ドット絵

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ドット絵 - (2013/01/23 (水) 16:55:44) のソース

#image(Ryudot.png,title=リュウで見るドット絵)
**概要
ドット絵とは、主としてコンピュータ上における画像の表現方法・作成方法の一形態であり、
表層的には通常の目視でピクセルが判別できる程度に解像度が低いビットマップ画像と捉えることができる。
しかし実際には、限られたピクセル数の中で表現し切るという制約や
ピクセルを手作業で1つずつ配置するという作成プロセス等も含めてドット絵であると認識されていることが多く、
それゆえに単に写真などのビットマップ画像を拡大したものは、一般にドット絵とは認識されない。
当時は、ハードウェアにおける画面の解像度やメモリ容量、CPU速度などの制約、
およびそれを受けたソフトウェア的な制約から、やむなく限られた解像度・色数などでグラフィックを表現する必要性があった。
その中で、いかに美しさや視認性の良さを追求するかが、当時のグラフィック作成における肝であった。

現在ではハードウェア・ソフトウェアともに格段の進歩を遂げ、ドット絵によって表現せ[[ざるを得ない>お覇王]]状況は少なくなってきている。
しかし、携帯ゲーム機などの低価格なハードウェアや、携帯電話アプリゲームなどでは、
少ないピクセル数・色数での表現が依然として求められるほか、[[ポリゴンモデル>スカロマニア]]の表面に施されるテクスチャマッピングなどでも、
処理能力の都合から低解像度のビットマップ画像を用いる必要があるなど、ドット絵の需要は現在でも存在する。
一方、そうした必然性とは別に、近年のレトロゲームを見直す動きに付随して、限られた表現力から生まれるデフォルメ感や緻密さ、
俳句にも似たミニマリズムといったドット絵ならではの「味わい」に再び注目が集まり、
積極的な表現形態として、意図的な部分も含めて用いられる例も徐々に増えてきている。

&i(){(wikipediaより一部抜粋)}

**格闘ゲームにおけるドット絵
ドット絵は「ドット」の名が示す通り、色の「点」の集合体を一枚の絵として見せる技法で、
言うなれば、キャラクターを「視覚的」に表現する一番基本にして、重要な要素である。
昔のハードは制限が多く、限られたスペースに、最大で16色(透明色含)でキャラクターを構成しなくてはならなかった。
またハード次第では256色中から必要な色を選択しないといけない場合もある。

こと2D格闘ゲームにおいては限られたマシンスペックの中でアニメーションを多用するという性質上、
ポリゴンやCGの普及以降も&bold(){ドット絵の質の向上がそのままグラフィックの向上に直結する}という時代が長らく続き、
各社は競ってドット絵技術の向上に力を注いだ。
この傾向は2000年頃になるまで続いたが、2D対戦格闘自体の衰退やハードの進化とともに終焉を見せ、
手打ちによって作られた純粋なドット絵はほぼ失われた旧時代の技術となってしまった。
そのため現在でも1998~2000年前後に発売された『[[WARZARD>ウォーザード]]』や『[[ストIII>ストリートファイターIII]]』、『[[餓狼MOW>餓狼伝説]]』、『[[月華の剣士]]』、『[[CAPCOM VS. SNK]]』など
格ゲーブーム終盤のドットが対戦格闘、ひいてはゲーム業界全体でも最高峰の進化を遂げたドット絵であると言われている。
現在は他のジャンル同様CGやアニメ絵などからの落とし込みによるグラフィックが主流になっている。

