ゼルダの伝説 風のタクト

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ゼルダの伝説 風のタクト - (2023/06/26 (月) 22:21:47) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/11/23(水) 22:19:21
更新日:2023/10/06 Fri 18:49:35
所要時間:約 15 分で読めます





ゲームでしか味わえない、感動がある。

ニンテンドー ゲームキューブ

ゼルダの伝説
風のタクト






大海原を吹きぬける、風がはこんだ物語



ゼルダの伝説 風のタクト』(The Legend of Zelda: The Wind Waker)とは、2002年12月23日に任天堂より発売されたゼルダの伝説シリーズの作品の一つ。
ゲームキューブで展開されたうちの一作目。


時のオカリナ』とはうって変わり、アニメーションのような映像が印象的な作品。
猫目リンク(トゥーンリンク)が初登場した作品でもある。


●目次

〇あらすじ


むかしむかし
ハイラルという豊かな王国がありました
ですが悪の大魔王が現れ、王国は滅びようとしていました


しかし…




緑の衣を纏った勇者が現れ、大魔王に立ち向かいました
勇者は六人の賢者と共に遂に大魔王を封印しました


勇者はその後、どこかへと旅立って行きました…




ですが…
大魔王は封印を破り、再び王国に現れたのです


その後、王国がどうなったかは分かりません…


とおいとおいむかしの話です



大海原に浮かぶ島のひとつ「プロロ島」に祖母と妹アリルと暮らす少年、リンク。
リンクが幾度目かの誕生日を迎えたその日、突然巨大な怪鳥が現れ、アリルをさらってしまった。
リンクはテトラたち海賊一味の力を借りて、怪鳥と妹の行方を追うことに。

彼はまだ知らない。このことが、風と共に進む物語の始まりだとは……。



〇主な登場人物


この物語の主人公である、プロロ島に住む少年。例の如く利き腕は左。
好奇心旺盛なのか気になる物には視線を向ける。
今作の緑の衣は最初から着ているわけではなく、伝説の勇者と同い年とされる12歳の男の子の成長を願うプロロ島の風習として渡される。
嫌な顔をしながら着ているところを見ると、リンク的には少しダサいのかもしれない。
ちなみに私服はエビのマークのついたベルトがかわいい。二周目以降では私服のまま冒険ができる。
妹を助けるために始まった旅は、ひょんなことから世界の命運を握ることになる。

  • アリル CV:松本さち
リンクの妹。序盤、とがった耳が原因で怪鳥に攫われてしまう。
中盤で無事に助け出せるが、その後のストーリーにはあまり関わらない。

  • テトラ CV:橘ひかり
若くして海賊団の頭を務める少女。
勝ち気で豪快な姉御肌で、死んだ母の跡を継ぎ、愉快な荒くれ者どもを従えている。三十路過ぎではない。
手下たちからは「アネキ」と呼ばれ慕われている。


  • 赤獅子の王 CV:丸山詠二
リンクが出逢った世にも珍しい「喋る船」。今作におけるサポートキャラを務める。
豊富な知識を持ち、リンクに進むべき道を示してくれる他、活動範囲外の地上でもお守りを通じてアドバイスをくれる。
爆弾を何発当てられようが平気な頑丈ぶりも併せ持つタフで渋いナイスガイ。


  • おばあちゃん
リンクとアリルの祖母。アリルが行方不明になったことで元気を失ってしまう。
孫思いの優しいおばあちゃんで、元気を取り戻したあとはリンクのために特製スープを作ってくれる。

  • 青ジイ
プロロ島の知恵袋である老人。若いころは剣士を目指していたが断念し、勉学の道へと進んだ。
見た目も性格も真面目かつ神経質な頭でっかちなため、真逆な性格である赤シャチとは折り合いが悪い。

  • 赤シャチ
青ジイの弟で剣術の心得がある漁師。こちらも剣士を志していたが、怪我で断念した。
兄と違い、豪快かつおおざっぱな性格の為、青ジイからは苦言を呈されている。
老いてなお鍛錬は怠っておらず、自らの技術と夢をリンクに託す。

  • オドリー
プロロ島を担当するリト族のポストマン。義理堅い性格で仲間からの信頼も厚い。
行く先々でリンクに協力してくれる。

リト族の少女。空の精霊ヴァルー様の付き人を務める。光も反射できる万能ハープが特技。
少し気弱なところがあるが、ヒッキーなコモリを気に掛ける健気な一面も。コモリ爆発して灰になれ。
中盤では大地の賢者として目覚め、リンクと共に大地の神殿を攻略していく。フロアマスターにわざと捕まえさせて擬似触手プレイさせた人、怒らないから手を挙げなさい。
任天堂スタッフの間でも人気が高く、彼女だけ「メドリちゃん」と「ちゃん」付けで呼ばれていたそうである。

