「ぜんこくの やまださんには もうしわけないが
おれがあくの おおぼすの やまだだ!」
『くにおくん』シリーズの登場キャラクター。フルネームは
山田大樹(やまだ たいき)。
海外版『River City Ransom』での名前は「Slick」及び「
Simon」。
PCエンジン版『ダウンタウン熱血物語』での担当声優は
高木渉
氏。
ちなみにPCエンジン版『ダウンタウン熱血行進曲』では「たかぎ あゆみ」と表記されていたが、
これが
誤植だったのか当時の芸名だったのかは不明。「渉」を「歩」と見間違えられたのだろうか?
(※以下、説明不足だったFC版を補完したリメイク版設定を含む)
シリーズ主人公「
くにお」の中学時代の同級生。
元々くにおに並ぶほどの腕っぷしの強さがあり、時にケンカの共闘をした事もある関係だったが、
くにおとどちらが上かの決着を付けられなかった事、またくにおに好意を持っていた「
はせべ」を絡めた三角関係など色々あって、
「何とかして、くにおを上回る存在になりたい」という強い上昇志向を持つ。
喧嘩が強いだけでなく、
悪賢い一面も発揮しており、とある人物から会得した「あくのぱわー」を利用した
催眠術なども使える。
また進学校の冷峰学園に入学しているあたり成績も悪くはないようである。
代名詞は
ステージ上に落ちているアイテムを
超能力で浮遊させて飛ばす「やまだのじゅつ」。
また、
「げろろんぱ」なる珍妙な口癖を持つ。
表向きは優等進学校として名が通っていた冷峰学園に入学後、学園内に潜在的な猛者達がいる事を知り、
彼らを上手く扱えば自らの最終理念……冷峰学園を頂点とした階級体制の確立=くにおがマネできないような形で声望を得る事、が可能と判断し行動開始。
当時生徒会長だった鬼塚を洗脳術で支配下に置くと、彼から強引に生徒会長の座を譲り受け、別高校の実力者だった(
ダブルドラゴン兄弟など)を転入させる、
冷峰四天王達を手下にするなどして、周囲の高校を冷峰学園の下部組織にし始める。
その過程で、花園高校に侵攻するため「
りき」の彼女の「まみ」まで誘拐して脅したのが『ダウンタウン熱血物語』における前日譚。
この冷峰学園の蛮行に憤慨し、りきが立ち向かうのが物語のきっかけとなっている。
上記のように、本来『熱血物語』はりきが主人公と言っていい立ち位置で、りきの動向に気付いたくにおが半ば無理やり手助けに駆け付けるという形。
二人が冷峰四天王達を突破して最終的にダブルドラゴン兄弟も倒してまみを助けた後、
最終地点の冷峰学園屋上まで辿り着くと、そこで上記の台詞を言い放ち、
ラスボスとして立ちはだかる。
……のだが、ファミコン版ではそれまで名前が全く出てこなかった上に、りきが主役のはずなのにいきなりくにおに対し難癖をつけて襲い掛かってくる、
所謂後世のゲーム群で度々見受けられる
「ポッと出ラスボス」のかぶら矢となった存在とも言える。
初期作品ではくにおが何故りきを手助けするのか、そこに本来は山田との因縁もあった、といった部分について描写不足の面が目立ち、
当時のプレイヤーの中には、ラストに立ちはだかるのが何故こんなキャラなのか首をひねった人が多かったかもしれない。
おまけに正直ダブドラ兄弟より弱い。*1
ステータス自体はダブルドラゴン兄弟よりやや高いのと低いのが混ざり武器も持っているのだが、
単独なので2人がかりの兄弟より相手しやすいのはともかくとして、ラスボスとして悲惨な事に前述のやまだのじゅつを
使ってこない
(プログラム上は存在しているのだが、発動するプログラムが無い。おかげで後述の『時代劇』が初出だと誤認したプレイヤーが多数発生してしまった)。
さらに高難易度ではHPがオーバーフローしたのか、通常難易度ではかなり耐えるのに
一発でHPが0になって倒れてしまう。
泣かせるのぅ。
海外の有志により、 プレイヤーの使用が可能になったハックロムのプレイ動画 (1:32までやまだのじゅつを使用)
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生徒会長にも就任していたため、事件解決後の『ダウンタウン熱血行進曲』の頃には転校し冷峰を去る事になったのだが、