**スプライトの高解像度化
マシンスペックの向上に伴い、『[[GUILTY GEAR]]』や『[[アルカナハート]]』、『[[北斗の拳]]』などの近年の2D格闘ゲーム作品では、
従来の解像度を4倍(2×2=4)以上にしたスプライトが使用されている。
&color(#778899){※ここでいう「スプライト」とは、2D画面に物やキャラクターを合成表示させる技術の名称である。&br()専用処理チップを載せる事で、コンピュータのCPUに負担を掛けずにキャラクターを画面上で動かせるため、&br()CPU処理能力の低い時代に於けるコンピュータで、激しい動きのあるゲームを作る際必須とされた。&br()今で言う背景画面とポリゴンキャラクターとの関係に近い。}
今現在では、その様な専用チップを搭載しなくともCPUの処理だけで充分に間に合うくらいのマシンの高速化や、
ポリゴンの一枚板をスプライトに見立ててそこにドット絵のテクスチャを貼って疑似的に表現できたりと、
この技術自体も「形式上」のものへとなりつつある。
ちなみにMUGENにおいては、解像度を4倍にしたものを&b(){[[D4]]}と呼んでいる。

画面の高解像度化により、キャラクターの衣装などをさらに細かく、滑らかに描写できるようになり、
また従来のドット絵のように、一度作ったキャラクターのグラフィックを再びドットで“打つ”必要性がなくなり、
絵をそのままアニメーションとして使用できるようになった事から、職人的なドット絵技術を必要とされることなく
美麗なグラフィックを演出できるといった利点も生まれた。

ただし、本来ドット絵とは、著しく解像度の低い描画を指すものであるため、
近年における解像度の高いスプライトをドット絵と呼ぶのは少し語弊があると言えるかもしれない。
今現在のアニメーション会社の制作作業と似ている事から、それを習って「セル画方式」とも呼ばれる事もある。
//BBのドット絵を載せるのはまずいのではないかということなのでコメントアウト
//各ゲームドット絵比較画像(クリックで拡大)
//&lightbox(dot_comparison.png,link=image,title=クリックで拡大,percent=30)

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**MUGENにおけるドット絵
ここを見ている諸兄がニコニコ動画をストレス無く見ているように、
昨今の市販PCの平均スペックが日進月歩で進化しているため
MUGENにおいてはハード上の制約が実質「無し」に等しく、絵の造りにそこまで気を配る必要は無いのだが、
2D格闘黎明期の当時はゲーム全体で使える色の数やスプライトのサイズ、同時に表示出来るスプライトの枚数などが
筐体のスペック上制限されていたため、その範囲内でいかにしてクオリティを追求するかが課題であった。
その為、ドット職人・ドッターなどと呼ばれる人達は、16色の[[パレット選出>カラーパレット]]からそのセンスが問われており、
それをどのような、どういった間隔で配置すると色に陰影が付くか、汚れを表現できるかという、高度な感覚を持っていた。
また、対戦格闘ゲームの場合、大量のアニメーションを要するため、一枚一枚根気よく打っては次の絵、
という風に忍耐力と持久力が求められる重労働なポジションでもある。
昨今の対戦格闘ゲームの、1キャラ辺りのドット絵の枚数は&b(){&color(red){平均800~1000枚前後}}と言われている。
滑らかなモーションを実現するには、やはり大量のドット絵が必要であり、それにかかる労力は生半可なものではない。
そのためドット絵の進歩に伴う人件費や開発期間の膨張が徐々に売り上げと採算が合わないようになり、
これも2D対戦格闘の衰退の一因となった。

オリジナルキャラ製作・公開を行っている人の多くは、この大量のドット絵を自ら描き起こして製作しているので、
その製作者の努力を尊重し、コメなりメールなりで応援してあげよう。
また「オリキャラのドット絵に初挑戦」という人は格ゲー用ドット絵のページもあるのでそちらを参考に。
「ドット絵講座」でググってみたり、ニコニコで検索をすればドット製作の解説動画等もあったりするので、
それらも参考にしてみると良いだろう。
[[MUGENドット絵板>>http://www42.tok2.com/home/mugenyes/index.html]]に自分のドット絵を投稿し、相談してみるのも良いかもしれない。

