量産機

登録日:2011/05/09(月) 00:56:03
更新日:2020/11/13 Fri 06:23:23
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主役ロボは様々な敵と戦い、苦戦しながらも勝利を掴む。


……しかしその影には、苦戦するどころかたった一撃で吹っ飛ばされてしまうロボット達が居る。
それらの大半がこの項目で紹介する『量産機』である。



■アニメや漫画での扱い

スーパーロボット系のアニメや漫画だとあまり登場しないが、リアルロボット系のアニメや漫画だと敵軍・味方軍共に大量に生産、配備されている。
所謂モブキャラ的存在だと思って差し支えない。



  • 主役級ロボに破壊される
  • 敵のエースに切り刻まれる
  • エースでも何でもない奴に爆殺される
  • 極太ビームで蒸発
  • 新兵器の実験台になり木っ端微塵に
  • 味方の攻撃に巻き込まれて死ぬ
  • 敵の機体にジャックされて味方同士で同士討ち
  • 敵軍に捕獲される→元の陣営の機体に破壊される
  • 画面に映った瞬間あるいは数秒後に撃墜される
  • モノアイかゴーグルアイ
  • 厳密にはロボットではないが、S2機関を搭載しロンギヌスの槍(複製)をもって視聴者にトラウマを植え付ける
  • 生身の人間にフルボッコされる
  • 搭乗者に自爆させられる
  • 爆弾代わりにされ撃たれる。
  • 圧倒的物量で襲いかかる→エースに次々落とされる(稀にエースを追い詰める場合もあり)

……等、その扱いは挙げるとキリがない位散々な物がある。

なお、「量産」とは「大量生産」の略称であるため、ロボットものにしばしば見られる「少数量産」という表現は本来誤りである。
正確を期したい場合、少量生産又は一品ものの実用機は、生産数に関係なく使える「生産型」という呼び方を使おう。
(上記の場合、その機体よりもさらに多く量産された類似機体があるためにあえて「少数」とつけている場合もある)

ロボットものにおいて「生産型」「量産型」の区別が正しく行われた例として、
「生産型」エヴァンゲリオン弐~四号機と「量産型」エヴァンゲリオン5~13号機などが挙げられる。

現実の設計・開発の場では、「量産型」の語はあまり一般的ではなく、「生産型」「正式採用型」などの方が一般的に使われる。

なお、「量産型」の語源は 「機動戦士ガンダム」 量産型ザクII である。



■その役割

アニメや漫画での扱いは散々なことが多いが、それでも立派な戦力であるのは確かであり、
数多くの作戦で我らがエースパイロット達と共に戦っている。
所謂彼ら彼女らは「縁の下の力持ち」なのだ。

確かに主役級達の機体よりも性能は劣っているが、性能の低さをカバーする戦い方や量産機故に出来る戦い方を披露する。
その為か、主役級の機体が行う「目まぐるしい高速機動戦」や「真正面からの力と力のぶつかり合い」等の派手な戦いはあまりせず、
地の利を生かした状況戦」や「コストの低さを生かした物量責め」等、どこか泥臭い戦いが多い。

それゆえ、これら量産機が勝つ瞬間のカタルシスは下手をすれば主役を上回る。
またパイロットの腕を示す指標となる場合も多く、同一性能の機体でもその能力は様々。


また機体のバリエーションの多さも量産機の特徴であり、
空戦に特化したものも居れば水中戦仕様、寒冷地仕様に隊長機、実験機や個人の専用機等、様々なバリエーションが存在したりする。

特に実験機と専用機は、アニメや漫画で主役級のキャラの愛機だったり外伝作品の主人公機だったりと扱いがいい。
つまり勝ち組である。

なお、逆に異常な強さを誇る量産機が徒党を組んで襲ってくると絶望しかない。
勇者特急マイトガインでは終盤に例え木っ端微塵に粉砕しても無限に完全再生する量産機というロボットアニメ史上トップクラスの凶悪な機体が登場し、数の暴力で主人公の仲間を蜂の巣にして嬲りながら破壊した。



■現実の量産機

結論から言うと、現実に活躍した実績がある兵器は ほぼ全て量産機 である。
創作では「質より量」「性能の低さを数で補う」的な存在である量産機だが、
現実には「ワンオフ機」「試作機」が戦場に出て来る事はほとんど無いため、必然的に量産機はその全てが戦場の主役たり得る。
本来量産機とは「性能を数で補っている」のではなく、 「高品質と生産性を兼ね備えた存在」 である。
F-22やB-2の様な高価過ぎて大量生産できなかったものもあるにはあるが、
あくまで量産機は数に頼っているのではなく、 高性能だったからこそ大量生産された のである。


創作物では試作機、ワンオフ機の陰に隠れがちだが、現実では量産機の方が性能が良くなる傾向にある。
というのも現実で車を例にすると、

「車A」のプロトタイプを作り試運転

そこから得たデータから欠点や不具合をなくす

「車A」改良型を作り試運転

そこから得たデータを(ry

……というように、徐々に欠点をなくし性能を上げながら作っていく為である。


一方、アニメや漫画の量産機は、

超性能のロボット作ったよ!

