■世界観

このページでは、「毒と廃棄異郷(ハイキョ)とスカベンチャー」における世界観について解説します。

【基本設定】


■スカベンチャーとは?
 『スカベンジャー(廃品回収業者、掃除人)』と『ベンチャー(冒険)』を組み合わせた造語。この世界では、窮地になるたびに肉体を覚醒させる力『メタモライズ』に目覚め、外界の冒険に勤しむ労働者のことを表す。
 侮蔑のニュアンスと敬服のニュアンスの両方が含まれているとされる。ちなみに、公的な正式名称は『臨時外界探索特殊対応員』らしいが、私人はもちろん公的機関やその出先であっても、この呼称を使う者は少ない。

■人は何故スカベンチャーとなるのか?
 人によってそれぞれ。スカベンチャーでなければ立ち入れない外の世界への憧れによることもあれば、食い詰めてやむを得ずこの道を選ぶ者もいる。
 また、地下に住む人権のない者たちの中には、望まずしてスカベンチャーの力に目覚めてしまう者もいる。

■よくある依頼について
 スカベンチャーに与えられる任務の多くは、オフィサー(高級官僚)の派閥争いと密接にリンクしていることが多い。
 彼らはスカベンチャーを使って成果を出すことで、自らのオアシスにおける発言力を高めようとしている。
 そのため、スカベンチャーの主な任務は、彼らが仕掛ける政策を実現するための足がかりとなるものだ。

 例えば燃料関係を担当するオフィサーからは、廃棄異郷(ハイキョ)にある燃料の発生源を特定するようなことを命じられるだろう。
 国境警備を担当するオフィサーであれば、オアシスに侵入しようとする適応獣(アダプター)の撃退を依頼してくるかもしれない。
 治安維持を担当するオフィサーから、外に逃げだした政治犯の確実な抹殺を指示されることがある。
 廃棄異郷(ハイキョ)を調査する機関から、適応獣(アダプター)や特殊な素材のサンプルを入手するよう指示が下ることもあるだろう。
 また、メタモライズの研究を行うメタモライズ研究所からは、新しい適応特性に目覚めてきてと頼まれたり……そんなこと頼まれても、という話だが。

 また、ごく希に、オフィサーではない民間の依頼者が現れることがある。
 民間の依頼の多くは、スカベンチャーではない誰かの救出任務だったり、好事家が廃棄異郷(ハイキョ)でしか手に入らない珍品の入手を依頼してきたりといった具合だ。

■メタモライズ-用語の使い分け
  • メタモライズ:窮地に陥るたびに肉体が変化する、その現象そのものを指す
  • メタモライズ体質:メタモライズを引き起こす体質のこと
  • メタモライズ細胞:メタモライズを引き起こすようになった個々の細胞のこと
  • メタモライザ―:メタモライズに目覚めた人間のこと。多くの場合、スカベンチャーと同義であり、こちらの呼称はあまり使われない。
  • スカベンチャー:メタモライズ体質となった人間のうち、その力を使って廃棄異郷(ハイキョ)で活動する冒険者のこと。
  • 野良スカベンチャー:スカベンチャーのうち、公的な登録を受けていない者。
  • 公認スカベンチャー:スカベンチャーのうち、公的に登録を受けている者。多くのプレイヤーキャラがこれに該当する。

■オアシスについて


■オアシス
 オアシスは、人が住めなくなった地球において、唯一許された人類の居住空間である。
 地磁気の流れか何なのか、オアシスの周辺においてのみ、異郷毒は流入せず、かつて通りの正常な空気が残っている。

 世界各地に約100、かつて日本と呼ばれた地域の中だと3つのオアシスがあると言われている。

■日本東部オアシス(JEO)
 かつて関東地方と呼ばれた地域で、今は鉄屑平原と呼ばれているエリアの中央に存在するオアシス。
 巨大な壁に囲まれた要塞のようなオアシスで、内側には世界有数クラスの文明社会が形成されている。

■地上市民
 市民権を持つ人々のうち、地上の生活を許された人々。
 高水準な教育を受けられ、比較的豊かな生活を送ることができている。

■オフィサー
 オアシスにおける支配者階級。
 オアシス中枢機関の代表か、中央政務局の高級官僚を指してこう呼ぶことが多い。
 地上市民の中でも特に大きな権力を持ち、安定した生活を保障されている特権階級だが、彼らの中でもより大きな権力を手にするための権力争いが日々繰り広げられている。

■地上市民がスカベンチャーになることについて
 地上市民がスカベンチャーになったからといって、地上市民としての権利が剥奪されるわけではない。
 ただし、スカベンチャーである地上市民は、公的な信用を著しく