ちなみに特殊な例ではあるが「3Dで作ったグラを2Dに落とす」という手順で作られたものもある([[スカロマニア]]、[[DragonClaw]]、[[オトナシ]]等)。
市販のゲームでは『[[AOF 龍虎の拳外伝>龍虎の拳]]』、『神凰拳』、『[[闘姫伝承]]』の一部のキャラがそれに近い。
最近では凝ったもので[[パラパラ漫画状にした3Dモデリング画像をトレースしてドット絵で清書する>>http://kofaniv.snkplaymore.co.jp/info/15th_anniv/2d_dot/index.php]]という手法も出てきた。
手間が掛かるぶん「手の向きがおかしい」「中割りの軌道が変」といった微妙なミスや違和感を無くす事が出来たり、
これまで描き手の想像力を頼りに付けていた光の当たり方や衣類の皺や波打ち方といった表現を、
3Dの描画演算により現実味のある見本とすることでリアルな表現となったりと、メリットも大きい。
その一方で、デフォルメや誇張によってスピード感や迫力を表現しているキャラクターと並べると、
現実的な動きをさせていることが逆に作用し、”もっさり”しているように見えてしまうことがままあるのも事実である。

さらに市販ゲームの『[[ジョイメカファイト]]』では、低スペックなハード(=少ないドット絵しか用意できない)のファミコンで
滑らかな動きを得るために、
&b(){「キャラクターをバラバラなパーツとして表現し、それぞれを平行移動や回転させて動くように見せる」}
という荒技で、わりと大きな(身長が画面1/3程度、初代のSFや餓狼がこの程度のサイズ)キャラを滑らかに動くように見せている。
実際、このソフトの箱の裏に&bold(){「ファミコン上で巨大キャラがなめらかに動く」}とあるので、相当自信のあるシステムのようである。
この技術自体は「多関節キャラ」と呼ばれるもので、割と古くから存在しており、今でも利用されている技術でもある。
主に昔のアーケードゲームで良く多用されていたもので、『[[源平討魔伝>源頼朝]]』を始め、昨今では『スーパーロボット大戦』シリーズでの
戦闘アニメーションや、対戦格闘ゲームではマイナーながら支持のある『ランブルフィッシュ』シリーズも、この技術の応用・発展系である。
MUGENでは[[クー]]などがこの技法を使って作られている。
&nicovideo(sm6501529)

余談となるが、『[[アルカナハート2>アルカナハート]]』のキャラクターのMUGEN移植に関して、「ドットが荒い」「[[ジャギ]][[ジャギ]]」という話題が
しばしば取り上げられる事があるが、これは主にPS2版からキャラクターを引っ張ってきているために起こる問題で、
その元のデータからしてドットが荒い状態のため、移植素材としては厳しい物があるということである。
原因としてはPS2のメインメモリと『アルカナハート2』で使われているメモリ容量の違いがある。
アルカナハート2で使用されている「eX-BOARD」はメインメモリが1GB(VRAM含む)、PS2はメインメモリが32MB(VRAM兼用)と、
余りにも容量に開きがあるため、ドットのクオリティを落とさない事には容量が全く足りないのである。
ドットのクオリティが素直にRAMやROMの容量と直結している例の一つであり、
MUGENにおいてもクオリティの高いキャラクターは15~20MBのデータ量になっているが、それはこういった容量の使い方故と言える。

また、キャラを製作し始めるときにエミュ等を使用してキャラ画像を吸出しするとき、
スプライトの表示非表示機能が実装されていない物では、面倒だがスクショをいっぱいとって、
それをペイントなどで加工(背景の絵を消していく等)していくしか方法はない。
特にエフェクトやステージの効果がキャラ画像と重なる等の要因で上手く色を直す必要なども出て来るため、
その労力は並大抵のものではない。
これは「根性キャプ(キャプチャー)」とも呼ばれ、吸い出し方が確立されてない場合はこの手法が用いられる。
一部のツールでは、本体のスプライトに使われている色以外を塗りつぶして背景色にするなどの機能があるが、これも完全ではない。
まあ、手描きするよりは楽さ! 頑張れ作者たち!
&b(){ただしあくまで各社が苦労をして基礎から作り上げ、商品価値を持つように昇華したものである事を忘れない様に。}

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