EDでは後任の生徒会長である「とうどう(藤堂護)」とつるんで悪巧みしていたりと相変わらずの様子。
登場する度に
元から大してあるわけでもなかった悪役としての大物感が喪失していき、
『びっくり熱血新記録』では
ゴミ箱に捨てられていた花束を拾って大喜びする程に落ちぶれてしまった。
泣けるぜ…。
その後『熱血べーすぼーる物語』では転校先の
明暗高校で大会に出場している(ちなみにこの高校、露骨に『
ドカベン』のパロディである)。
リメイク作である『ダウンタウン熱血物語EX』では必殺技追加とアルゴリズムの強化でラスボスに相応しい強さを手に入れており
(ついでにバグで使えなかったやまだのじゅつも使えるようになっている)、
また冷峰を裏切ってくにお達に付いた四天王メンバーを粛清するなど黒幕らしさを見せ付けた。
……のだが、追加された必殺技「背負いスペシャル」で画面端で投げられると
画面外に落ちて即死するバグが発覚。
強化されてもやっぱり瞬殺される運命であった。
やまだ「ひどいよ…こんなのってあんまりだよ…」
「弱肉強食! 世界はそれで回ってる!! 全国を支配するには金が手っ取り早い、それだけだ」
「ふふふ、お前にはこういう統率はできまい」
「そりゃあな…………でも、それをぶち壊すことはできるぜ」
「! ……ははは!! ほんとに1から10まで気に入らないな!」
二度目のリメイク『ダウンタウン熱血物語SP』では、さらに設定の作り直し・掘り下げにより、
過去の小者っぷりとは比べ物にならない程の悪の大ボスに相応しいカリスマ性を手に入れた。
旧作では前述のように裏方の黒幕という印象が強かったが、本作では上納金と暴力によるシステム確立で全国制覇を目標に掲げて周囲を魅了し、
そして明確になった洗脳術も交えて冷峰学園と付近の高校を数ヶ月のうちに支配。
さらに
ダブドラ兄弟さえ認めざるを得ないケンカの強さで、洗脳術無しでも冷峰学園四天王を従えるに至った様子が描かれている。
*2
メインの物語を追っていくと、くにおは冷峰学園の支配に「自分の知っている誰か」が陰で暗躍している事を勘付いているそぶりを見せ、
最後には旧作と同じく屋上でくにおとの決戦になるのだが、戦闘前のくにおとのやり取りからしてほぼシリアス一辺倒。
……やまだからの会話の中身を要約すると「冷峰学園まで乗り込んできたくにおが気に入らない」「以前と違う事をタイマンで味わわせてやる」であり、
実はファミコン時の会話をほぼなぞった内容なのだが、あまりの雰囲気の違いに驚いた人も多いのではないだろうか。
そして、真シナリオでは一度はくにおに膝を屈するも、くにおを越えようとする我欲を爆発させ、
自己洗脳により自己の限界と術後の反動を無視して身体能力を強化した「洗脳山田」が真のラスボスとして立ちはだかる。
「げろろんぱ」など、わずかに
コミカルな面影も残るが、悪意と狂気を振りまき、かつての級友を上回るため極限まで執念を燃やす姿は、
ファミコン時代を知っている人から「こんなのやまだじゃない…」と戦慄されるほど。
また、上記の洗脳山田を倒した状態で迎える真エンディングを見る事で追加されるシナリオ『冷血硬派やまだくん』で
念願の主役に抜擢された。
このシナリオでは山田が悪のパワーを手に入れてからダブルドラゴン兄弟を冷峰学園に引き入れるまでを追体験でき、
貴重な服部学園の学生服を着たダブドラ兄弟の姿を見る事ができる。
『くにおくんの時代劇だよ全員集合!』では、
物語終盤に唐突に仲間にして欲しいと懇願してくる謎の男「じゅうきち(重吉)」役として登場。
こちらではやまだのじゅつがちゃんと実装されているため使用可能。
まあFC版の時点で全技使用可能な隠しパスワードがあったり、
クオリティアップ版では習得アイテムがイベントで手に入るので仲間にしなくても使えるが
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やまだのじゅつのFC版での性能 |
コマンドは↑↑で発動・その後任意のタイミングでAボタンで発射。
即発射も出来るし、いつまでも待ち続ける事も可能だが発射を止めるという事は不可。