■地下市民
 市民権を持つ人々のうち、地下で暮らすことを法令で命じられている人々。
 労働者階級であり、教育のレベルも生活環境も地上より低い水準にある。
 貧しく生きていけない地下市民の中には、自らハキダメへと降りていくことを選ぶ者もいる。

■ハキダメ
 オアシス地下層のさらに地下、産業廃棄物などを捨てるために開けられた大穴。
 際限なく増え続けるごみを処分するため、年を経る毎に深く深く掘り進められていく。
 掘削は自動掘削マシーンによって行われているが、その全てがコントロール下にあるわけではないらしい。
 捨てられた廃棄物は地下深く沈むことで異郷毒と接触し変質し、外の廃棄異郷(ハイキョ)とはまた少し違う、奈落の如きダンジョンを形成している。
 当然、一定以上深く潜ると異郷毒の侵蝕範囲に到達するため、人類が生きていける環境ではなくなる。
 その境界付近で生活する者の中には、望まずしてメタモライズ体質を獲得する者もいる。

■最下層民
 『ハキダメ』で暮らす、人権無き人々。
 多くは罪人として人権を剥奪された者や、食い詰めてハキダメに逃げ込んだ者、死罪や暗殺を逃れて逃げてきた者やその子孫で構成されている。

■メタモライズ研究所
 メタモライズの可能性について研究し、人類の発展に寄与せんとする研究機関。
 ここの所長は、代々オフィサーとしてオアシスの政治で存在感を示している。

■メルトポッド・ラウンジ
 地下階層の一角に設けられた複合施設。
 オフィサーを含む地上市民、地下市民、そして最下層民が同居できる数少ない空間である。
 スカベンチャーへの依頼は多くの場合このメルトポッド・ラウンジを使って行われる。
 それ以外にも食堂や商業施設、シャワー室なども併設されているが、地上市民がそれらの施設を使うことは基本的にない。汚いので。

■キャッシュについて
 日本東部オアシスで流通している貨幣。
 硬貨は存在せず、全てが名刺サイズの紙幣である。
 スカベンチャーの多くにとって、このキャッシュを手に入れることが冒険の主要な目的となる。
 なお、基本的に依頼そのもので直接得られる報酬より、依頼中に見つけた珍品を売りさばいた方が主要な稼ぎになったりする。


■外連名
 メタモライズを病のように表現されることを嫌ったスカベンチャーたちが、独自に名付けた名前を「外連名」と呼ぶ。
 外連名の発信元は、スカベンチャーによって結成された非・公的団体「スカベンチャーの尊厳を守る会(通称:SSS)」。
 彼らは様々な適応特性を記録・観察し、目録としてまとめてフリーペーパー「SSSクラス」として定期的に発行している。
 「SSSクラス」を購読しているスカベンチャーは多く、彼らが乗り回した後のビークルの中には大抵一冊くらいのSSSクラスが放置されていたりする。


■廃棄異郷(ハイキョ)について


■旧東京瓦礫帯(通称:鉄屑平原)
 日本東部オアシスの周辺に広がる鉄屑と廃墟の平原。
 倒壊した建物の残骸が、地平線の向こうまで広がっている。
 日本東部オアシスで生活するスカベンチャーの多くは、まずこのエリアから冒険を始める――――というより、特殊な交通手段を持たない限りは、まずここを通らなければ外のエリアに辿り着くこともできないのだ。

■地下神殿湿地帯
 かつて旧東京瓦礫帯の地下にあったとされる、巨大な外郭放水路。そこが毒素との融合によって未知の進化を遂げ、ひとつのダンジョンとして変貌を遂げた。
 この空間のことを、俗に『地下神殿湿地帯』と呼ぶ。
 地下神殿湿地帯には言葉通り常に一定量の水が湿地帯のように張っており、そこに生息する適応獣(アダプター)も、自然とそういった地域の生き物をベースにしていることが多い。
 普段はあまり立ち入る必要のないこのエリアだが、崩落によってこの湿地帯に落ちてしまった調査隊などを救出するためにここに向かわせられることもあるだろう。
 通常のビークルでは冒険に支障があるため、耐水性の高いビークルを使うとよい。

■旧浦安惨劇公園
 かつて浦安市と呼ばれた地域に存在した大型テーマパークがあった場所に生まれた特殊なダンジョン。
 パーク全体がひとつの適応獣(アダプター)として確立しており、内側にはアトラクションと一体化した凶暴な適応獣(アダプター)が多く生息している。
 特殊な環境のせいか、他では採取できない貴重な資源が時折手に入るが、危険で一杯のこのエリアで安定した採取を行えるスカベンチャーは限られる。
 構造物で埋め尽くされたこのエリアには、ビークルで侵入することはできないため、徒歩での探索が求められる。

