ガウリイ=ガブリエフ


「へたに考えこむよりも、何も考えない方がいーんじゃねーか?」

ライトノベル『スレイヤーズ』に登場するキャラクター。「ガウリィ」ではなく「ガウリイ」である。
フリーの 傭兵 であり、主人公リナ=インバースの相棒として本編全巻に亘って登場している。
作中世界で120年前に魔道都市サイラーグを滅ぼしたとして名高い魔獣ザナッファーを倒した「光の剣の勇者」の末裔であり、自身も凄腕の剣士である。
アニメ版の声優は 松本保典 氏。

性格は生真面目かつ実直だが、一方で度を越した天然でもあり、
作中世界の一般常識や傭兵に必須な社会情勢に無頓着な上に
(自分のご先祖が有名人な事も「昔そんな話も聞かされていたような」程度の認識)、
記憶力が悪く、人の名前や顔を中々覚えない。
ただ、頭が悪いかというとそうとも言えず、戦闘時には咄嗟に機転を利かせた行動を取ったり、即興で連携に対応するなど、
戦闘においては本能的なものなのか、臨機応変な戦術性を見せている。

元々はそこまで頭は悪くないという設定だったのだが、
作者が世界観を説明するために魔法や魔族に疎いガウリイの質問にリナが答えるという展開を繰り返す内に、
ガウリイのオツムが残念というイメージが読者及び作者の中で定着してしまい、
最終的にガウリイは脳みそクラゲで魔法どころか一般常識全般に疎いという形に落ち着いた経緯がある。
作者曰く傭兵は天職とされているが、一般常識の疎さが社会情勢にも及ぶ(=どの勢力に付くべきか考えていない)ため、
リナからは傭兵の自覚がないと言い切られている。
ただし、全てのボケが本気かと言うと実は怪しく、「分かった上で敢えてやっている」と言う素振りが散見される*1
本当に一部でも意図してやっている場合、下記の出奔の経緯から抱えていた悩みとそこから立ち直ったある出会いが影響している事が示唆されている。
かっこいいガウリイだけまとめ

光の剣の勇者の末裔という事以外、詳しい身の上を語る事はあまり無いが、
エルメキア帝国という砂漠の国の出身で、家宝である「光の剣」の継承を巡り骨肉の争いをする一族に嫌気が差し、
光の剣を無断で持ち出して出奔した事が明かされている。
また、作者はファンクラブのインタビューでガウリイには同じくらいの実力を持つ兄がいた(本編時点では故人らしい)と明かしている。
この兄のことは小説内では全く言及されていないが、ガウリイの方が後継者としての序列が高かったらしく、
作者によればラオウケンシロウのような関係だった模様。つまり名言こそされていないが兄の死因は……
また、光の剣を所持していることが分かると、領主や国王などから取り上げられる可能性も高かったので、
一族でこっそり受け継ぎ守っていたため、光の剣士は有名だがぶっちゃけガブリエフ家の名前は作中世界でそれほど有名ではないとのこと。

元々は作者が高校生の時に執筆した小説において主人公の敵として構想していたキャラが原型で、
その構想を『スレイヤーズ』の前身となるルナが主役のSF小説に流用し、それがお蔵入りした後改めて『スレイヤーズ』に再度流用したらしい。

主人公パーティの中でも数少ない魔法を使わない、剣術のみで戦う戦闘要員だが、
その剣術のみに関して言えば、作中最強クラスの達人である
剣士として平均より上のリナでさえ離れて見て何とか太刀筋が追えるほどの速度と、門の間を通して閂だけ切断する精密な技量を誇る。
魔族の最高幹部である5人の腹心のガーヴやグラウシェラーはおろか、赤眼の魔王シャブラニグドゥですらその腕前を褒め称えるほどである。

剣を使わずともトロルやオーガに例えられる程の体力を誇り、菱の実を指で弾いて離れた敵を攻撃できたり、足技を利かせたりとかなり強い。
また、五感及び直感もパーティの中でトップクラスであり、リナにも感じ取れない気配を察知できたり、
竜族やエルフにも見えない遠距離の光景を視認したり、果ては人間に化けた魔族を初見で正体を見破ったりもしている。

