相棒(ドラマ)

登録日:2011/01/11 Tue 00:29:05
更新日:2025/04/08 Tue 21:40:07
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窓際の二人が、また勝手に動きだす。
*1


相棒(あいぼう)』とは、テレビ朝日と東映が制作している刑事ドラマシリーズである。

以下、本項目ではPreシーズンを「PS.1」、各シーズンを「S.1-1」「S.2-1」のように表記する。


【概要】

元々は2000年6月から2001年11月にかけて『土曜ワイド劇場』枠の単発ドラマ『相棒 警視庁ふたりだけの特命係』のタイトルで3本が製作された。
従来の2時間ドラマの枠にはまらないストーリー展開と重厚な内容から高視聴率を獲得し、2002年から水曜21時の刑事ドラマ枠で毎年放送されるようになった。S.2からは「警視庁ふたりだけの特命係」のタイトルが取れている。
同枠の先輩『はぐれ刑事純情派』に代わる新たな水曜21時枠2クールドラマとして定着し、かつて『はみだし刑事情熱系』を放送していた10月~翌年3月枠*2に放送されており、『特捜9』『科捜研の女』と並ぶテレビ朝日の水曜21時枠を担う人気刑事ドラマシリーズである。

長らく亀山薫が相棒を務めたが、本来は警視庁にとって不要な人材を辞めさせるはずの特命係に8年も在籍しているという矛盾が生じており、組織の理論と薫の人生をあいまいにしてはならないという思いから、S.7-9をもって番組をいったん卒業した。
その後は相棒不在期間を経て、最終話に2代目相棒・神戸尊が初登場し、S.10まで出演。
S.11からは、3代目相棒・甲斐享が登場。当初は2年の約束だったが、水谷氏やスタッフからの申し出もあって1年延長され、S.13まで出演。
S.14からは、4代目相棒・冠城亘が登場。歴代相棒では初めて警察官ではない人物で、当初は法務省から出向中のキャリア官僚という異色の設定だった。最終的にS.20まで出演し、この時点では出演回数の面で薫をも上回る歴代最長の相棒だった。
S.21からは、薫が5代目相棒として14年ぶりに復帰している。

非常に個性あるキャラクターたちが描かれ、脚本では政治問題・コメディ・オカルト・人情モノなど多彩なストーリーを展開し、順調に視聴率を伸ばす。S.9は平均視聴率20.4%という快挙を達成し、中でも第16話「監察対象 杉下右京」は歴代最高の23.7%を記録。
現在も世帯平均15%程度と高水準の数値を維持しており、名実ともに国民的ドラマの地位を確立している。
S.4以降は『はぐれ刑事純情派』に代わり、曜日を問わず毎年元日に2時間以上のスペシャルが放送され、前番組の『芸能人格付けチェック』とともに正月の名物としても定着。正月らしからぬ容赦のないストーリーも多く、新年早々から視聴者を戦慄させることも一度や二度ではない。
ついでに言うと、2023年からはスペシャルの翌日放送である「夢対決!とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」に水谷がゲスト出演している。
また、番組の人気に伴いテレビ朝日は日本シリーズの水曜中継を取りやめるなど、編成に大きな影響も与えている。

基本的には1話完結が原則だが、2~3週連続で展開されるストーリーもほぼ毎シーズンのように設定されており、過去に登場した人物や事件が後のシーズンにおいて続編や回想という形で登場することも多い。
長期放送されている宿命か、過去に登場したゲスト出演者が別の役で再登場することが非常に多い。歴代の最多出演者の前沢保美で計8回。
後述する真飛聖をはじめ、宝塚歌劇団出身女優の出演も多いのが特徴。
また、以前に別役としてゲスト出演した俳優がメインキャラとしてレギュラー登場することもあるほか、月本幸子や青木年男のようにゲスト出演を経てレギュラー入りする人物もいる。

再放送も頻繁に実施されており、地上波・BS朝日・CSテレ朝チャンネルと電波を問わなければ毎日再放送されているといっても過言ではない。
過去にはメインキャストの不祥事や引退などでお蔵入りの危機もあったが、現在では動画配信プラットフォーム「テラサ」も含めれば公式に欠番扱いとしているS.3-7以外は全話が視聴可能。
その他、年始には「新春相棒祭り」と称してスペシャルや2週連続ものの再放送が行われている。

2024年現在、Preシーズン+23シリーズが制作される長寿作になっており、21世紀を代表する刑事ドラマとして高い人気と知名度を誇る。
劇場版もスピンオフを含めて6作制作されており、それ以外にも宝塚歌劇・書籍・ゲームなどメディア展開も多数。

劇伴担当は池頼広。S.3で登場したオープニングテーマはシーズンごとにアレンジを加えつつ現在も使用され続けており、最も有名なアレンジはS.4で登場したもので、S.6まで使われたほか、次回予告や提供読みのBGMで今なお使われていることからおなじみの方が多いだろう。
それ以外の楽曲の評価も高く、楽曲と名場面集と出演者によるミニコントで構成されるコンサートもたびたび実施されている。

車両提供は日産自動車。テレ朝東映枠開始当初の作品『特別機動捜査隊』からのスポンサーで、劇中ではGT-Rスカイラインセダン・エクストレイル・ティアナ・フーガ・シルフィ・エルグランドなど放送時点で発売中の日産車が登場するが、右京のフィガロなど風変わりな車種が出てくることもある。
近年ではドラマとタイアップしたオリジナルCMが放送されることもある。

芸能界にもファンが多く存在し、公式プレゼンターを務める赤ペン瀧川をはじめ*3、坂本龍一や早見沙織など多数存在する。
また、『名探偵コナン』の作者である青山剛昌は巻末の名探偵図鑑に右京を紹介しており、自身もS.9-10でカメオ出演している。
和泉聖治監督と交流があるということで、映画監督の三池崇史もS.10-16に特別出演した。

作風はシーズンごとに少しずつ異なっており、さらに脚本家によっても各話のストーリーの味つけにややバラつきがある。
初代相棒の亀山薫時代は、警察の不正問題・人情モノ・後味の悪い話・企業絡みの犯罪など回によってストーリーは色々だが、コミカルなシーンやどんでん返しを含みながらも原則として1話で綺麗に完結する、比較的シンプルな構成の話が基本形だった。
2代目相棒の神戸尊時代は、当初は薫時代のカラーをある程度継承していたが、S.9以降は社会問題やシリアスな人間の感情を取り上げ、コミカルなシーンの少ない終始落ち着いた雰囲気で進行する回が増えた。またこの頃から警視庁と警察庁の対立など連続ドラマとしてのストーリーの縦軸が強く描写されるようになった。
そして、3代目相棒の甲斐享が参加したS.11あたりからはさらにカラーが変更され、政財界の不祥事から国家規模の巨大な陰謀まで、さまざまな権力の闇に特命係が切り込んだり阻止したりするサスペンス路線の色が強まり、どこか幻想的な雰囲気のある非日常的な話も増えた。
さらに、4代目相棒の冠城亘が参加するS.14前後からは、1話で終わらずに次週に続く長編作や、伏線を一挙にバラ撒いては後のシーズンで徐々に回収していくゆっくりとしたストーリー展開が目立つようになり、数か月から時に数シーズンまたぐことも多くなった。
一部のシーズンを除き、基本的には初回・元日・最終回はスペシャルで放送されていたが、現在のスペシャル放送は元日のみであり、初回と最終回に関しては前後編の拡大スペシャルで放送している。
特に美彌子や衣笠、峯秋は近年ではほぼスペシャル回のみの登場になっており、ストーリーが大きく動くのはこれらの回または輿水脚本のみとなっている。

ちなみに、他のテレビ朝日の刑事ドラマでは登場人物が同局の他作品に同一人物として特別出演することが多く、同一の世界線と見られることも多々あるが、本作の場合は長寿作品でありながらそのようなケースは非常に少なく、唯一『警視庁捜査一課9係』に米沢が出演した程度である。


【あらすじ】

警視庁の陸の孤島」と呼ばれる窓際部署「特命係」。ここは、文字通り別に令がなければ仕事がない閑職であり、捜査権も逮捕権も認められておらず、どこの部署にも属していない浮遊部署でもある。
メンバーには、抜群の知識と推理力を持ちながらもそのユニークな人柄と強すぎる正義感が災いして周囲からは変人扱いされ、ある事件でここに追いやられたキャリア警部・杉下右京が係長としてただ1人いるのみだった。
やがて、ここは上層部が不要と判断した人材を送り込み、右京の個性的な性格も含めて自然に辞めさせる役割を持っていき、いつしか「人材の墓場」と呼ばれるようになっていった。

しかし、失態によって捜査一課から左遷された亀山薫(退職後、後に嘱託職員として復帰)、元々は右京と特命係の必要性を判断するスパイの任を受けて警察庁から表向き左遷された神戸尊、右京直々の指名によって所轄署からスカウトされた甲斐享、法務省からの出向を経て自ら特命係を志願した冠城亘の4人だけは、最低でも3年以上と長期に渡って在籍した。
これは、そんな相棒たちが右京とともに難事件に挑む物語である。


