太陽系(天体)

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太陽系(天体) - (2020/06/04 (木) 23:25:41) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/01/24 Tue 03:37:43
更新日:2024/01/14 Sun 16:11:52
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■太陽系(Solar system)■

「太陽系」は「天の川銀河」の辺境に位置する、黄色恒星「太陽」を中心とした天体の集まりである。
近年「はやぶさ君」やら「宇宙キター」やら「お父さん」やらで宇宙が身近になった気がするのでザックリ説明してみたい。


我々の住む第3惑星「地球」が所属しており、誕生から約50億年が経過。
直径は約1光年とされ、人類はいまだにその全貌を見ることが叶っていないのが現実である。
銀河系の回転に伴い、秒速約217kmの速度で移動し、2億5千万年で銀河を一周すると予測されている。

夜空に見える天の川は銀河系の星々を内側から見た姿である。
天の川は黄道(太陽や月の見かけの移動経路)に対して傾いて見えるが、これは太陽の赤道面(太陽系の惑星の公転面)が銀河系のディスクに対して傾いているからである。
また、夏と冬では夏の天の川のほうが明るく冬はかなり暗い(都市部ではまず見えない)が、夏は銀河系の中心方向が、冬はその逆で外方向が見えているため。
天の川の見え方からすると、太陽系の位置はディスクに比較的近いところで、なおかつ外寄りにあることがわかる。

以前は、06年に準(矮)惑星指定され太陽系の惑星から外されてしまった冥王星の軌道が太陽系の「果て」とされていたのだが、
さらに外側に「太陽系外縁天体」がいくつも発見されたことにより、冥王星のアイデンティティが揺らぎ、海王星以遠の領域を公転する天体の存在が珍しいものではなくなった。
冥王星軌道に近い位置にあるとされるのが「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる空間で、太陽からの距離は30~50天文単位。
現在は太陽から発生する太陽風が星間物質とぶつかる境界面「ヘリオポーズ」が太陽系の限界点だと考えられている。
※境界内を「ヘリオスフィア」とも呼ぶ。「太陽圏」もほぼ同義。
ヘリオポーズは、50~160天文単位が限界と考えられており、前述の通りこれが太陽系の限界となる。
惑星探査機ボイジャー1号、2号、パイオニア10号、11号は既にヘリオポーズを通過しており、現在は太陽圏と星間空間の間の遷移領域を飛行中と思われる。
ちなみに、パイオニア10号は太陽系の進行方向とは逆方向に飛行しており、おうし座(アルデバラン)の方向へ飛んでいるとのこと。

……そして、現在ではさらに1万~10万天文単位の位置に太陽系を包み込む「オールトの雲」と呼ばれる、
原始状態の天体群(水、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン)の存在が予測されており、
かの「ハレー彗星」を始めとする彗星は、この空間からやって来たと考えられているようである。


【構成天体】

続いて「太陽系」の構成天体の基本データを簡単に説明していく。
いまさらと思われる方もいるだろうが、新たな発見があるかも……しれないですよ。

太陽(Sun)
※その名の通り、太陽系の中心となる黄色*1恒星で、寿命は約109億年。
現在は誕生から約46億年が経過しており、現在は「主系列星」と呼ばれる段階にある。
太陽系の全質量の99.9%*2を占める。
体積は地球の約130万倍。
質量は地球の約33万倍。
表面重力は27.9G(274m/s²)にも達する。

すべての生命活動の源であり、多くの宗教でも主神とされている。
恒星としては小さく、内部の水素を燃焼し尽くし、かつヘリウムの比率が多くなったあとには、最大で200倍ほどの大きさの「赤色巨星」となり「白色矮星」の状態を経て、最後は冷たい死んだ星になると考えられている。
※この過程で地球も飲み込まれるとされていたが、近年の研究では軌道の変化により地球は無事であるとの推測も出されている。いずれにせよ生物は無事では済まないが。
なお、太陽より8倍ほど重い恒星が最後に起こすのが「超新星爆発」で、あとには中性子星が残る。
これが太陽より40倍ほど重い恒星となると、重力崩壊を引き起こしブラックホールが誕生する。
余談となるが、太陽系の所属する天の川銀河の中心部も超巨大ブラックホールであると予測されており、これが銀河が渦を巻いている理由である。