+ 装備
  • 光の剣
ガブリエフ家に代々伝わる家宝。第1部の主要武器。
普段は普通の刃が取り付けられているが、有事には刃を外して柄のみにして所持者の精神力をライトセーバー状の光の刃として顕現させる。
所有者の精神力によって威力を増幅させる効果があり、未熟な者が持っても刃を実体化できるとは限らない。
刃そのものが実体を持った精神力なので精神生命体である魔族や魔術が効かないザナッファーにも有効*2であり、
使う種族によっては魔王さえ倒せるが、人間では下位魔族でさえ一撃で倒せるか倒せないか程度の威力しか出せず、
不意打ちでない限りは下位魔族でも強引に相殺は可能である
(劇中で魔族相手に決め手となったのは剣の威力よりもガウリイの剣技によるものが大きい)。
光の刀身を飛び道具として飛ばす事も可能だが、刃を飛ばした後は再構成する必要があるので、ほんの僅かだが隙が出来る欠点がある。
また、リナの最強魔法「竜破斬(ドラグスレイブ)」や「重破斬(ギガスレイブ)」を刀身に上乗せする事も出来る。
この時刀身は上乗せした魔法の色に染まり、威力も相応に上昇する。

正式名称は「烈光の剣(ゴルン・ノヴァ)」であり、異界の魔王・闇を撒くもの(ダーク・スター)の分身でもある武器。
何者かがリナ達の世界に引き込んで人間に使えるようにしたものらしいが、ガウリィから奪い取った冥王フィブリゾがダーク・スターの元に送り返した。
実は世界を滅ぼすという魔族本来の目的を忘れた戦闘狂と化したダーク・スターが漆黒の竜神ヴォルフィードに勝利後、
さらなる戦いを求めて自身を滅ぼせる力を持った武器を5つ作り、あちらの世界でばら撒いたという、
ダーク・スターに挑む者が使うための武器の1つだったりする。
なお、分身といっても自分自身を滅ぼせるように完全に独立した存在として確立されている。
そして「烈光の剣」を得た天使キャナルによってダーク・スターが滅ぼされたと言うのが、同作者によるSF小説『ロストユニバース』における伝説の話である
(ただし小説版『ロストユニバース』の場合は魔王の実在すら保証されず、
 先史文明種族が作ったロストシップの名前のモチーフとして先史文明種族に伝わっていた神話が登場しているだけである)。

  • 斬妖剣(ブラストソード)
第1部で失った光の剣に代わる武器を求めて放浪していたリナとガウリイが新たに入手した伝説の武器。第2部以降の主要武器。
本来は元ルヴィナガルド国王のベルギスが集めていた魔剣の一振りであり、ベルギスとの戦いの最中にガウリイがパクってそのまま所持するようになった。
この時は刀身が硬度の高い鋼で覆われていたため「そこそこな使い勝手の無銘の剣」と思われていたが、
グラウシェラー戦でガワの刀身が砕かれ本来の刃が姿を現し、それを見たグラウシェラーの口から斬妖剣の名が出た事で正体が明らかになった。

何故刀身が鋼で覆われていたかというと斬妖剣の切れ味が高すぎて携帯性に支障をきたすためである
何せその切れ味は、
「木や皮で出来た鞘に納めようとすると手応えもなく鞘が切れ、鉄で出来た鞘に入れても収めた状態で1度振ったらやっぱり鞘が切れる」
ほどであり、このためベルギス以前の所有者が元の刀身に鋼を巻いて切れ味を抑え、第二の刀身としていたと推測されている。
どうやって巻いたのか、そもそも何故第二の刀身の方が斬妖剣に破壊されないのかは禁句
リナが全自動辻切り装置とドン引きするほどそのままだと使い勝手が悪かったが、
たまたまその時リナ達と一緒にいた仲間が敢えて切れ味を落とす魔術処理を行う事ができたため、制御可能になった。
しばらくその状態で所持していたが、小説第3部で改良ザナッファーを所持するエルフ達と敵対した際、
攻撃力不足に直面したため、たまたま共闘していたエルフの技工士によってこの魔術処理は解呪された。
(元々上記の仲間は有事に備えて知識があれば容易に解呪できる術式を用いていた)
幸いそのエルフが鞘の内側の方に武器の切れ味を鈍らせる魔術処理を施せる技術を持っていたため、以降は切れ味を損なうことなく携帯が可能になった。

