昭氏の BGMも非常に完成度が高く、バランのテーマ曲は後のラドンのテーマの元になり、
爆雷攻撃のマーチ曲は翌年の『宇宙大戦争』など、他多くの作品に流用された。
後々の多くの東宝映画の楽曲の大元を形作った作品といってもいい。
そして何よりセットの造形はかなりのもの。山の斜面に建てられた仏像を背に縦横無尽に歩き回るバランの姿、
作りすぎて円谷英二の注意を受けたという、羽田空港のセットは東宝の美術スタッフの技術力を痛感させられる。
ちなみに『大怪獣バラン』の海外版『VARAN The Unbelievable』ではキャスト、脚本がほぼ一新され、
バランも最終的には死なないというオリジナルと一味違った作りになっている。
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映画作品以外でのバラン |
2013年刊行開始のアメコミ『ゴジラ:ルーラーズ・オブ・アース』では古代から地球に生息していた怪獣として登場。
第二巻冒頭のエピソードにおいてバランがメイン怪獣として登場する(日本語訳版では一巻ラスト)。
中国の貯水池より突如として現れ、その場に居合わせたラドンと戦闘になる。
次々に繰り出されるラドンの猛攻撃に耐え、背中の棘をラドンの翼に突き立ててラドンの翼を大きく破り、
遂にはラドンを打ち負かし敗走させるという活躍を見せる。
しかしその直後に人間の拘束より開放されたガイラから不意打ちを喰らい、
噛み付きなどで反撃するがガイラ優勢のまま戦闘を進められ、ラドンとの戦闘の疲れも有ったのか、遂には飛行して退却した。
ちなみにこの時対戦したガイラ、何故か本作品においては主役怪獣並みの補正が掛かった美味しい所を持って行く怪獣で、
後の戦闘ではサンダとの二体掛かりでガイラ自身は倒れながらも ゴジラを退却させているので、
そんな補正の掛かった怪獣相手ともなれば、引き立て役に甘んじてしまうのも無理はないであろう
(ただこの時のゴジラは ビオランテ、マンダ、 ゲゾラ、 チタノザウルスを退けた連戦後の休憩中であり万全と言い難い)。
しかしながら、かつてはゴジラとも対等な相棒として準主役級の立ち位置にあったラドンに勝利を収めたというだけでも、
これまで活躍の機会に恵まれなかった怪獣としては大金星と言える。
贅沢な引き立て役としての出番を全うしたという所だろう。
本作は2017年に株式会社フェーズシックスより日本語翻訳版が刊行されており、バランは日本語版では1巻に登場する。
アニメ映画『 GODZILLA 怪獣惑星』の前日談の小説『怪獣黙示録』にも登場。
ゴジラ初出現時にアンギラス、バラゴンと共にゴジラと戦ったと記録されている。
しかしその実力差は歴然だったのか人類が彼らを探知した時は三匹共々ゴジラに打ちのめされ、戦意も無く必死に逃亡を図っていたのだった。
アメリカ合衆国陸軍はその中でも飛行能力を有しているバランを最も危険と判断し、バランを第一目標に集中砲火を開始する。
バランは砲撃を躱そうと飛び立つが、そこをゴジラの放った放射熱線が貫通。
彼はその身を以て怪獣王の脅威を人類に知らしめたのであった。
変わった所では、少年サンデーで連載された漫画『県立地球防衛軍』に登場する悪の組織の女幹部(の バイト)・バラダギ(本名「原滝龍子」)が、
「親は羽田で照明弾を食って死んだ」と明らかにこの怪獣を意識した発言をしている。
実際OVA版では、『大怪獣バラン』の羽田空港襲撃シーンが無駄に高い作画クオリティでアニメ化されていた。
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ゲームにおけるバラン
ゴジラ家庭用ゲームソフトの元祖であるFC版『ゴジラ』に、2面のボスとして登場し、
それ以降の最終ステージまで敵として立ちはだかって来る。
プレイヤー操作こそ出来ないものの技やアクションが豊富で、かなり格闘ゲームとして完成されたキャラである。
格闘戦ではゴジラとも互角以上の立ち回りを演じるほど。
しかし飛び道具を一切持たないため、距離を取られて尻尾攻撃や放射能熱線で仕掛けられると何も出来なくなってしまう。
また何故か体色は茶色ではなく紫色である。
GBソフト『怪獣王ゴジラ』にも、最終ステージの中ボスとしてバランが登場。
本作品では、なんと口から火炎弾を連続で発射してくる。更に常に飛行しているため、格闘戦も仕掛ける事が出来ない。
火炎弾は隙が少なく、最終ステージの中ボスなだけにHPもかなり高いため、本作品においてはトップクラスの実力を誇る。
海外で発売されたWiiソフト、『Godzilla Unleashed』にもバランが登場。
モスラや
バトラ同様に空中を自在に高速移動する事が出来る上、地上でも俊敏に移動する事が出来るため、
かなり機動性に恵まれたキャラである。
口からは七色や赤色の熱線を吐き攻撃する事が出来、更に波動攻撃のような技も繰り出している。
一作品目の『ゴジラ』では原作に準じ飛び道具が使えなかったのが大きなデメリットであったバランだが、
それ以降のアクションゲームではかなりの特殊能力を有しているという描かれ方が多い。
MUGENにおけるバラン
ドラコや
ガギなど手描きのウルトラ怪獣の製作者として知られるzektard氏による、
ファミコン版『
ゴジラ』のドットを使用したバランが2009年9月9日に公開された。
手描きのアニメーションも数枚追加されており、海外で発売されたWiiソフト『GODZILLA Unleashed』風にアレンジされている。
後の2011年4月22日の更新によりスプライトがほぼ一新され、
完全手描きのキャラに生まれ変わった。
そして2015年6月20日の更新により、再びスプライトが完全に描き直されて解像度がアップし、さらに迫力が増している。
こちらのバランは格闘戦の出来るキャラに仕上がっているが、遠距離攻撃も強力なものが搭載されている。
サイズも普通のサイズであるため、相手の怪獣や一般キャラと戦わせる事が出来るだろう。