■臨海汚泥域
 鉄屑平原を南に抜けた先にある海は今、一面紫に変色したヘドロの沼と化している。
 沼の中には地上生物を遙かに凌駕する巨大な適応獣(アダプター)が住んでいるとされ、JEO周辺のの中でも最も警戒されている。
 しかし噂によると、海上を覆う分厚い汚泥域を超えることさえできれば、異郷毒蔓延前の清浄な海が海底深くに残されているとか……?
 その真偽を確かめられた者は、未だかつて存在しない。

■無尽膨張樹林
 鉄屑平原の西側に広がる、増殖を続ける金属樹木の森林。
 適応獣(アダプター)と化した樹林は意思を持ち、部外者であるスカベンチャーを排除すべく襲いかかってくる。
 言わば空間全体が敵のようなものであり、このエリアを踏破しようとするスカベンチャーは、通常以上の警戒心と対応力がなければならない。
 さもなくば瞬く間にビークルごと金属の根で貫かれ、その全精力を樹木

■劇薬温泉湖
 鉄屑平原の北方、かつて温泉地として親しまれていた一帯は、今や不可思議の毒物、劇物を噴射し続ける恐るべき間欠泉へと堕した。
 異郷毒に対して耐性を獲得したスカベンチャーもまたその例外ではなく、一度足を踏み入れたが最後、想定もしないような変質がその身を襲うこととなる。

■災禍不死山
 かつては富士山と呼ばれ、人々から畏敬と信仰を集めていたという巨大な火山。
 現在ではどういうわけか頻繁に噴火を繰り返し、周囲に溶岩と融合した適応獣(アダプター)をまき散らす悪魔霊峰へと成り果てた。
 不死山周辺は極めて危険な適応獣(アダプター)が発生する上に火山砕屑物もひっきりなしに降り注ぐ魔境であり、とても人間が生きていける環境とは言えない。
 しかしこの周辺でしか得られない貴重な素材も多く、手に入れれば売り捌いて一足飛びに第一階層への階段を駆け上がれることから、手に入れるために無理をして近づくスカベンチャーは後を絶たないという。

■旅人
 ごく希に、ごくごく希に、日本東部オアシスにやってくる外からの来訪者。
 旅人と呼ばれる彼らは、他のオアシスの文化を日本東部オアシスに伝える数少ない存在である。
 「メタモライズ」した旅人もいれば、日本東部オアシスに全く伝わっていない別の現象・技術によって異郷毒を克服した者もいる。

■適応獣(アダプター)
 異郷毒の影響で、人工物と融合した形へと進化した動植物の類。
 金属の肉体と獣の習性、そして時として莫大な保有エネルギーに基づく攻撃手段を持ち合わせており、非常に危険な存在。

■脱落者(アウトロー)
 オアシスを放逐され、廃棄異郷(ハイキョ)で暮らすことを余儀なくされた結果、異郷毒を吸い続けて変容し、もはや人ならざる者へと変質してしまったかつてのスカベンチャー。
 プレイヤー・キャラが到達しうる末路の一つ。
 適応獣(アダプター)と同様に、彼らもエネミー・モンスターとしてスカベンチャーの冒険に立ち塞がる驚異となりえる。

■冒険を支えるアイテムについて


■ビークル
 正式名称はキャンピング・ビークル。
 廃棄異郷(ハイキョ)の過酷な空間の中で長距離移動するために欠かせない、スカベンチャーの拠点となる車両です。
 その多くは日本東部オアシス唯一の自動車企業であるアルカナ社によって開発されています。

■抑制剤
 メタモライズの影響によって発現した変質を、一部分だけ抑制し、抑え込むための薬品。
 メタモライズ研究所が副産物的に生み出した、「不本意な代物」。(メタモライズ研究所三代目所長、キリエ=イリエ談)
 研究所には、メタモライズを宿した肉体の状態を完全に人間化する「抑制剤Ω」についても研究がほぼ完了しているという噂が立っている。

■ライター棒
高火力のライターを括り付けた棒。火に弱い適応獣(アダプター)に対抗するため、貧乏スカベンチャーが使うことがある。

■AMG(アンチ・メタモライズ・ガン)
 入国管理官が所持している特殊な銃器。
 スカベンチャーが持つメタモライズの覚醒を発生させる前に対象を射殺できるという奇妙な兵器。
 ごくごく限られた数しか存在しないらしく、流通もしていない。
最終更新:2022年09月19日 12:04