GUNDAM WAR

登録日:2010/02/06 Sat 16:38:52
更新日:2024/11/19 Tue 17:21:30
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GUNDAM WARはガンダムの世界を舞台にしたトレーディングカードゲーム。
現在、公式サイトにてサポートの終了が 告知 。事実上公式展開が終了となった。

「ガンダムでMagic the Gatheringを」
をモットーに開発されたのが始まり。
1999年から発売し始め、現在までに相当数のカードが存在する。


人気アニメを元としたカードである為、ファンは多かった……というより、かつては知名度・人気ともに非常に高いカードゲームだった。
たとえば2000年代後半の東京のカードショップでは定番商品として遊戯王と双璧を成して売られており、大会も頻繁に行われていた。
現在のTCGプレイヤーには信じられないかもしれないが、当時は大手ショップにおけるポケモンカードの取り扱いがなく*1、そのポケカの枠にガンダムウォーがあったと考えてもらえばいい。それくらい人気があり、「ガンダムは知らないがカードゲーム対戦に興味がある」という人がガンダムを知るきっかけになったりもした。
ぶっちゃけこのポケモンカードとガンダムウォーのショップの取扱話ができるかどうかで、当時ちゃんとカードゲームを遊んでいた人かどうかが分かる*2。本当にそれくらい人気があった。

ガンプラの箱に描かれているような迫力満点のイラストのカードは現在でも評価が高い。
また、元ネタありきのゲームなのでとにかくドマイナーなキャラをカード化したり、そのドマイナーキャラの原作再現を妙に頑張ったりという面白さもある。
当時はマニアックすぎてアニメ化なんて夢のまた夢(というよりアニメ化自体のハードルが高く、まだ大きなステータスだった時期)だった「クロスボーン・バンガード」のような作品の供給源でもあった。
さらに当時のカードゲーム自体がMTG以外ルールがガバガバだったこともあるのだが、ルール自体も複雑ではあるが自由なところがあるのでカードのテキストを強引に解釈したわけのわからない挙動が話題になることも多かった。

かつてはたいへん人気があったカードゲームだったのだが、徐々に高額カードプッシュ(ACEとかヴァリアブル)*3、複雑化の一途をたどるルールと朝令暮改のエラッタ、
サンクルからのあまりいらない部分の逆輸入、
ビジュアルカードなど手抜き感のあるカード、壊れた性能の弩急、強力カード再録と見せかけてそうでもなかった再録パックや90%がカスレアの再録パック、全国大会の移動費支給なし、当日参加イベントの中止など様々な要素が重なり、
プレイヤーの間で「このゲームは本当に大丈夫なのか?」という不信感をじわじわと膨らませていくことになった*4

パワーカードのせいで環境が一強デッキに染まる→その一強のパーツを即座にエラッタ、という調整を繰り返していたこともあって、(当時は)禁止の出ないカードゲームだったMTG*5や、(当時は)どんな壊れたカードでも1年以上は使うことができた遊戯王*6のプレイヤーからは「異常で無責任な売り方」と見られやすかったというのもある。
一強デッキに苦言を呈する意見も公式サイトに握りつぶされる(ただしこれについては当時はMTG以外のカードゲームは大体そんな感じだった)など、運営とプレイヤーの間の温度差が強いゲームでもあった。

なにより原作ありきのゲーム。当時は新しいガンダム作品が無い事によるネタ詰まり感があり(ガンダムSEEDシリーズまでの時期で、そのSEEDシリーズ、特にSEED DESTINYが当時視聴者に不評だった。その後の00の放送期にはすでにガンダムウォーの斜陽落日は確実なものとなっていた)、
ガンダムというコンテンツ自体の敷居の高さ*7などもあって、新規プレイヤーがなかなか入ってきてくれないという先細りを招いていた。
ここに、遊戯王やデュエルマスターズ、プレシャスメモリーズといった他ゲーの台頭、ヴァイスシュヴァルツやカードファイト!ヴァンガードなどによるブシロードの猛追、
2000年代前半では「過去の栄光」「オタクが細々とやるゲーム」という状態だったMTGやポケモンカードが2008年頃を境に復活してきたことなども重なり、カードゲームとしては大きな苦境に立たされてしまう。


