太陽にほえろ!

登録日:2022/04/24 (日) 20:18:01
更新日:2024/03/28 Thu 18:06:33
所要時間:約 15 分で読めます




『太陽にほえろ!』とは、東宝制作・日本テレビ系で放送されていた刑事ドラマ。
1972年7月から1987年2月まで全730話が放送された。
なお、1986年11月から2月までの放送分は出演者が大幅に交代したことから『PART2』と区別されている。

概要

新宿区にある七曲署の捜査一課で活躍する刑事の活躍を描く。

拳銃の派手な撃ち合いやカーチェイスのアクション、若手刑事の殉職など、本作で一般化したガジェットも多く、日本における刑事ドラマの基礎を築いた作品である。
21世紀に入ってからも「昭和の刑事ドラマ」のテンプレ的存在として知名度を保っており、CMなどでパロディされることも多い。

それまで刑事ドラマといえば事件ものと呼ばれファミリー層から敬遠されていたが、本作のヒット以降定番ジャンルとして各局で放送されることとなった。

またジャンルとしては意外な感もあるが、テーマの一つは「青春」。
60年代後半~70年代に日本テレビ系で青春ドラマを作って来た岡田晋吉プロデューサーにより、「青春アクションドラマ」の骨子をベースに制作され、「新人俳優の主演」も「新人をドラマと共に育てる」という過去の担当青春ドラマからの応用。
それゆえに若手刑事の定番として「走り」が導入されている。

ドラマには開始からしばらくの間、原作者として「魔久平」(まくべい)の名前がクレジットされていた。これは東宝および日本テレビ制作陣による共同ペンネームで、東映の八手三郎やサンライズの矢立肇と同じもの。
名前はアメリカの警察小説作家の巨匠エド・マクベインをもじったもので、決して某MSパイロットではない。氏の小説を翻案したエピソードも作られている。

登場刑事には全てニックネームがつけられており、ドラマ内ではそのニックネームで呼ばれることがほとんどだった。ニックネームは本名に因んだものから性格・過去の経歴や趣味など様々。
大の大人が、しかも地方公務員が職場で上司や同僚を学生レベルのあだ名で呼ぶ風景はよく考えてみれば極めてシュールなのだが、当時それに疑問を感じる人はいなかった。

メインのボス役には当時の大スターである石原裕次郎が起用された。
かつての日本においては、劇場映画が長らく幅を利かせてきて、それに比べれば新興のメディアたるテレビ及びその番組の序列など今よりずっと低かった。
しかし本作の放送当時、映画業界はいよいよテレビに形勢逆転されて既に斜陽で、石原が運営する石原プロモーションも大赤字だったため、映画界で大スターだった石原も背に腹は代えられず、その補填のため当初は1クール限定で出演を承諾したという。
この際、まき子夫人が「裕さんの世代はもう家庭や子供を持っている人が多いから、若手刑事の父親のような存在でいてほしい」と助言したのもきっかけになったされる。

石原にとっては初の連続ドラマゆえ、当初はテレビ自体をいまいち信用しきれないまま出演していたが、本作のヒット以降街中で「ボス」と呼ばれることが多くなる。
テレビの影響力を身を以て知った石原は、以降赤字補填および映画製作の資金作りのため『西部警察』を筆頭としたテレビドラマの制作に乗り出すこととなった。

15年の長きにわたって放送されたが、石原裕次郎の体調が悪化し撮影に臨めないとの理由から1986年11月をもって終了。
但し編成の都合および未消化の脚本が1クール分が残っていたため、新しいボスと新メンバーを導入して本作終了からから1年後の世界を描いた『PART2』が放送された。

その後、1997年~1999年に『七曲署捜査一課』、2001年に『太陽にほえろ!2001』と中京テレビとの共同製作*1で復活版が放送された。但し長さん・シンコ以外の旧作生存組は登場せず、舘ひろし演じる山岡ボスによる新世代の七曲署を描いている。


