ORT


まだアレに触れてはならない。今紀の地球の生命は何一つ及ばない
次の紀を待て。我々が絶滅した後、新たな進化を経た生命に望みを託す
(時計塔考古学科ロード・アステアの遺言より)

月姫』や『Fateシリーズ』などを販売している有限会社ノーツのゲームブランド、
「TYPE-MOON」の作品群(通称「型月世界」)で度々名前が出て来る怪物。ORZではない。
作中では便宜上「オルト」という読みが用いられている。
『月姫』の頃からゲームには未登場ながらファンブック「Character material」において、
「(当時の作品群基準で)単純な戦闘力なら設定上TYPE-MOON世界最強」としてその存在だけが示唆されていた。
それからは長らくTYPE-MOONの各作品においてたまに存在が仄めかされる程度であったが、情報の初出から15年以上経過した後に、
TYPE-MOONの看板作品である『Fate/Grand Order』の第2部7章「黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン」で満を持して登場を果たした。
なお、名の「ORT」は何を意味するのか、何を以ての誰からの命名なのかはその存在が公式から述べられて以来長く不明であった。

クリスタルでできた40~100mほどの巨大な蜘蛛のような怪物で、西暦以前に南米に落ちてきて以降、休眠状態になっている。
身体は地球上のあらゆる材質より硬く、柔らかで、どんな温度差にも耐え、おまけに鋭いという謎物質で構成されており、
より蜘蛛らしい姿に変化する「ビーストモード」やまんまUFOな姿になる「UFOモード」などに変化する事も可能。
最大の特徴として固有結界を数段上回る侵食固有結界「水晶渓谷」を持ち、テクスチャを上書きして地球のルールが通用しない空間に作り替えてしまう。
また、擬態生物としての特性も有しており、捕食した対象の習性を再現する事ができる。
その強さは菌糸類曰く「アルクでも勝つのは無理。ウルトラマン連れてきて」と称する程
(これに関しては単なる強さだけでなく、上述の「地球のルールが通用しない」という都合もあるが)。

キャラクターコンセプトは「どうしようもない絶望」。曰く「RPGで言うならラスボスより強い隠しボス」。
『月姫』の世界において無謀にも捕獲を試みた先代の死徒二十七祖第五位を秒殺。
その後吸血の習性がある事が分かったため後任の五位に数えられるようになったが、
これも先代五位の吸血という習性を模倣したに過ぎず、ORT自身が死徒という訳ではない。
いずれにせよ、ORTは地球に生きる存在が制御・和解・共存は不可能な侵略種である。

ORTの正体は奈須きのこ氏の未発表小説『鋼の大地』に登場する、
『月姫』『Fate』『空の境界』などの作品から遥か先の未来の時系列において、
自らの死の上でなお生存する生命体に恐怖を覚えた地球が死に際に発した、
「いまだ存命する生命種を絶滅させて欲しい」というSOSを受信した別の星から派遣された、「アルテミット・ワン」と呼ばれる最強存在の一角。
これは「タイプ・ムーン」「月のアルテミット・ワン」と同一存在と目されている、
アルクなどの全ての真祖のオリジナルとなった「朱い月のブリュンスタッド」と同格である事を指している。
……のだが、ORTは何を間違ったか一足先(五千年ぐらい)に地球に到着してしまったドジっ子らしく、
休眠しているのも「約束の時」のために待機しているかららしい。

なお、ORTは「タイプ・マアキュリー」…つまり、水星のアルテミット・ワンとされていたが、
一方で同時に「地球からのSOSを受け取る最強種ではない」という設定も明かされており、その正体を疑問視される事も多かった。
また、存在が明かされてから時間が経つにつれて型月作品で新しい顔ぶれが続々と現れ、
人が生きている限りORTと同じく死の概念が無いティアマト、そのティアマト(死の概念が無い存在)にすら死の概念を与える事ができるグランドアサシン、
武器や魔術による文明の攻撃を無効化してパワーアップする遊星尖兵セファール、そのセファールも倒した異聞帯オリュンポスの全能機神など、
アルテミット・ワンにも匹敵する&そいつらを殺せるのではないかというチートな連中がワンサカ出ており、
そうした連中に型月の主人公達は幾度と無く勝機を見出して勝利してきた。
そのため、メディアに出ていないとはいえORTも真正面からは敵わないまでも、
上記のティアマトにグランドアサシンが行った一件のように、何かしらの敵の特性の穴を突いたり打てる手がある。
……ファン達はそう思っていた。「黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン」までは。

