**格闘ゲームの「ライン移動」 &image(terry_sway.gif,left) &color(red){&size(25){&b(){&i(){ 「こっちには来れまい」}}}} #clear 本来は縦方向(ジャンプ)と横方向にしか動けない2D格闘ゲームにおいて、奥行きのある戦いを表現するために 本来のライン(メインライン)とは別のラインを用意し、複数のラインを行き来しながら戦うというシステム。二次元にもZ軸はあったんだ! 特に『[[餓狼伝説]]』シリーズの代名詞で、ベルトスクロールアクションの流れを汲む1991年発売の初代の時点で 既に作品の肝として2ラインによる奥行きの概念が表現されている。 いわゆる「避け」系の動作に影響を与えた面はあるものの、非常に独創性が強いシステムなためあまり普及はしなかったが、 特に&bold(){多人数同時対戦の存在する作品}でよく見かけられる。 ***ラインシステムが採用されている作品 ・[[風雲黙示録]] ・[[ナックルヘッズ]](4人同時対戦) ・[[ギルティギアイスカ>GUILTY GEAR]](4人同時対戦) ・ガーディアンヒーローズ(6人同時対戦) ・幽☆遊☆白書 魔強統一戦(4人同時対戦) 格闘ゲーム以外では上記の『ガーディアンヒーローズ』や『シンフォニア』以降の『[[テイルズ>テイルズオブシリーズ]]』が同様のシステムを採用していることがある。 //他にもトップハンターとかいろいろあるけどいちいち書かないでおく また、あくまで2D格ゲーで奥行きを表現したシステムなため、『[[痛快GANGAN行進曲]]』のようなベルトスクロールアクション風や 3D格闘ゲームのように無段階に手前と奥を移動できる作品は「ライン移動」とは言わない。 原則としてそれぞれのラインは独立しており、通常の攻撃ではラインをまたいだ相手に直接干渉することはできない。 簡単に言うと、2Dのフィールドが手前や奥に複数存在しているという形になる。 別ラインにいる相手に干渉するには、自分が相手のいるラインに移動する、もしくは相手が自分のいるラインに来ることで 両者が同じフィールドに立つか、ラインを超えた攻撃が可能な特殊動作を行う必要がある。 ***『[[餓狼伝説]]』シリーズのラインシステム 手前と奥の2ライン制で、ラウンド開始時は手前ラインで始まるが奥ラインでも戦うことが出来る。 初代の時点ではプレイヤーは自分から能動的にラインを超えることはできず、CPU戦でラインを超えた相手を追いかける、 もしくは相手の攻撃によって別ラインに飛ばされることでのみジャンプ攻撃による移動(ライン移動攻撃)が可能であった。 またこの頃から別ラインに障害物があり、飛ばされるとダメージを受け戻ってくる1ラインステージは既に存在していた。 続編の『餓狼伝説2』では自ら別ラインに移動することが可能になり、ライン移動攻撃の他に素早い前転移動や 相手を別ラインに吹っ飛ばす「ライン飛ばし攻撃」が追加され、より大きく展開に影響するようになった。 このシステム体系は『餓狼伝説SPECIAL』の大ヒットによって完成を迎えている。 『餓狼伝説3』では中央(メイン)・手前・奥の「3ライン制」が導入され、基本的な戦闘は中央のみでしか出来ず、 それ以外のラインは「スウェーライン」として攻撃を避けるのに特化した(技も出せず防御もできない)ラインとなった。 その他スウェーラインを移動しながら攻撃する技や対ライン攻撃判定を持つ技の追加など、様々なシステムが導入されている。 しかし操作が複雑で解りにくく(ラインによってAB・BC同時押しを使い分ける必要があり、対ライン攻撃もそれに準ずる)なり、 更に同作はライン関連以外のシステムも複雑化を極めてしまった事もあり、不評を買ってしまう結果になった。 続編の『REALBOUT餓狼伝説』では操作関連が一新され、Dボタンがライン関連専用ボタンとなり簡略化が行われた。 また対ライン攻撃判定や相手をスウェーラインに送る技が増え、3の頃ではそれほど見られなかった 「コンボで相手を(防御できない)スウェーラインに送り、攻撃してダメージを増やす」という戦法が確立された。 『REALBOUT餓狼伝説スペシャル』では2ライン制に戻り、手前・奥どちらのラインでも戦えたり 対ライン攻撃もガード可能になるなど餓狼SPとRB餓狼を合わせたようなシステムとなった。 これにより前作のような「相手を別ラインに飛ばして対ライン攻撃→メインラインに引き戻すコンボ」に加え 「相手を別ラインに飛ばして自分が追いかけるコンボ」という種類の連続技も可能になった。 『REALBOUT餓狼伝説2』ではさらに簡略化され、通常と奥の2ライン制で奥ラインは完全なスウェーラインとなった。 