殉職

本作を語るのに欠かせないのが、若手刑事の降板時に描かれる「殉職」である。青春ドラマってなんだっけ。
放送期間15年で殉職した刑事は10名(総計死亡数は11名)。もはや七曲署での長期勤務自体が死亡フラグになっているのでは……
事件の核心をつかんだ若手刑事が単独で捜査を行う→犯人と対峙→拳銃で撃たれ致命傷を負う→応援を求めようとして力尽きる
というのが基本的な流れとなる。
危険な現場に単独で行かせる捜査一課の管理能力の無さを問い詰めてはいけない。
というかそんな危険な職場なのに防弾ベストの支給など警官の安全確保に努める描写が無いとか言ってはいけない。
内容については本人の意向が反映されており、回を追う毎にド派手な殉職シーンが描かれるようになった。
一方殿下やスコッチなど、犯人に殺害される以外での殉職例もある。
殉職時期については週刊誌やテレビ情報誌などで事前発表されており、本編では決して見られない新旧若手刑事が並ぶカットが必ず掲載されていた。
人気のあった刑事の殉職時期が近づくと、日テレに視聴者から存命を嘆願する手紙が殺到することもあった。

降板を分かりやすく派手に演出できることから、本作以降の刑事ドラマでは刑事の殉職シーンが頻繁に登場するようになり、挙げ句の果てには『大空港』(フジテレビ)や『警視庁殺人課』(テレビ朝日)のように最終回までに刑事が全員殉職するような作品まで登場した。

現実の警察でも殉職は無論存在するが、その大半は職務中の受傷*2、自然災害への巻き込まれや事故死、過労死といった理由がほとんどで、本作のように「私服刑事が犯人に撃たれて死ぬ」というケースは皆無に等しい(そもそも日本では銃犯罪自体が諸外国に比べて少ない)。

こうした現実の状況や視聴者側が取り消し線で記した矛盾に気づき始めたこと、制作側の意向*3もあり、平成期以降の刑事ドラマでの殉職は『はぐれ刑事純情派』の一部刑事や『相棒』の小野田公顕*4などごく少数となっている。


音楽

大野克夫が作曲を担当。メインテーマ曲はタグで記した替え歌も含めあまりにも有名。
それ以外でも『愛のテーマ』や『ジーパン刑事のテーマ』は一度は聞いたことある人が多いだろう。
メインテーマは79年と86年に2回リニューアルされており、86年版はテクノ調に大幅なアレンジがされているので一度聞いてみることをお勧めする。
音楽の評判の高さから、テレビドラマ作品では初となるサントラが発売された。

大野は放送開始当初、マカロニ役の萩原の他井上堯之・沢田研二・岸部修三(現:岸部一徳)・大口広司とバンド「PYG」を組んでおり*5、その縁から萩原に推薦され本作のテーマ曲を制作した。BGM演奏も「PYG」が消滅した後井上・大野・岸部(1975年まで)等が創った「井上堯之バンド」→1980年以降は「大野克夫バンド」が担当した。

七曲署捜査一係

()内はニックネーム
○は殉職者、☆PART2および復活版にも出演。

なお本放送当時の刑事ドラマでは「警官の階級」を設定する例が無かったため、作中での言及も少ない。
一応現行の解釈では資料等で階級の描写が無く、殉職による2階級特進も無かった刑事は全員一番下の巡査とされている。

  • 藤堂俊介(ボス)
演:石原裕次郎
捜査一係の課長で階級は警部(作中描写から)または警部補(後年の資料より)。
本庁で指揮が執れるほどの実力を持ちながら、捜査に妥協を許さない性格ゆえに、所轄の一係長に留まる。
七曲署赴任前は城南署、さらにその前には城北署に勤務していた。
中盤からは現場にもほとんど出なくなったことや、石原プロモーション作品との掛け持ちもあったため、電話のシーンを滞在先のハワイにセットを建ててまとめ撮りをするという荒業も行われた。
1981年5月から同年末までは演じる石原氏の入院に伴い離脱。その後1986年6月以降再度離脱、最終回まで出演しなくなった。
満を持して再登場した最終回では、取調室で頑なに黙秘を続ける女性に対し、自分の健康状態が芳しくない事、これまでに殉職によって何人もの部下を失った事などを穏やかな口調で滔々と話し、見事女性の自白を引き出して有終の美を飾った。
この、まるで現実の自分*6が置かれた状況をそのまま投影したかのような命の尊さを訴える渾身の長台詞(しかもアドリブ)は約7分にも及び、今なお名場面として知られている。
PART2では本庁に栄転したことが明かされている。
西部署に似たような課長がいるらしい。