(コスト高い、性能高過ぎてパイロットがついていけない、元々が少数生産の予定)

ちょっと性能落として(デチューンして)安く、大量に作ろう

(上の例と同じく、量産機を更に改良・発展させることもある)

といった感じで作られている事が多い(例として新機動戦記ガンダムWトールギスリーオーがある)。
同じく現実の車で考えるとF1で培った機能や技術を一般車両に搭載するようなものである。
そのため、「~~だからアニメの量産機っておかしいよ」的な話は的外れなことも多い。
そもそもこの様な流れで開発される背景が(メタ的な都合も大きいが)作品によって異なることも考慮する必要がある。

現実でもプロトタイプからの計画の中でコストやシステム面からオミットされることもあるので、性能が落ちることはある。
フィクションでもプロトタイプより量産機の方が性能に優れているという場合もある。

また、機体自体が優れていてもそれらを使いこなせれば意味がないので、
性能だけで見ると勝っているが、実際に運用するなら性能を多少落としてでも操作性などを向上させたほうがいいということも現実・フィクションともに多い。
先に挙げたトールギスとリーオーがまさにこれであり、「殺人的な加速のために常人には扱いきれない」というトールギス最大の弱点が、リーオーでは加速力の大幅低下によって「改善」されている。

量産機に必要なのはなによりも信頼性。ついで安定性や拡張性なので、不測の事態は起き辛く、タフな機体も多い。
しかしこれに関しても、現実でも利益を出すためのコストダウンの為に採用した低品質な部品や関わるメーカーが増えたりして不安定になることもままある。
また、コストダウンは『改良』要素でもあるため、後期ロットではコストダウンの為に一部性能が落ちていたり機能が一部削除されていることは珍しくない。

前述したが、アニメの例を車に喩えるならランドマークプロジェクトというかレーシングカーやコンセプトモデルの開発で培った技術を乗用車に使うことに近い。
アニメで言うと前者はドラグナー、後者はガンダム等が当てはまる
(※ドラグナーは量産型の方が性能が上。ガンダムはその高すぎるコストから、コストと性能のバランスがとれたジムが開発された)。

アニメや漫画では見栄えなど、メタ的にどうしようもないので後者の例が圧倒的多い。


変わったところでは、テスト・改修・生産を並行して進めたために、試作機と量産機に全く差がないゲルググの例がある。
この様な方法も現実で行われることがあり、生産ライン構築がスムースに進み素早く生産可能になるが、
その代償として開発時に無駄が多かったり、混乱を招きやすいため、難しい。


また、軍事的に単機の活躍というものはあまり意味が無い。
軍隊は基本的に集団行動であり囮、チープトラップ、整備・休養中の奇襲、破壊工作、消耗戦などに対する抵抗力など、量産体制を整えることは必須である。


ただし、作品の設定等では必ずしも量産機のほうが強いというのが通用しないこともある。

たとえば、この手の話で代表的なガンダムでは高コストであることに加え、
早期の量産を行うために正式量産機を後回しにしてジムの生産を優先したという設定がある
(どこまで考えられているかはわからないが、正式量産機ジーラインよりジムのほうがガンダムとラインが近く、設計をすぐに流用できたと思われる)。

ガンダム自身も未知の存在であったMSを研究し、当時の技術でできる限り最高の機体として作ったというのが主流の設定である。
また、後期の活躍はどちらかというとパイロットの腕のほうが理由。前述のように事情があれば現実でも量産機のほうが性能が劣ることはある。
そもそもガンダムとパイロットの腕前も戦争に勝った要因にはなっているものの、この作品ですら戦争終了の決め手は量産機の頑張りによるものが大きい。

更に補足するなら、ガンダムシリーズに出てくる量産機のうち作品後半に出てくる「ガンダムのデータを基にした・ガンダムに対抗すべく作られた量産機」はそのほとんどが参考にしたガンダムとほぼ同等以上のスペックである。
もちろん尖った所を量産の際に均一化する等の変更はあるが、スペックが劣っているとハッキリ明言されているのはジムとストライクダガーくらいである。(そのストライクダガーも前身に105ダガーというG兵器とほぼ互換と言える性能を持つ量産試作機が存在する)

