聖華の園
[解説]
アルカディア帝国皇帝領はグートシュタイン伯爵領のカヅラ山脈奥地に根拠地たる天空都市・仙華を持つ、帝国最大にして最古、最強の魔術師組織。
なおかつこの組織は、帝国の暗部組織を統括する上位組織なのだ。
帝国の暗部組織には基本、その組織が形式上皇帝直轄の物であったとしても、皇帝からの指示や命令は、聖華の園を介して届く事になる。
まあ、まれに皇帝よりの命が直接それら暗部組織に伝えられる事もあるが、最低でも事後承諾で聖華の園にもその事は伝わる様だ。
なおかつこの組織は、帝国の暗部組織を統括する上位組織なのだ。
帝国の暗部組織には基本、その組織が形式上皇帝直轄の物であったとしても、皇帝からの指示や命令は、聖華の園を介して届く事になる。
まあ、まれに皇帝よりの命が直接それら暗部組織に伝えられる事もあるが、最低でも事後承諾で聖華の園にもその事は伝わる様だ。
この組織は、現在5つの派閥に分かれており、それぞれが諜報、研究、軍事支援等々別個の役割を持っている。
かつてはこの各々の派閥が、それぞれ皇帝とその分家筋の家系1つ1つに分かれて仕えていた。
この分家は、皇家に何かあった場合には代理皇帝あるいは本当に皇位に就く事ができる血筋の家系だ。
各々の分家は皇帝に忠誠を誓っているため、最終的には皇帝に対し仕えているのも同じなのだが。
ちなみにこれら分家は、聖華暦830年現在では鮮血帝ジークハルト・フォン・ユーゼス・アルカディアの手により、全てが殲滅され断絶している。
これにより、830年現在の聖華の園は、全派閥が皇帝に対して直接仕える形になった。
かつてはこの各々の派閥が、それぞれ皇帝とその分家筋の家系1つ1つに分かれて仕えていた。
この分家は、皇家に何かあった場合には代理皇帝あるいは本当に皇位に就く事ができる血筋の家系だ。
各々の分家は皇帝に忠誠を誓っているため、最終的には皇帝に対し仕えているのも同じなのだが。
ちなみにこれら分家は、聖華暦830年現在では鮮血帝ジークハルト・フォン・ユーゼス・アルカディアの手により、全てが殲滅され断絶している。
これにより、830年現在の聖華の園は、全派閥が皇帝に対して直接仕える形になった。
なお聖華暦372~381年における、各々の分家を旗印にした帝国の内乱である六竜戦役以前には、派閥は6つ存在していた。
だがそのうちの『火』の派閥を中心にした組織内革命が発生し、結果『火』の派閥全体と、他の『黒』『風』『土』『雷』『水』の5つの派閥からも多数の離脱者を出してしまう。
このとき離脱したのが、聖華暦830年現在における自由都市同盟の魔術師組織である、輝ける至極の原型である。
だがそのうちの『火』の派閥を中心にした組織内革命が発生し、結果『火』の派閥全体と、他の『黒』『風』『土』『雷』『水』の5つの派閥からも多数の離脱者を出してしまう。
このとき離脱したのが、聖華暦830年現在における自由都市同盟の魔術師組織である、輝ける至極の原型である。
聖華の園、その始まりは建国初期にまで遡る事ができる。
当時は単なる魔導の研究者たちの集団であった様だが、皇帝の庇護のもとその力を増して行く。
更には彼らの操る魔法やその他の魔導技術が諜報や暗殺、破壊工作などにうってつけであった事もあり、徐々にその組織は暗部としての性格を帯びて行く様になる。
かと言って、研究組織としての顔も捨てたわけでは無く、帝国版精霊機の研究開発や、新たな魔法の開発等々、彼らによる魔導関連の成果は大きい。
当時は単なる魔導の研究者たちの集団であった様だが、皇帝の庇護のもとその力を増して行く。
更には彼らの操る魔法やその他の魔導技術が諜報や暗殺、破壊工作などにうってつけであった事もあり、徐々にその組織は暗部としての性格を帯びて行く様になる。
かと言って、研究組織としての顔も捨てたわけでは無く、帝国版精霊機の研究開発や、新たな魔法の開発等々、彼らによる魔導関連の成果は大きい。
仮想敵はカーライル王朝・聖王国の聖拝機関である。
現同盟の魔術師組織、輝ける至極も同盟成立前の人魔大戦期以前は仮想敵であったのだが、彼らとは人魔大戦期中に関係改善が成されている。