【主な登場人物】

演者に「/」のある役者は、テレビドラマ / 宝塚歌劇の順で記す。

警視庁特命係

警視庁組織犯罪対策部薬物銃器対策課の片隅に押し込められた、特にこれといった仕事のない庁内一の窓際部署。「陸の孤島」「人材の墓場」とも揶揄されており、失態を犯した人材を送り込んで自主退職させる追い出し部屋である。薫が来るまでにも6人が左遷され、全員1週間以内(最短1日)で退職していった過去がある。
S.16-2以降、組織図上では警察庁長官官房付の直属部署になっている。

演 - 水谷豊(小学生時代:新井真悟) / 真飛聖

このドラマの主人公で、細かいことが気になる特命係の係長。階級は警部補→警部。生年月日は不明だが、S.1開始時45歳である。全話に登場。
東京大学法学部を首席で卒業後渡英し、帰国後にキャリアとして警察庁に入庁。3年間のスコットランドヤード研修を経て警視庁刑事部捜査二課に出向し、大物フィクサーの摘発に関わるなど辣腕を振るう。
1987年に外務省公邸で人質籠城事件が発生すると、その頭脳を見込んで、当時公安部参事官だった小野田が結成した非公式部隊「緊急対策特命係」に招集され、作戦参謀として犯人と交渉し、粘り強く人質を解放していった。
しかし、アメリカ国務長官来日による配慮から早期解決を主張する小野田と対立して作戦参謀を解任されてしまい、事件は隊員と人質にも死者が出る大惨事で終わった上に、彼はその責任を全て押しつけられる形で警視庁の片隅に押し込まれてしまう(S.1-11)。

紅茶チェスをたしなむ紳士な名探偵で、一部で「シャーロック・ホームズ」と称されるほどの優秀な頭脳と豊富な知識を有するがとんでもない変人でもあり、よくも悪くも全く空気を読まず、犯罪を決して許さず厳格なまでに法遵守を求めるなど*4、人格面では問題人物としか言えないことから周囲から煙たがられている。
本領は頭脳労働なのに格闘術も習得していて、性格以外は完璧超人。

相手に関係なく常に慇懃無礼な敬語で話すが、罪の重さを自覚しない悪質な犯人に対してはプルプル震えながら強い口調で叱責することもある。
一部の回を除き、長らく車の運転は相棒に任せていたが、S.11~S.19では愛車のフィガロが登場し、享や亘を乗せて自ら運転する場面もあった(S.20以降は登場していない)。

詳細は当該項目を参照。


演 - 寺脇康文(少年時代:黒須貴之)

PS.1~S.7-9、S.21-2以降で在籍。前の6人と同じように失態を犯して左遷された右京の初代相棒で、通算7人目。階級は巡査長→巡査部長→嘱託職員→巡査部長。1966年7月23日生まれ。新潟県出身。血液型はB型。
城東大学法学部を卒業後、警視庁に入庁。所轄署勤務を経て捜査一課に配属されるが、遭遇した指名手配犯を逮捕しようとして逆に人質になる失態を犯し、特命係に左遷される(PS.1)。
まず体が先に動く熱血系体力バカで、頭を使うことが苦手。人情に厚いが右京に巻き込まれてよく不幸な目に遭う。

詳細は当該項目を参照。


演 - 及川光博 / 壮一帆

S.7-最終話~S.10-最終話まで在籍。上層部からの特命でスパイとして配属された右京の2代目相棒で、通算9人目。階級は警視→警部補→警視。1970年2月1日生まれ。東京都大田区田園調布出身。血液型はO型。

薫とは正反対なインテリ系のおぼっちゃまで頭の回転が速く、的確な発言や推理をすることも多い。女性の扱いにも手馴れたプレイボーイでもある一方、警備畑出身なので遺体や白骨を見ただけで気分が悪くなる一面もある。
歳の割に中途半端に甘さと青さが抜け切っておらず、時々熱くなって右京の正義感に異を唱えることもあった。
トリオ・ザ・捜一や陣川からは、名前を音読みにした「ソン」と呼ばれていじられていた。大河内とは旧知の仲で、2人で会うこともしばしば。
ナポリタンとゲロルシュタイナーを好み、黒のGT-Rを愛車とするが非常に運転が荒く、右京からも苦言を呈されている。

詳細は当該項目を参照。


演 - 成宮寛貴(小学生時代:橋爪龍、中学生時代:上田晟人)

S.11-1~S.13-最終話まで在籍。所轄の新米刑事だったところを特命係にスカウトされた右京の3代目相棒で、通算10人目。階級は巡査部長。警察庁次長・甲斐峯秋の次男で、愛称は「カイト」。1983年7月7日生まれ。東京都港区芝出身。血液型はAB型。
早慶大学政治経済学部を卒業後、警視庁に入庁。交番勤務を経て署長推薦の選抜試験に合格し、中根署刑事課捜査一係に配属されたが、香港を旅行中に出会った右京と一緒に事件を解決したことで、彼から引き抜かれる形で特命係に配属された(S.11-1)。
年上のCA・笛吹悦子と交際中。

詳細は当該項目を参照。


演 - 反町隆史(少年時代:榎本司)

S.14-1から登場し、S.15-1~S.20-最終話まで在籍。元法務省という異色の経歴を持つ右京の4代目相棒で、通算11人目。階級は巡査。1975年2月9日生まれ。東京都港区北麻布在住。血液型はAB型。
早慶大学法学部を卒業後、法務省に入省。刑事局総務課企画調査室長を務めていた時、人事交流に際して「現場に興味がある」という理由で、警察庁ではなく警視庁に警務部付として出向してきており、特命係の部屋に住み着いて暇を持て余していた(S.14-1)。
そのため、シリーズ初となる「警察官ではなかった相棒」。

詳細は当該項目を参照。


トリオ・ザ・捜一

伊丹憲一三浦信輔→出雲麗音*5芹沢慶二からなる、警視庁刑事部捜査第一課7係の刑事3人組。レギュラーキャラクターであり、ほぼ毎回登場する。
この手のドラマにありがちなかませ犬かと思いきや、やたらキャラが立っている上に時に意外な一面も見せるため、コアなファンが多い。
麗音を除く3人は捜査権もないのに勝手に捜査に加わってくる特命係を疎ましく思っており、事件現場や取調室に入ってくるたびに露骨に嫌そうな表情をし、厄介事を押しつけることもある。
もっとも、能力は認めているので何かと協力することも多い。

初期は伊丹と三浦のコンビで、芹沢の登場後も3人で行動することは少なく、三浦と芹沢が交代しながら登場していたが、やがてトリオとして定着していった。
しかし、S.12-1で三浦が引退したことで伊丹と芹沢のコンビになっているが、S.13-4では三浦の後任として人事交流で警察庁刑事局に出向していた若き女性警部補の浅木真彩(演 - 原田夏希)が一時的に配属され、1年ぶりにトリオが復活した。
そして、S.19-1では銃撃事件を受けて交通機動隊から異動してきた出雲麗音が加わり、久々の3人体制になった。
ちなみに、「トリオ・ザ・捜一」の名称は公式が命名した愛称ではあるが、劇中で言及された場面はない。

詳細は当該項目を参照。


特命係行きつけの小料理屋

事件の状況を整理したり、解決後は女将とその内容について語り合ったりするのが本作のお約束である。座席の奥には番組スポンサーである黄桜の樽が置いてあるのもお約束。

花の里

レギュラーや準レギュラーをはじめ、各回ゲストが訪れることもある。一般客の姿はあまり見られないが、一部回で訪れる場面がある。
席はカウンターのみで10席程度。S.4までは外観・内装と周辺の風景がシーズンごとに異なっていた。初期は代々木に店を構えていたようで、他の従業員やテレビの存在が確認できた。名前は右京の遠縁の杉下花(演 - 原沙知絵)が由来。
PS.では「新ふくとみ」という別の店だった。渋谷にあった実在の店がモデルになっており、クレジットにも記載されたが、店主の死去によって「花の里」に変更された。

  • 宮部たまき(みやべ たまき)
演 - 益戸育江*6 / 桜一花

PS.1~S.10-1まで登場。右京の元妻で「花の里」の初代女将。着物の似合う和風美人。生年月日は不明だが、S.1開始時38歳。
右京と離婚したのは事実だが、信頼関係は変わっていないようで、夫婦以上の絆で結ばれている。
S.10-1にて突然店を畳み、世界放浪の旅に出た。

その後、益戸氏が2016年10月25日に大麻取締法違反容疑で逮捕されたため、当面の間は彼女の出演回の再放送が自粛され、劇場版IIの再放送では出演シーンがカットされていたこともあった。


