■戦闘


 シナリオに設定されたイベントによっては、PCは廃棄世界(ハキダメ)に住む危険なエネミーを相手取って戦闘を行わなければならないかもしれません。その場合は、シナリオに特別の定めがない限り、以下に記述する『戦闘』のルールに従って、GMが用意したエネミーを相手に戦闘を行って下さい。

  • ステージ
 『廃棄世界(ハキダメ)とスカベンチャー』の戦闘は、原則として3×6のマス目を持つフィールドの上で行います。
 左中右
①■■■ 『エネミーゾーン』
②■■■ 黒い部分は、エネミーの駒を設置する部分です。
③■■■
④□□□ 『スカベンチャーゾーン』
⑤□□□ 白い部分に、PCの駒を設置します。
⑥□□□ エネミーゾーンとスカベンチャーゾーンの境界線を『ボーダーライン』と呼びます。

 戦闘を行う際、GMはまずマップ上のエネミーゾーンにエネミーの駒を配置して下さい。
 その後、PLはそれぞれのPCの駒をスカベンチャーゾーンの好きな位置に設置して下さい。

  • ムーブ・ステップ
 ラウンドのはじめ、各キャラクターは1度だけ、自分がいまいる場所の上下左右のいずれかに移動することができます。(斜めに移動することはできません。何らかの形で斜め方向に移動する必要が出たとき、縦移動と横移動を重ねた2マス分の移動として扱います)
 行動順は〔狡猾〕を基準とし、〔狡猾〕が低いものから順番に行動します。
 〔狡猾〕が同じキャラクターが複数いた場合、そのキャラクターを操作するPLおよびGMは、1D100を振って下さい。数が大きい側が先に動きます。
 このとき、原則としてボーダーラインを飛び越えて移動することはできません。

  • アクション・ステップ
 全員分の移動が終わってから、攻撃や特性の使用などの様々な行動を行えるアクション・ステップが始まります。
 先ほどとは逆に、〔狡猾〕が高いものから順番に、各ラウンドごとに原則1回ずつ行動を行っていきます。

☆攻撃
 自分の手番で、キャラクターは持っている武器や特性を使って攻撃を行うことができます。
 攻撃を行う場合、キャラクターは使う武器(特性)とその対象とする敵を宣言します。
 その後、対象となる敵それぞれに対して個別の命中判定を行い、攻撃の成功を判定します。
 判定には主に〔筋力〕と〔操作〕を使います。
 近接武器なら原則として〔筋力〕で決めます。
 遠距離武器なら原則として〔操作〕で決めます。

命中判定
判定(近接):〔筋力〕:各武器ごとに指定された『精密性』(成功回数)
判定(遠距離):〔操作〕:各武器ごとに指定された『精密性+攻撃対象とのレンジの差』(成功回数)

  • 戦闘・武器の用語解説
破壊力→武器そのものが持つ攻撃力を表します。
精密性→武器の扱いにくさを表します。高いほど攻撃が当たりにくくなり、回避されやすくなります。
精度→命中判定の結果、攻撃がどれだけ正確に放たれたかを表します。高いほど回避しにくくなります。
威力→命中判定を終えた後、防御の判定に使用する数値です。特別な特性を持っていなければ、攻撃に使用した武器の破壊力と等しくなります。
ダメージ→回避・防御の処理が終わった後の、最終的なダメージ量を表します。回避に失敗した場合は威力

☆回避・防御
 攻撃されたキャラクターは、いくつかの方法で自らの身を守るべく行動することができます。
①回避
 飛び退いたり、何かを盾にしたりして攻撃を回避します。
 回避に成功すれば、無傷で攻撃をやり過ごすことができますが、失敗しやすく、かつ失敗した場合に無防備に攻撃を受けなければならなくなるリスクがあります。
 判定は〔狡猾〕で行います。

判定:〔狡猾〕:最大値【7+攻撃の『精度』】

回避は、1キャラにつき1ラウンドに1回しか行えません。

②防御
 あえて攻撃を受け止めて、そのダメージを緩和することを目論む行動です。
 少なくとも生身ならば、一定のダメージを受けることは覚悟しなければなりませんが、無難に一定量の軽減を望むことができます。
 判定は〔頑強〕で行います。