●水星(Mercury, 辰星)
※最も太陽に近い位置(平均0.38au)を回る太陽系最小の惑星で、質量は地球の約3分の1程度で、表面重力は約0.376G(3.70m/s²)ほど。

太陽に非常に近く、また大気がほとんど存在しないために日中の最高気温は430℃近くまで上がる。
反面、大気が存在しないために夜間は−180℃にまで下がるという、寒暖差が極端な星でもある。
1日の長さ(太陽日*3)は地球の176日に相当(公転を2回する間に自転を3回する関係で、太陽に向く面が88日でようやく入れ替わる)。
つまりは、約88日間ずつの周期で灼熱と極寒地獄を繰り返している計算となる。
また、公転周期と自転周期の比は2:3だが、同時に太陽日と恒星日(自転周期)の比は2:1でちょうど半分になっている。
したがって、水星上で過ごす1日は2年という計算になる。

水星はあまりに太陽に近いせいで(可視光での)観測が困難な惑星でもある。
水星は内惑星(地球よりも内側を公転する惑星)なので、常に太陽の方向に位置し、夜間は地球の裏側(昼側)にあるため見れない。
日の出直前or日没直前というごく限られた時間帯で、かつ地平線よりも上に出ている状態でなければ基本その姿を拝むことはできない。

英名のMercuryとはローマ神話における泥棒と商いの神メルクリウス(ヘルメス)に由来している。どうやら水星がせわしなく動く様子が、彼の仕事ぶりを連想させたかららしい。元素の一つである水銀も、これと同じ語源から来ている。
また、メルクリウスは死者を導く神である為、死の神という共通点のあるオーディンが水曜日(Wednesday)の語源となった。
それにしても他の惑星と違って和名との繋がりを連想しにくい英名である。
ちなみに、ベイブレードでは死の神繋がりでアヌビスが水星のポジションを担っている。

●金星(Venus, 太白)
※惑星の組成、大きさ共に地球と良く似た「双子星」とも呼ばれる惑星。
太陽からの平均距離は0.78au。
質量とサイズは地球よりも少し小さい。重力は約0.9G(8.87m/s²)。

スペック的には近いものの、大気の主成分は二酸化炭素で、その温室効果により地表の温度は水星をも上回る470℃にも達するという灼熱の星である。
大気圧が非常に高く、気圧は地球の約90倍。
実は分厚い二酸化炭素の雲は、太陽から受ける熱量の80%ほどを反射している(いわば"核の冬"のような状態)のだが、すさまじい温室効果により残り20%の熱だけで高熱を保持している。
太陽からの距離よりも温室効果の影響のほうが強く、地球の大気も二酸化炭素の割合が極端に高くなれば、金星のような星になってしまう可能性もなくはない。

熱対流により時速350qの強風が吹き荒れ、二酸化硫黄の雲が硫酸の雨を降らせるという、美の女神の名を冠した美しい見た目とは裏腹の地獄のような環境にある。
地表は常に強力な風化作用と侵食作用に晒され続けているため、地形の変化もまた激しい。
金星の公転軌道は、太陽系のハビタブルゾーン(生存可能領域)の内縁付近に遠日点があり、液体の水は存在できない*4
……が、気圧と温度が低下する高度(およそ55km前後)ならば液体の水が存在できるとのこと。

ちなみに、地軸の傾斜角は178°……つまり、パッと見では気付かないが、ほぼ真っ逆様に自転している星である。
ついでに、金星の1年は地球で言えば225日だが、金星の1日は地球で言う243日。つまり、1年より1日の方が長い。 
3日で滅ぼした誰かさんの面目丸つぶれである。

「明けの明星」、「宵の明星」と呼ばれるだけあって、非常に明るく輝く惑星である。
水星同様、内惑星ゆえに昼間と夜間は見れないが、明るさ・サイズともに水星よりはるかに視認しやすいため、有史以前から目視で観測され、人々の間でよく知られている星の一つであった。
そのため世界各地にさまざまな神話や伝承が残っている。