+ 『Fate/Grand Order』におけるORT
突如として白紙化された地球上に現れた7つの異常領域「異聞帯」のうち、一つは南米に存在していた。
組織ノウム・カルデアは地球と人類史を元に戻すため異聞帯の切除に取り掛かるが、
南米の異聞帯は膨張する気配が無く自滅する可能性が高かったため、当初は放置する予定であった。
ところが6.5章トラオムにて遭遇したモリアーティの口から、異聞帯を作り出したとされる「異星の神」ことU-オルガマリーが、
南米異聞帯内にいるORTを自らの器にしようとしている事実が明かされる。
人類悪ビーストVIIでもあるU-オルガマリーが万が一にもORTと融合する事に成功すればカルデアに逆転の目は無くなるため、
急遽南米異聞帯の攻略が開始された。

ところがU-オルガマリーは諸事情で記憶を失い無害化。
代わりにクリプターのデイビット・ゼム・ヴォイドが、クリプター本来の目的を度外視してORTの覚醒を目論んでいた事が発覚し、
彼のサーヴァントであるテスカトリポカが令呪の後押しを受けて発動した権能により、「現在」と「ORTが現れた未来」が交換される事でORTが出現
メヒコシティを破壊し尽くし、オセロトルの亡骸が山の様に積もった状況で主人公達に襲いかかった。
もっとも、これは神霊テスカトリポカの権能による一時的な今と未来の「事象の交換」でしかなく、
時間切れにより、やがて空間は正常化。破壊された都市やサーヴァントなどは全て元通りとなった。
しかし、裏を返せばこのままではORTが本格的に復活するという未来がやがて到来するという証明でもあった。

異聞帯の王であるククルカンの協力もあって難を逃れたノウム・カルデア一向は、様々な出来事と平行して調査を続行。
その結果、この異聞帯ではORTが汎人類史よりもさらに早い6600万年前に地球に到達し、600万年前に一度目覚め、
10万年繁栄していた超高度文明を誇るカーン王国を滅亡させるも、声優的な意味でも不死身の勇者王カマソッソに心臓を奪われて再度休眠状態に追い込まれ、
その後カマソッソにより引き抜かれたORTの心臓(核融合炉)はこの異聞帯を管理している「マィヤ」の手で、
太陽を失ったミクトランにて第二の太陽として利用されていた、という情報が明らかになった。
しかも、ORTは敗れた際に異聞帯を維持する空想樹をリソースとして捕食、融合しており、
つまりORTが空想樹に変わり異聞帯を維持する役割を果たしており、空想樹を消してこの異聞帯をORTごと消すという手は使えないという事実も判明した。
よって、主人公はデイビットの阻止を試みるが幾多もの奮闘虚しく、
ORTはU-オルガマリーの心臓が移植されたデイビット自身を贄として、心臓を補填しついに覚醒。
これにより、地球の崩壊を防ぐため、ノウム・カルデアは遂に型月世界最強の一角とされる存在との戦いを余儀なくされる事となった。

この異聞帯でのORTは空想樹を喰らって自己進化を行っており、上記の通り自身が南米異聞帯を維持する空想樹を兼ねている。
同時に本来は地球上のあらゆる物質を水晶に変える水晶渓谷が植物を空想樹に作り替えて自らに適した環境に作り替える特性に変化している。
そのせいでただでさえサーヴァントが数体掛かりで挑まなければならない空想樹が大量に出現したのみならず、
それぞれが夥しいほどのの空想樹の種子をばら撒いて生物を殲滅する事態を起こした。
一応水晶化の性質も残っているようで、決戦時のマップでの移動跡は経過と共にどんどん水晶化が進行していた。

そしてこれまで説明されていた「死の概念を持たない」という設定も詳しく描かれ、
ORTは脳でも心臓でも失って致命的になる部位が無く、どの部位も他の部位で代替できる、
細胞一片になろうともそこから全身を復元する事が可能で、復元が終わればどんな状態からでも「再起動」できると明かされた。
一般的な生物であれば、脳や心臓など失う事が死に直結する致命的な部位があり、
それ以外の部位は場所によっては移植や自己治癒などで復元可能な場合もあるが、復元できない場合も当然ある。
そして一度「死んだ」なら、その後完全に肉体を修復したとしても二度と「再起動」する事は無い。
しかしORTは細胞一片になろうともそこから全身を復元する事が可能で、復元が終わればどんな状態からでも「再起動」する。故に、死なない。
ティアマトにグランドアサシンがしたような死の概念の付与は可能であり、「存在」を殺す直死の魔眼でも一時的に殺せはするが、
17分割された時のアルクェイドのように「新しく作り直す」事で修復する。
しかも、真祖のアルクですら一晩の時間を必要とした上に大きく消耗したのに対し、ORTはノーコストかつその場で瞬時に修復する。
よって、ORTの全細胞を一撃・一瞬で完全消滅させない限り絶対に滅ぼせない。

