光月おでん


「煮えてなんぼのォ!! おでんに候!!!」

尾田栄一郎氏の漫画『ONE PIECE』の登場人物。
アニメの担当声優はジャッキー・チェンの吹き替えなどでお馴染みの 石丸博也 氏。
+ ボイス
『バウンティラッシュ』
ワノ国将軍跡目
九里大名
『海賊無双4』

ワノ国の先代将軍光月スキヤキの息子であり、モモの助と小紫こと日和の父。
新世界編より20年前にカイドウにより銃殺され本編時点では故人だが、
敵味方問わず多くの影響を与えており、死してなおワノ国編における重要人物として扱われている。
かつてエドワード・ニューゲート率いる白ひげ海賊団でエースの前任として二番隊隊長を務めていた男で、
後に海賊王ゴールド・ロジャーのロジャー海賊団に身を置き、最後の島「ラフテル」に到達したクルーの1人でもある。

性格はルフィのような自由奔放・豪放磊落と呼ぶに相応しい型破りかつトラブルメーカーだが、
迫害を受けていた異種族を偏見なく自分の元に迎える等、世間や差別偏見に流されず己を貫く義理人情に篤い人物でもあった。
一方でそれが祟って一人で罪や責任を背負い込もうとする面もあり、それが後に悲劇に繋がってしまうのだが。

上記の性格からワノ国の鎖国体制を窮屈に感じており、長らく外の世界を見る事を望んでいた。
航海の才能が無かったのと、ワノ国の周囲が独特の海流に覆われて操船に難航するエリアだったため長らく実現しなかったが、
たまたまワノ国に離陸した白ひげ海賊団に「次期将軍」の立場をそっちのけで無理矢理同行し、
止めようとしたイゾウ(後の白ひげ海賊団幹部)と共に紆余曲折を経て、海賊団入りを認められた。
また、この際に後の配偶者となる天月トキと出会っている。
ある日、白ひげ海賊団とロジャー海賊団が戦闘という名目でプレゼント交換会した際に、
光月家に伝わる一子相伝の暗号が外の世界で「古代文字」と呼ばれている事を知り*1
ラフテル行を渇望していたロジャーから同行を求められる。
白ひげは仲間の引き抜きは許さんとブチ切れるが、おでんも古代文字と光月家の関係が気になり、
何よりロジャーという男に感じるものがあったため、白ひげに頼み込んでこの話を受諾。
結果論ではあるが、ロジャーのラフテル到達に大きく貢献した。

しかし、おでん不在の隙にカイドウと組んだ黒炭オロチにワノ国を乗っ取られてしまい、
自身もカイドウに敗れて「将軍の謀反人」として大衆の面前で釜茹での刑という形で公開処刑に処される。
カイドウから「全員が釜に入った状態で1時間耐える」という無茶な条件を指定され、
真っ先に釜の中に入って部下の赤鞘達が乗った状態の板橋を持ち上げ、頭上に担ぎ上げ、強引ながらも全員が釜に入ったと認めさせ、
常人ならば数秒で焼死する程の灼熱の油に浸かりながら9人もの巨漢を支え続けるという到底無茶としか思えぬ荒行を実現したが、
オロチは約束を守る気はなく銃殺刑に切り替え、最終的にせめてもの情けと言わんばかりにカイドウに射殺された。
しかし、最後の力で放り投げた部下の赤鞘達は逃がし切り、その行為が後の本編に繋がる事になる。
なお、今際の際の「煮えてなんぼの おでんに候」は最後の一節まで言い切る前にカイドウに引導を渡されて中断されており、
「おでんに候」の部分はワノ国の住民によって後付けされたものである。

オロチの国乗っ取りとそれによる民草への暴政を許してしまったのは、
おでんが後釜を立てすらせずに自身の夢の為に国をほっぽり出し、一時帰国時に国の異変を目の当たりにしながらも再度海に出るなど、
為政者・統治者としては無責任な行動に及んだためであり、読者からはこの点を非難される事もある。
ただし、荒れ果てていた九里を復活させ豊かな地に戻すなど、統治者としての能力は無かったわけではなく、
白ひげ海賊団で隊長職として認められ慕われるなど、カリスマ性もあり、
むしろ能力よりも窮屈さやしがらみを嫌う性格の方が統治者や為政者には向いていなかった。
一応本人も立場を無視して無責任な行動をしていた事に思う所はあったようだが。