なお、発射待機状態を続けていると、一度浮き上がったアイテムは上下しながらも少しずつ高度が落ちていき、
地面に当たると再度大きく浮かび上がるという挙動を繰り返す。
発射すると、浮き上がったアイテムは自キャラ近くの敵キャラ一人を目掛けて殺到する。
威力は、 その直前までに各アイテムに与えられた攻撃力に依存する。
つまり、「アイテムの持ち主が殴られて落としたアイテム」は必ず1ダメージにしかならず、
「投げ付けられたアイテム」や「置いてある所を蹴って滑らせたアイテム」はそれぞれの威力を保持している。
ジャンプ中も使用可能で、しかも「腰掛けきうきう」や「人間ドリル」同様、ジャンプ中に使用して硬直が解けると
ジャンプの上昇及び落下の慣性は残るが地上ニュートラル状態に戻るため、再ジャンプが可能になる。
よって ジャンプ→やまだのじゅつ発動・発射→ジャンプ…の繰り返しで永遠に空が飛べる。
特に装備品「すけすけのたび」を装備してジャンプ力を激増させ、左右に歩きながらジャンプしてこの技を使い、
今度は左右反対側に再ジャンプして…を繰り返すと、 段々加速して手が付けられない程のスピードで飛び回る変態的機動力を発揮出来る。
しかもその間延々とアイテムが相手を襲い続けるので、相手からしても本当に手の打ちようが無くなる
(「にとろあたっく」は必ず接地しての体当たりになるので、段差の違いはクリアできても、ある程度高くジャンプした相手には当たらない)。
ただし、ダッシュジャンプでは再ジャンプ時に左右の切り替えしが出来ないので、最初のジャンプは歩きながら行う事。
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重吉の正体 |
「めえどのみやげに きかしてやらぁ!
すべては あっしらふたりが たくらんだこと…
おめえたちゃ まんまとだまされたってぇわけだ」
実は彼は、物語の黒幕「あさじろう(浅次郎 演:藤堂)」の相棒であり、
終盤で「へいしち(平七 演:小林)」が教えてくれる「浅次郎の裏には誰かいる」という情報の正体。
彼を仲間にして物語を進めると、ゲーム開始時に最初から連れていた 殺しまくるとりきごろうが来てくれるハゲの奴仲間である、
弟分の「つるまつ(つる松 演:園川)」が 洗脳されて敵となってしまう。*3
この時のボスつる松は専用のステータスを持っており、倒すと洗脳が解け、許すか否かの選択肢が出るので、
許せば再び仲間に元のステータスと共に戻り、許さなくてもエンディングには元の鞘に納まっている。
そして最後、浅次郎から喧嘩状が届き、赴くと、浅次郎の隣には重吉の姿が。
ここで上記の台詞と共に正体を現し、二人組のラスボスとして襲い掛かってくる。
重吉自身はステータスは左程高くないが、前述の「やまだのじゅつ」での後方支援は非常に厄介。
各ステージにいつもその辺りにアイテム達が落ちているという見慣れた光景が、技の発動と共に一変、全てのアイテムが突然浮き上がり、
一斉に敵の凶器として猛スピードで襲ってくるという異様な光景に様変わりさせるこの技の演出は非常にインパクトが強く、
ラスボスが使ってくるに相応しい特別感のある必殺技であった。
そして時には画面外から目視では回避不能な速度で飛んで来るのだからたまらない。
幸いにもCPUが使う場合は浮かせてから即発射する事は無く、一秒少々の猶予をくれるので、距離がごく近ければ隙になってくれる。
また、発射されて飛んで来るアイテムには上向きのベクトルが加わる事は無いので、浮き上がったアイテムより高くジャンプしていれば当たらない。
ただしCPUが使った場合は、そのCPUがターゲッティングしている相手に向かってアイテムが飛んでいくので距離は関係無い点に注意。
一方で相方の浅次郎は、必殺技は相手ダウン後の追撃投げ技である「にんげんへり」一つなので、普段の立ち回りで使ってくる必殺技は無いが、
ステータスが高く、後衛のじゅうきち、前衛のあさじろうと役割分担をしてやまだのじゅつに巻き込まれまくる不憫な姿を見事な連携を見せてくる。
なお、この頃に「ぶんぞう(文蔵 演:豪田)のいえ」という仲間交換施設へ行くと、重吉が「あっしをつれてってくれ」と言うので、