  • 月本幸子(つきもと さちこ)
演 - 鈴木杏樹

S.4-19で初登場。この世のツキというツキに見放され、夫を殺したヤクザの愛人にまで落ちぶれた、名前に反してツキのなかった女性。
復讐を果たして海外逃亡しようとした時に車がエンストし、あろうことか特命係と遭遇してしまったことで逮捕される。服役中にも脱獄や警察内の陰謀に巻き込まれたりしてしまっており、やっぱりついていない女(S.6-11~12)。
出所後、一度は豪邸の家政婦の職を得たが、つきすぎている境遇を疑り過ぎて右京たちに相談する。トリオ・ザ・捜一なども巻き込んだ末単なる早とちりだと判明し、右京の薦めで「花の里」2代目女将になり、レギュラー入りを果たした(S.10-12)。
これまで波瀾万丈の人生を送っていたこともあってさまざまな幸不幸を経験したためか、発言に重みがあり、その言葉が幾人かの支えや導きになることもある。
しかし、ある事件をきっかけに社会的に恵まれない子どもたちの力になろうと一念発起し、女将を引退して右京と亘に別れを告げた(S.17-19)。


こてまり

花の里とは違って「警察官立ち寄り所」の札を掲げており、カウンターに加えて座敷席もある。

  • 小出茉梨(こいで まり)
演 - 森口瑤子(高校生時代:早川りこ)

S.18-最終話から登場。「花の里」に代わる特命係の新たな行きつけの店になった小料理屋「こてまり」の女将。第八西高校出身。
元々は内閣官房長官や各界著名人からひいきにされていた赤坂の芸者だったが、引退して「こてまり」を開業。古くからの付き合いである峯秋の紹介で特命係と知り合い、彼らの新たな行きつけの店になった*7。現在も当時の芸名である「小手鞠」の名前で呼ばれている。
右京とは対照的に細かいことは気にしない主義だが、自身の深い話題を話したがらない点では似ている。


相棒の恋人

  • 奥寺美和子(おくでら みわこ)
演 - 鈴木砂羽

薫の恋人で当初は帝都新聞社会部の記者だったが、S.5以降はフリージャーナリストに転身。「~したまえ」が口癖。1970年11月12日生まれ。
自身の浮気によりS.3-3で破局したものの、S.4-最終話でめでたくゴールイン。S.5以降は「亀山美和子」名義になり、インド転勤後は美和子スペシャルやラブラブTシャツを製造するなどキャラ崩壊。
S.7-9にて退職した薫と共にサルウィンへ旅立ったが、S.21で帰国した。


  • 笛吹悦子(うすい えつこ)
演 - 真飛聖

S.11-1~S.13-最終話までレギュラー登場。日本国際航空のCAで享の年上の恋人。東京都大田区元森町2丁目5-6にあるmonparte 305号室在住。身長167cm、体重53㎏。実家は福島県
渋谷での合コンで享に家まで送ってもらったことから交際をスタートし、現在は半同棲中。特命係の捜査に協力することもある。ボールルームダンスが得意。
一方で甲斐親子の確執には苦慮しており、和解を結婚の条件にするなど、何とか2人の仲を取り持とうと苦心している。
S.13-14~15では享との子どもを授かったことが判明したが、同時に白血病の発症も発覚し、入院を余儀なくされる。幸い治療は順調に進んでおり、うまく行けば出産も可能であることが語られた。
その後、S.22-10で9年ぶりに登場。現在は亡き父親からの骨髄移植によって病気は寛解し、シングルマザーとして息子の結平を育てながら仕事を両立させている。享が逮捕された後も右京との交流は続いており、息子の晴れ舞台に招くなど良好な関係を維持しているようである。

真飛氏は元宝塚歌劇団のトップスターで、宝塚版『相棒』で右京を演じており、この縁でドラマ本編への出演が叶ったと思われる。


レギュラーキャラクター

警視庁

刑事部
演 - 片桐竜次 / 星原美沙緒

PS.1から登場。警視庁刑事部長で階級は警視長。名前が明かされたのはS.5からで、それまでは「内村警視長」表記だが、実はS.2-16で一瞬映っている。東京都江戸川区新葛西在住。血液型はB型。左利き。
勝手な捜査をする特命係を部長室に呼び出しては「お前たちは首を突っ込むな!」などと一喝するが、大抵無視されるのがお約束。悪人面。所詮小物で自身の出世や保身以外に興味がなく、上層部の命令によって捜査方針や態度が二転三転することも多い。たまにミスを犯したトリオ・ザ・捜一を説教することもある。初登場時は部下に対しても敬語で話していた。
特命係を心底疎んでいたが、近年では活用法を見出した模様で、私用で動かしたり、重大事件において万が一の際の責任を右京や中園に押しつけつつも右京の提案を聞き入れたりすることもある。こちらも時々萌キャラになる。

詳細は当該項目を参照。


演 - 小野了

PS.1から登場。警視庁刑事部参事官で階級は警視正。生え際が気になる内村の腰巾着。内村ともども名前が出たのはS.5からで、それまでは「中園警視正」表記。東京都港区白金台在住。血液型はA型。左利き。
内村と同じように特命係を疎んでおり、彼とセットで登場しては、2人を説教するのがお決まりのパターン。しかし彼ほど嫌ってはおらず、たまに右京を評価しているような発言をしたり、捜査に参加させたりすることもあるほか、消息を絶っていた右京が生きていたことを知った際には満面の笑みで喜んでいた。

詳細は当該項目を参照。


刑事部捜査第二課
演 - 原田龍二

S.3-6で初登場。捜査一課一係の経理担当で階級は警部補。通算8人目の相棒。美奈子(演 - 水崎綾女)という妹がいる。大阪府寝屋川市出身。
経理担当だが刑事になる夢が捨て切れず、二度も誤認逮捕を起こして特命係に左遷される(S.3-6)。欠員が生じたことですぐに復帰するものの、S.6で再登場して以降はたびたび特命係に厄介事を持ち込んでおり、一部を除いて各シーズンに1回は登場している。

右京に対して尊敬の念を抱いており、「敬愛する刑事」と公言している。自分より後に特命係にやってきた尊や享に対しては先輩という立場で接していたが、亘に対しては一転、コーヒー通や法務省からの出向ということで「先輩」と呼んで慕っており、彼が巡査として警視庁に入庁してからも変わっていない。
また、青木には刑事の先輩という立場で接している。

詳細は当該項目を参照。
なお、原田氏の弟である本宮泰風氏も劇場版II, S.11-11, S.17-10, S.20-19~最終話に出演している。


刑事部鑑識課
  • 益子桑栄(ましこ そうえい)
演 - 田中隆三

S.15-1から登場。米沢の後任として登場した新たな鑑識で階級は巡査部長。
現場検証中は刑事すら立ち入らせようとしないなど、米沢とは違うベクトルで職人気質な人物。常に無愛想で右京に対してもぶっきらぼうに接するがその腕は確かで、上層部からの圧力を嫌うなど正義感の強い面も見せる。
同期の伊丹と親しく、彼の個人的な依頼で鑑識を動員することもある。米沢とは違って当初は特命係に対して邪険に接していたが、シーズンが進むにつれて態度は軟化してきている。
一方、いかつい言動とは裏腹に好きというギャップがあるほか、釣りが趣味のようで亘が手に入れた猫のレア物写真集や釣りの穴場といった買収に負け、特命係に協力することもある。


組織犯罪対策部
特命係の隣に位置しており*8、S.4までは生活安全部薬物対策課だったが、現実の警視庁の組織改革に合わせ、劇中でもS.5から組織犯罪対策部組織犯罪対策第5課(通称「組対5課」)に改称された。
さらに、2022年4月には現実の警視庁で組織再編が行われたため、これに合わせてS.21以降でも薬物銃器対策課に改称されている。

演 - 山西惇(中学生時代:吉田晴登) / 未涼亜希

PS.2から登場。警視庁組織犯罪対策部薬物銃器対策課長で階級は警視。
ヒマか?」と言いながらコーヒーを淹れに特命係の部屋に入ってきて、会話に首を突っ込んでくるのがお約束。忙しいはずだがこの人の方がよっぽど暇に見える。
米沢と並んで特命係の能力を高く評価する数少ない人物で、捜査への協力も割と快く応じてくれる一方、組対各課の摘発の際には協力させているため、お互いに持ちつ持たれつやっている。

詳細は当該項目を参照。


  • 大木長次郎(おおき ちょうじゅうろう)
  • 小松真琴(こまつ まこと)
演 - 志水正義(大木)、久保田龍吉(小松)

PS.1~S.17まで登場。角田の部下で、ほぼ毎回特命係を窓から覗いている2人組。階級は巡査部長。
会話をすることもあるが、セリフがなければ役名は表示されないことも多い。名前が明かされたのはS.6からで、それ以前は「大木刑事」「小松刑事」、PS.では単に「刑事」表記。
薫や伊丹とは同期の間柄。ヤクザ絡みの事件やガサ入れが必要な時は、特命係に捜査協力することもある。
もちろん本人たちも優秀な刑事であり、昔彼らの世話になったヤクザは大体ビビって接している。
ちなみに、名前に反して大きい方が小松、小さい方が大木であり、特命係に来たばかりの享が間違えたことがある。