その後、2011年に突如ガンダムAGE開始に伴い、ゲーム名をガンダムウォーネグザに変更することをアナウンス。
MTG型ののロールコスト制度・クルセイドの土地ルールなど大幅なルール変更が決まった。
互換切りはしないという話だったのだが、新ルールでは旧カードをプレイする際にコストに応じて自軍手札か土地を除外というルールが採用されたため、99%以上のカードはまったく使い物にならなくなってしまう。
13年間続いたカードの大半は、事実上の互換切りをされる形となった。

あまりの急展開に各地のカードショップも買取拒否・大幅値下げ・販売中止などの処置を取ったためにプレイヤーは手元に大量の紙束を残すことになった。
これまでの運営への不信感やレアゲーへの疲れから、結局ガンダムウォーのプレイヤーの大半が引退してしまう*8
しかも時期も最悪で、先述した他ゲーがすっかり軌道に乗った頃にこんなことをしてしまったものだから、引退プレイヤーは移住先にまったく困らない状況だった。
ネグザはプレイヤーが激減→取扱店も激減→大会が開けないので引退、という悪循環を引き起こしてしまう。以前ポケモンカードが2回も行ったことから何を学んだのだろう。

さらにネグザ自体も調整不足。同会社から発売されているレンジャーズストライクの販売停止、ネグザ終了後の移行先だったクルセイドの迷走なども重なり、
しばらくの間「バンダイはカードゲームを作るのが下手だ」という風評を作ることとなったのだった。

2016年2月28日を最後に新規のブースターパックが発売されなくなり、同年10月31日にガンダムウォーネグザの公式サイトにて各種問い合わせと公認店大会の終了が 告知
かつて多くのカードゲーマーを魅了したゲームの公式展開が完全に終了した。

ぶっちゃけ現在では「名前も聞いたことがない」「デュエマやMTGよりも人気がなかった」という人も多いだろう。
しかし当時は本当に人気のあるゲームであり、ぶっちゃけあの時期カードゲームをやっていたなら名前くらいは間違いなく知っている
デュエマやMTGについては異論はあるかもしれないが、つまり「遊戯王には負けるが2位の矜持はある」という認識を持ちやすいゲームだったということである。何度も言うが、それくらい人気があった。
アニヲタwikiにも「ガンダムウォー」「GUNDAM WAR」のタグから各種デッキを解説した記事にジャンプできるため、興味があれば読んでみてはいかがだろうか。ぶっちゃけかなり不正確だが、どうせ読んだところで新しくゲームを始めるわけでもないだろうし、雰囲気はなんとなく分かるはずだ。
サービス終了したTCGがどうなるか、という絶好のサンプルだろう。かつて2位の超有力候補でも、今じゃ名前がたまに語られるばかりだ……。

終わってしまった人気カードゲームの例にもれず、現在でも愛好家が独自のレギュレーションを作って対戦を行っている。
独特のメタが回っているようなので、興味があるならnoteなどで調べてみるといいだろう。完全にポケモンカードと同じ轍を踏んでるよね、これ。


○カードの種類
  • ユニットカード
MS、MA、戦艦、要塞等を表すカード。
1種類だけではあるが師匠(東方不敗)もここに分類される。
このカードゲームの主役であり、主に戦闘を行う。
MtGでいうクリーチャー

  • キャラクターカード
作品中に登場した人物やAIを表すカード。
主にユニットと合わせて使われ、ゲームを有利に運ぶ為の能力を持つ。作中での描写がよく反映される。
例:アムロ→交戦する度強くなる、東方不敗→条件を満たすとユニット化して戦える、デマー・グライフ*9→白に関する効果を持つ、黒い三連星→遊戯王のガジェットみたく仲間をサーチできる、など
MtGでいうオーラ(個別エンチャント)

  • コマンドカード
ガンダム作品のドラマ、イベントを表すカード。
手札から使用し、使い捨てる。MtGでいうインスタント、ソーサリー


  • オペレーションカード
ガンダム作品の事件、作戦等を表すカード。
基本的に場に配置し、様々な効力を発揮する。
MtGでいうアーティファクト、エンチャント


  • ジェネレーションカード
人的資源や技術力を表すカード。
場に配置して「国力」を発生し、それを使って様々なカードを使用する。

MtGでいうマナ。
通称Gカード。


Gカード以外にはそれぞれ指定国力、合計国力、資源コストが定められており、指定、合計はGの色と数で、資源コストは本国(後述)から払う事になる。


○ルール
ゲームの流れと共に解説する。
お互いに50枚のGUNDAM WARカードの束をデッキとし、「本国」とする。

先攻後攻を決め、デッキをシャッフル。
手札を6枚引き、ゲーム開始。
但し、最初の手札に限りGがない場合、本国に戻してシャッフルをし、手札を変えられる。
また、例えGがあっても気に入らなければ手札交換が出来るが、その場合の手札は
6枚→5枚→4枚→3枚
と少なくなっていき、3枚になった時点で手札の交換は出来なくなる。