  • 山村誠一(山さん)
演:露口茂
警部補。高い推理力を持つ沈着冷静なキャラクターで、捜査一課をまとめる司令塔。
多数の情報屋を持っており、後半病欠になったボスに代わる司令官代行としても幅広い手腕を見せた。
一方で、職務に没頭するあまり最愛の妻を看取ることができないなど、情の厚さ故のつらい経験もしている。

露口氏のいぶし銀的な演技もあり、有能な渋さと強い正義感で視聴者を痺れさせた人気刑事。また、先述の石原氏の病欠もあって、本番組の出演回数&連続出演数はこの人が一番でもある。
そんな功績もあってか、最終的に彼が七曲署最後の殉職者となり、それも2時間スペシャルで描くという好待遇を得ている。

  • 石塚誠(ゴリさん)
演:竜雷太
その押しの強い性格からゴリ押しのゴリさんと呼ばれるが、拳銃の腕は捜査課随一。
若手刑事の中堅リーダー役を務め、ボスや山村とのパイプ役を務めた。また中盤では聴覚障碍者の女性と仲良くなり婚約関係となるが、最期はその婚約者(とボス)に救急車内で看取られることになった。
ちなみに演者はプロデューサーがかつて制作した青春ドラマ『これが青春だ』で初主演を飾っており、「ドラマと共に育った新人」の第1号にあたる。

  • 島公之(殿下)
演:小野寺昭
甘いマスクの貴公子然とした風貌から殿下と呼ばれるが、比較的「島」「島さん」と言われる方が多めだったり。
その優しい性格と指先が器用なことから、爆発物の処理や複雑な機械の扱いなどを任されることも多かった。
最後は複数回自分が死にそうなサブタイトルを超えた後婚約者を迎えに行く途中、車の運転操作を誤ってがけ下から転落して死亡。
これは演じる小野寺氏から「他の刑事と違った死に方をしたい」という希望があり実現したもの。
いわゆるイケメン枠ということもあってファン層の中心はティーンズも含む若年女性であり、交際相手ができることや殉職を匂わせる展開になるや数多くの嘆願書が舞い込むこともあった。

余談だが、在籍後半に殿下がよく乗っていたパトカーは当時のトヨタの主力車種であるコロナ(1978年〜1982年のT130、6代目)であり、殉職話でも運転しており、崖下に落ちる寸前に一世代前のモデルにすり替わったこのことから「殿下コロナ」の通称でも親しまれている。


  • 野崎太郎(長さん)
演:下川辰平
交番勤務からの叩き上げベテランで、巡査部なので「長さん」呼ばれている。その面倒見のいい人柄ゆえの人情味あふれる捜査を行う。
小柄だがラグビーで鍛えているため、体力面では若手に引けを取らない。
ロッキー殉職の前後編で「ロッキーのような優秀な刑事を育てる」という決心を胸に警察学校への教官に転任する形で降板、のちに登場するブルースは警察学校時代に長さんの指導を受けた(登場回には長さんもゲスト出演をはたしている)。

異動で降板したため、PART2・復活版では刑事に現場復帰している。またスニーカーの並行存在がいる『ケータイ刑事 銭形愛』(BS-i)の世界にもゲスト出演した。
ただ下川氏自身は生前、番組全体の主人公であるボス・準レギュラー扱いだったシンコを除き、第1話から登場した初期メンバーで自分だけ殉職しなかったことは心残りに思っていたらしい。