ワノ国が鎖国政策だったのが災いし、白ひげ海賊団がおでんの死を知ったのは事件の数年後であり、
加えて白ひげと並ぶ四皇に数えられるカイドウの驚異性により下手に戦争を起こすと甚大な被害が出るため、
仲間想いの白ひげですら仇討ちを先送りせざるを得なかったという。

また、死の間際にカイドウへの報復合戦を「20年後」と指定したため、
トキの「トキトキの実」の能力でタイムスリップしたモモの助一行はともかく、
日和やタイムスリップしなかった部下達を長期に渡りオロチの暴政で苦しめる事になり、
何故20年というあまりに長い歳月を指定したのかと部下の1人であるアシュラ童子から疑問を抱かれていた
(一応彼も意味なくおでんがこのような指示を出すはずはないとは考えていた)。
どうやら彼がラフテルでロジャーと共に発見した「何か」を根拠に、
20年後にカイドウを倒せる何者かが現れる事に確信を抱いていたようだが……?

+ 「ワノ国」詳細
新世界に存在する、江戸時代の日本のような国。
強烈な鎖国体制を取っており、侍と呼ばれる剣士達が強すぎて海賊はおろか世界政府すら立ち入れない強国とされていた
しかし、本編時点では将軍黒炭オロチ及び同盟相手である四皇カイドウのクーデターにより、
モモの助の父親である先代大名だったおでんが処刑され、彼らの暴政によりディストピアと化しており、
彼らの兵器開発を原因とした工場排水や廃棄物による公害で水や動植物は汚染され*2、一般の民草はその日の食事にも困窮する程。

大海賊時代以前から、普通の島国は世界政府加盟国となり海軍の庇護下に入るか、
四皇等の強力な海賊のナワバリとなり物資と引き換えに身を守るのが普通であり、
そうした手段を取らず自国の戦力のみで外界の脅威を撃退していたワノ国は鎖国体制でありながら相応の知名度があり、
ルフィ達もワノ国特有の存在である忍者や侍などを噂話レベルで知っていた。

おでんは幼い頃からこの鎖国体制に疑問を持っていたが、
これはワノ国が記録が全て消失して研究すら禁じられている「空白の100年」と浅からぬ関係にあり、
国にある「何か」を隠すための政策だったらしく、おでんはラフテル到達と共にその事実を知る事になった。

ワノ国編以前から作者は大の時代劇好き&落語好きを公言しており、劇中でも随所にそのリスペクトが見られる。

+ ネタバレ注意
おでんはラフテル到達後にワノ国を開国しようと試みたが、
その真意はワノ国に隠された古代兵器プルトンを解放せんとしたためであった。

ワノ国は鎖国が始まる800年前までは普通の島国だったが、当時の民は国の周辺に強固な壁を築いて国を外海の巨大な力から守らんとしたのだが、
これにより外敵の侵入こそ防げたものの壁の内にダムのように雨水が溜まり続け、遂には都が水没するまでになってしまう。
故に、人々は水没した土地から離れ巨大な藤山の中腹に新たな土地と都を築き、それが本編時点のワノ国である。
プルトンはこの水没したかつての都の深部に保管されており、この事実は光月家にのみ伝えられていたのだが、
オロチの謀略によりおでんは父スキヤキからこの事実を継承される機を失っており、
ロジャーと共にラフテルに到達した際にプルトンの事実を知った模様。

即ち、ワノ国が鎖国政策を始めたのは「何か」からプルトンを隠蔽・守護するためで、
外壁を取り除き島本来の姿を甦らせる事=プルトンの開放である以上、
おでんが死の間際に部下達に開国を命じたのは、彼の目的が「プルトンを世に出そうとした」事は明白である。