英名のVenusとはローマ神話における美の女神ビーナス(アフロディーテ)に由来している。この為、金曜日(Friday)の語源は北欧神話における美の女神フリッグとなっている。
聖書においてはルシファー、アステカ神話ではケツァルコアトル、メソポタミア神話ではイシュタルと対応する神格が多い惑星でもある。

英名と和名との繋がりは「美しいもの」という共通点がある。


地球(Earth)
※主に岩石で構成された地球(岩石)型惑星で、その中で最大の質量・サイズを持つ惑星。
太陽からの平均距離は約1億5000万km(1au)。重力は9.78m/s²*5
平均気温は約15℃。大気は窒素(約78%)、酸素(約21%)、二酸化炭素(約0.03%)などが主体。
太陽系の惑星では最も高密度な惑星である。

我々の住む「奇跡の星」であり、太陽との絶妙な距離により海が形成されたことで複雑な生態系を持つようになった。
が形成されなければ、金星のような環境であったと想像されている。
かつては地球も金星に近い灼熱の環境(※形成当時のドロドロ火球とは時代も状態も異なる)にあったが、海に大量の二酸化炭素が溶け込むことで温室効果が弱まり、現在の気温にまで下がったとされる。
その後、植物(プランクトン)らが二酸化炭素を光合成に利用しせっせと酸素に変え続けた結果、大気中の酸素の存在比が徐々に増していった。
かつて大量に存在した二酸化炭素由来の炭素は、石炭、石油などの化石燃料や石灰などに形を変えて残っている。

衛星として「」を持つ。この月の誕生過程は「親子説」「捕獲説」「兄弟説」などが唱えられて来たが、
現在は形成途上の地球に火星規模の原始惑星が衝突、地球と破壊された天体の物質が混ざり合って誕生した「ジャイアントインパクト説」が最も有力視されている。

earthの語源はバビロニア語で野営地を意味する『エリドゥ』に由来。ラテン語ではTeraと言うがこれはローマ神話における地母神テルス(ガイア)に由来している。アニヲタ諸氏も『ガイア理論』と言う言葉を耳にした事があるだろう。命が溢れる星の名前に相応しい神格と言えよう。

●火星(Mars, 螢惑)
※地球の10分の1ほどの質量の岩石惑星で、鉄酸化物を多く含む岩石と砂により赤く見える。
太陽からの平均距離は約1.5au。重力は約0.38G(3.71m/s²)。

水星と共に、地球と金星を生んだ物質の残りカスから生まれたと考えられている。
かつては、地球と同様に潤沢な環境が存在していたと考えられており、SFなどでも生物の存在が描かれたり、人類の移民先の舞台とされることが多い星でもある。
極地には極冠と呼ばれる白髪ドライアイスがあり、夏の間はこれが気化して大気の量が増加する。
二酸化炭素中心の大気があるため、植物を先に移し、温室効果ガスを出させて温めテラフォーミング…なんてことも研究されている。
……とはいえ、重力が3分の1程度しかないので地球人が住むに向くかと言うと…
大気が地球よりも薄い(オゾン層のような放射線バリアがない)ことに加え、磁場(これも放射線バr)も存在しないため、日中は常に太陽風(に含まれる放射線)の直撃に晒されている。
何の対策も講じずに火星で暮らしていると、ガン、遺伝子疾患、皮膚障害など、さまざまな病気を併発することが予想される。
仮に諸々の問題を無事クリアし移住に成功したとしても、何らかの肉体の変化(例えば筋肉や骨の劣化)は起こるはずで、適応もとい進化(退化?)は避けられないと思われる。
……しかしながら、灼熱地獄の水星や金星、極寒で明確な地表がないガス惑星だらけの外惑星などと比べると、火星のような環境でも他の惑星(衛星)よりかは超絶マシな優良物件部類なのである。相対的あるいは消去法的に。