その原理は「周囲の魔力を糧としそれを切れ味に転化する特性」にある。
このため、魔道具で撃ち合ったり、魔法で迎撃や防御をとってもその魔力を吸収して攻撃力に転換されてしまう。
儀式魔法等で広範囲を魔力で満たした状態にすれば、その分攻撃力も増える*3
現実世界で実体化させた端末が魔力の塊に等しい魔族にとっても天敵であり、
本来人間では太刀打ちできない魔王シャブラニグドゥも、魔力が豊富な環境で直撃すれば自分を滅ぼせると断言している。
また、魔力を吸収する機能の副産物として、人間には知覚不可能な精神世界面からの攻撃に対し微かに反応を示すらしく、
ガウリイは持ち前の人間離れした感覚でその反応を知覚して、精神世界面からの攻撃を斬り払う芸当を実行している。

なお、第二の刀身を巻いていた状態でも切れ味こそ落ちるが魔剣として機能しており、
これを入手するまで第二部のガウリイは魔族に有効打を持たずリナに足手纏い認定されるほど苦戦する事になった。
『りーでぃんぐ』にはスィーフィードが持つと記載されたが誤り。恐らく赤竜の剣との混同。

原作者によると「降魔戦争時代に竜かエルフが量産して人間に与えた。生産数はそれほど多くなく、現存数はほとんど無い」との事。
また、第1部展開中に発売された、原作者自身がシナリオを執筆し「第3部のパラレル」として位置付けられているSFC版RPGにもこの剣が登場している。
こちらではガウリイの初期装備にして専用装備、そして最強装備という、前述の光の剣をこう呼んでいるかのような扱いの武器であった。


MUGENにおけるガウリイ=ガブリエフ

Luis Joanz氏の製作したキャラが公開されていたが、製作者の動画アカウント停止に伴うリンク消失により現在は入手不可。
技は少なめだが、動かすだけなら問題は無い。
近接攻撃中心の性能をしており、超必殺技は突進系が多い。
回転しながら攻撃するなど珍妙な挙動の技もある。
簡易的なAIも搭載されている。
なお、環境によっては色パカなどの不具合が出るので注意。

出場大会

  • 「[大会] [ガウリイ=ガブリエフ]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
14巻の自分が引き起こした惨事に目を向けようともせず責任転嫁し合う魔導協会の幹部に対して、鉄拳制裁を見舞うシーンのガウリイは、
普段のおマヌケな彼からは想像もつかない。

*2
ザナッファーは「魔律装甲ゼナファアーマー」という生体装甲の不完全版であり、
装着すると装着車の精神世界面において精神が隔離され、精神世界に攻撃する黒魔術や精神系の精霊魔術などが全く通用しなくなる。
つまりは物理か四属性を具現化する精霊魔術しか効かなくなるのだが、強固な装甲は人間が使用する地水火風の精霊魔術の威力程度なら弾けるため、
接触型の呪文以外は通用しない。
おまけに、各部位から「閃光の吐息(レーザーブレス)」を放てるため、接近するのも難しい。
これほどの性能を持ちながら、装着者を取り込み怪物化するという欠点があり、
かつてのサイラーグシティは魔道士協会の本部が置かれたほどの戦力を抱えながらザナッファーに全く敵わず都市ごと壊滅したらしい
(これ以降魔道士協会には各支部を統括する機関が再建されておらず、基本路線は変わらないものの、細かい方針や活動内容は各地の支部で大きく異なっている)。
しかし、魔術ではない光の剣は有効であり、光の剣の勇者がザナッファーを倒した後、
死骸から発する莫大な瘴気を浄化するために竜から入手したという瘴気を吸収する植物「神聖樹」が植えられ、それを中心に復興が進められたという。
劇中でさらに死体蹴りどころじゃない不幸のオンパレードが起きたけどな!

初代光の剣の勇者についてはそれ以上の伝承は劇中で語られていないが、作者は裏設定でこの初代が女性であった事を明かしている。
また、上記の神聖樹だが、第3部にて神封じの結界の外から持ち込まれたものである可能性が浮上している。

*3
『スレイヤーズ』の世界では1巻で賢者の石を格納していた像に使われたオリハルコンという物質が魔力を抑える性質があるとされ、
オリハルコンの鞘なら斬妖剣の切れ味を抑えて安全に携帯できるのではと読者から指摘されたが、原作者曰くオリハルコンはそもそも金より希少で入手し辛く、
そんな希少物質で鞘を作ったら置き引きや強盗に目を付けられる危険性が格段に増すので非現実的とのこと。
まぁそんなことを言ったら護衛付きな貴族とかならともかく、冒険者ごときが魔法の武具なんて持ち歩けないけど…。


最終更新:2025年03月06日 14:14
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