チートすぎる不死性も厄介だが、地球生物にとって近寄るだけで致死量になるほどの大量の宇宙線(放射線)を周囲に撒き散らす習性を持ち、
本気を出すと体内で核融合を起こして1万度から始まり100万度を超えるであろう超高熱を放ったり、攻防一体の超重力を用いたり、
直撃すれば神霊すら一瞬で蒸発させる宇宙嵐(ギャラクティカ・スーパーセル)を撃ったりする。

しかし、劇中で最も主人公を苦しめたのは「サーヴァント捕食」である。
ORTは倒したサーヴァントの霊基情報を奪い、さらにサーヴァントを介して、
ハッキングの要領で英霊の座の本体情報までダメージを与えることができるのである。
平たく言えば、ORTに倒されたサーヴァントは霊基情報を丸ごと強奪・捕食されて英霊の座とのリンクが破壊されてしまい、
座に退去できないため、再召喚すら封じてしまう。

一応サーヴァントは情報体故に消化まではできず、体内に「貴重な情報資源」として保存されるので、
一応ORTを討伐さえできれば捕食された英霊達のデータは開放され、英霊の座も元の状態に戻り退去が可能になるのだが、
「討伐」という前提条件がそもそもの最大の難所である。
よって主人公はこれまで苦楽を共にした英霊達を鉄砲玉のように送り込み、
ORTを倒し切るかサーヴァント達が尽きるのが先かという文字通りの総力戦を余儀なくされる。

そして、これ程のスペックを持ちながらも、上記の通り代用品の心臓で起動したため、汎人類史のオリジナルより劣っている。
よってカルデアはORTが心臓を取り戻す前に倒すことを余儀なくされるのであった
(同時に、十全のORTを活動停止に追い込み、心臓を奪って弱体化させたカマソッソはユーザーにその功績を大きく評価された)。
+ その理不尽さ(ネタバレ)
  • 寝起きの所で戦ってぶっ潰す!!→ORT側は久々の起床で寝ぼけていただけで戦ってるつもりすらありません
  • 主人公の無差別召喚による英霊オールスター攻撃→次々座とのリンクを破壊して徐々に呼べる数を減らしていきます
  • グガランナの脚×1000用意したエレシュキガル・オルタの自身への負荷すら度外視した攻撃で破壊
    戦っていた蜘蛛型の部分は人間でいう髪とか爪みたいなもので後ろのUFOが本体です
  • テノチティトランの宝具「重起動心臓都市オメテオトル・テノチティトラン」(対軍宝具)で攻撃→無視(それでも少しの足止めは達成した)
  • キングプロテアオルタ、紅閻魔オルタがORTの宇宙嵐発生器官を切除→その状態でも侵攻を止めずミクトランの原生生物死亡率が98%に到達
  • 生き残りのディノス、コヤンスカヤ、ディノニクス11兄弟の抵抗で削りに削り聖剣砲レイプルーフ発射
    →次世代宇宙嵐発生器官を「再生」ではなく「新造」して聖剣砲を相殺します
    →不要になった古い発生器官周辺を排泄するついでに新しい蜘蛛型部分へと形成
  • カルデアと共闘したU-オルガマリーがその身を犠牲に時間加速空間でORTの活動を停止させ、再び聖剣砲を発射し細胞の一片も残さずに消滅させる
    消滅直前にカルデアの召喚式を学習、空想樹の能力で「自分が英霊の座にいる」仮想未来を構築し、
        グランドフォーリナーのサーヴァント「オルト・シバルバー」を召喚します(自分で自分を召喚)
  • Fateにおける英霊(サーヴァント)は本人そのものを呼んでくるわけではなく、
    それにちなむ伝説や伝承・物語等を元にした虚像(のようなもの)を召喚する(だからバージョン違いがいっぱいいる)のだが、
    サーヴァントとしてのオルトを形作る物語は宇宙の歴史そのものとイコールレベルなのでまず桁が違う
  • ククルカンの助力を受け主人公が死力を振り絞りオルト・シバルバーを打倒
    ミクトランの太陽としているORTの心臓を存在証明(触媒)にして再召喚し続けます(しかもその度ごとに無限に強くなり続けます)

や り す ぎ だ 馬 鹿 !

