戯言シリーズ

登録日:2009/09/24(木) 17:26:45
更新日:2024/12/11 Wed 05:29:59
所要時間:約 6 分で読めます




「他人を自覚的に意識的に踏み台にできる人間ってのは、なかなかどうして怖いものがあるよな」
 そうだろうか。
 僕には、無自覚で無意識で他人を踏みつけていく人間の方が、善意で正義で他人を踏み砕いていく人間の方が、ずっと怖いように思えるけれど。



【概要】
西尾維新の代表作にしてデビュー作。アニメになった『化物語』などの物語シリーズや『刀語』から入った維新ファンは少し驚くかもしれない。

本シリーズは全部で、
  • クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い
  • クビシメロマンチスト 人間失格零崎人識
  • クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子
  • サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し
  • サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄
  • ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹
  • ネコソギラジカル(上) 十三階段
  • ネコソギラジカル(中) 赤き征裁 vs. 橙なる種
  • ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い
で構成されており、物語としては完結している。
本シリーズ展開中および完結後にも、いくつかのスピンオフシリーズが開始されており、人間シリーズ、哀川潤の失敗、最強シリーズなどがある。
混物語』にて物語シリーズとコラボもしており、他のシリーズが各1話なのに、
戯言シリーズは4話(人間・最強シリーズを含めると6話)もあるとデビュー作のためか妙に推されている。
2023年には17年ぶりの正統続編として「キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘」が刊行されたが、主人公が次世代に交代しているためスピンオフに近い。


萌えそうなキャラが出てきては死んでいく事から『萌えキャラ殺し』の異名を作者が手に入れた作品でもある。

西尾維新独特の軽妙な言い回しや掛け合いの原点。
ただ、化物語の掛け合いが若干コミカルであるのに対し、こちらのそれはふと立ち止まって考えさせられる様なものや、哲学や心理学等を元ネタにしているものが多く、多少一般的教養やそういった方面の知識を有していないと理解に苦しむ場面も少なくない。



 「夢はそう簡単には叶わないね」
 「そりゃそうさ。こちとらは現実にだって敵わねぇんだからな」
 「つまり希望はことごとく達成困難なものだってことか」
 「達成困難なものがことごとく希望であるたぁ、限らねーけどな」



登場人物の比率は、女性が多いが、男性は揃いも揃って悉くキャラが立っているのであまり気にはならない。

その割には男女共にかませ犬的なキャラが多く、終盤に近づくにつれてあっけなく散るキャラが多い。ノイズは本当にただの雑音でした。

前半は推理小説、ミステリーのような趣きだが、物語が進むにつれてミステリー要素が無くなり、人外バトル的側面が強くなる。これについては賛否両論あり。
また、過分にメタフィクション要素も含んでいる。


ゴキブリ並みの生命力?
丸めた新聞で叩いたら死ぬってことか?


【登場人物】

「戯言だけどね」

『人類最弱』の『欠陥製品』。主人公。
いーちゃんを代表にいっくん、いーたん、いのすけ、いー兄、いっくん等とあだ名が多いが、作中で本名が明かされることはない。『戯言遣い』(モンキートーク)の他にも、『狂犬病』『無為式』『切腹マゾ』『なるようにならない最悪(イフナッシングイズバッド)』などの二つ名を持つ。自称は戯言遣い。もしくはメイドスキー。
『無為式』というとんでもない能力……体質? を持つ。
人生で1回しか名前を名乗ったことがないのが自慢で、彼の本名を呼んだ人間は3人いてその3人は『いーちゃん』と呼ぶ。その3人は死んでいるも同然だったりするのだが、その全てに彼は関わっている。
女装が可愛い。
無自覚に年下キラーなのだが、彼本人は妹(故人)を思い出す為年下は苦手らしい。
好みは年上でメイド。武闘派メイドなら共感し、ツンツンしたメイドなら愛し、尽くしてくれるメイドなら心から崇拝する。
ただメイド服を着ていればいいわけではない…はずだが、コスプレでも家には泊めてくれるとか何とか。
戦闘能力は一般人よりは上。ただ、彼と相見える人物が悉く強すぎる為、相対的に弱く見える。
なお、クビツリハイスクールにて萩原子荻が彼に本名を尋ねたところ、彼はクイズ形式でヒントを幾つか彼女に与えた。
その後「面白い名前ですね」と言ったことから、彼女には本名が知られている可能性が高い。
勿論、そのヒントを利用して我々読者が名前を予測することも可能。作者曰く「いい名前」。
もっとも、戯言遣いの名の通り何の意味もなく嘘を吐く奴なので、クイズの内容も真実かどうかは怪しい。