なお、大木役の志水氏は2018年9月27日に逝去。撮影順の関係で第1話~第3話と第8話に出演しており、病気の影響からか痩せているようにも見える。第1話の最後には写真とともに追悼テロップが表示された。彼のその後の行方については不明。
また、S.18以降は小松の姿も確認されておらず、彼のその後の動向についても不明。ただし、2人とも公式サイトの相関図には引き続き掲載されている。


警務部
演 - 神保悟志

S.2-1から登場。警視庁警務部人事第一課主任監察官で、S.8以降は首席監察官である監察担当理事官。階級は警視→警視正。警察庁キャリアとして警視庁に出向中。
初登場時は勝手な捜査をした特命係に対し、査問会の席で懲戒免職を言い渡すなど高圧的な人物のように描かれていたが、内心では彼らに期待していた節もあり、腹心の部下が遺体で発見された事件を機に、捜査に協力したり処分を引き延ばしたりするなど比較的良好な関係を築くようになった。
しかし、職務には忠実かつ厳格な人物であるため、監察官としての立場から対立することも多い。
尊とは旧知の仲で、個人的な付き合いがある。
常時携帯している錠剤(実はラムネ菓子)をかじっている姿から「ピルイーター」の異名を持つ。尊も分けてもらう場面がある。
錠剤の中身は周囲に隠しているが、右京と薫には自ら告白し、亘からは得意の嗅覚で見抜かれている。
プライベート関連でとある秘密を持っている。

詳細は当該項目を参照。


幹部
  • 衣笠藤治(きぬがさ とうじ)
演 - 大杉漣→杉本哲太

S.15-1から登場。警視庁副総監で階級は警視監。権力に固執する典型的官僚ではあるが、サイバーセキュリティ対策本部の設立にも関わるなど、警察組織の改革にも意欲的に取り組む野心家の一面も見せる。1959年10月2日生まれ(中園役の小野了氏と全く同じ)。東京都文京区鈴森在住。血液型はB型。左利き。
明慶大学法学部を卒業後、キャリアとして警察庁に入庁。神奈川県警本部長や長官官房総括審議官などを歴任。
法務省を事実上クビになって警視庁に入庁した亘に対し、一度は捜査妨害による報復として非捜査部門の総務部に追いやったものの、美彌子からの依頼を受けた峯秋の頼みで特命係へ異動させた(S.15-1)。

愛娘の里奈が唯一の目撃者になった事件以降(S.15-11)、初期は特命係だけでなく政敵の峯秋をも明確に敵視し、両者まとめて葬り去ろうと画策していた場面も見られた。
しかし、特命係が事件を未然に防いだ際は内々に感謝状と金一封を贈呈しており、峯秋とあんみつを食べながら「出来の悪い子」について語るなど、両者とも決して本心から嫌っているわけではない様子も見せる。

青木の父とは幼なじみの間柄で、彼が警視庁に配属されたのは衣笠のコネによるものである。青木が楓子を突き落した事件では、動機が『週刊フォトス』嫌いの自身を慮っての行動であると察し、峯秋に頭を下げてまで処分を特命係への左遷にとどめた(S.16-最終話)。
そして、自らの危機を救った彼の行動を評価し、幹部への根回しで古巣へと復帰させたが(S.17-10)、相変わらず問題ばかり引き起こす彼に愛想を尽かし、ついに決別した(S.20-最終話)。

大杉氏は2018年2月21日に逝去。後任には杉本哲太氏が起用された。大杉氏は撮影に参加していたものの全ての撮影は終えていなかったため、改めて杉本氏で撮影し直すことになったという*9。S.16-18の最後には2018年2月21日には追悼テロップが表記された。
なお、大杉氏はS.2-6、杉本氏はS.5-11にもそれぞれ出演している。


警察学校

演 - 六角精児 / 華形ひかる

PS.2~S.14-最終話までレギュラー登場。警視庁刑事部鑑識課で階級は巡査部長→警部補。血液型はB型。所轄署の鑑識係にいたところを本庁に引き抜かれた経緯がある。

詳細は当該項目を参照。

六角氏はPS.1では米沢という同名の監察医役で登場していたが、米沢守とは別人である。


警察庁

演 - 岸部一徳 / 夏美よう

S.1-1~劇場版IIまで登場。警察庁長官官房室長で階級は警視監。通称「官房長」。1947年6月4日生まれ。
劇場版IIではかねてから予定していた警察庁の警察省への格上げを実現すべく、長官の金子文郎とともに警視庁籠城事件を利用し、反対する幹部たちを警視庁から追い出そうとするが、2010年7月20日に特命係の目の前で刺殺されて殉職。
その後もさまざまな裏取引や裏工作の際に名前が挙がったり、時の権力者からも信奉されたり、果てには自身の遺骨が盗まれたりするなど、死後もなお各所に影響を残し続けている。

詳細は当該項目を参照。


  • 甲斐峯秋(かい みねあき)
演 - 石坂浩二

S.11-1から登場。警察庁次長で享の父。階級は警視監。血液型はA型。東京都世田谷区成城本町在住。
オーストリア大使館やエルドビア大使館に赴任した経験があり、県警本部長などのポストを歴任後2012年夏に帰任し、次長に就任した。
劇場版IIで殉職した小野田の立ち位置を引き継いだ人物であり、次長時代は自身や組織の利益のためなら非合法的な手段も辞さない場面もあった。
しかし、小野田ほど特命係と対立してはおらず、下記の降格後も含めて全体的には支援する役回りの方が多い。同時に警察官僚として強い信念を持つ漢という一面も明かされている。

大学の後輩でもある右京や美彌子のことは高く評価しており、さまざまな面で協力を惜しまない。東京大学卒ではないが元法務省キャリアである亘のことも買っており、彼の特命係配属に貢献している(S.15-1)。
他方で、次男である享との仲は険悪そのもので、「東京大学、それも法学部以外認めない」というエリート意識から、早慶大学卒の彼を当然に認めておらず、「息子としても警察官としても出来が悪い」と酷評し、初期は何かにつけて警察を辞めさせたがっている場面も見られた*11
しかし、彼が警視庁に入庁するまでの経緯を右京から聞いた際には笑顔を見せており、衣笠との会食の際には享を思い浮かべるなど、本心ではそれなりに愛情を抱いている。

S.14以降は享が起こした事件の責任を取る形で長官官房付の閑職へと降格になったものの、中園がS.14-1で「緊急避難的措置」と語っていたように形式的な処分に過ぎないようで、特命係の人事や処分に便宜をはかるなどその影響力は全く衰えていない。
その後、衣笠から打診された「特命係の指揮統括役」への就任を熟慮の末に承諾し、組織図上では特命係を配下に置く上司の立場になっている(S.16-2)。


法務省

  • 日下部彌彦(くさかべ やひこ)
演 - 榎木孝明

S.14-1から登場。法務事務次官。検事の資格は持たないが、前任者の急逝を受けて次へのつなぎとして例外的に起用された経緯があり、そのためにこれ以上の出世は見込めないが、その分どんな圧力にも屈することなく思い通りの行動を取っている。
法務省時代の亘の上司で理解者。非常に親しい仲であり、彼の要請にも臨機応変に対応する度量を見せるほか、脅すような言葉の裏で発破をかけたり、警視庁で生きがいを見つけた彼の背中を押したりもした(トドメ的な意味も含めて)。
逆に日下部も、法曹関係やその他あらゆる方面に顔が広く、かつ自由度の高い亘をよく使う。彼が警視庁に移籍してからも引き続き信頼しており、ヤロポロクとの関係が噂されている美彌子に対して探りを入れるために身辺調査を依頼したこともある(S.15-1)。
右京にはかねてより着目していたが、注目していた女性検事の些細な不正を彼が明らかにして辞職に追い込んだことに激怒。「私は君を許さない」と敵対宣言し、亘を巻き添えにしてでも特命係を潰そうと考えるようになった(S.15-8)。
S.17-10を最後に登場しなかったが、S.20-19~最終話で久々に登場。少なくとも特命係を敵視しているような描写はなく、相変わらず美彌子に関心があり、亘を通じて近況を引き出そうとするほか、「霞ケ関の盲腸」とも揶揄される公安調査庁の地位向上を画策しており、その一環で彼を特命係からスカウトし、改革を託した(S.20-最終話)。


内閣情報調査室

  • 社美彌子(やしろ みやこ)
演 - 仲間由紀恵

S.13-1から登場。ロシア人スパイ、ヤロポロク・アレンスキーの亡命に絡む連続殺人事件で特命係と関わったキャリアウーマンで階級は警視→警視正。1974年5月3日生まれ。東京都世田谷区西代沢在住。血液型はO型。
東京大学法学部出身で将棋部に所属しており、右京と同じ恩師に学んでいた。卒業後はキャリアとして警察庁に入庁し、組対2課や長官官房国際課への配属を経て、内閣情報調査室に総務部主幹として出向していたが、上記の事件を受け、警視庁総務部広報課長に就任した(S.13-1)。
S.14では出番がなかったが、S.15から再び登場。厄介払いで広報課に配属された亘の上司になったが、彼から自身の身辺調査を行っていることを明かされると、亘を特命係に異動させるよう峯秋に依頼した(S.15-1)。
世間からは「美人広報課長」として知名度も高い。持論としては「公安調査庁不要論」を掲げており、鑓鞍とは違って格下げどころか完全に不必要と考えている模様(S.16-13, S.20-19)。