  • 早見淳(マカロニ)
演:萩原健一
初代若手刑事。
放送当時に流行していたスリーピースのスーツにノーネクタイでロン毛…当時の壮年世代からは「マカロニウエスタンファッション」にも見える洒落た姿から「マカロニ」の愛称を持つ。
演者自身で決めたスーツ姿や愛車のジムニー*7、BGM担当の推薦等、萩原氏のイメージを決定づけた型破りなキャラクターで人気を博したが、番組の方向性に違和感を持った萩原氏から降板の申し立てがあり殉職。
名義は殉職だが、「カッコ悪い死に方をしたい」という萩原氏の意向でその内容は「お見舞いの帰りに立ちションをし、通り魔に刺殺される」というあっけないものだった。

  • 内田伸子(シンコ)
演:関根恵子(現:高橋惠子)
初の女性レギュラー警官。当初は婦警だったが自身の希望もあり途中から捜査一課配属となる。
ジーパン刑事と婚約のために退職したが、2001年版で鑑識係として復帰している。

  • 柴田純(ジーパン)
演:松田優作
2代目若手刑事。
上下をデニム姿で整え、配属当日に無銭飲食で捕まり、留置場から初出勤というワイルドぶりを見せる。
空手二段の腕前*8であり、警察官だった父親が拳銃で撃たれて命を落とすという経験から頑なに拳銃を持とうとしない。
殉職前に同僚のシンコと婚約するという分かりやすい死亡フラグを立て、最期は助けたはずのチンピラからものの弾みで致命傷を負わされ、自分の体に付いた血を見て叫ぶ「なんじゃこりゃあ!!」で知られる。
松田氏のデビュー作かつ出世作であり、ひたすら走るシーンや派手な殉職など、本作における若手刑事の基礎および番組の路線を築いた功労者である。
後に城西署や相模警察署に似たような刑事が配属されている。

  • 三上順(テキサス)
演:勝野洋
3代目若手刑事。
ニックネームの由来は初登場回でテンガロンハットをかぶり、それがテキサスのカウボーイを連想させたことから。
演者の勝野と同じ熊本県出身で、一本気な性格かつ正義感が強く心優しいといういかにも九州男児なキャラクター。もはやアメリカ関係ないじゃん
当時の若者としては珍しい短髪姿で、おまけに前任者達との差別化および演者の経歴*9もあってか非常に真面目*10
安定した人気があったため、殉職予定が延期され後輩ボンとのコンビ編となり、その後作品に群像劇的要素が根付くきっかけとなった。また、ボンとはファイト一発こと「リポビタンD」のCMでも共演を果たしている。
最後は拳銃密造組織の取引現場に踏み込み、激しい銃撃戦の末に殉職。
また殉職シーンで散り際の美学が強調される様になったのもここから。マカロニ・ジーパンは演者の志向からあえてヒロイックさを排除した報われない死となっていた。

  • 田口良(ボン)
演:宮内淳
4代目若手刑事。
大阪で7人の姉たちに囲まれ育った「ぼんぼん」だった事から「ボン」と呼ばれ、そのせいか初期は頼りない面もあったが、テキサス・スコッチ・ロッキーと個性ある仲間達との歩みで成長していった。
特にロッキーとのコンビは安定しており、約2年間殉職や転勤が起きないどれくらいかと言うと予定していたスニーカーの登場が遅れるくらい、その間にも3回ほど殉職寸前にまで追い詰められたが。平和な時期が続いていたが、事件関係者の女性を庇い被弾して殉職。その後犯人は自分が助けたことが刑事を志すきっかけとなった、後任のスニーカーの手によって逮捕された。

  • 滝隆一(スコッチ)
演:沖雅也
5代目若手刑事。
背広からタバコまでイギリスかぶれで、スコッチウイスキーを愛好することからこのニックネームが付いた。
転任当初は冷酷非情な一匹狼であったが、七曲署配置後に次第に打ち解け人間らしいキャラクターとなっていった、自身の性格上、一度目の着任時は銃身の短いスナップノーズの拳銃を使用していたが、再登場後以降は銃身の長いのでリボルバーを使用している。
半年の勤務の後一度転勤という形で降板*11し、4年後に再度復帰。
性格はかなり丸くなり若手刑事のリーダー格となったが、古傷が原因の持病が悪化して犯人逮捕後に吐血。そのまま入院して息を引き取った。
演じた沖氏は後半の出演時にかねてから患っていた躁鬱病が悪化し、俳優業を休止せざるを得ない状態に追い込まれ降板が前倒しされることになった。
その降板から1年後に沖氏は京王プラザホテルの屋上から飛び降り自殺した。
放送期間中の自殺ということもあり共演者が受けた衝撃は非常に大きく、前述最終回のボスのアドリブでもスコッチ刑事の思い出は特に重きを置いて語られていた*12