  • マコレ
コログ族の子供で、儀式の楽器演奏を担当している。バイオリンが得意なのだが、体が小さいのでチェロに見えなくもない。
心優しい純真無垢な性格で、歩くときにコロコロ音がするのがかわいい。
中盤では風の賢者として目覚め、リンクと共に風の神殿を攻略していく。
作中では名言されていないが恐らく♂。

まさかの再登場を果たした緑のおじさん。
タウラ島にて「怪しいから」という至極真っ当な理由で投獄されていた。
助けると「チンクルシーバー」(HD版は「チンクルボトル」)とチンクル島までのマップもどきをくれる。
今作では「金にがめつい」部分が強調され、その後の地図鑑定で高額な代金にイラつくプレーヤーが多数出たとか。

今作デビューのおかっぱ商人。
いくつかの島の近くで商船型のショップを経営している。
なぜか仮面を被っている時もあり、本人もテリーであることを否定するが案の定バレバレである。

  • 魚男
各島の近くを回遊している人面魚。
エサを与えると地図を書き込んだり、海の情報をくれたりする。
赤獅子の王に「借りは返したぜ」と発言しているが、詳しい経緯は明かされない。

  • 大妖精
お馴染み、リンクに様々な力を授けてくれる妖精たち。
今作では複数本の腕を持つ出で立ちだが、言うほどグロくはない。

  • 妖精界の女王
見た目は小さな子供だが、一番偉い妖精の女王。
不遜な性格でリンクを『子供』と呼び捨てる。
曰く、リンクは『好みなタイプ』らしい……。

  • フーチン
青いカエルのような姿をした風の神様。
人間に絶望し、海に飛び出していったライチンの行方を気にしている。

  • ライチン
赤いカエルのような姿をした風の神様。フーチンの弟にあたる。
自らの石碑が壊されたことに怒り、大海原の上を竜巻に乗りながら暴走している。
弓矢を当てると何故か笑うため、ドM疑惑がかけられている。

  • ヴァルー様
空の精霊。
竜の島の山頂に居座っている赤い巨大な竜。
彼の鱗を貰うことでリト族は翼が生え、空を飛べるようになる。
リンクが初めて竜の島を訪れた際は、ある理由から暴走していた。

大地の精霊。
森の島に鎮座する巨大な木で、森の守り神。
ハイリア語だけでなく人間の言葉も話すことができる。
大地に根付いているため動くことが出来ず、敵に寄生されてしまう。
その正体は、『時のオカリナ』のデクの樹の子供。

  • ジャブー様
水の精霊。
巨大なナマズとアンコウを足したような姿をしている。
かつては魚の島に住んでいたが、敵の襲撃により別の場所へ避難している。














本作のラスボス
『時のオカリナ』で封印されるも、長年の時を経て甦った。
しかし長い年月が経ったせいか、前作の野心さは鳴りを潜めており、どこか哀愁を感じさせる。
最終決戦前後の彼の独白は必見。



〇アイテム


振ることで風を操ることが出来る不思議な指揮棒。
元々はどこかの国の王の持ち物だったらしい。

かつて時の勇者が振るったとされる伝説の『退魔の剣』。
だが入手当初は、長い年月が経ったためか退魔の力が失われている。

力・知恵・勇気の三種類に分かれており、三つ手にした者の願いを叶える聖三角形。
この内、力のトライフォースをガノンが、知恵のトライフォースはテトラとハイラル王が半分ずつ所持していた。
勇気のトライフォースは8つの欠片となっており、後半では復元するために大海原を駆け回ることとなる。


〇作品の評価


序盤からやたら難易度の高い魔獣島。武器も無いのに敵の根城に単身で文字通り放り込まれるなんて無茶な……。
それを乗り越えても後半はタライとホース、もといトライフォースを集めるストーリー上必須のイベントがあるが、広い海上をひたすら移動して集めて回るという非常に作業感の強いものである事から多くの人がこの辺りで挫折してしまう。
そのためか、人によって賛否が激しい。
特にトライフォースイベントに関しては青沼氏もHD版発表の際に自ら問題点として触れていた程であり、後述のHD版では大きく改善されている。

だが、トゥーンレンダリングを活かしたイラストタッチのグラフィックとストーリーはかなりクオリティが高いので一見の価値あり。途中で諦めそうになっても、是非最後まで遊んでみて欲しい。
後に定められたゼルダ史においても、非常に特殊な作品でもある。
その事は本作を最後までプレイしてみるとよく分かる。