「ここは死線の寝室だ、存分に乱れろ死線が許す」

死線の蒼』。イエー。「くさなぎ」ではなく「くなぎさ」。
ヒロインにして天才技術屋。一人称は僕様ちゃん。うにうに。
ある特定の分野に著しく通暁している代わりに、基本的な人間的スキルに欠落が見られる「サヴァン症候群」の保持者。
その為、たおやかな少女としての見た目に拠らず、技術屋としてはまさに天才。が、1人で階段を上り下りすることも出来ない。
二つ名である「青色サヴァン」が示すように青い髪をしている。
かつて《チーム》という7人の技術集団のリーダーをしており、考え得る限り全ての悪逆を果たした。『死線の蒼』はその当時の異名と性格と性質を指している。
「蒼」モードの彼女は「青」モードの普段と異なり冷酷。7人の仲間と表記したが、実体は家具や奴隷に近い扱い。

かつていーちゃんの妹を犠牲に人格を得て、かつていーちゃんに《破壊》された存在。いーちゃんがもっとも愛しており、大嫌いな存在。


「たとえばあたしを殺してみろ。安心しろ、それでも世界は何も動かないよ」

人類最強』の赤い請負人。どれくらい最強かと問われれば『我最強、故最強』な感じ。
死色の真紅、赤き征裁など赤にまつわる異名や「砂漠の鷹」等の洒落た異名も持つ。アンチ癒やし系、リバースなごみ系の全身真っ赤な美人。
初期においての探偵役だったが、彼女本人はミステリが大嫌いと公言している。
力技とジャンプ系マンガが大好き。要は王道大好き。
常に全力で生きようとしているが、周りの人間とはポテンシャルが余りにも違いすぎて、常日頃からどうしても彼女の方から出力を落とさなければいけない。
そのため、「本気を出せる状況にありながら本気を出さない」人物が大嫌い。
いーたんのファーストキスを奪った。「害悪細菌」に言っていた事は戯言。
色々な『世界』に人脈を持つが、『世界』については殆ど詳しくない。ダメじゃん。
『最強シリーズ』では主人公。


「殺して解して並べて揃えて晒してやんよ」

『人間失格』。いーちゃんの鏡の向こう側にして無二の親友。相似にして合同。一体ではない表裏。刃物同盟の一員。
殺人鬼集団『零崎一賊』の秘蔵っ子。生粋の殺人鬼。銀髪に顔面刺青、左耳についたピアス代わりの携帯ストラップが特徴。決してオシャレを頑張ってるわけじゃない。殺されます。
好みは背の高い女性であり、好みの女性は殺さない。
実は出番はかなり少ないのだが、人気が高く『人間シリーズ』にてレギュラー出演している。
最近は『』の世話したり逃げたりに忙しい。というか『妹』に振り回されている。

気のせいか弱体化してるような…

フレンチクルーラー
神様が創造したと言っても過言ではない至高の一品


「ふん、そんなのはどちらでも同じことだ」

『人類最悪』。遊び人で狐さんで最悪な男。
眼鏡フェチ。

いーちゃんと同じアパートに住む人物。
マッチョのバテレン趣味な爺さんで、和風で剣術家の浅野みいことはしょっちゅう喧嘩している。
ダンベルで筋トレしている。

いのすけと同じアパートの住人。最悪の魔女であり、いのすけとは犬猿の仲。腐女子
後に漫画家になった。

  • 鈴無音々
浅野みいこの大親友でヘビースモーカー。何故か寝間着がチャイナ服。
鈴無のくせに背が浅野より高い。最終学歴は小学校中退。かけ算を習う頃にやめた。
実は『大戦争』に関わった事がある。

  • 千賀ひかり
メイドで神様。神聖以上の存在。

  • 千賀てる子
武闘派メイドだがスパッツ着用していてガッカリ。

  • 千賀あかり
いーちゃんが大好きなメイドだが、彼女からは嫌われている。
哀川潤曰く三人とも同じ。

  • 形梨らぶみ
いーいーの専属看護士さん。入院のたびにお世話になる。芸が細かい人。
探偵役もしているが、いーいーが推理クイズ形式であらましを説明して回答している。

  • 絵本園樹
「この世にあるもので神様がお創りになったのは、整数とフレンチクルーラーだけだよ」
職業はブラックジャック(あるいはドクターK)。医者としての腕は確かだが超情緒不安定で言動が支離滅裂。こんなんで精神科も診れるらしいが、ここまで的確な『医者の不養生』もそうそうない。
上記のセリフの通りフレンチクルーラーを崇拝してる。
人識が本気で苦手な人物(彼女が現れると部屋の隅で怯えるほど)。27才。
医者なだけあってお金持ちであり、持っているなかで一番安い車がベンツ。
一方で運転技術はお粗末であり、車庫入れのときは先んじて愛車を駐車していた人物を本編でも有数なレベルで焦らせた。






【アニメ】
グロ&叙述トリック等で西尾作品の中でも映像化は不可能と思われていたが、2016年、シリーズ第1巻『クビキリサイクル』のOVA化が決定
製作は『物語シリーズ』のシャフト。全8巻予定。

『物語シリーズ』同様、副音声がキャラクターコメンタリーとなっており、
10年前に起こった事件を振り返る形で、哀川潤と『最強シリーズ』のキャラクターが担当している。
哀川潤に収録させるために、プロのプレイヤー100万人が犠牲になった。

「何かいいことあったらいいね」





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最終更新:2024年12月11日 05:29