  • 岩城創(ロッキー)
演:木之元亮
6代目若手刑事。
ニックネームは登山が趣味でいつかロッキー山脈に登る事を夢見ている事から来ており、若い割に濃い髭面が特徴。
七曲署での日々で新人時代に負った拳銃所持へのトラウマを克服する等成長し、交通課の婦警早瀬令子と大恋愛の末、ボンの殉職の翌年結婚。双子の父となった。
だが最後は家族を日本に残しての長期休暇で念願のロッキー山脈へ向かうも、運悪く国際捜査で来ていた捜査一課に合流する羽目になったせいで、夢の地でその命を散らす事になった。
余談だが演者は後年『ウルトラマンダイナ』の防衛チーム隊長として知られる事になるが、そっちの世界では上層部に『七人の刑事』(当時の裏番組)の一人と宇宙刑事、同組織の別セクションにレスキューポリスがいたりした。

  • 五代潤(スニーカー)
演:山下真司
7代目新人刑事。
ボンに助けられた事から警官になる事を決め、彼の死後その仇を取るため命令違反までしてクビになりそうな所ボスに拾われ赴任。ボンに貰ったスニーカーを愛用している事からこのあだ名で呼ばれている。
最愛の妹が事件に巻き込まれ亡くなり、妹の生前の夢を果たすため警察を辞め故郷沖縄に帰るという形で降板。地味に初の殉職以外で退場した若手刑事となった
その後は一度だけ再登場し、ボスが復帰した際に一度用事で東京に帰ってきた所を一係に顔を出し、ボスの復帰を祝った。またその際後任のラガーとの対面も果たした。
ちなみに演者の山下氏は、後年ドラマ『ケータイ刑事』シリーズ(BS-i)にて「六曲署」出身な同名の刑事役になっている本家が平巡査で終わったので50代の平巡査になったが。

  • 西條昭(ドック)
演:神田正輝
殿下の後任として登場。若手というには微妙な年齢、かと言っても中堅と言っても微妙な年齢。
開業医の息子で、医大を中退後に警察官入りした異色の刑事。
運動全般を得意としておりドライビングテクニックも優秀。
当初は軽薄短小なキャラクターであったが回を追う毎に成長し、若手のリーダーとして途中で殉職したゴリさんの後任ポジションを担うことになった。

  • 竹本淳二(ラガー)
演:渡辺徹
8代目若手刑事。愛称は高校時代ラグビー部だったことからで、名前には「早見淳に次ぐ『2代目』の淳」という意味が込められている。
当初は男前のやせ型だったが、末期には激太りしてしまい見た目が激変。そのため、殉職シーンはスプラッター映画ばりに流血後、お腹の肉をたぷたぷ揺らしながら絶命という番組史上最大の爆笑シーンとなってしまい、後年も演者自身がネタにしまくった。
何気に若手刑事では最後の殉職者である。

  • 原昌之(ジプシー)
演:三田村邦彦
滝の後任として登場。年齢的に中堅。
所轄署を転々と渡り歩くことから「ジプシー」と呼ばれる。
右胸心という特異体質と、発砲音で使用銃を特定出来る特技の持ち主、前者に関してはとあるエピソードで事件解決の鍵となった。一方、特製の簪で悪人を闇に葬る裏稼業も営んでいる。
ジプシーの加入後、ドック・ラガーとともに「ミワカントリオ」、更にボギーが加わった「カワセミカルテット」が人気を博し番組は第2次黄金期を迎えることとなった。
しかし裏稼業のほうがジプシーをしのぐ人気となってしまったことでスケジュールや他局との関係調整に困難を来すようになり、再び転勤という形で番組を去ることになった。
その後594話にて一度再登場し、一係と協力して事件解決にあたった。