特命係の能力は認めており、全幅の信頼を置いているがうまく口車に乗せて巧みに利用することもある。峯秋からの信頼も厚く、秘密裏な調査を請け負ったり相談事をしたりしている。
スパイの協力者を「国賊」と言い切って断罪する一方、ヤロポロクとは男女の関係になっており、彼との子どもと思われる娘・マリアがいる。そのため、彼との関係について追及や脅迫を受けたりするなど、不幸な出来事には事欠かない。
S.17では仲間氏の産休明けで第10話より復帰し、S.19-1では女性の立場向上を狙うべく、「警視庁ガールズボム(KGB)」のメンバーでもある麗音の捜査一課配属を衣笠に働きかけた。
そして、S.20-3では内閣官房長官の鶴田翁助の策略によりって内閣情報官に抜擢されるという異例の人事になり、鑓鞍への事前の根回しもあってか鶴田の失脚後もそのまま留まっているが、内閣情報官という要職になってもなお変わらず気軽に頼み事をしてくる右京に対して内心辟易している節がある。
一方で、彼女にとっては内閣情報官という立場もあくまで通過点でしかないようで、自らへの銃撃事件を利用してまで警察の勢力図を刷新しようとするなど、ゆくゆくは警察官のトップにのし上がろうとするというキャリアゆえの野心ものぞかせている(S.22-1~2)。

仲間氏の夫である田中哲司氏もS.8-14に出演している。


  • 青木年男(あおき としお)
演 - 浅利陽介

S.14-15で初登場し、S.15-1~S.20-最終話までレギュラー登場。サイバーセキュリティ対策本部の特別捜査官で階級は巡査部長。1987年11月1日生まれ。東京都渋谷区恵比寿本町在住。血液型はAB型。文教館大学経済学部卒で情報処理安全確保支援士(登録情報セキュリティスペシャリスト)の資格を持つ。
元々は大田区に住む区役所勤務の公務員。自宅の向かいで起きた女子大生殺人事件の唯一の目撃者で、その光景をビデオで撮影していたにもかかわらず、「捜査に協力しなければならない義務はないし、協力を断ったところで罰せられるわけでもない」と捜査協力を一切拒否するほどの異常な警察嫌い。
最終的に右京の策に陥って面通しさせられ、ビデオも提出する憂き目を見たが(S.14-15)、この一件で屈辱を味わわされた右京と亘に復讐すべく、父親と竹馬の友である衣笠副総監のコネで警視庁に入庁し、新設されたサイバーセキュリティ対策本部第5課の特別捜査官になった(S.15-1)。
以来、特命係とは友好的に接しており、自らのスキルを生かして入手した情報をたびたび提供しているが、初期は2人への恨みを晴らすために裏で暗躍する場面も見られた。
シーズンが進むにつれて復讐心は皆無になったようであり、2人への嫌味やゴシップを流すなどの嫌がらせをする程度。

かなりの偏屈で日頃から嫌味な言動が多く、その性格から本人も友だちが少ないと公言しており、同期でもある亘が数少ない友人である。
しかし、実際には年齢や身長差もあってか、同期とはいえ階級上は格下の彼からは常にため口で、頭や顔を撫でられたり右京ともどもいいように利用されたりと、扱いは若干雑だが。

警察の不祥事をたびたび記事にする楓子のことは目障りと思っていたらしく、ついには彼女をエスカレーターから突き落とす事件を起こしたが、特命係によって暴かれる。ひたすら過失傷害を主張し続けた末、彼の真意を察した衣笠の配慮で特命係に左遷されることになり、内村のツテでケジメもつけられた(S.16-最終話)。
その後は部屋の一角を仕切りで区切って引きこもり、2人とは極力関わらない姿勢を取っており、伊丹から「特命係の青木年男~!」と呼ばれた際には、初期の薫のように特命係の一員であることを否定する場面もあった。
しかし、衣笠の危機を救った功績が評価され、ようやく古巣に復帰したが(S.17-10)、その後も特命係との関わりは続いている。

亘に対しては偉そうに接しつつも、いざ彼が目の前で刺された際は大声で名前を叫び救急車を慌てて手配するなど(S.20-18)彼なりに友情を持っていたようで、それだけに彼が飲みに行く約束を2度もすっぽかしてマリアと密会していたことは無性に腹立たしかったらしく、「警視庁現役警察官がパパ活!?」なる怪文書を作成して警察庁と警視庁内に拡散するも、これには衣笠にすら愛想を尽かされてしまい、庁内でも微妙な立場になってしまったところを責任を感じた亘の美彌子への推薦によって内閣情報調査室に移籍した(S.20-19~最終話)。
その後も右京からはいいように利用されているようで頼りにされているようで、S.21-11では内調に保管されていた袴田の殺人教唆の音声データを右京に提供し、事件解決に貢献している。
そして、S.22-1では内調に異動してから初めて出演し、薫とも対面を果たした*12

演者の浅利氏はS.20-最終話では衣笠の持っていた写真の中ではあるが、父の網一郎としても兼役で登場した(ノンクレジット)。


政治家

  • 瀬戸内米蔵(せとうち よねぞう)
演 - 津川雅彦

S.2-最終話~S.16-13まで登場。衆議院議員にして徹正院の住職「照妙」でもある。初登場時は法務大臣で、その出自から一度も死刑執行命令書にサインしなかったことが語られている。
常に江戸言葉の一本筋の通った性格で、非常に強い正義感の持ち主。特命係を高く評価する数少ない人物の1人で、捜査への協力も惜しまない。一方で、その経験から右京の慧眼には恐れも抱いている。
交友関係は広く、雛子とは外務大臣の父と盟友だったことから親交があり、「雛ちゃん」と呼ぶこともある。小野田とも古くからの友人で、閣下の保釈や彼による「証人保護プログラム」にも関わっていた。

人命尊重の信念から紛争地帯で働くNGOの活動を支援しており、資金集めのためのパーティで得た収入を全額寄付するも、現地政府の腐敗から支援物資が子どもたちに満足に届いていない現状に義憤を持ち、送った支援物資を買い戻し、それで得た利益をNGOに寄付するといった不正に手を染めてしまう。
しかし、それがNGOのスタッフだった薫の友人が殺害される事件へと繋がってしまい、真相が発覚して特命係に逮捕された*13。(S.7-1~2)。
その後、懲役10年の刑が下されたものの、本多篤人が釈放された際には特命係を呼んでそのことを伝えたり(S.9-最終話)、闇社会の大物が絡む立てこもり事件が発生した際は峯秋の根回しによる超法規的措置で一時釈放され、自ら人質になったりするなど*14(S.12-最終話)、服役中も特命係とたびたび関わってきた。
さらに4年後、仮出所を果たして実家を再興しようとするも、雛子による得度や白骨死体の出現など、またもや騒動に巻き込まれることになった(S.16-13~14)。

上記の通り、各相棒の期間中に1回は登場しており、全相棒と面識がある。S.4-1では津川氏の実の兄で閣下役の長門裕之氏と兄弟で共演を果たした。
津川氏は2018年8月4日に逝去。衣笠とは違って後任は置かれなかったものの、S.17以降は鑓鞍兵衛が事実上の彼の後釜として新たに登場している。


  • 片山雛子(かたやま ひなこ)
演 - 木村佳乃(高校生時代:安田愛里)

S.3-1で初登場。長年外務大臣を務めた片山擁一を父に持つ女性衆議院議員で、外務大臣政務官・首相補佐官・内閣官房副長官などを歴任した。生年月日は不明だが、初登場時28歳。若くして父親の地盤を引き継ぎ、S.20-最終話時点で当選5回の負けなし。
「身の回りで事件が起きるたびにそれを逆手に取り、まるで糧にするかのように大きくなっていく人間」と右京に評されるように、トラブルの都度、巧みな話術や法の盲点を駆使して自らに不利な事件や事実だけは隠ぺいし、それらを逆用してのし上がる強かさと狡猾さを持つ女傑。その影響力は広く、警察とも太いパイプがあって公安を手足のように使うとされる。
表向きは父親の汚職すら公表したことで清廉な政治家になっており、国民からの人気は非常に高い。一方で、秘書による不祥事が判明した際には自殺するよう暗にほのめかすなど、保身のためなら手段も選ばない冷酷な一面も持つ(S.3-2)。