  • リロールフェイズ
ロール状態(横向き)のカードがあればリロール状態(縦向き)にする。
ロール状態のカードはできない事が多いので割と重要。


  • ドローフェイズ
カードを1枚引く。

先攻第1ターンのみ引けない。


  • 配備フェイズ
手札のカードを配置、使用できる。
ユニット、オペレーション、Gは基本的にこの時に1ターンに1枚配置できる。
コマンドは枚数制限無し。


  • 戦闘フェイズ
ここから更に
  • 攻撃ステップ
  • 防御ステップ
  • ダメージ計算ステップ
  • 帰還ステップ
に分かれる

攻撃ステップ時にユニットカードで敵の本国に攻め込む。
防御ステップ時は相手側の行動となり、ユニットで防御に出す事が出来る。

戦闘エリアは地球、宇宙、MFのみリングエリアがあり、このフェイズでドリームバトルやらドリームチーム結成やらができる。
ダメージ計算ステップでは防御力が0(破壊)になったユニットを廃棄したり、本国にダメージを与える事ができる
帰還ステップでは出撃したユニットをロール(横向き)にする
戦闘の処理を終えれば1ターン終了。
相手のターンに移り同じ行程を繰り返す。

先に相手の本国を0枚にしたプレイヤーが勝ちであり、その為に様々なユニットで攻めるのが基本となる。
本国を0枚にする以外にも勝ち方はあるが、取り敢えずこんな流れである。

ライブラリーがそのままライフにもなり、さらに他TCGで言うところの「墓地」が2種類あるためここにかなり独特の駆け引きが存在する。
当時のMTGの抱えていた問題である「ライフカウンターやメモ帳が別途必要」という部分に挑んだ例であり、ここは現在でも時折評価される。
ただ当wikiで話題になる三大TCG(遊戯王、デュエマ、MTG)のうち2つがライフ式であることからも明らかなように、このルールのせいで他TCG勢と話題をまったく共有できないせいで全然知名度が上がらないという弊害があったりする。この辺も2000年代末期からガンダムウォーが苦境に立たされた原因かもしれない。
ぶっ壊れたカードの話をしてもあんまりピンと来てくれないため、名前を自由に変更できる「名無し(トロワ・バートン)」の名前を月に変えてサテライト・キャノンをぶっぱなす*10話や、ベルガ・シリーズを参照するカードで「ノーベルガンダム」「アナベル・ガトー」を参照できる話の方が面白がられる。


○GUNDAM WARの勢力

カードはそのカード毎に所属する色が決められており、大体原作で近しい関係のものは同じ色になっている。

また、色毎に得意な仕事が違ってくる。


防御と展開を得意とし、本国を回復したりユニット等の破壊を無効にするカードが多い。28弾で高性能の破壊カードが出てきてしまったが…

また、所属勢力の関係上、UC主人公キャラクター達に関連するカードが多い。

地球連邦、エゥーゴリガ・ミリティア等。


攻撃に優れた勢力。
相手のユニットや本国に戦闘以外で直接ダメージを与える手段を多く持つ。
かつては回復が皆無だったが27弾で高額だがまともな回復が出た
ジオン公国、ユニオン、AEU等。
ジオンは量産機がモデルの低国力、ユニオンは特定のエースパイロット機が強い等の原作再現がある。


ダメージ等を介せず、直接的な破壊力を持つ勢力。
大量破壊が多いが、その分デメリット能力も大きい。
OO外伝は何故この色なのだろうか。
ティターンズ、ザンスカール帝国、OO外伝等。


相手の行動の妨害とドローに長けた勢力。
コントロール、パーミッションを得意とする。
現環境では有力ではないものの、かつて環境を牛耳ったカウンタークスィー等が有名。