  • 春日部一(ボギー)
演:世良公則
ロッキーの後任として登場した中堅刑事。
名優ハンフリー・ボガートへの憧れから彼の愛称をあだ名としたが、ボスからは「ゴルフのボギー」(≒まだまだ未熟)とも言われた。
ルノー・16を愛車とし、大の広島カープファン。
演じた世良は「あんたのバラード」「銃爪」でおなじみの日本を代表するロックミュージシャンで、本作以降俳優としても活躍するようになる。
ある事件で起こしたミスの責任を取って捜査中に退職を申告、そのまま単身で事件の背後にいる組織と決着をつけようするが、縁日の人混みの中で組織の刺客に刺殺されて殉職。
キャラクターは無論、愛車から殉職まで七曲署の刑事では全てが異色の存在だった。

  • 井川利三(トシさん)
演:地井武男
殉職したゴリさんの後任として赴任。但しその年齢とキャラから長さんの後継と呼んだほうがふさわしく、更に末期には殉職した山さんのポジションも受け継いだ。
「とんねるずのみなさんのおかげです」のパロディコント「太陽にほえるな!」にも同役でゲスト出演。但しこちらは本家と異なるファンキーなキャラクターであった。

  • 岩城令子(マミー)
演:長谷直美
ロッキーこと岩城創の妻で(旧姓は早瀬)、交通課出身で2児の母の女性警官。
夫の死後寂しく残された子供達と過ごしていたが、ジプシーの転勤後しばらくして刑事として現場復帰&捜査一係入りを果たした未亡人刑事
交通課出身ということもあり、ドックに並ぶドライビングテクニックの持ち主。

  • 澤村誠(ブルース)
演:又野誠治
9代目新人刑事。
ニックネームの由来はピアニストだった父の影響から好みとする音楽ジャンルからで、どこかジーパンを思わせる容貌をしている、ジーパンと同じく格闘技に優れており、44口径のマグナムを愛銃としている。学生結婚の既婚者で、末期には息子も誕生している。

  • 水木悠(マイコン)
演:石原良純
10代目新人刑事。
当時実用化され始めていた「マイコン(パソコン)」の扱いに詳しい事から一回応援として出張しており、その縁から正式に七曲署に赴任することに。
演者は言わずと知れた石原裕次郎の甥であり、ちょうど『西部警察』終了と入れ替わるように本作レギュラーとなっている。
交通課に香坂美津子というガールフレンドがおり、演者はこれがテレビドラマデビュー*13となった沢口靖子。

  • 島津公一(デューク)
演:金田賢一
ラガーの後任として赴任。
ボス以外の同僚を愛称で呼ばない性格で、物静かなキャラクターから公爵の意味を持つデュークと呼ばれるようになった。
決してアニメ版声優が平成版七曲署ボスな世界最強のスナイパーからではない。
山さんが残した未解決事件の処理のため、本庁に栄転する形で降板。
ちなみに演者の父は球界の名投手金田正一氏。

  • 太宰準(DJ)
演:西山浩司
最後の新人刑事。香川県出身で相性の由来は名前のイニシャルから。
無謀な性格から刑事は腰掛け程度にしか考えておらず、いつクビになってもいいように常にアルバイト雑誌を持ち歩いている。
従来の若手刑事とは全く異なるキャラクターであるが、運動神経の良さは捜査課イチ。
演じた西山氏はフジテレビの番組で人気を博した「イモ欽トリオの悪い子」で知られており、本作終了後同枠で開始した『ジャングル』にスライド参加している。

  • 橘兵庫(警部)
演:渡哲也
番組最末期の1986年6月から登場。ちなみに名前は演者の出身県と同じ。
警視庁捜査一課出身で、病欠となったボスの代理として最終回まで出演。原則部下を愛称で呼ばない。
最終回では本番組では唯一となる石原・渡の共演が見られた。
質実剛健な性格で、現場に出向くことも多い。
某西部署の団長に似ているが、サングラスもショットガンも持たないどころか発砲シーンも無かった。