さて、Marsの由来はローマ神話における戦の神マルス(アレス)から取られている。火星の赤色が戦争で流れる血を連想させたからだろう。戦の神だけあって和名との関連を見出しやすい。
ただ、火星は名前に反してかなり寒い。(平均気温:-63℃)
上記の理由からマルスと共通点の多い北欧神話の戦神トゥールが火曜日(Tuesday)の語源となった。

●小惑星帯
火星と木星の間に存在する無数の岩石や氷塊*6からなる一帯。準惑星サイズのものも存在する。
太陽系の形成初期に存在した微惑星の名残とされるが、(天文学的な意味で)頻繁に変化が起こっているため、当時の姿を保っているとは考えられていない。
木星の強大な重力により惑星形成を阻害された微惑星の成れの果てがこの軌道に追いやられて、そのまま太陽を周回している。
火星が地球や金星よりも小さいのは木星のせいかもしれない。
最大の天体はケレスで、小惑星帯の質量の1/3を占める。
フィクションでは物質が密集した危険地帯であるかのように描かれることもあるが、実際にはスカスカで、探査機がこの領域を通過しても特にトラブルはなかった。

●木星(Jupiter), 歳星
※太陽系最大の巨大ガス惑星で、主成分は水素とヘリウム。
つまり、地表?そんなもの、ここには無いよの風船状態。
太陽からの平均距離は約5.2au。
体積は地球の約1千300倍。
質量は地球の約300倍。太陽と木星を除く太陽系内の全物質の質量の2~2.5倍に相当する量にあたる。
重力は約2.34G(24.79m/s²)。
さすがに太陽にはかなわないが、それでも太陽系の重心は太陽の中心ではなく、木星の重力によって太陽の表面付近までずらされている。
太陽はほとんど静止しているようにしか見えないが、このずれた重心の周りを公転(?)している。

強大な重力を持つため、衛星の数が(2020年現在見つかっているだけでも)79個と桁違いに多い。
特に大きくて目立つイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストは、発見者にちなみ「ガリレオ衛星」と呼ばれている。

表面温度は約-140℃だが、内部に何らかの熱源を有しており、惑星全体の平均気温は約-121℃。
中心に近づくほど温度と圧力が増していき、中心部では35000℃、4500GPaを超えるという。
熱源は水素よりも重いヘリウムが落下する際の重力エネルギーではないかと推測されている。

組成が太陽に近いことから「太陽になれなかった星」と呼ばれ、SFでも木星を太陽化するエピソードが作られたりしているが、
実際には木星は太陽の0.1%程度の質量しか無いため、恒星となるにはあと80倍は重くないと核融合反応は起きないらしい。
もっとも、木星が今の80倍デカくて、本当に太陽(褐色矮星)になっても地球の環境にはなんら影響は無いそうである。…間違ってもゲッター炉心をここに捨てないでください。
ただし、地球に隕石がめったに落ちてこないのは木星が吸ってくれているからとも言われている。
一方、過去に彗星などの天体の軌道を乱して地球(などの内惑星)を爆撃した張本人なのではないかという噂も聞くが。(後期重爆撃期説)

木星はその巨大さに見合わず非常に高速で自転していて、なんと10時間かからずに1回転している。
さらに(地球型に比べて)密度が低いこともあり、自身の自転による遠心力で完全な球体ではなく赤道方向に少し膨らんだ形をしている。
また、ガス惑星なので緯度によっても微妙に自転速度が異なる。
内部はいくつもの層に分かれていて、大雑把に分けるなら、気体が存在でき暴風が吹き荒れている層と、圧力が強くなり金属水素とかいう我々にとって馴染みのない水素からなる層、そのさらに奥に岩石や氷からなるコアがあると考えられているが、はっきりしたことは木星に特攻しなければわからない。

1995年7月、探査機ガリレオによるプロープ投下の試みが行われた。
このミッションにより木星大気についての貴重なデータが得られたものの、潜れたのはせいぜい表面から159km程度までであった。
なお、プロープとの通信が途絶した地点で既に地球の28倍もの気圧と185℃もの高温に達していたという。特攻してもダメかも知れない。
ちなみに、ガリレオも運用終了とともに木星に特攻落下させられ、プロープ共々木星に飲み込まれその一部となった(衛星の環境に配慮しての処置らしい)。