連れて行った場合は何故か二人に増殖して相手方にも重吉がいる。
ここでプレイヤーのくにまさ(くに政 演:くにお)が「へんしんわざ」を使えば重吉が三人になる。
浅次郎も重吉に変身しろよ空気読めねーなおめーはよー
ちなみに重吉の加入を断った場合は「でなおしてくるぜ」と去っていき、何故かその後一切登場しなくなる。
この場合は最終戦も浅次郎が一人で出てくるだけとなるので、最後に雑魚に毛が生えただけ同然の相手を倒すだけの『熱血物語』の再来になる。
しかも本作は一人プレイでもCPU操作の相方が必ず付く。哀れなり浅次郎……。
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『熱血魔法物語』では謎の魔法使い「イゴス・ルクラミーノ・ヤ・マーダ」として登場。
なお本作ではヤ・マーダ、クーニー(くにお)、カズミ(はせべ)の3人は異世界(ダウンタウン?)から来た事が示唆されているのだが、
ほぼ打ち切りEDのような形で物語が終わってしまったため、結局どういう事なのか不明のままとなっている。
『
River City Girls』では2面ボスとして登場。
基本的な設定は本編に近いが、両手に包帯を巻いていたりと厨二感マシマシに。
こちらでもやまだのじゅつに相当する黒魔術を使用する。
決して弱くはないのだが、回復アイテムが持ち込めないという理由で手強かった1面の「
みすず」と違い、
回復アイテムを持ち込めるため、相対的にみすずより倒しやすいボスとなっている。
キャラ崩壊の激しい事で有名な漫画『おれは男だ!くにおくん』では、珍しく良い意味でキャラ崩壊を起こしており、
原作程陰湿なわけでもなく藤堂とつるんで悪だくみもする事も殆どなく、
ダブルドラゴン兄弟がくにおに負けた際に敵討ちに現れるなど男らしいキャラとして描かれている。
またくにおがピンチに陥った際はダブドラ兄弟と共に駆け付けて共闘するなど、ライバルキャラとしての熱い一面も見せていた。
「この おれの あくの ぱわーが つうよう しないなんて・・・げろろんぱ。」
MUGENにおけるやまだ
オーグラ氏(現・中村氏)によるやまだが存在していたが、現在は公開停止。
アフロン氏の『くにおくん』キャラを改変したもので、『ダウンタウン熱血物語SP』の動作を元にしている。
格ゲー風の
コマンドは搭載しておらず、アクションゲームの感覚で操作できる。
使える技を細かく選択できるモードセレクトを搭載しており、レトロモードにすれば旧作品に存在した技だけで戦う事も可能。
AIは搭載されていない。
『ダウンタウン熱血物語SP』のやまだなのでフォルダ名は「Yamada-SP」なのだが、
『餓狼伝説SP』の山田と見間違える可能性がある。
幸いあちらの山田にはフォルダ名が被っているキャラはいないようなので、誤ってファイルを上書きしてしまう事は無さそうだが……。
「こんど あうときは こうはいかないぜ・・・
よおーっく おぼえとけよ・・・がっくーん♡」
出場大会
*1
ストーリーの中では、ダブドラ兄弟の方が「女をさらった二人組」としてのキーワードが何度か出て来るため、
こちらの方が物語のボスとして印象を残しやすかった。
*2
やまだとしては、冷峰四天王も洗脳術を用いて忠実に動く手ゴマとして動かしたかったようだが、
もちづき=気持ちの良いケンカをしたい、こばやし=自らの損得を第一としてやまだの行動を見極めたい、など、
強固な生き様と、それぞれの四天王軍団を束ね得る精神の強さもあって、完全な洗脳支配には失敗している。
ただし、四天王それぞれ何らかの形でくにお&りきと戦ってみたいという願望があり、やまだはそれを上手く利用した形となった。
*3
ただし、説明書やゲーム中に明確にそのような説明が有る訳ではなく、
あくまで重吉を仲間にしていて、つる松を文蔵の家に留守番させている事が条件で発生するという事のみである。
また、「熱血物語」でも山田が冷峰学園の生徒を洗脳していたという情報は無く、
二作目のリメイクである上記の『ダウンタウン熱血物語SP』での山田の洗脳術については、この時代劇での展開を参考にしたものと思われる。
最終更新:2025年06月21日 03:38