  • (たかむら)朝子(係長)
演:奈良岡朋子
「PART2」で藤堂に代わって着任した警部。部下を愛称で(ry。
演じる奈良岡氏は旧作にもゲスト出演経験があり、石原氏の推薦で係長に選ばれた。

  • 喜多収(オサムさん)
演:寺尾聰
「PART2」より登場した中堅刑事。
「人生死ぬまでのヒマつぶし」をモットーとする。
飄々とした軽さを持つ一方、何の躊躇もなく犯人を銃殺したりなど、同じ寺尾氏が演じた西部警察のリキに近いキャラクター。見た目も殆どリキだし。
寺尾氏はこれ以前にも253話で刑事役としてゲスト出演している。

余談

  • 第一回に登場した犯人役はあの水谷豊。本作での演技が高く評価され、後に萩原とは「傷だらけの天使」で共演し俳優としてブレイクすることになる。なお、マカロニ刑事時代は浜美枝や宍戸錠、萩原とは当時バンド仲間でもあった沢田研二といった豪華なゲストが登場していた。
  • 一方、最終回に登場した犯人役はエンケンさんこと遠藤憲一。当時氏は俳優駆け出しの頃で、悪役としてジャンルを問わずドラマに出演していた。しばらくは鳴かず飛ばずの時期が続いたが映画「マトリックス」の予告ナレーションで注目を集め、2000年代以降ブレイクを果たすことに。
  • 初期の新人刑事には「『じゅん』と読む名前を付ける」という裏ルールがあり、3代目のテキサス(三上順)までは統一出来たが、4代目のボン(田口良)はテキサスとのバディ路線になったため「役者の芸名を宮内にする」事で対応。
    スコッチ以降その縛りは「出来るだけ漢字一文字の名前にする」くらいに薄れたが、スニーカーの時は「5人目のじゅん」だけに「五代潤(じゅん)*14」、『2代目の淳』たる竹本淳二(ラガー)、最後の新人刑事「太宰」(DJ)と「じゅん」への拘りも残った。
  • 新人刑事については当初本編にゲスト役でテスト出演させ、殉職後に関してもフォローはする様に務めており、
    萩原健一(マカロニ):『傷だらけの天使』(水谷豊との共演)
    松田優作(ジーパン):『俺たちの勲章』(中村雅俊との共演)
    勝野洋(テキサス):『俺たちの朝』(小倉一郎や後に本作でマミー刑事役になる長谷直美等との共演)
    宮内淳(ボン):『あさひが丘の大統領』
    沖雅也(スコッチ):『俺たちは天使だ!』
    と、本作と同じプロデューサーが制作するドラマで主演を務めた萩原・松田に関しては『太陽』で溜まったストレス解消面もあったそうな
  • アニメ版『名探偵コナン』の劇伴は本作と同じ大野克夫が担当しており、全体的に本作の劇伴に似せたものとなっている。これはアニメ化の際に原作者の青山剛昌「『太陽にほえろ!』っぽいのにしてくれ」と依頼したことによる。なお、『コナン』のアニメオリジナルエピソードには古内一成や柏原寛司といった本作の脚本家も多数参加している。更に、同作には『太陽にほえろ!』の演者や登場人物に由来する名前のキャラも多い*15*16
  • 主に使用される覆面パトカーはトヨタ車が多く使用された。クラウンやマークII、カローラといった定番から果てはセリカ、ソアラ、スープラと現実ではまず採用されない*17ような車種まで次々と登場した。そして犯人車は当て付けの如く古い日産車が使われている。但し同社がスポンサーになっていたわけではなく、スタント担当会社との兼ね合いによるもので、他にもスズキや三菱、マツダ、初期はフィアットやオペル、フォードといった輸入車が使用されていた。
  • 730話という莫大な放送回数のため、脚本には老若男女問わず数多くのライターが参戦した。特筆すべきはかの大山のぶ代(初代三代目ドラえもん)が本作の脚本を手掛けた経験があり、「トリビアの泉」で紹介されたことがある。
  • 1982年9月に放送された524話では、ライブハウスのシーンに伝説のロックバンド・BOOWY(6人時代)が登場している。この関係で当該回はDVD化が見送られているが、BS・CSの再放送で視聴が可能。
  • 1984年11月に放送された625話「四色の電車」は、当時ダイヤ改正に伴う転属で発生していた首都圏の混色国電を題材にしたエピソードである。今のように鉄道趣味の社会的地位も高くなかった時代なので内容にはかなり偏見が混じっているが、全730話の中でも屈指のマニアック回なのは間違いないだろう*18
  • 埼玉県久喜市にある愛生会病院の公式ホームページは、アクセスすると本作のメインテーマ(コピーMIDI)が再生されることで有名だった*19。設定が変なのか何故か、音程が微妙にズレて再生されたり、そもそも配色が異常なほどカラフルだったりして、シュールすぎるホームページとして永らく語り継がれていたが、2012年に惜しまれつつも閉鎖した。その後再度公式ページが立ち上げられたが、当時の面影もないマトモなサイトになってしまった。
  • 本作の前枠には1975年~1986年の間『カックラキン大放送』というバラエティ番組が編成されており、番組内では男性アイドルを主役にしたミニ刑事コントを放送していた。
    そしてその内の一人野口五郎(「刑事ゴロンボ」)は後に、竜雷太がレギュラーのTBS系ドラマ『ケイゾク』に出演。番組ジャンルは違えど70年代日テレ系金曜日夜の刑事経験者2人が他局で共演する事となった。