判定:〔頑強〕:【5+攻撃の『精度』】以上X回

成功1回ごとに、原則として受けるダメージを1点減らします。

  • 射程
 武器や攻撃に使用できる特性には、それぞれ射程があります。
 射程は『レンジ』『アングル』の二要素で構成されています。
 『レンジ』は、縦方向に前方何マスまでなら攻撃が届くかを表します。このとき、横方向に何マス離れているかは考慮しません。例えばレンジが3なら、⑥の位置から⑤、④、③までの範囲の敵に攻撃が可能であることを表します。
 『アングル』は、横方向にどの程度融通が利くかを表します。
 アングルは0か1か2で示されます。0なら、その武器では正面に位置する駒しか狙うことができません。
 1なら、一行隣の行にいる駒も狙うことができるようになります。
 2なら、横方向の位置で攻撃の可否に影響を与えることはありません。
 自分の真横及び、自分より後方のキャラクターに対して攻撃することはできません。

  • 『窮地覚醒』
 戦闘中は、移動中以上に多くの窮地がスカベンチャーを襲います。彼ら自身の気が立っているせいもあり、戦闘中は高頻度で窮地が発生することになるでしょう。
 戦闘中、以下の条件を満たしたとき、窮地覚醒が発生します。
攻撃の判定に三回以上連続で失敗した時。 →『必中覚醒表』
(防御の結果、ダメージが0になった場合は含みませんが、回避されることでダメージが0になった場合は含みます)
回避に失敗した時。 →『回避覚醒表』
防御の結果、5点以上のダメージを受けた時。 →『貫通覚醒表』
生命力が0になるダメージを受けた時。 →『瀕死覚醒表』
アクションステップ開始時に、現在自分が所持している武器(特性)で、どの敵を攻撃することもできない(射程不足)場合 →『範囲外覚醒表』

 戦闘中の『窮地覚醒』は、『泥臭さ』を1点消費することによって回避することができます。
 泥臭さで回避できるのは、そのタイミングでの『窮地覚醒』のみであり、その他のペナルティは変わらず受けますし、次に起こる窮地覚醒の処理を妨げることはありません。
(攻撃判定に三回連続で失敗した後、泥臭さを消費して窮地覚醒を回避した後、次の攻撃判定に失敗した場合、再び『窮地覚醒』が発生します)

 回避しなかった場合、それぞれで指定されている覚醒表を振り、その覚醒表が示す適応特性に目覚めます。
 各適応特性の内容は、データ集を参照して下さい。

『必中覚醒表』 1D6
二回以上失敗した攻撃が、三回目もまた失敗しそうになった時に感じる焦りが起爆剤。
1:攻撃が敵を自動で追いかけてくれれば……『帯電誘導弾(レールガン)』に覚醒する。
2:敵がその場に留まってくれれば……『平服魔眼(グラビティ・アイズ)』に覚醒する。
3:攻撃の規模を大きくすることができれば……『爆弾殺到(マーダー・クイーン)』に覚醒する。
4:武器を完全に使いこなすことができれば……『武人(ウェポンマン)』に覚醒する。
5:一度に二回攻撃できれば……『二丁剣銃(ダブルアタック)』に覚醒する。
6:攻撃していることに気付かれなければ……『殺気抹消(マイルドキラー)』に覚醒する。

『回避覚醒表』 1D6
避けきれなかった攻撃が眼前に迫ったことによる恐れが起爆剤。
1:自分にもっと跳躍力があれば……『翼竜飛翔(ドラゴンフライ)』に覚醒する。
2:自分の眼がもっと良ければ……『停滞世界(スローモーション)』に覚醒する。
3:相手の攻撃がここまで届かなければ……『風来防壁(パーシャルディスタンス)』に覚醒する。
4:相手に目を付けられなければ……『透明人間(ザ・モブ)』に覚醒する。
5:障害物が壁になってくれれば……『自動念壁(ディフェンシブ・テレキネシス)』に覚醒する。
6:体が液体のように流動したならば……『流動者(メルトセル)』に覚醒する。

『貫通覚醒表』 1D6
攻撃が肌に触れた途端、受け止めきれない未来を想起した震えが起爆剤。
1:もし自分の肉体が、鋼のように硬ければ。『甲冑皮膜(アーマースキン)』に覚醒する。
2:もし自分の肉体が、ゴムのような弾性を持っていたならば。『弾身具(バウンドボディ)』に覚醒する。
3:もし、迫ってくる弾丸を全て焼き尽くせたなら。『灼熱護法(メルトヴェール)』に覚醒する。
4:もし自分の肉体が、刃も通さぬ分厚い脂肪を持っていたなら。『肉魔神(ファットマン)』に覚醒する。
5:もし自分が、攻撃を完璧に防げる盾を持っていたならば。『剛盾(キングシールド)』に覚醒する。
6:もし自分が、傷を受けた部分の代わりの部分を持っていたなら。『代用部位(スペアリム)』に覚醒する。