対メインライン攻撃が中段・下段など種類別になったものの、ラインを巡る攻防は徐々にそれほど重要視されなくなり、 そしてシリーズ最終作『餓狼 MARK OF THE WOLVES』では代名詞と言われたラインシステムそのものが廃止されてしまった。 作品ごとのシステムの更に詳しい仕様・変遷は[[餓狼伝説]]の項を参照。 ***『風雲黙示録』のラインシステム 基本的には『餓狼SP』のように手前と奥の2ライン制だが、奥ラインが普通のフィールドではなく 天井のパイプにぶら下がったり途中で床に穴が空いたりと非常にギミックに凝った作りになっている。 また違うラインに向かって飛び道具が撃てたり、ライン移動攻撃も全部で4種類もあるなど非常に多彩になっており、 餓狼シリーズのラインシステムを更に発展させたシステムだと言えるだろう。 続編の『風雲SUPER TAG BATTLE』では1ラインになったが、奥ラインがパートナー待機場所になっており、 戦闘中にリアルタイムで生交代ができて奥ラインからパートナーが飛んでくる(場合によっては直接攻撃できる)ので、 ラインシステムの要素を少しだけ含んでいると言えなくもない。 //KOFの援護攻撃とはまた意味合いが全く違う 更に詳しい仕様は[[風雲黙示録]]の項を参照。 ちなみにKOFシリーズではライン移動は実装されていないが、[[疾風>ショー・疾風]]の(空中)飛鳥蹴り、 [[香緋>李香緋]]の転身斬崩牙など、元ゲームのライン移動を再現した技も存在する。 ---- **MUGENの「ライン移動」 MUGENには通常奥行やZ軸というものは無く、ラインも存在しない。 そのため虻蜂氏の[[クラウザー>ヴォルフガング・クラウザー]]のように「見た目はライン移動しているように見える無敵移動」 といった形で原作を擬似的に再現しているキャラが多い。 厚い[[弾幕]]などを悠々と回避するその様は、しばしば「軸の[[アルカナ>アルカナハート]]」などと呼ばれる。 正直「ずるい!」という声も聞こえてきそうではあるが、[[原作再現]]だから[[しょうがない>○○だからしょうがない]]。 また逆に、ライン移動やクイックアプローチで避けるのを想定された他の作品よりも巨大な飛び道具が猛威を振るう、といったこともある。 [[マイク・ハガー]]のように元ゲーに格ゲーのようなガードが存在しないベルトスクロールアクション系ゲーム出身者が なんとか相手の攻撃をそのまま受けない為の苦肉の策の場合もある。 実はMUGENでも、ラインシステムを再現できるようにZ軸を設定・生成する機能は搭載されている…… のだがこの機能、どうやら実装途中のままで止まってしまっているらしく不備がいくつか見られる。 加えてなんと、ステージ側で設定を対応させていない限り&bold(){一切使えない}というあんまりな仕様。 もちろん今までに存在するほぼすべてのステージがZ軸を使うことなんか想定してないわけで…。 ごく最近まで多くの人に存在すら知られていなかったのもこういった事情からだろう。 そのため、不具合の無くどんなステージでも使える前述の擬似ライン移動処理が主流となっている。 コンプゲーや特別な大会、ストーリー動画の演出なら本物のライン移動を活用できるかもしれない。 まだまだ注目され始めたばかりなので、これからの研究次第ではMUGENにラインバトルの時代がやって来るかも? ***使い方簡易まとめ -ステージのtopboundで奥行、botboundで間口の広さを設定できる。これらがゼロのままだと使用不能。奥行にはマイナス値を使う。&br()topscaleとbotscaleでズームを調整できる。topz/botzで指定した位置までキャラが来たときにtopscale/botscaleの縮尺になる。 -キャラのZ軸を移動させるにはstatedefのvelset = 0,0,zを使う。ステートコントローラーでのZ軸の移動は今のところ不可能。&br()トリガーでキャラのZ軸位置の情報を取得することは可能。 -hitdefにattack.widthのパラメーターを指定する事で攻撃にZ軸の幅をつけられる。ただし当たると自分と同じ軸に引き込んでしまう。&br()デフォルトではすべての攻撃に8が設定されてる模様。&br()引き込まずに軸が違う相手を攻撃したい場合はattack.widthの設定を外したProjectileやHelperで。 ***参考動画 |&nicovideo(sm9766528){280,180}|&nicovideo(sm9769335){280,180}| |&nicovideo(sm9774613){280,180}|&nicovideo(sm9776374){280,180}| |&nicovideo(sm9778140){280,180}|&nicovideo(sm9791058){280,180}| ----