父親の悲願だった内閣総理大臣の椅子を目指すべく、首相補佐官時代のS.9-最終話では「赤いカナリア」との取引による本多篤人釈放の責任を法務大臣と公安調査庁に押しつけ、官房副長官時代のS.14-10では内閣官房長官の音越栄徳と組んで新会派を設立、総裁選への出馬を宣言する。
しかし、音越が船上パーティ中に本多らが起こしたテロで殺害され、新会派は頓挫。引責辞職して表舞台から姿を消した。
S.16-13で再登場し、出所した瀬戸内の元を訪れて尼になったが、未だに政界復帰への野心は失っておらず、出家も世間からの注目を集めるパフォーマンスに過ぎない。
その後は武器輸出を推進する「防衛技術振興協会」の顧問を経て(S.18-1~2)、S.20-19では東京7区から無所属で立候補し、刺客候補として山梨県の選挙区から国替えした鑓鞍を打ち負かして見事当選し、政界へ返り咲いた(S.20-最終話)。
瀬戸内と同じく、歴代相棒全員と面識がある。

木村氏の夫である東山紀之氏*15は2015年から2023年までは主に夏シーズン(7~9月)の水曜21時枠である『刑事7人』で主演を務めており、同作が最終話に近づくと本作の予告が始まることが多かった。


  • 鑓鞍兵衛(やりくら ひょうえ)
演 - 柄本明

S.17-1で初登場。国家公安委員会で委員長を務める衆議院議員。選挙区は山梨県。当選9回。
常に飄々としており、本心がどこにあるのか分からない人物。耳のよさを自慢しており、自他ともに認める地獄耳。国家公安委員の一人が関わった学校法人理事長殺害事件において、警察組織の中で独自の動きを見せる特命係に興味を持つようになる(S.17-1~2)。彼らを「(甲斐さんとこの)若い衆」と呼ぶこともある。
津川氏の逝去によって再登場が困難になった瀬戸内のポジションを引き継いだ人物で、当初は特命係を手助けする場面も多く、本心かどうかはさておき「もし警察をクビになったら事務所で雇ってあげてもいい」と語ったこともあったが(S.18-2)、次第に右京を警戒するような素振りも見せており、彼を「警視庁妄想モンスター」と罵倒する記事が出回るよう仕向けたこともある(S.21-2)。薫のことは当初女性だと勘違いしていた。
男女共同活躍推進会議の顧問も務めることから女性の社会進出に寛容で(S.20-19)、中でも美彌子のことは高く評価しているらしく、鶴田が失脚した際には彼女の内閣情報官就任人事を白紙に戻すべきだと主張する閣僚たちを説き伏せ、留任に導いている(S.20-3)。一方で公安調査庁のことは軽視しており、公安調査局に格下げさせるべきだと閣議で進言したこともある(S.20-19)。
党の選挙対策委員長時代には秘蔵っ子の議員だった王隠堂鷹司に対して無情にも党の公認を外すという仕打ちを行ったが、これは秘蔵っ子と持ち上げられた彼が若手を集めて改革と勉強会を始めたことで党の長老の逆鱗に触れたためであった。鑓鞍自身は忠誠心を試されていると感じつつも、お灸を据えるいい機会と判断してこれに従ったが、鷹司は無所属で立候補して落選した上に事故死(自殺と判明)する結果を招いてしまい、彼の関係者から恨みを買って襲撃されたこともある(S.20-19)。
また、雛子のことはS.14-10での一件から好ましく思っておらず、息の根を止めるために地元の選挙区を秘書に譲り、自らは雛子の選挙区でもある東京7区に刺客として国替えする(S.20-19)。最終的には雛子に敗れて落選するも、実際には比例区での復活当選も織り込み済みの国替えだったようである(S.20-最終話)。
当選後はサルウィン親善使節団のパーティに一緒に出席するなど、表向きは友好的な関係になっている(S.21-1)。

次男の柄本時生氏もS.8-16、その元妻である入来茉里氏もS.12-9にそれぞれ出演している。


記者

  • 風間楓子(かざま ふうこ)
演 - 芦名星(幼少期:古川凛)

S.15-最終話~S.19-2まで登場。ゴシップ誌『週刊フォトス』を発行している葉林社の記者。
美彌子の隠し子疑惑を記事にしたことから特命係と出会い、以降もスペシャルを中心に登場しており、たびたび関わっている。その性質上、警察の不祥事も容赦なく記事にするため、衣笠をはじめとする上層部からは快く思われていない。
しかし、彼女個人としては特命係や雛子と良好な関係を築いており、捜査に協力したり、「花の里」や「こてまり」で一緒に飲んだり、仮出所した瀬戸内や北海道で行われた防衛技術振興協会のシンポジウムをスクープしたりしている。

S.16-最終話では、関西の広域指定暴力団・銀龍組の傘下である「風間燦王会」の娘だったことが判明。しかし本人はその立場を嫌っており、過保護過ぎる母親や組員の干渉を本気で嫌っていた。
だが、「拳銃を隠すためにてんやわんやしていたことが懐かしい」と特命係に語るなど、多少の愛着はあったようだ。一応は刑事である2人の前でそういうこと言ってしまうあたり、どこかずれている模様。
警察を非難する記事を好んで書くのもそんな奴らと育った結果で、衣笠の心中を察した青木に突き落されたこともあるが、その際に居合わせた6人を盗撮するなど、かなり抜け目がない強かな女記者でもある(S.16-最終話)。
その強かさは時に敵となり、時に味方となり、影響力のあるメディア記者として活躍していたが……。

芦名氏は2020年9月14日に逝去。S.19-1の最後にはこれまでの出演シーンとともに追悼テロップが表示された。
テレビ朝日によれば代役を立てる方針はなく、水谷氏やスタッフも「芦名氏の代わりなんていない」という思いでいるとのこと。
実際に『週刊フォトス』自体も劇中での登場がなくなっているが、S.19-19では茉梨が「フォトスの楓子さん」と発言する場面がある。


その他

  • 浅倉禄郎(あさくら ろくろう)
演 - 生瀬勝久(幼年期:下城正義、少年時代:関口龍之輔)

PS.2で初登場。東京地検刑事部の敏腕検事として活躍する一方、裏では狂気に満ちた連続殺人鬼「平成の切り裂きジャック」の一面を持っていた。
薫や美和子とは大学時代の無二の親友で、特に薫とは同じ寮で暮らした仲。1963年4月25日生まれ。
母親が売春の常習者だった上に自らが「不義の子」だったことがトラウマになり、幼少期に車のブレーキを細工して事故に見せかけて殺害。7年前の札幌地検時代には婚約者が偶然にも裏で娼婦をしていたことを知ってしまい、車ごと海に転落した自殺に見せかけて殺害(表向きは交通事故死)。
これを機に彼は完全に壊れてしまい、ほぼ3年ごとに新天地に赴任しては娼婦を次々と殺害するようになっており*16、「生きている限り殺し続ける」ともはや自分自身でもコントロール不能な殺意で犯行を続けていたが、最後は特命係によって逮捕された(PS.2)。
逮捕後も薫との友情は奇妙な関係で続き、彼の依頼で少年の更生に一役買ったり(S.1-5)、逆に以前関わった迷宮入りの事件の再捜査を薫や美和子を通じて右京に依頼したりした(S.2-1)。
S.2の1週間前に裁判で死刑判決を受けるが、2度の脱獄の末に千葉県の崖から自殺を図る(S.2-1~2)。奇跡的に生還するも記憶喪失になり、ホームレスとして暮らした末に再収監されたが、結局記憶が戻らないまま獄中で次長検事の教唆を受けた刑務官に殺害されてしまった(S.2-最終話)。
死後、ある事件の被疑者として浮かび上がるものの、特命係の尽力により無実が証明された(S.3-18)。

本作の初期シーズンを代表するキャラクターで、死後も彼の存在感は衰えず、S.3-18では亡霊という形で復活し、S.4-4では所業の観点から名前が上がっている。
演じた生瀬氏の演技はまさに鬼気迫るもので、その狂気を脅威の眼力で見事に表現した。
彼に匹敵する強い個性をもった犯罪者は本作の長い歴史の中でも数人に限られるほか、後のS.16~S.18では人物像や結末が類似した南井十が登場した。


  • ヒロコ
演 - 深沢敦

S.1-3で初登場。この時は単なるモブキャラの目撃者で、薫に目撃証言を提供している(S.1-3)。
S.1-6で名前が明かされ、以後はゲイバー「薔薇と髭と...。」のママとして登場し、主に常連客絡みの事件で特命係に相談を持ちかけるようになる。S.6-13では愛犬が関わった事件で「花の里」に訪れたことで美和子やたまきとも知り合い、劇場版ではマラソンに参加した2人の応援に駆けつけている。
これを最後に音沙汰がなくなったが、S.18-18で約12年ぶりに登場。お気に入りの常連客が巻き込まれた強盗傷害事件の捜査を私的に依頼した。
彼とは頻繁に連絡を取っていたわけではないようで、当然ながら尊や享の存在も知らないため、亘を「彼が薫ちゃんの代わりに入った、右京さんの相棒ね?」と呼んだ*17
その後は麗音や茉莉とも知り合い(S.19-15)、S.21-15では帰国した薫とも再会した。