『FGO』二部において、カルデア側が用意した戦力だけでなく、カマソッソという予想外の存在が発端でオルタ化して強化したサーヴァント、
各章のボス級である異聞帯の王・原住民全て、現地の敵性サーヴァント、クリプターのカドックやビーストのコヤンスカヤといった過去の敵、
さらには対立関係にある異星の使徒達までとも協力して打倒が試みられたのはORTだけである。
二部においては公式からも「(戦闘力の)インフレが凄いことになります」的なことをアナウンスされてはいたが、
まさかここまでになるとは誰も思いもしなかっただろう。
きのこ氏曰く「(型月世界における)物理最強はオルト」「知性体相手なら殺生院キアラ」だとか。
この言葉をソースにかコハエースでは「型月一武闘会」とかいうどこのバトル漫画だなトーナメント展開でORTとキアラペアという、
どう勝てと言いたくなるタッグマッチが催されたが、迎え撃ったのは「」接続首斬りバニーとEXTRAの立川セイヴァーでした。
結果はキアラの口からムリゲー宣言で不戦勝

そして最終的にORTの心臓から作り出した2つ目の人工太陽の化身として現れたククルカンが、人工太陽をORTに向けて放ち、
着弾させて共々燃え尽きさせたことで本体と同時に心臓が失われ、逆説効果による存在証明および英霊認定も行えなくなり完全に消滅。
敵も味方も団結したこれ程の戦力が手の内を出し尽くした上で幸運や偶然なども踏まえてようやく勝てた……
否、これほどの戦力が集結して応戦してもどこかで歯車が一つでも掛け違っていたら、
カルデアの旅は間違いなくここで終わっていた、まさしく蜘蛛の糸の上を歩くかの如きの綱渡りの戦いであった。

そして、遂に「ORT」の名の意味が本作で判明する。
その名は「One Radiance Thing」。直訳すると「輝ける唯一の存在」。
あまりにも身も蓋もない言い方をするならば「自分という存在を自分で崇め讃える、自分のために自分が存在する自分」という生き物という事であり、
まさしく「他の存在」とは絶対に相容れず共存できない絶対にして唯一の異種存在なのである。
「我が為に我有り」といった所か。
アイツにもこれだけのメンタルがあったなら…
空の境界』で蒼崎橙子が語った「怪物の定義(=人を恐怖させる条件)」である、
  • 言葉を喋れない(=意思疎通不可能)
  • 正体不明(=理解不能)
  • 不死身(=対処不能)
の三つ全てに該当する完全無欠の“怪物”であり、
さらには同族・同種が存在せず(仮に存在しても相容れず滅ぼすしかなく)自分さえいればそれでいいので自分だけで生きていけるという、
どこを突いても隙の無い完成品とも呼べる“敵”である。
また、長周期彗星の天体群「オールトの雲」(一言で言うなら太陽系の全周囲を覆っている星雲)より飛来した存在であると明言されたため、
これも名前の由来と思われ、同時に「水星ではなく彗星のアルテミット・ワン」であると確定した。

余談ながら、七章中盤で合計HP35億9225万という負けイベ確定の論外級戦闘イベントがあるのだが、
とあるユーザーが108日(42963ターン)かけて無理矢理倒したことが報告されており、SNS上で話題となった。

ただし『鋼の大地』における人類は、ORTを始めとする同レベルの脅威、つまり各惑星の最強種たる存在を撃破してたくましく生き延びている
人類がこのような状態になったからこそ地球は恐怖して他の惑星に助けを求め、同時にそれ故に人類はアルティメット・ワンを相手に勝利を重ね、
その力強く生きていく人々の姿は、完成された不変の存在であるはずのアルティメット・ワン達にすら影響を及ぼしていく……。
どんなに恐ろしく強大な脅威であっても、たとえ最後に敗北したとしても、生きるためにその脅威に挑むことは無意味ではなく、
そしてその滅びを乗り越えていくことは決して不可能ではないというのもまた、TYPE-MOON作品に共通するテーマの一つである。
それに実際ウルトラマンが来たら、ひたすら投げ飛ばしてマウント取ってチョップ連打してスペシウム光線か八つ裂き光輪と科特隊の援護で何とかなっちゃうと思う


MUGENにおけるORT

ドドコ氏の製作したキャラが公開されている。
ファイル名は「invade_starcell」。
主にUFOモードで、ランクは最低でも狂最上位A以上。
「宇宙嵐」や「ビーム」などの広範囲攻撃を用いる他、
『FGO』のバトルを再現して、規定時間経過か隔離攻撃を受けると強力な隔離攻撃を行ってくる。

出場大会

  • 「[大会] [ORT]」をタグに含むページは1つもありません。


最終更新:2025年01月03日 12:13
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