話を戻して、聖拝機関と聖華の園は、直接にぶつかり合う事はごく稀であったが、下部組織同士の抗争は日常茶飯事であった。
また連綿と続く帝国と聖王国間の紛争において、双方の工作員が血みどろの暗闘を繰り広げている。
技術開発の面でも、聖王国の精霊機を模して帝国版の精霊機を開発した事をはじめ、あるいは後追いで、あるいは先行して、様々な面で丁々発止の競い合いを続けているのだ。
現同盟の魔術師組織、輝ける至極も同盟成立前の人魔大戦期以前は仮想敵であったのだが、彼らとは人魔大戦期中に関係改善が成されている。
話を戻して、聖拝機関と聖華の園は、直接にぶつかり合う事はごく稀であったが、下部組織同士の抗争は日常茶飯事であった。
また連綿と続く帝国と聖王国間の紛争において、双方の工作員が血みどろの暗闘を繰り広げている。
技術開発の面でも、聖王国の精霊機を模して帝国版の精霊機を開発した事をはじめ、あるいは後追いで、あるいは先行して、様々な面で丁々発止の競い合いを続けているのだ。
当然ながら、産業スパイ的な行いも多発しており、水面下での聖華の園と聖拝機関の抗争は激しく行われている。
ここで聖華の園と聖拝機関の大きな、そして致命的な違いが一つ挙げられる。
聖拝機関の事実上の指導者層である『法(ロウ)』だが、彼らは自己を精霊化し、『人霊』となる事で永遠の研究生活に入った。だがそれに対し聖華の園では、その方法を取らなかったのだ。
聖華の園では血統操作により優秀な血筋を生み出す、つまりは品種改良の様な真似はしたものの、『人間を捨てる』事は断固として避けたのである。
そして先達は後進を積極的に育て、後進のために大量の知識や資料、魔導の物品類を遺し、後継者たちはそれを更に発展させて更なる跡継ぎたちに遺すのだ。
あくまで『人間』として。
ここで聖華の園と聖拝機関の大きな、そして致命的な違いが一つ挙げられる。
聖拝機関の事実上の指導者層である『法(ロウ)』だが、彼らは自己を精霊化し、『人霊』となる事で永遠の研究生活に入った。だがそれに対し聖華の園では、その方法を取らなかったのだ。
聖華の園では血統操作により優秀な血筋を生み出す、つまりは品種改良の様な真似はしたものの、『人間を捨てる』事は断固として避けたのである。
そして先達は後進を積極的に育て、後進のために大量の知識や資料、魔導の物品類を遺し、後継者たちはそれを更に発展させて更なる跡継ぎたちに遺すのだ。
あくまで『人間』として。
だが如何な知性に溢れる魔術師、魔導士たちであろうとも、腐敗とは無縁で居られない。
聖華暦300年代後半の頃には、初期の理想は忘れられ、一部の年寄りが過去の遺産を独占し、強権的な組織支配を行う様になっていた。
それでも若手魔導士たちは耐えに耐えていたのだが、老人たちが聖拝機関の真似事を始めたとき、その溜まりに溜まった不満は暴発し、決壊する。
老人たちは、聖拝機関の『老』のごとく自分たちも『人間』を捨てて、『人霊』となって組織を永遠に自分たちで支配しようとしたのだ。結局老害たちは若手により殺傷され、そしてその後組織は2つに割れて相争う事になる。
聖華暦300年代後半の頃には、初期の理想は忘れられ、一部の年寄りが過去の遺産を独占し、強権的な組織支配を行う様になっていた。
それでも若手魔導士たちは耐えに耐えていたのだが、老人たちが聖拝機関の真似事を始めたとき、その溜まりに溜まった不満は暴発し、決壊する。
老人たちは、聖拝機関の『老』のごとく自分たちも『人間』を捨てて、『人霊』となって組織を永遠に自分たちで支配しようとしたのだ。結局老害たちは若手により殺傷され、そしてその後組織は2つに割れて相争う事になる。
一方は『火』の派閥を中心にし、他派閥からも多数の賛同者や参入者を得て組織の改革に乗り出した新組織、輝ける至極の面々。
もう一方は、元凶たる老害が死んだのだからそれで良いだろうと、古い体制を維持しようとする聖華の園のその他の者たちであった。
この戦いは一時的に、輝ける至極の勝利で終わる。
輝ける至極は新皇帝(一部の記録では代理皇帝とも)デューカリオン・コーバックによる後ろ盾を得て聖華の園を駆逐し、天空都市・仙華を占拠した。だが輝ける至極は旧来の聖華の園より幾度もの様々な地味なハラスメント攻撃を受け、疲弊する。