〇やり込み要素


  • ニテン堂
写し映の箱(カメラ)で撮影した人物・魔物をフィギュアにしてくれる。

が、これがかなりしんどい

一度に保存出来るのは僅か3枚。なので何回も同じ所を行き来するなんてザラ。
更にストーリーを進めると消える人物もいれば、ジークロックなど一度しか戦えない敵もおり、場合によっては周回プレイでようやくコンプリートということも……『ムジュラ』のサブイベント同様かなり鬼畜な難易度。



〇余談


  • 開発段階でお蔵入りになった二つのダンジョンがあるらしい。時間が足りなかったという話だが……。後半のトライフォース集めがだるい仕様になっているのはこのため?
    ちなみに、そのお蔵入りになったダンジョンは後の作品に利用されているらしい。

  • 初期設定では、アリルは海の賢者、オドリーも何かの賢者になる予定だったらしい。説明書やサントラの表紙はそれの名残かもしれない。

また、オープニングをよく解釈すると分かるが、『風のタクト』は『時のオカリナ』の大人時代の世界から続いている世界。
対して『トワプリ』等は子供時代(ムジュラの仮面)の後の世界。

○RTAでは


  • GC版
今作の重要アイテムである「風のタクト」を使用したバグ技ストレージ(Storage:貯蔵/保管/倉庫 等)が大活躍。この技はリンクが次に起こす特定の行動を文字通り「保存する」という技。保存可能な動作は様々でテキストを読む・宝箱を開ける・タクトを使う・ドアを開けるなどさまざま。例えばストレージ中にタクトを使用すれば、タクトを使うという行動=タクト使用時の特殊なカメラ配置が保存され、特殊なカメラのまま行動することが可能となる。

またSuperSwim(SS)という非常に強力な泳法移動技を使う際にもストレージを使う必要がある。
まずSSとはどういう技なのかというと「水上で1F毎にターンするとスピードがマイナスに膨れ上がる」という仕様を利用した技。簡単にいえば超高速で泳げる。1Fごとに上下運動をするとスピードがマイナスに膨れ上がっていく性質を利用しているのだが、正直な話TAS技。ではどうやって発動させるかというと前述したストレージのカメラロックを使う。このカメラは常にリンクの正面を写そうとするためカメラロック状態でスティックを前に倒すと「リンクが反転→リンクの正面を写そうとするのでカメラも反転→カメラが反転したのでリンクも反転…」と無限ループが起こり結果的に1F毎にターンが可能となる。

ちなみによりタイムを短縮するためこのSSを人力で成功させる猛者が誕生。わざわざコントローラーを持ち帰ってスティックを人差し指と中指で挟むようにもち高速で手を動かすことで30/sの速度でスティックを上下させる。またこのほかにもTAS専用技と呼ばれていたクグツガノンスキップも実現させ、53:08という脅威のタイムを叩き出した走者も。

このSSを利用して攻略順をすっ飛ばし、本来後に手に入れるアイテムを先に入手してしまうことで攻略すべきダンジョンを楽勝にしてしまう。禁断の森などは顕著で爆弾を先に入手することが可能なため、扉のはなをブーメランを使わずとも突破可能になる。そのためわざわざ遠回りする必要がなくなるため短縮となる。ボスも爆弾の範囲で無理やり攻撃できるため安心。爆弾は『ゼルダ』RTAにとっての問題児というのは変わらず


GC版特有のアイテムである「チンクルシーバー」も活躍する。これはゾンビホバーというバグ技を実用化するため。
ゾンビホバーというのは「HP0ではどんな行動も一瞬でキャンセルされる」という仕様の穴をついた技。HPが0になりゲームオーバーになってしまう僅かな間にジャンプ斬りを繰り出し、徐々に高度を上げるというもの。自力で到達できない高い場所にも行けるがHPが0なためジャンプ斬りを終わらせると死ぬ。そのため基本的にはただ高く登れるだけの技なのだがチンクルシーバーでチンクルレッド(HP回復)を使うことで空中で回復。そのため着地しても死亡せず無事移動することが可能となる。