オネエという性質上、いつもハイテンションでとにかくキャラが濃い。多くの人物を名前で呼んでおり、亘を名前で呼んだ唯一のキャラでもある。
右京や薫をいたく気に入る一方、亘に対しては初対面の際に「この人信用できるの?」と右京に聞くなど警戒心を抱いていたが、再会したS.19-15では「無駄にイケメン」と呼ぶなど関係は改善された模様。
一方、同族嫌悪とも言える麗音には命の恩人にも関わらず「おかちめんこ」と呼んで何かと張り合っていた。「こてまり」に来店した際は茉梨を「ただ者じゃない」「いけ好かない女ね」と評し、本来は事件解決のお礼のために特命係を通じて麗音に渡すはずだった黄色の薔薇の花束を茉梨に渡して帰っていった*18


  • 矢木明(やぎ あきら)
演 - 高橋克実

S.5-10で初登場した私立探偵。
ハードボイルド小説の金字塔である「フィリップ・マーロウ」をはじめとする推理小説や探偵のマニア。「マーロウ矢木」を自称し*19、西日暮里にある事務所も作者にちなんだ「チャンドラー探偵社」。
マーロウの定番スタイルであるトレンチコートと中折れ帽を常に身をまとい、バーボンを好み、マーロウの名台詞もしばしば使うなど古風なハードボイルド派を気取る。
見た目は冴えない中年男性で、尊や薫をあだ名で呼ぶこともあるなどお調子者かつ飄々とした言動が特徴だが、探偵としてはかなりの実力者。ギャルからホームレスまでさまざまな人々に顔が利き、事件の解決や尾行の振り切り(S.22-6)のために協力を依頼することもある。その人脈を駆使して写真1枚から5日ほどで目当ての人物にたどり着くなど(S.5-10)、右京も一目置く推理力はかなりのもの。
仕事は探偵業以外にも引っ越しの手伝いからペット探しまで何でも引き受けており、「依頼人との約束は何があっても最後まで守る」という強い信条を持つが、そのために危険な目に遭うこともしばしば。

高橋氏は2003年7月から2006年9月まで裏番組に出演しており、番組が終了したことによって本作への出演が叶った経緯がある。
また、元妻の兎本有紀氏もS.5-17, S.10-4, S.12-14に出演している。


  • 日野
演 - 寺島進

S.5-11, S.13-10に登場。警視庁警備部の狙撃手で階級は警部補。下の名前は不明。
白髪交じりのオールバックにサングラスという、いかにもダンディな出で立ちの男。
現在に至るまで登場回数は上述した2回(どちらも元日スペシャル)と非常に少なく、「狙撃する展開が必要になった時に出てくるだけのチョイ役」に過ぎないが、その2回の登場でしたことが
  • 軽く数100mは離れている観覧車から、拳銃を持っている犯人の右腕だけを正確に撃ち、負傷させて自殺を阻止する(S.5-11)
  • 木の上という不安定な姿勢にもかかわらず、右京の後頭部に突きつけられていた犯人の拳銃だけを正確に撃ち弾き飛ばす(S.13-10)
と、「警視庁一のスナイパー」の異名を持つだけあってどちらもゴルゴよろしく超人的な活躍で特命係の窮地を救っており、視聴者に対して妙に強い印象を残している。


【ストーリー】

ここでは、各シーズンごとの特徴や見所を述べつつ、各回のストーリーを紹介する。
ネタバレ要素も含むので気にする人はここでバック。

本編

S.18までは全シーズン共通で、最終話は2時間前後のスペシャルな上に普段より1時間早い20時00分から始まる回があり、さらにS.15までは初回も2時間前後のスペシャルだった。
また、S.7までは逆に30分遅い21時30分から放送される回もあった。

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劇場版

相棒が交代するたびに劇場版が制作され、いずれもドラマ終了後または放送中に公開されている。時系列も公開時期に連動してシーズン終了後か放送中の時期になっており、劇場版の内容とタイアップしたエピソードが展開される場合もある。
また、準レギュラーのキャラクターを主役としたスピンオフ映画も2作公開されており、特命係も特別出演している。

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【脚本】

本作はほぼ毎回異なる脚本家が脚本を担当しており、人によってストーリーの味付けがかなり異なるという特徴を持つ。

本作の制作状況に詳しい民放キー局のディレクターによると、脚本家の選定はシビアに視聴率で判断されており、担当する話数を減らされたり降板させられたりした脚本家がいるほか、制作陣も小劇場の舞台を丁寧に見て才能を発掘するなど新規の脚本家の発掘にも余念がないという。

主な脚本家は以下の通り。他にも多くの脚本家が参加している。

  • 輿水泰弘(こしみず やすひろ)
企画の段階から担当しており、いわゆるシリーズ構成に当たる生みの親。
巧みな心理描写やどんでん返し、政治家の陰謀に特命係が迫るサスペンスに定評があるが、現在は主に初回・最終回や、メインキャラクターに何か大きな変化が起こる話を担当する。
近年では生成AIやメタバースといった新しいIT技術を題材にし、やや突飛でSF的な近未来的な話を書くことも多い。
階真(きざはし まこと)京匡平(かなどめ きょうへい)など、難読な名前のゲストキャラが多い点も特徴。
『相棒』以外では明石家さんま出演作品を数多く手がけることでも知られる。
ちなみに、反町隆史は中学校の後輩でもある。

  • 櫻井武晴(さくらい たけはる)
S.1-3~S.12-3まで。いわゆる「『相棒』らしい話」を書く人で、鬱々しい回をはじめ、時効問題をはじめとする社会派や組織の陰謀を描いたサスペンスに定評がある。
後に『コナン』の劇場版の脚本を何度か書いているが、それも「『相棒』っぽい回」になりがち。
特にS.9-8は、全国の労働者を絶望の底に落とした本作屈指の鬱々回である。
また、『米沢守の事件簿』やS.12-7では「飯田武」名義でも担当している。
現在は『科捜研の女』のメインライターとして活躍している。

  • 砂本量(すなもと はかる)
S.1-6~S.4-5まで。こちらもいわゆる「『相棒』らしい話」を書く人で、スッキリはしないがよくできた後味の話が多い。
また「冒頭で発生した大がかりな事件が、個人的な動機による小さな事件に収束していく」という極端などんでん返しも多い。
特殊なギミックや異色なガジェットを取り入れ、ひねった方向性の回を書くことでも定評がある。一例として、「警視庁ふたりだけの特命係」というシリーズ当初のテーマを破壊した、「第三の男」こと陣川警部補を生んだのも彼である。
S.2の通称「砂本3部作」は古参ファンの間では高い評価を得ていた作品だったが、残念ながら2005年12月21日に逝去。

  • 岩下悠子(いわした ゆうこ)
S.3-13~S.7-4までの後、S.20-14から再加入。
『京都地検の女』『おみやさん』『科捜研の女』など、テレ朝・東映共同製作の刑事ドラマを多数手がける。
過去には刑事ドラマ以外にも映画『短歌』でも知られる。
『相棒』においては、登場人物のキャラクターを立たせる描き方に定評があり、名作としてよく名前の挙がるS.5-8も担当している。

  • 古沢良太(こさわ りょうた)
S.4-2~S.12-18まで。
今や『ゴンゾウ 伝説の刑事』『リーガル・ハイ』『コンフィデンスマンJP』『探偵はBARにいる』などの話題作や、『Legend & Butterfly』、大河ドラマ『どうする家康』などの時代物を担当する超売れっ子。
櫻井と同様にサスペンスを好むほか、時系列を前後させていくつも伏線を張り、ラストで巧みに回収するストーリーも得意とする。

  • 戸田山雅司(とだやま まさし)
S.4-12~S.12-16まで。『裏相棒』やIIまでの劇場版も担当しており、キャラ萌え描写に定評がある。
歴代相棒の名前の共通点に最初に気付いた人でもあり、以後も踏襲されることに。
櫻井と並び現在は『科捜研の女』のメインライターとして活躍している。ちなみにNHK朝ドラの脚本も手掛けたことがあり、それで忙しかったのかS.7では未登板。

  • 徳永富彦(とくなが とみひこ)
S.7-3から加入。本作と同じ時間帯に放送されている『特捜9』や『刑事7人』も担当している。
作風としては「苦難に直面して心を歪めた人」をエピソード全体の中心に置くことが多く、「倫敦からの客人」こと南井十も彼が生んだキャラクター。
S.9-7やS.14-17など、変則的な構成になっている実験的な回が多いのも特徴。S.23では初めて初回を担当した。
また、退職前後の薫を含めた4人5代の全相棒で脚本を書いたことのある数少ない人物の一人でもある。

  • 太田愛(おおた あい)
S.8-2~S.20-11まで。アニメ・特撮界隈ではおなじみの人で、人情話を多く手掛けており、S.9-13やS.10-10などは特に評価が高い。
作風としては、ミステリー的な巧みさよりも登場人物の心情に重点を置くのが特徴。
自ら罪を犯す覚悟で特命係に過去の事件を捜査させて真に裁かれるべき存在を明らかにさせたり、自身の思惑通りの結末を迎えさせたりすることも多いが、それでも決して後味の悪さを感じさせないオチも特徴。
また、神戸尊萌えという一面もあり、特命係卒業後の彼が再登場した回の多くは彼女の作品である。