Jupiterの由来はローマ神話における神々の王ユピテル(ゼウス)。木星では雷(やオーロラ)が起こる事を考えるとさすがは太陽系最大の惑星にふさわしい名前である。
そんな惑星の和名が『木星』という名前には首を傾げるが、五行では雷も木属性にカウントされる為、全く問題はない。
上記の雷神という共通点から木曜日(Thursday)の語源は北欧神話のトールとなっている。
この他、『龍』という漢字一文字で木星という意味があるが、奇しくも四神の一柱青龍が司る属性もまた『木』であったりする。この惑星…属性過多すぎやしないか?

●土星(Saturn)
※美しいリングを持つ、最も特徴的な姿の星。
太陽からの平均距離は約9.5au。
重力は1.16G(8.96m/s²)。平均気温は-130℃ほど。
木星に次ぐ規模を持つ巨大ガス惑星で、比重(0.69)が最も軽いために、なんと水にも浮かぶ計算となる。
木星ほどではないが、土星も強い重力を持ち82個もの衛星を持つ。

土星は木星よりも低密度で、土星もまた1周(日)が10時間超という高速で自転をしているため、写真でもはっきりわかるほど上下に潰れた形をしている。
赤道半径が極半径よりも10%近く長く伸びてしまっている。

英名Saturnは魔王の事ではなく、ローマ神話の農耕の神サトゥルヌス(クロノス)に由来。この神様は時間の神クロノスと同一視される事が多く、聖闘士星矢Ωでもそれに倣っている。
土曜日(Saturday)の語源はどういうわけかこの神と全く同じ。北欧神話に対応する神格が見つからなかったからだろうか?

●天王星(Uranus)
※地球の63倍ほどの大きさのやっぱりガス惑星だが、大気組成が木星や土星とは違い、
アンモニアやメタンで出来ているために、より細分化し「天王星型惑星」として「木星型」と区別する場合もあるとのこと。
太陽からの平均距離は約19au。
重力は1.15G(7.77m/s²)。気温は-200℃以下。
衛星の数は27個。

しかし、最大の特徴は地軸が横倒しになっていること(傾斜角98゚)で、ほぼ横向きに自転している奇妙な星である。つまり昼夜が異様に長い。
ただし赤道方向から太陽光が当たる春分と秋分の時期に限り、他の惑星と同様に自転周期(約17時間)に対応した昼夜がある。

Uranusの語源はギリシャ神話における天空の現初神ウラノスに由来。

●海王星(Neptune)
冥王星の追放により、再び太陽系最遠の惑星となった「天王星型」のガス惑星。
大きさは地球の約58倍。
重力は1.14G(11.5m/s²)。気温は-200℃以下。
質量自体は天王星よりも大きいが、密度も高いため、サイズは海王星のほうが少し小さい。(重さで天王星よりも収縮している)
実際見えないが、土星と同様にリングがある。
天王星の軌道が予想よりも遠くに発見されたことから、その存在が仮定されたという、やや変則的な経緯により導き出された歴史を持つ。

海王星もまた巨大ガス惑星の例に漏れず多くの衛星を連れており、14個が確認されている。
海王星の規模のわりに数が少ないようにも思えるが、あまりにも遠く暗いため、まだ発見されていない衛星もそれなりに残っていると思われる。

最大の衛星トリトンは自転の向きとは逆に公転(逆行)している珍しい衛星。
海王星の重力に捕獲されたカイパーベルト起源の天体という説が有力。
なお、トリトンは海王星の自転と逆行しているため、徐々に公転速度が低下しており、円軌道ではなく海王星に落下するゆるやかな螺旋軌道を描いている。
将来的には海王星に近づき過ぎてロシュ限界を越え、潮汐力によって崩壊しリングの材料になるする運命にある。

Neptuneの語源はローマ神話における海神ネプチューン(ポセイドン)から。
水星と属性被ってんじゃねえかという突っ込みもあるが、水星の水を『水銀(mercury)』として解釈すればネタ被りはしないはず…。なんなら淡水と海水で区別したっていい。