こういった設定を知らなかったり、現実の量産機も何らかの性能が落ちていることが割とあるのにとりあえず「量産機の方が強いのに弱いように描かれるのはおかしい」「試作機の方が弱い」というのは、
ロボットものの話題でよく現れるただのSFかぶれに過ぎないのでしっかり勉強し、理論を組み立てたうえで議論しよう。


ちなみに鉄道の業界では「強い試作機」はそこそこ居る。
例えば新幹線500系は試作車の500系900番台『WIN350』では350km/h運転すら目指した性能が与えられていたり、
同じくE5系とE6系の事実上の「試作車」であるE954形『FASTECH360S』及びE955形『FASTECH360Z』は360km/h運転を目指した設計のため、
「量産型」のE5、E6系よりも均衡速度(性能的に限界となる謂わば『真の最高速度』)は高くなっている。

また営業運転すら考えない『ゲテモノ』としては、
175km/hの記録を持つクモヤ93や、ガスタービン気動車実証用に改造されたキハ07 901などもあげられる。

鉄道の場合、公共交通機関という特性上「あってはならないもしものことを起こしてはならない」という点もあり、
そのためには最高速度などの目標値を余裕を持って出せる性能が必要であり、言い方を変えれば限界値は高めに取る必要があるため、
「どこまで出せるかチャレンジ」や、或いは「安定して目標値を出せるかどうか」を実証する必要があるので「限界に挑む性能を有する"強い試作機"」が出やすいものと思われる。

尤もこれらはどちらかと言えば純粋な試作機というよりは「技術実証機」寄りなのだが、それは多くのロボアニメに於ける試作機も同様である。

他にも陸上交通の分野では正式採用を視野に試験採用された仕様が事業者側の事情で翌年に仕様を再変更したり、メーカー側の規格変更などで後発機に採用されなかったりして、結果的に「現場に投入される試験機」のようなものが出てくることもある。
「性能上の大きな違いを生じるものではないが、厳密に比較すると見た目や仕様に差異が出る」といったレベルである。
ワンオフ機に相当するものは遊覧列車「ななつ星in九州」のような極めて用途が特化された車両のみ存在する。


また艦船の分野では、ある程度の大型艦になると大量に建造する訳には行かなくなる事もあり、
実験的に建造された艦が実戦投入されたり、少数のみ建造されたや試作的な艦が活躍したりする事もままある。


■量産機は無個性?

量産機は多くの場合「その他大勢」が乗る機体であるため、
厨二病罹患者が持つ「サラリーマン」のイメージのように、「個性のない存在」と考えられることが多い。

だが、実際には各機ごとに個性が存在している。
同じ「サラリーマン」でも仕事においては一人ひとりが異なった技能を持ち、
異なった役割が与えられるように、戦場においては兵士一人ひとりに異なった役割が与えられるためである。

具体的には、指揮官機なら通信機能が強化(例:ブレードアンテナ増設)され、
火力支援を行う機体には大型、長射程の火器(例:ザクバズーカ、マゼラトップ砲)が搭載され、
敵に最も近づく機体には取り回しを重視した比較的短い火器や格闘用装備(例:ザクマシンガンヒートホーク)が搭載される。
実際にザクⅡは一体一体が異なった武装を持っていることが多々あり、役割分担がなされていることを窺わせていた。
また単純に「製造工程でのばらつきにより"製品"によってクセが異なる」という場合もある。
そりゃ流石に「パーツや部品をⅠ㎜の誤差も無くそして、分子一つ一つのレベルで完全に同一のものを作る」というのは今の技術で言えば困難を通り越して不可能だし、
或いは工業製品ってものには「クリアランス」とか「遊び」とか呼ばれるもの、つまり余裕が設定されている。

工業製品には工作機械の違いや或いは製造時の環境、
更には素材自体の特性などでどうしても大小の誤差が出てしまうのでそれを吸収するための「余裕」であるが、
この誤差が原因でクセが出てしまうということである。
これが無いと同一の製品でも製造工場毎に微妙に癖があるせいで部品の互換性がない、同じ工場で作られた部品同士で組まないと不具合が起こるという整備運用面での致命的な欠陥が発生する。
現実だと自動拳銃のルガーP08なんかは、職人が一つ一つ手作業で精密に仕上げたために高性能だがクリアランス0で同じ製作所の部品同士でしか組み合わせられなかったそうな。
逆に言えばこれを設ける事で別々の製作所で作った部品同士でも融通が効くようになるため飛躍的に量産性が高まる。
また多少の汚損程度なら影響が出ない耐久性、多少粗い部品でも動作できる優れた整備性にも繋がる。
これらの良い面が重なり、「生産性に優れ、かつ堅実で故障が少ない」、かつ「現場の人間でも扱いやすく整備も容易」という工業製品としても兵器としても理想的な条件を備える事に成功したのがかのAK-47である。