これら2つの技とストレージを主に駆使しつつ他に小技も混ぜながら進めていく。がネックとなるのはトライフォース集め。これに関してはどうすることもできずただただ地道に正攻法で集めるしかない。そのためトライフォース集めの前に訪れるハイラル城のバリアをどうにかすり抜けれないか長年研究されてきた。2015年には懸賞金がかけられるほど(結局期限までにバリアスキップは実現しなかった)。
数多くの人がバリアスキップをなんとか実現させようと奮闘する中、来る2016年リメイク版のHD版でついに達成。後述するがHD版限定のバグを使ってリンクの移動速度を一定以上まで高めることでバリアを貫通するというもの。
しかしこのバリアスキップがHD版限定のバグを使用しているため当然の如くHD版限定。GC版では地上で速度を上昇させるバグが見つかっておらずもはやバリアスキップは不可能かと思われた…。

しかし2019年ついに進展が。今まではHD版と同じく「リンクの移動速度を上昇させることによりバリアスキップ」が研究されてきたが「ゲームキューブの動的メモリを枯渇させてバリアを読み込むためのメモリを確保させない方法」が検討され始めたのだ。
手に“勇者の弓”を持った状態で空中に飛び出て特定の操作を高速で入力することにより、リンクが弓を構える動作がキャンセルされて矢を持った状態になるというテクニックがある。これを繰り返すことで手に矢を何十本も持っているという状態にもでき、限界まで繰り返すとアイテムを出すことすらできない状態にすることができる。

 この状態でかぎづめロープを使うことにより、画面には反映されないが透明なロープが出ているという状態にすることができる。このロープはひとつ出すごとにゲームキューブの動的メモリを使用するため、透明なロープを1万回以上出し続けることで、バリアを読み込むためのメモリを確保させないようにすることができる、というバリアスキップが実現。風タクRTAに一筋の光が刺す。

透明なロープを出すために1万回以上ボタンを押し続けるのはさすがに骨が折れるが、その後、Gymnast86氏によって透明なロープを出す回数を大幅に抑えたセットアップが開拓され、さらにはDemon氏によって弓を使わないやり方が開拓。どんどん最適化されていった。

そして最終的にはかぎ爪ロープも弓も使わないバリアスキップが実現。
バリアの攻撃判定が出ないように張り付き、セットアップを用いて距離を調整。その後一人称視点にし数値にして33488〜33503の間というもはや理解不能な角度に微調整。その後ポーズバッファと呼ばれるゲームを1F単位で操作可能にする技を用いつつ爆弾を落とす。爆弾を落とすことでリンクの位置がほんの少しだけ前進するので、この前進でバリアをスキップ。
実現不可能とまで言われたGC版でのバリアスキップだがこれまでの記録を大幅に更新するタイムと共に実用化。セットアップまで用意された。
まさに革命とまで呼べるバグ技の発見と走者の惜しまぬ努力により、かつては4時間ほどかかるRTAがなんと1時間切りを達成した。


  • HD版
GC版のリメイク作品となるHD版でもRTAは行われている。GC日本語版から多くの変更点があるが大きなものは
1.ストレージの修正(削除)
2.チンクルシーバーの削除(代わりにチンクルボトル追加)
3.トライフォース集めの簡略化
だろうか。1と2はRTAに取っては痛手だが3の短縮量が凄まじい。トライフォース集めまでのタイムを比較するとGC版の方が5分ほど速いのだがトライフォース集めにかかる時間があまりにも違うため、最終的にはHD版が10分ほど速いタイムとなった。

基本的にトライフォース集めまではGC版の方が有利だったのだが、HD版限定のバグ「アイテムスライド」の発見によりタイムが一気に短縮。これはリンクの移動速度が「指数関数的に上昇する」というもので地上でも発動可能な上、海上に行けばSS並みかそれ以上の速度で移動可能となる。
この発見が大きく、GC版に対して圧倒的とも言える差を見せつけることになる。
またこの「アイテムスライド」によるバリアスキップも実現。このバリアスキップは角度や距離の微調整こそ必要なものの当時全く実現されなかったバリアスキップであったため非常に注目された。



〇続編


初のDSゼルダ 『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』が本作の続編にあたる。
そのため夢幻のリンクと本作のリンクは同一人物である。

大地の汽笛』のリンクは、恐らくよく似た他人。
『大地の汽笛』は本作から約100年後の世界で、登場人物は本作のキャラクターの子孫と思われる。
ただしとある登場人物が継続して登場している。



〇HD版


2013年9月23日にHD版がWiiUソフトとして発売された。
画質の向上の他、原典での問題点は軒並み解消されている。(特に上記のタライとホースとニテン堂はとっつきやすくなった)
「快速の帆」や一人称視点になるアイテムを構えながらの移動が可能になると、ストレスフリーに遊べる。
高難易度の辛口モードも搭載されたのでGC版クリア済のプレイヤーはこちらもやってみよう。




追記・修正のやり方は、風が教えてくれるさ。


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