ウルトラマンタロウではここでタイラントが誕生し、ゾフィーと戦っているが、そもそもな話、海王星は陸上のないガス惑星である。多分、陸地のある衛星あたりで戦闘をしていたものと思われる。(木星までの惑星にも同じような事が言えるが。)

●冥王星(Pluto)
06年に、惑星とよぶにはあまりに小さいために準惑星へと降格しました。……だって、月より小さいんですもの。

●太陽系外縁天体
海王星以遠に存在する天体群の総称。英語では trans-Neptunian Object (TNO)という。

●冥王星(Pluto)
かつての第九惑星。最大級の準惑星であり、主要な太陽系外縁天体であり、それらの筆頭である。
大気は希薄だが存在し、組成は窒素、メタン、一酸化炭素が主体。
近日点付近では気温が上がり物質が昇華するため大気の量が増えるが、遠日点付近ではそのほとんどが凝固する。
公転軌道は黄道面から大きく傾いており、近日点は黄道面の北側-8auほどの位置にある。
また、軌道離心率が高く楕円軌道を描くため、近日点(29.574au)は海王星のそれ(29.886au)よりも近い。
直近の近日点通過は1984年12月頃で、1979年2月~1999年2月の20年間は海王星よりも太陽に近かった。
海王星とは2:3の軌道共鳴を起こしており、冥王星が太陽を2周する間に海王星は3周する。
そのため、冥王星(と冥王星族)は海王星に近づき過ぎず、捕獲されたり弾き飛ばされたりすることなく安定な軌道を保てている。

●エッジワース・カイパーベルト天体
この領域(30~50au程度)に存在する天体は、その筆頭である冥王星を含め、海王星との整数比の軌道共鳴を起こしているものが多く、それらの天体は比較的安定した軌道を保っている。
その中でも冥王星と同じ2:3の共鳴を持つグループを冥王星族と呼ぶ。
その一方、この領域内で海王星との軌道共鳴を起こしていないグループも存在し、それらはキュビワノ族(古典的カイパーベルト天体)と呼ばれ、ハウメア、マケマケらが該当する。
しかしながら、どの天体も軌道が黄道面から傾いていて、軌道離心率が高い(楕円軌道)という特徴があり、真円に近く(ほぼ)同一平面上にある惑星の公転軌道と比べて歪な軌道要素を持つ。
黄道面に対してリング状ではなくドーナツ状に分布していることも特徴。

●散乱円盤天体、分離天体
冥王星やカイパーベルト天体よりも遠くにある天体群。
extreme-trans-Neptunian Objects (eTNOs) とも。
要するに太陽系外縁天体(TNO)の下位区分なのだが、天文学者や研究機関によって区分はまちまちで、未だに議論が続いている。

散乱円盤天体については、カイパーベルト天体と明確に区別するグループと、本質的には同類と見ているグループとが存在する。
主に冥王星の近日点と同等あるいは少し内側に近日点(概ね30au未満)を持ち、冥王星よりもはるかに遠い遠日点(50au~150auなどまちまち)を持つ歪な軌道を持つ天体が多いことで知られる。
軌道傾斜角(黄道面に対しての傾き)もバラバラでつかみどころがない
代表的な天体は準惑星エリス(136199 Eris)。※小惑星のエリス(11980 Ellis)とは別人別の天体。

分離天体の"分離"とは惑星による重力的な干渉から分離されている、という意。
とりあえず、"海王星の重力が軌道に影響を及ぼさないほど遠くにある"ことが一応の基準だろうか。代表的な天体はセドナ。


【太陽系がモチーフの作品、キャラ等】

【余談】

各惑星の英語名はギリシャ・ローマ神話の神々に由来する。(詳しくは上述の構成惑星を参照。)
漢字名は中国の五行説に基づくが、土星でネタ切れしたためにそこから先は英語名の中国語訳(天王星、海王星)になる。

……あっ!冥王星は日本人の発案(「星の文学者」と呼ばれた野尻抱影氏による)である……やったね!!






追記・修正は太陽系を覚えてからお願いします。



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