逆にクリアランスがあるということは部品一つ一つの精度自体は劣るという事であり、あまりいい加減すぎるとそれはそれで性能面での劣化に繋がる。
この辺りでエライ目に遭ったものの代表格はショーシャ軽機関銃(フランス)や言うこと聞かん銃62式機関銃(日本)、辺りであろう。
いずれも部品の精度の問題で弾詰まりに悩まされ続けた。

変わったところでは、機体を構成する各ブロックは紛れもない量産品であるにもかかわらず、組み上げて誕生する機体には個性が出る、
専用機と量産機のいいとこどりとも言えるアーマード・コアやフロントミッションのような例も存在する。


【量産機の立体造形物】

ガンプラなどに代表されるように、ロボットアニメ等のメカがフィギュアやプラモデルとして販売される例はよくあるが、
そのなかでも量産機は主役機やワンオフ機とはまた違った魅力を見せている。

というのも、元々が量産機なので同じ機体を何度・何体手に入れて、
飾ったり、ジオラマに入れてしまっても設定面での問題はほぼない。

例えばワンオフ機などだと仮に複数の同じ機体があったとしてもプレイバリューは限られる。
しかし量産機であれば何体もいるのが設定的には普通であるため数を集めても何の問題もないし、むしろ買った数だけ幅が広がる。
また改造・塗装などでキャラ付けした場合でも上記のように量産機にも個性はつけられるため何も問題ない点もプレイの幅を広げてくれる要因となっている。
更に言えばワンオフ機は、デザインが独特であまり流用が効かないのが多い(勿論クロスボーン・ガンダムやVガンダム等の例外もある)のに対し量産機は、大体似ているのが多いため、バリエーション機が出る確率も高い。

好きな作品を支持するために関連商品を多々買う大量に購入する場合も、上述の事情から量産機は人気である。



【主な量産機】


アニメ・漫画

ゲーム

特撮


●番外編



またここでいう量産型とは少し毛色は違うが、勇者王ガオガイガーに登場するJアーク(およびキングジェイダー)は
主人公機ガオガイガーを素のスペックで越える機体だが実は量産型である。


余談だが、格ゲー等でWikiや攻略本の通りにしか動かずオリジナリティのない動きをする者を量産型◯◯(キャラ名)と表現することがある。


尚、人数は少ないが量産機にしか乗らない主人公もいる。
最低野郎のキリコ・キュービィーとか。
仲間思いのロディ・シャッフルとか。

相良宗介ヒイロ・ユイは量産機にしか乗らないわけではないが、
サベージやリーオーを支持するのも(この二人の場合、別の愛着もありそうだが)前述したように量産機には信頼性や拡張性、互換性などが重視されていることが理由である。

そしてそれをある意味究極にまで突き詰めた量産機といえるのが、STAR WARS (映画)に登場する帝国軍戦闘機TIEファイターであろう。
TIEファイターは全機体が完全に同一仕様で製造されており、どの機体に搭乗しても同じように動かせる。
このため帝国軍パイロットは「空母に格納されているTIEファイターに空いてる機体から順番に搭乗していく」ようになっている。
どれ乗っても同じだからね。
現実的・理想的ではあるが、全機体が完全に同一仕様というのは技術開発・競争・改修など諸々の事情からかえって非現実的な運用だったりする。

ちなみに当のSTARWARSではファンの間で「stormtrooper effect」「Imperial Stormtrooper Marksmanship Academy」などと言われ、
「主役の弾は当たりやすく、敵の弾は当たりにくい」「主役が少ないほど敵は外しやすい」
「不可能であるほど当たりやすい」「拳と武器なら拳の方が勝つ」などと言われることが多い。


似た例に「ニンジャ強さ反比例の法則(少ないと強く、多いと弱い)」「ニンジュツ保存則(ニンジャの数に関わらずニンジュツは一定)」という、
「The Law of Inverse Ninja Strength」「Law of Conservation of Ninjutsu」などという言葉もあり、
どうやら創作物において「多いと弱い」などのイメージは洋の東西を問わないようである。





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最終更新:2020年11月13日 06:23