空を飛行する技などは搭載されていない。改変は自由との事。
そして2014年3月15日には、
カーベィ氏により怪獣総進撃に登場した方のバラン(2代目)も公開された。
こちらはほぼ一枚絵のキャラでサイズが非常に小さく、常に空中を飛んでいるなど、格ゲーというよりは空飛ぶ
のりものに近い。
体当たりや突進する技などが多く搭載されており、前述のzektard氏製のように手足で殴るタイプのキャラではない。
各キャラの詳しい性能は以下の通り。
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zektard氏製作 初代バラン |
現在は氏の他のキャラと同じくzektard氏のアップローダーにて公開されている。
旧版のファミコン版のバランはMUGEN関係ファイルうpろだのup0029で公開されている。
ファイル名を変えて、ファミコン版と手描き版を並ばせてみるのもいいかもしれない。
通常技の攻撃判定がどの技も見かけよりかなり広めで、威力は低めだが上段を広く攻撃出来るパンチと抜き手、
これらの技より威力も高く、下段から上段までの広い範囲を攻撃出来るキックなどがある。
サラマンドラのように投げ技もきちんと搭載されており、ゲージを使わない技の中では最大の威力を誇る。
また上述のように『GODZILLA Unleashed』が元ネタの、口からの火炎放射で攻撃する技「業熱地獄」という技も搭載されている。
この技の攻撃判定はかなり遠くまで届き相手に当てやすく、ゲージも消費しないので中々強力である。
威力も投げ技よりはわずかに低いものの通常技より高めで、しかも相手のAPを削る事も出来るので、
人操作ならこの技を中心に戦うとよい。
なお2015年6月20日の更新版では火炎というより光線に近い印象のエフェクトへと描き直されている。
さらに『GODZILLA Unleashed』同様にパワーアップして巨大化し、口から発射する熱線で攻撃する超必殺技も搭載されている。
太い直線状の光線で攻撃するため攻撃判定が広くて当てやすく、威力も非常に高い。見栄えもいいので、決め技として使いたい。
AIは搭載されていないが、本体能力と技性能は強力で、プレイヤー操作なら凶キャラとも戦える強さを誇る。
外部AIはカーベィ氏によるものが存在し、氏のサイトにて公開されている。
導入するとATK250→15、DEF250→100に減るなど、ステータスが大幅に弱体化する。
しかし、技の判定や性能は基本的には変わっていないので、これでも他の怪獣キャラとかなりいい勝負をしてくれる。
むしろ攻撃力が下がったおかげで相手に連続で攻撃しつつ、ゲージが溜まったら前述の超必殺技を発動する機会が多くなるため、
画的にも見栄えの良い戦いを見せてくれるだろう。
またzektard氏によってバラン用に『岩屋村』のステージも、手描きで製作され2015年6月に公開された。
仏像を背景に山の斜面で暴れる初代バランの雰囲気のよく出たステージなので、合わせて使うのもいいかもしれない。
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カーベィ氏製作 初代バラン |
スプライトはkMIKEj氏製作で、モーションは「OPTPiX SpriteStudio」によって作られている。
こちらは主にゲーム版で使用した光線技の類は搭載されておらず、パンチや噛みつきなどの肉弾戦で戦うキャラとなっている。
一方で被膜を広げての体当たり攻撃などzeltard氏製とは違ったバランらしい攻撃も搭載されている。
超必殺技はいずれも1 ゲージ消費で「必殺噛みつき」「衝撃波」「拉致」の3つ。
AIもデフォルトで搭載されている。
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カーベィ氏製作 二代目バラン |
こちらは前述の『怪獣総進撃』に登場した方のバランを忠実に再現したもの。
当初は劇中の画像の切り抜きを使用したキャラだったが、
2024年8月28日更新版からはGesura505氏によって描かれた スプライトを使用している模様。
劇中同様常に空中を飛んでおり、サイズも小さく、元が吊り人形のみなので動き自体も少な目だが、
ある意味原作再現されていると言える。
しかし技は「体当たり」「グライドアタック」などが原作では何もやってなかったのに反してきちんと搭載されている。
必殺技は「必殺グライドアタック」と「拉致」の二種類。
AIもデフォルトで搭載されているが、キャラの特性上一方的な試合になる可能性が高い。
動画等に使用する場合は事前にテストプレイを行った方がいいかもしれない。
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更新前の性能 |
公開された当初は「燃える怪獣ファイヤードラゴン」「地球の怪獣では歯が立たない宇宙超怪獣」「総進撃に出れなかった没怪獣達」の3つであった。
2018年9月4日に氏の他の怪獣キャラと一緒に更新が行われ、デフォルトのサイズが少し大きくなり、技構成の変化や、エフェクトの追加が行われた。
前述の必殺技は削除され、「ファイヤードラゴン」と「対怪獣用超音波障壁」の二つの必殺技が新たに搭載されている。
「ファイヤードラゴン」はキラアク星人の円盤を呼び出す技となっている。
「対怪獣用超音波障壁」は投げ判定の技となっており、相手に投げ判定を持つヘルパーを出現させ、
ヒットした相手を一定時間拘束しつつダメージを与える事が出来る。
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出場大会
出演ストーリー
ウドン13(非戦闘。本編映像のみ登場)
ネクサスまてぃっく(zektard氏製作版。EX6話登場時は戦闘においてはほぼ噛ませ、12話前編に登場)
最終更新:2024年12月28日 10:38