- 人はパーチャーと呼ばれる(ペット的な)ものと共に暮らす時代。
己のパーチャー同士を強さを競い合う闘技場は人々の娯楽の1つであった。
そして、一匹のパーチャーが今日もまた闘技場で戦っていた。
彼の名は「レックス」。
とても強いパーチャーだ。
数年前に主人を無くし、それ以来この闘技場の稼ぎで暮らしている。
パーチャーもまた人間社会の一部であり、
そこで生活をするためには自身で生業を探さなければならない。
闘技場に来てからの彼は全戦全勝。
向かうところ敵なしの万年チャンプだったが、今日は何か様子が違った。
遠くの地方から来た無名のパーチャー。
そいつはこれまでの相手とは違い、見たこともないような技を繰り出してきた。
絶体絶命のピンチの中、彼に語りかける一人の声が聞こえてきた。
「伏せろ!」
調教師(パーカー)と呼ばれるパーチャーと心を通わす存在。
その資格を持つ者はパーちゃーの心に直接語りかけることができる。
咄嗟に言われるままに体を動かしたレックス。
おかげで間一髪のところで敵の攻撃を避けることができた。
師「常勝のレックスともあろうものが苦戦しているようですねー」
レックス「なんだてめぇ!試合の邪魔だ、話しかけるな!」
師「いやー、すいません。見ていられなかったもので」
レックス「喧嘩売ってんのか!?」
師「滅相もない。私は少しばかり手助けをして差し上げようかと」
レックス「うるせぇ!俺は誰の力もかりねぇ!」
師「まぁまぁそう強がらずに。マスターのいないあなたに彼の相手は辛いでしょう」
レックス「うるせぇっつってんだよ!」
師「っと……ほら、また来ますよ!左です!」
レックス「おわっ?!」
「っぶねー……だっから話かけんなつったろ!」
師「今度は右から来ますよ!!」
レックス「!?っうおっ!」
「・・・てめぇ!」
師「やはり苦戦しているように見えますが?」
レックス「だ、だまれ!お前がうるさくて集中できねぇだけだ!」
師「いいですか、今から私の言うとおりに動いてください」
レックス「だから人の話を……
師「いつまで強がるつもりです?このままでは貴方、負けますよ」
レックス「……んなことあるはずねぇ!俺は今までだって一度も負けたことなんてねぇんだ!」
師「言うだけ無駄ですか……まぁいいでしょう。
私は勝手に指示を出させてもらいますから、あなたもご自由になさって下さい」
レックス「っふん!誰がてめぇの命令なんか・・・」
師「危ない!後ろからきますよ!」
レックス「な!?・・・っふぅー・・・」
師「前ばかりに気を取られててはいけません。
敵はあの糸を使って剣を自在に操っているのです。どこから飛んでくるかわかりませんよ」
レックス「わ、わぁってるよ!」
師「下。」
レックス「!?」
師「上。」
レックス「どわっ!?」
(……こいつ、俺の死角を正確にカバーしてくれやがる)
師「今です、右に回りこんでください。・・・ジャンプ。・・・左にステップ」
調教師は的確な命令を次々と出してきた。
いつの間にか、レックスもそれに従い、軽やかにステップを踏む。
師「最後はあなたのお得意のアレで、決めちゃって下さい」
レックス「言われるまでもねぇ!喰らえ!スターライトクラッシャー!」
長きにわたる苦闘の末、レックスが見事常勝を守り抜いた瞬間だった……。
マスターとパートナー。デジ○○、とかポケ○○とか、そういうあれ。
名前とかは割りと適当です。
まぁ、通じ合う心っつーか絆っつーか、そういうあれです。
最終更新:2011年09月28日 03:13