しかし、800年前の光月家とワノ国がいかなる経緯でプルトンを隠す事態になったのか、
おでんがなぜ20年後を指定したのかは不明であった。
スキヤキによれば、プルトンの存在は言い伝えられていたが、隠した経緯までは伝わっておらず、
おでんが海外で何を知ったのかも分かりかねるとの事。
ただし、彼の記した航海日誌には多少の情報はあったようで、
カイドウの娘・ヤマトを介して航海日誌を閲覧した霜月牛マルらワノ国の大名達は、
おでんが20年後を指定した発端である「何か」を知り、さりとて彼らでは年齢的に20年は待てないため、
ヤマトの命を救い20年先まで生かす事が自身らが間接的に未来の戦いに参戦する方法であるとして、
彼女を解放して後を託している。

そして、エルバフ編において興味深い情報が提示された。
同章では神典「ハーレイ」という伝承とエルバフの宝樹アダムにて「空白の100年」の時期に描かれた壁画が登場し、
その情報では世界は二度滅亡しており記された「第三世界」は現在のONEPIECEの世界の話、
つまりこれから起こる事が記されていると言われているのだが、
そこには「太陽の神」を筆頭に複数の種族が「悪魔のような何か」と戦う光景があり、
そこには光月家らしきワノ国の侍の姿や、プルトンらしき戦艦も描かれていた。
巨人族が他種族と交易を結んだのはマザー・カルメルの仲介があった本編より100年前の話で時期が合わず、
エルバフの巨人族であるリプリーも「種族間に戦争が有っても(他種族と)交流なんて無かったはず」と称している。
そして上記の通り、おでんもまた死去してから20年後に何かが起きることを強く確信していた。
これらの状況証拠から、ラフテルにておでんはハーレイ以上に詳細な形で「ワノ国の者達がいずれニカと共に大きな戦争に参加する」と知っていた、
だからこそカイドウやオロチの支配が永遠ではないことも把握していた可能性がある。

ゲーム『海賊無双4』ではまだ本編で登場前だったため、オリジナルストーリーとなったワノ国編で名前のみ登場。
そしてカイドウとの死闘の流れが原作でまだ描かれていなかったことにより、
カイドウからは「おれとの実力差も弁えず部下を多数死なせたバカ殿」とボロクソに言われている。
多分原作のカイドウが聞いたら、大威徳雷鳴八卦とかをゲーム版の自分にぶち込んだ事だろう
(なお、アニメ版でもモモの助の回想で似たような台詞を発していた)。
その後DLCでプレイアブル参戦している。

その出で立ちや釜茹での刑に処される最期、一緒に茹でられる部下を持ち上げ生きながらえさせようとした所などは、
かの忍者義賊石川五右衛門がモデルだろうか。
また、将軍の寵児でありながら諸国漫遊に赴いたり、城下の民と親しい所は、所謂『水戸黄門』の徳川光圀、
ならびに『暴れん坊将軍』の徳田新之助こと徳川吉宗の要素も含まれているかもしれない。
また織田信長がモデルという声もあり、破天荒な立ち振る舞いは信長の「うつけ」時代のエピソードをモチーフとし、
名前も「織田」の「田」を「でん」と読み替えて食べ物の「おでん」に準えたのが由来ではないか……などの推測が挙げられている。


MUGENにおける光月おでん

Joey Jostar氏による、『JUS』風ドットを用いたMUGEN1.0以降専用のちびキャラが公開中。
高いコンボ性能や超スピードの突進技による近接攻撃に加えて、
斬撃を放つ飛び道具を投げつける遠距離攻撃など、
遠近共に隙の無いオールラウンダーな性能のキャラとなっている。
超必殺技は花弁が舞い散る演出が美しい。
AIもデフォルトで搭載されている。
DLは下記の動画から

出場大会



*1
おでんも外界に出てから知ったらしいが、「歴史の本文」を作ったのは光月家の先祖である。

*2
作者が意識したかどうかは不明だが、トラファルガー・ローの項目にも注釈されている通り、
作者の故郷の熊本県はかつて公害で大きな被害を受けている。


最終更新:2025年04月25日 13:31