ローレライの詩
[解説]
聖華暦614年、聖王国のクルセイダーであり詩人であったハインリッヒ・ハイネクラインによって考案され、メシュラム・グループ傘下の魔導器メーカー、エラ魔導器機開発研究所との共同開発によって作り出された陸上艦船用エーテル索敵機の一種。
光魔法によって実体のない肉体を半径15km程度のドーム状に展開し、その範囲内の地形や物体、そしてその動きまで全てを描画可能という極めて高い性能を誇る。
これを可能としているのが装置に直接接続される詩女(うため)と呼ばれる存在である。
光魔法によって実体のない肉体を半径15km程度のドーム状に展開し、その範囲内の地形や物体、そしてその動きまで全てを描画可能という極めて高い性能を誇る。
これを可能としているのが装置に直接接続される詩女(うため)と呼ばれる存在である。
膨大な情報を処理する装置として「聖痕を有する人間」そのものを使っているのだ。
ローレライの詩に接続された詩女は光魔法により作り出される実体のない肉体を自身の肉体として認知することで、その認識を広げ、その内部で起こることすべてを計器に描画する。こうして規格外とも言える高い索敵性能を実現したのだ。
しかし、ローレライの詩には大きな問題点もあった。
この装置がもたらす情報量は1人の人間がとても扱いきれるものではなく、そのために、詩女にかかる負担が非常に大きいのだ。
これにより、ローレライの詩は連続稼働させることができないという索敵機として致命的な欠点を抱えることになってしまった。
この装置がもたらす情報量は1人の人間がとても扱いきれるものではなく、そのために、詩女にかかる負担が非常に大きいのだ。
これにより、ローレライの詩は連続稼働させることができないという索敵機として致命的な欠点を抱えることになってしまった。
この欠点を改善するべく研究が進められてはいたものの、開発の翌年、聖華暦615年に、そもそも人をパーツとして扱うのは非人道的であるとの教会組織からの指摘に従う形で、表向き研究開発が凍結されることとなる。
……少なくとも表向きには。
実は、エラ魔導器機開発研究所及びハインリッヒは、この時点でもまだ諦めてはいなかったのだ。
「上層部にローレライの詩が持つ可能性が認められれば、必ずこの研究は再開される、わかりやすい〝戦果〟という形で結果を出せば必ず目にとまる筈だ」
こう信じた彼らは、ハインリッヒ自らが詩女として被験体となった上で、ローレライの詩の規模を縮小した機兵用のエーテル索敵機の開発に着手する。
「上層部にローレライの詩が持つ可能性が認められれば、必ずこの研究は再開される、わかりやすい〝戦果〟という形で結果を出せば必ず目にとまる筈だ」
こう信じた彼らは、ハインリッヒ自らが詩女として被験体となった上で、ローレライの詩の規模を縮小した機兵用のエーテル索敵機の開発に着手する。
そうして開発された[機兵]]用のローレライの詩は、操手を詩女として処理する形にした上で、効果範囲を機体の周囲、半径50m程度に限定した上で、ある程度以上の大きさの物体や動きのみ描画するよう閾値を調整することで、消費魔力と負荷を軽減を目指したものであった。
この装兵用のローレライの詩は、聖華暦616年初頭、ハイネクライン家に伝わっていた騎虎の幻装兵 コルター・ア・ソールの残骸をリュトフ族に依頼して復元した幻装兵(復元機)、ロティアス・バールガーに搭載され、第三次聖帝戦争の実戦に投入されることとなる。
その結果は、戦果は、素晴らしいものではあった。
混戦時において、一切の死角を無くせるローレライの詩の優位性は非常に優れたものであり、大きな戦果をあげること、それ自体には成功した。
大成功といってもいいだろう。
大成功といってもいいだろう。
しかし、優位性を示すため、そのローレライの詩の能力を示すために、限界を超えて何度もローレライの詩を使用したハインリッヒは、戦後、もうすでに戦えるような状態ではなく、聖華暦619年にはその生涯を28歳という若さで終えてしまったのだ。
このような結末は、ローレライの詩の負荷はやはり危険なものであるという風潮を強めてしまう結果に結びつく。