追記・修正は殉職していった七曲署の刑事たちに思いをはせながらお願いします。

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最終更新:2024年03月28日 18:06

*1 レギュラー版には関与していないが、前述の岡田晋吉プロデューサーが当時中京テレビの社長だったことが理由。

*2 交通整理中の交通事故など。珍しい例では、捕獲しようとした動物に噛まれたことがもとで感染症に罹り亡くなったというケースも。

*3 存命であれば、降板後に異動先や転職後の立場からゲスト出演させることができるため。

*4 警察官僚であるため、厳密には刑事の殉職ではない。

*5 岸部・沢田は「ザ・タイガース」、井上・大野は「ザ・スパイダース」、萩原・大口はスパイダースの後輩バンド「ザ・テンプターズ」と60年代末期流行した「グループ・サウンズ」ブーム期の人気バンドの出身。

*6 なお、この収録も入院中の病院から抜け出して実施している。

*7 一般的に知られる箱形の車体ではなく、ジープ然としたフルオープンの初代モデルである。当時街中でオフロード車を乗り回す例は珍しく、氏のキャラを際立てる小道具の一つとなった。

*8 演者の松田優作氏も極真空手の経験者だった。

*9 マカロニ・ジーパンは演者が共に非嫡出子という複雑な家庭環境のもとで育ち、おまけに後年本物の警察のお世話になったという共通点がある。これに比べると氏はごく一般的な家庭環境と言える。

*10 この頃になると視聴者がファミリー層にも広がっており、児童生徒が番組を見ることを想定した配慮が必要となっていた面もある。

*11 もともと沖はスケジュールの縛りが半年を超える仕事を受けない主義であったため、短期間で降板すること自体は既定路線であった。

*12 石原氏と沖氏は同じ日活の先輩・後輩の間柄でもあった。

*13 若手女優の登竜門こと「東宝シンデレラ」の初代グランプリである。

*14 劇中に登場した「じゅん」では三上順に次いで四人目だが、先述の通り宮内氏が芸名として「淳」を貰ったこともカウントしてのこと。

*15 例として松田優作演じるジーパン刑事から名前を取った松田陣平など。

*16 また、『コナン』のとある劇場版作品では「スコッチ」という人物を登場させる予定だったが、脚本を担当した古内が「スコッチ刑事への思い入れが強いので、できたら変えてほしい」との事で別の名前に変更した経緯がある。

*17 警察車両は乗り降りや荷物の積みやすさといった実用性が優先されるため、ドア数の少ないクーペ系車種の採用は高速警察隊などに限られている。

*18 なお、混色は趣味的には楽しいものの利用者から苦情が頻発しており、JR化の際には真っ先に塗装の統一を図っている。

*19 なお、法律の厳罰化に伴いMIDI再生は05年に廃止。