ネオ・ジオンクロスボーン・バンガード等が所属。
出典にマニアックな作品が妙に多かったこともあって割と人気が高かった。


カードの再利用とリングエリア戦闘を得意とした勢力。
1対1の戦いが得意なMFと、東方不敗を有する*11
特定のカードと合わせればアインラッドに乗ったりトランザムしたりとガンダムゲー史上一二を争うレベルでやりたい放題する東方先生を拝める。流石にダグ星人にはなれない。
他の勢力にはできないトリッキーな動きをする色。

「∀ガンダム」、「機動新世紀ガンダムX」、「機動武闘伝Gガンダム」等


単純に強力な性能のユニットが多い勢力。
ユニットの攻撃力や防御力が他の色に比べて高い。
様々な種類のコマンドがあるが、器用貧乏&他色の下位互換になっているため、弱い。
単純ゆえに強力。単純ゆえに対処しやすい。

使い続けているプレイヤーは「職人」とさえ呼ばれる。「弱い」と言うとエアプ呼ばわりされる程度には強いのだが、ぶっちゃけ大会で実績を出すのはたいへんキツい色だった。
逆に言うとこの色をどう評価するかで、その人がどれくらいガチ勢だったかというのが分かったりする

また、共通ルールに関するもの以外で唯一特殊勝利カードを保有する。



特定の勢力に属さない中立の勢力が集まった色。

戦闘は不得意な色だったが、00の参戦により、一時環境を塗り替える程の力を持った。

ソレスタルビーイング、宇宙引越公社等

ネグザではほぼ機動戦士ガンダムAGE専用色になっている。


〇GUNDAM WARらしさ
そのため、設定年齢14歳の「大人」や設定年齢21歳の「子供」が存在する。

ちなみに最新弾で刹那とフェルトが
大人になっている
大人になっている
大事な事なので二回(ry

ただこれについては諸説あり、単純に精神的なものを加味しているだけというものもある。
シロー、マフティー、ララァ、マリナ、前述の刹那等が有名。


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  • 公式展開終了
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最終更新:2024年11月19日 17:21

*1 旧裏とeシリーズの「予告なしの互換切り」を2回も行ったせいで、商品としての信頼度が欠落していたため。ダイヤモンド・パール時代から再び取り扱う店も増えてきたが、その取扱いコーナーは当時のデュエマと比してかなり小さなものだった

*2 数字しか追ってない人(世界的な売り上げは優れていた)と数字に興味のない人(TCG文化を支える中古ショップでのプレイ環境が存在しなかった)の間で、ADV~PCG期の評価は雲泥の差である。ちなみにちゃんと当時のポケモンカードの話ができる人は例外なく後者なので、リトマス試験紙としても機能する。

*3 実際当時のプレイヤーに言われていたのは「レア以外の使い道はイラストのかっこいいコースター(コーヒーカップを置くアレ。当時のカードゲーム定番のジョーク)にすることだ」というもの

*4 現在でも「どの時期からおかしくなったか」を話すと百家争鳴だが、「ACE」の時期には「あの時期にはもうダメだったと思う」というのが共通認識である。つまりじわじわとおかしくなっていったというのがプレイヤー間の共通認識だった。

*5 《精神を刻むもの、ジェイス》禁止前。人により意見が分かれるところだが、ガンダムウォーの全盛期が大体この時期

*6 《ダーク・ダイブ・ボンバー》禁止前。人により意見が分かれるところだが、ガンダムウォーの全盛期も大体この時期になる

*7 当時はガンダム愛好家のことを「ガノタ」と呼んで蔑む文化もあった。

*8 本項目のコメントやタグにも否定的な意見があるが、全盛期のガンダムウォーは愛好家になればなるほど運営に対して口が悪くなるというゲームだった。とはいえ当時のTCGはガンダムウォーに限らず調整不足やルールの穴を突いたデッキで勝利を見出すことが常だったため、強いプレイヤーになるほどだいたいそんなものだったということも併記しておく。

*9 ガンダムXに出てくるコルレルのパイロット。こんな端役もカード化する。

*10 本来は国力カードやオペレーションの名称に「月」が含まれていることを想定している。

*11 正確には、1枚だけ「ユニットカードとして」師匠がカード化された事がある。もちろんパイロットとしての師匠もこの色に存在する

*12 ちなみに、あるジョークカードとこのルールを利用して強引に『名称:ガンダム』で取れる機体を増やす荒業コンボが存在する