もう一方は、元凶たる老害が死んだのだからそれで良いだろうと、古い体制を維持しようとする聖華の園のその他の者たちであった。
この戦いは一時的に、輝ける至極の勝利で終わる。
輝ける至極は新皇帝(一部の記録では代理皇帝とも)デューカリオン・コーバックによる後ろ盾を得て聖華の園を駆逐し、天空都市・仙華を占拠した。だが輝ける至極は旧来の聖華の園より幾度もの様々な地味なハラスメント攻撃を受け、疲弊する。
結局輝ける至極は、帝位を捨てて現在の同盟領へと去るデューカリオン帝に従い、天空都市・仙華を放棄して帝国を立ち去る。
そして天空都市・仙華を取り戻した聖華の園は、驚く事になった。
輝ける至極の面々が天空都市・仙華を退去する際に、過去の先人たちの遺産たるべき魔導書や魔導の宝物等々を、ごっそりと持ち去っていたのである。しかもきっちりと、それらに関する権利を主張する文書を残して去って行く徹底ぶりであった。
そして天空都市・仙華を取り戻した聖華の園は、驚く事になった。
輝ける至極の面々が天空都市・仙華を退去する際に、過去の先人たちの遺産たるべき魔導書や魔導の宝物等々を、ごっそりと持ち去っていたのである。しかもきっちりと、それらに関する権利を主張する文書を残して去って行く徹底ぶりであった。
なおこれらのうち、魔導書などの文献類に関しては、後の人魔大戦期で共同戦線を張った際に交渉の末、写本ではあったが返還されている。
しかし聖華の園側からも、こちらに遺された文献類の写本を提供する羽目になったのだが。
しかし聖華の園側からも、こちらに遺された文献類の写本を提供する羽目になったのだが。
現代における聖華の園
聖華暦830年現在の聖華の園は、それでも未だ帝国最大の魔術師組織であり、そして最強の魔術師組織である。
輝ける至極離脱時には一時的に魔導士数が半減したが、その当時においてすらも帝国において最大の規模を誇っていた。
更には市井の魔導士のスカウトと洗脳(彼らは調整と言っている)や、高い資質を持つ一般の子供の誘拐や買い取り、更には公設私設問わず孤児院から引き取った子供を教育し、魔導士とする事でその数を増やす。
無論の事、優秀な魔導士同士の計画的な婚姻による優生学的な品種改良による、新たな世代のエリート魔導士の『生産』も行っている。
これにより830年現在の聖華の園は、かつての時代に比肩する規模と質にまで組織を復興しているのだ。
輝ける至極離脱時には一時的に魔導士数が半減したが、その当時においてすらも帝国において最大の規模を誇っていた。
更には市井の魔導士のスカウトと洗脳(彼らは調整と言っている)や、高い資質を持つ一般の子供の誘拐や買い取り、更には公設私設問わず孤児院から引き取った子供を教育し、魔導士とする事でその数を増やす。
無論の事、優秀な魔導士同士の計画的な婚姻による優生学的な品種改良による、新たな世代のエリート魔導士の『生産』も行っている。
これにより830年現在の聖華の園は、かつての時代に比肩する規模と質にまで組織を復興しているのだ。
組織構成自体も、『火』の派閥が担っていた軍事支援の役割を残された5つの派閥が分担して受け持ち、支障無く運営されている。
ちなみに輝ける至極に持ち去られた様々な物品の中には、当時保有していた最新鋭魔装兵の半数や、過去から伝えられた秘匿幻装兵(復元機)なども存在した。
後の交渉で、その内の更に一部は返還されたものの、復元幻装兵は戻って来ていない。
しかし830年現在、皇帝の命により試作された純魔法行使型魔装兵多数が皇帝より贈られ、天空都市・仙華の地下に秘匿されている。
このため、単純な魔法支援能力では、かつての数段上を行っている事は間違いない。
ちなみに輝ける至極に持ち去られた様々な物品の中には、当時保有していた最新鋭魔装兵の半数や、過去から伝えられた秘匿幻装兵(復元機)なども存在した。
後の交渉で、その内の更に一部は返還されたものの、復元幻装兵は戻って来ていない。
しかし830年現在、皇帝の命により試作された純魔法行使型魔装兵多数が皇帝より贈られ、天空都市・仙華の地下に秘匿されている。
このため、単純な魔法支援能力では、かつての数段上を行っている事は間違いない。