  • 金井寛(かない ひろし)
S.11-8より加入。S.17ではこれまで輿水(一部櫻井・戸田山)がメインだった最終話を担当。

  • 真野勝成(まの かつなり)
S.12-13~S.17-9、S.23-12から再加入。S.12-13で彗星のごとくデビューすると、抜けたかつてのメイン脚本家の穴を埋めるかのごとく活躍。
平成のシャーロック・ホームズ、日野警部補、本多親子など昔ながらのファンがニヤリとする過去ネタをよく使う。
かなりのハロプロオタクらしく、ゲストキャラの名前は「譜久村聖太郎」「嗣永重道」など、ファンにとっては聞き覚えのあるものが多い。
S.17を最後に離れていたが、S.23より復帰。岩下氏に次いで2人目の復帰者となった。

  • 山本むつみ(やまもと むつみ)
S.12-15より加入。NHK大河ドラマ『八重の桜』の脚本も担当しており、同ドラマの最終回から2か月と経たずに『相棒』へ初登板した。
亘時代はおおむね1シーズン2話ペースで書いていた。「ブラックパールの女」小夜子の回はいずれも担当。

  • 根本ノンジ(ねもと のんじ)
S.17-5より加入。以前は日本テレビ系『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』などのドラマの脚本や、『特命リサーチ200X』や『有吉ゼミ』などの番組構成を担当していた。
現在ではフジテレビ系の『監察医朝顔』や『パリピ孔明』の脚本でも知られる。

  • 川崎龍太(かわさき りゅうた)
S.20-9より加入。
伏線を張り巡らせた複雑な構成の脚本を得意とする、まさにミステリーといった脚本を担当する。
それゆえどちらかというとコメディとは縁遠く、担当作品は暗い雰囲気のカオスな作風が中心である。
また、ぬいぐるみと遊園地と毒ガス、登山と将棋とアイドルなどのように、一見無関係なテーマを最初に提示した上で思わぬ結びつきが後から発覚するというパターンも多い。

  • 光益義幸(みつます よしゆき)
S.21-4より加入。
本作が地上波での初執筆作だというかなりの新人だが、初登板回からいきなり「神作」と評されるほど話題に。S.23-3での「熊ではなく亀が出ます」という右京の名言は必見。
第2次薫時代からの参加だが、第1次時代の脚本家に引けを取らないほど亀山薫という人間の描写を巧みにこなしている。


【監督】

監督も脚本に負けず劣らず入れ替わりが激しい。
脚本も含めたエピソード全体の出来を調整するのが監督なので、たとえ脚本家がベテランでも、各エピソードの演出や雰囲気は監督の腕前によってかなり異なってくる。
主な監督は以下の通りだが、脚本家と同じく他にも多くの監督が参加している。

  • 和泉聖治(いずみ せいじ)
PS.1~S.14-最終話まで。輿水氏と並ぶシリーズの生みの親。
S.13までは初回・最終回・元日スペシャルを全て監督していたが、「そろそろ卒業して、やりたいことが色々とある」という理由でS.14をもって卒業した。
コントラストを強めつつ青色を強調した「和泉ブルー」とも呼ばれる色彩表現で有名。

  • 長谷部安春(はせべ やすはる)
S.2-18~S.7-6まで。『探偵物語』『西部警察』『あぶない刑事』や、本作のルーツにあたる『刑事貴族』も手がけたレジェンド。
残念ながら2009年6月14日に逝去。『鑑識・米沢守の事件簿』の監督が遺作となった。
ちなみに、長女の長谷部香苗氏もS.3-13と劇場版第1作にゲスト出演しており、長男のハセベバクシンオー氏は『鑑識・米沢守の事件簿』の原作・脚本担当、孫の三村和敬氏もS.5-12にゲスト出演するなど一家で作品に縁がある。

  • 橋本一(はしもと はじめ)
S.2-8より加入。S.15からは和泉に代わって製作を総指揮する立場となり、初回・最終回の多くを監督している。



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最終更新:2025年04月08日 21:40

*1 シーズン15のキャッチコピー。

*2 最初は同作の半分の枠を分け持っていた。

*3 俳優としてもS.13-最終話とS.22-9にゲスト出演している。

*4 ただし、事件の真相を明らかにして犯人に罪を償わせるために必要とあらば、自ら違法行為に及ぶことも辞さない。

*5 三浦とは違ってクレジットは伊丹・芹沢と別々になっているが、ここでは便宜上トリオの一員として記す。

*6 劇場版までは旧芸名の「高樹沙耶」名義。

*7 客足はさっぱりだが、店は趣味でやっているとのこと。

*8 正確には薬物銃器対策課の部屋の中に特命係が設けられていると言った方が正しい。

*9 本作のレギュラーキャストの逝去は大杉氏が初で、かつ後任が置かれたのは衣笠が唯一である。

*10 従兄弟の雁屋耕大によれば本当の読み方は「きみあき」であるという(S.12-最終話)。S.1の公式サイトでは「きみあき」と表記されていた。

*11 他方で、期待通り東京大学を卒業した長男の秋徳との関係は悪くなく、服役中の享に代わって結平の父親代わりを務めている。

*12 なお、S.6-10では浅利氏は別役で出演しているため、メタ的には浅利氏は薫と15年ぶりの対面になった。

*13 やむを得ない動機ゆえに世間からは同情論も多かったが、亘は「法務大臣なのに死刑を執行しない」という矛盾する言動について批判的な意見をのぞかせている(S.16-13)。彼は元法務省だったことから当時の部下にあたるが、もちろんいくら法務大臣と言えども全ての職員を知っているわけではないため(本省5万7000人、非常勤職員5万5000人いる)、口ぶりからして瀬戸内自身は彼のことを知らなかった模様。

*14 本人としては量刑不当で上告したものの覆りそうもないとのことで、保釈申請もことごとく却下されていたらしい。

*15 東山氏は2023年までNHKのBSで放送された『大岡越前』で薫役の寺脇氏と共演しており、寺脇氏が再び『相棒』に出演し始めた以降のエピソードでは、『大岡越前』の主要キャストがゲスト出演する頻度が増えている。

*16 具体的な人数は不明だが、劇中では東京での5人に加えて自身の犯行だと気づいた検察事務官までも殺害しており、上記の2人と合わせて少なくとも8人は明言されている。さらに、「売春容疑」と記された19人の女性たちのリストが次々とめくられるシーンが描写されており、全員が被害者とするならば最大27人におよぶことになる。

*17 右京は「正確には『代わりの代わりの代わり』ですがね」と訂正し、亘は「別に代わりで特命係に入ったつもりはありませんけどね」とコメントした。

*18 黄色い薔薇の花言葉は「友情」のほかに「嫉妬」の意味も持つ。

*19 かつては戸越銀座で活動していたらしく、その時は「サム・スペード矢木」を自称していた。

*20 同姓同名の声優とは別人の女優の方。S.6-6やS.19-18に出演している前田亜季氏の姉である。

*21 ネット上に違法アップロードされた当時の録画映像は存在するが、当然ながら普通に著作権法違反の代物であるため推奨しない。

*22 監督も兼任しており、脚本家と監督が同じという唯一の回。

*23 砂本氏の病状悪化により、後に須藤氏が引き継いだ。

*24 北海道新幹線の開業に伴い2016年3月末で廃止。劇中で言うとS.14の放映時までギリギリ走っていた。鉄道ファンには予約の取り辛さでも有名だったほどの人気列車であり、劇中でも偶然が重なってこれが護送手段になったと説明されている。

*25 通称「片棒時代」。元々は薫不在の状態を揶揄する意味合いだったため、使用には注意。

*26 相棒が交代する初めてのシーズンということもあり、途中で退場する薫や最終話でようやく登場する尊の姿を、シーズンを通して使用するオープニングで見せるわけには行かなかったためと思われる。

*27 参考: https://www.joqr.co.jp/article/detail/post_733.php

*28 ただし、当日が水曜日で、複数週におよぶエピソードか懐かしの人物か最新話に登場する場合はそちらが優先され、ホワイトデーに放送されるケースもある。

*29 なお、本作の世界に幽霊が実在すること自体はS.3で既に言及されている。

*30 櫻井武晴氏の別名義であり、『米沢守の事件簿』も担当している。

*31 同姓同名の声優とは別人の脚本家の方。

*32 「右京の同級生」~「神隠しの山」の間とされる。

*33 今回は芹沢役の兄・崇史氏と兄弟で共演を果たしている。

*34 偶然にも角田役の山西氏もこのエピソードにゲスト出演していた。

*35 ジャニーズ事務所のごたごたによる組織改革より、東山紀之氏が年内をもって芸能界を引退したことで『刑事7人』も事実上終了した。

*36 再登場までの期間は本作最長である。

*37 尊と別れて休暇中の身であり、帰路に香港を訪れてS.11-1につながる流れと思われる。