『瀕死覚醒表』 1D6
絶命級の一撃を受け、命の存続を危ぶむ領域に達したことが起爆剤。
1:もし自分が、高い自己再生能力を持っていたならば。『再構築者(リビルダー)』に覚醒する。
2:もし自分が、数秒前の自分に戻ることができたなら。『最盛同期(シンクアンドリプレイ)』に覚醒する。
3:もし自分が、何度でも蘇ることができたなら。『生存依存症(ライブホリック)』に覚醒する。
4:もし自分が、どれだけ傷ついても死なないとしたら。『永遠存在(エターナル・ゴー)』に覚醒する。
5:もし自分が、死んでも動き続けることができるとしたら。『屍行進曲(リッチー・オーケストラ)』に覚醒する。
6:もし自分が、自分以外に存在していたなら……『第云存在(スワンプマン)』に覚醒する。

『範囲外覚醒表』 1D6
戦いに参加できないことに焦る焦燥感が起爆剤。
1:この武器が、もっと遠くに届いたなら。『伸長腕(ラバーハンド)』(No.21)に覚醒する。
2:足下に落ちている瓦礫が、敵の所まで届いたなら。『自動念弾(オフェンシブ・テレキネシス)』に覚醒する。
3:吐いた息が、何かの武器になったなら。『火竜吐(セイクリッドブレス)』に覚醒する。
4:遠くにいる敵のところまで、攻撃をワープさせられたら。『限定異空間(リミテッドア)』に覚醒する。
5:刃物を振るうことで、衝撃波を飛ばすことができたなら。『斬撃波(スラッシャー)』に覚醒する。
6:もし、腕から機関銃が生えてきたなら。『乱射拳(マシンガン・ナックル)』(No.19)に覚醒する。

○戦線変更
 原則として、エネミーはボーダーラインより下に行けませんし、PCはボーダーラインより上に行けませんが、ボーダーラインより一列上のゾーンにエネミーの駒が一切しない時、PCはボーダーラインを超えて1マス上に移動することが可能になります。そうしたなら、ボーダーラインは一列上に上がり、エネミーゾーンは狭くなり、スカベンチャーゾーンは広くなります。
 これを『戦線変更』と呼びます。
 逆に、ボーダーラインの一列下にPCの駒が存在しないときは、エネミーがボーダーラインを飛び越えて移動し、ボーダーラインを一列引き下げることができます。

○戦闘不能
 一定の条件を満たすと、キャラクターは戦闘不能になります。
 戦闘不能になったキャラクターは、条件を満たさなくなるまで一切の行動を行うことができなくなります。
  • 生命力(HP)が0以下になる。
  • 状態異常『気絶』を受ける。
  • 何らかの方法でフィールド外に出て、『撤退』状態になる。
  • 何らかの方法でフィールド外に出て、『排除』状態になる。このときに限り、キャラクターは『フィールド上に戻る』行動のみを行うことができます。

○死亡
 一定の条件を満たすと、キャラクターは死亡します。
 死亡したキャラクターはロストします。今後、そのキャラクターを使うことは出来なくなるので頑張って回避しましょう。
  • 生命力(HP)が0以下になったまま、5ラウンド以上が経過する。
  • 生命力(HP)が0以下になった状態で、自分側の陣営が戦闘に敗北する。

○撤退
 フィールドの最下部にあるキャラクターは、戦闘中の行動として『撤退』を選ぶことができます。
 『撤退』を選んだキャラクターは〔狡猾〕で最大値5+『敵対陣営の残り人数』の判定を行い、成功した場合はフィールド外に出ることができます。
 フィールド外に出たキャラクターは、その後戦闘に参加することはできません。

○戦闘終了の条件
 以下の条件を満たしたとき、戦闘は終了し、フィールド上に残っている駒の数が多い陣営が勝利します。
  • 一方の陣営の全てのキャラクターが戦闘不能になる。
  • ボーダーラインがフィールド最上部か最下部に至る。
  • 10ラウンドが経過する。GMは必要に応じてこのラウンド制限を撤廃したり、増減させても構いません。
最終更新:2022年08月07日 17:48