ジェームズ・ポッター

登録日:2011/07/15 Fri 21:17:55
更新日:2025/06/12 Thu 13:43:21
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ジェームズ・ポッターとは、ハリー・ポッターシリーズの登場人物。

主人公ハリー・ポッターの父親で、作中では既に故人となっている。
妻はリリー・ポッター(旧姓:エバンズ)。

純血の名家であるポッター家出身で、魔法界でも有数の天才的な魔法使いであった。
ハリーと同じくホグワーツ魔法魔術学校に通っていた。学生時代、親しい友人からは「プロングズ*1」というあだ名で呼ばれていた。


以下、ネタバレ







ホグワーツ卒業後はアルバス・ダンブルドア率いる不死鳥の騎士団の一員として、ヴォルデモート卿及び、死喰い人たちと激闘を繰り広げた。
予言を知ったことでポッター一家が狙われることになったため、ゴドリックの谷で「忠誠の術」に守られ隠匿生活を送っていた。
しかし、「秘密の守り人」であった親友のピーター・ペティグリューの裏切りで、命を落とす。
享年21歳。

リリーとハリーを護る為にヴォルデモートに敢然と立ち向かったことを聞いた息子のハリーからは尊敬されている。
人物としても明るく、悪戯好きで、クィディッチが抜群に上手く*2、ハンサムで学生時代は人気者だった。
また、闇の魔術やスリザリンへの嫌悪と憎む気持ちが強く、特にセブルス・スネイプとは犬猿の仲だった。
しかし、仲が良かったシリウス・ブラックがスネイプを殺しかねない悪戯を仕掛けた時は助けに行っている。




【実像】

実際の彼はハリーが思ってるような聖人君子ではなく、両親に甘やかされて育った*3お坊ちゃまであり、我侭で傲慢な人間の側面も持っていた。
………うん、どっかのフォイさんみたいとか言わない。

それでいて成績は学年首席になるほどであり、その魔法力と頭脳を変な方向に活かしてシリウスと2人で悪戯を繰り返していた。
同級生に遊び半分で呪いをかけるという悪質なことまでやらかしている。
作中でもミネルバ・マクゴナガル先生に「あんなに手を焼かされた二人組はいない」とぼやかれている。
実際、その悪質さ故に監督生になることはなかった。

また、特にスネイプに関しては執拗なまでの攻撃を学生時代ずっと繰り返しており、それを上記の悪戯とあわせて好意を抱いていたリリーに自慢げに話してもいた(ただし、スネイプがリリーと仲が良かったことに嫉妬したというのも理由の一つであったようである)。
また当のリリーも、傲慢でしかも仲の良いスネイプを攻撃するジェームズを快く思わず常に叱っていた。
ただしリリーはジェームズの度の過ぎた悪戯には憤慨してらいたが、ジェームズがけして悪人ではない事は理解しておりセブルスも悪いという認識は持っていた。

傲慢でいじめっ子気質な実像は作中ではジェームズから攻撃を受けていたスネイプの記憶からでしか描写されなかったこともあり、立派に成長していくハリーとの比較もあってか、巻を進むごとに彼への賛否が別れていった。
ハリーも偶然スネイプの記憶から父親の傲慢な振る舞いを見たことでかなり大きいショックを受け「なんで母さんは父さんと結婚したんだ!?」とパニックになっていた。
因みに作者によるとリリーは早い段階でジェームズを好きになっていたらしい。
それでもジェームズを叱り諭していたのは、リリーは例え好きな相手であろうともダメな事はダメと言える公平な判断力の持ち主だからだろう。

ハリーはジェームズの実像に驚いて急いでホグワーツの暖炉を使ってシリウスとルーピンに話を聞きに行った結果、シリウスが「15歳なんてそんなもんだ」と笑い飛ばしたので更にパニックになっていたが、ルーピンが言うには7年生になる頃には今までの高慢さを改めてハリーが尊敬していたジェームズ像に近い好青年になり、リリーもジェームズか変わった事を認めて思いを受け止め恋仲になったとの事。

また、リーマス・ルーピンはシリウスとジェームズの酷い悪戯を良くないと思いつつも5学年時点では見てみぬフリに徹していたが、その後は二人を諭して酷い悪戯を辞めるように説得したらしく、シリウス曰く「ルーピンのお陰で恥とは何かを知った」との事で彼の尽力もあったらしい。

友情に篤いというのも事実であり、狼男であるリーマス・ルーピンが狼になってしまっている時にも仲良くできるように、数年かけて独自に『動物もどき』になる方法を編み出し、取得している(結果的に仲間を信頼し過ぎたことで身を滅ぼすことになってしまうが)。
ただし“動物もどき”でありながら魔法省に報告を行わないのは普通に犯罪行為である。

また、ジェームズが学生だった当時はハリーの時代以上に死喰い人が活発に犯罪行為を行っていた時代であり、死喰い人の多くがスリザリンの出身であることを考えれば、スリザリンに対してあまりいい印象を抱かないというのもある程度は仕方がない面もある。
加えればスネイプも当時、闇の魔術にどっぷりつかり、危険な術をいくつか自力開発もしていたらしいし。

最終巻のスネイプの記憶では先に喧嘩を吹っ掛けたのがジェームズたちであることが描写された。入学前のホグワーツ行きの列車で偶然同じ車両になった時にリリーにスリザリンを薦めるスネイプに文句を付け、その傲慢な態度からスネイプだけでなくリリーにも不快感を抱かせた。
更にスネイプの名前をもじった「スニベルス(泣きべそ)」という蔑称を付け、入学の時の組分け式では脚を引っ掛けて転ばせようとするなど露骨なイジメっ子っぷりを早くも見せている。

スネイプは「入学時点で大半の上級生よりも闇の魔術に詳しかった」という逸話の持ち主であり、入学前から闇の魔術を嫌いながら育ったジェームズから見ればテロリストの思想にかぶれた犯罪者予備軍のように見えてしまい(そして結果的に事実となる)嫌うのもある意味順当な流れではある。

ちなみに闇の魔術に関して知識を持つこと自体は違法行為でも何でもなく、実際にダンブルドアを始めとしたホグワーツの教師も知悉しているし、授業で教えたりもしているので、
このことでスネイプを嫌うのはあまりにも偏狭であるが、実際にスネイプは魔法を開発して純血思想グループに入って被害を出しているので、ぶっちゃけお互い様である。
ただ、作者によればジェームズはスネイプがリリーに思いを寄せている事に気づいてたとの事なので、実際は単純に好意を持っていたリリーと仲が良かったことへの嫉妬もあったのかもしれない。

また、ジェームズとスネイプの関係を「ジェームズによる一方的ないじめ」と解釈している読者が多いが、スネイプが自分で作った呪文を積極的にジェームズに試していた可能性も十分にある*4ので、それに対する正当な反撃が含まれている可能性も十分ある。
また、セブルスの作った呪文は学校中で流行っていたのでセブルスか彼の仲間の純血思想たちの者たちが被害を出しまくっていたという事でもある。

作中では試験の復習をしていたスネイプに対して、親友のシリウスが退屈していたからという理由でスネイプに喧嘩を売り、先制攻撃で杖を奪って無力化した後に二人で一方的に攻撃を加えて晒し者にして嘲笑うなど、明らかにジェームズ側はスネイプに対して暇つぶしに使うほど余裕を持って嬲っているため、正当な反撃があったとしてもそれをジェームズたちがどれほど脅威に思っていたかは不明。
とは言ってもスネイプもその時点でマグル生まれを迫害する純血思想のグループに所属して被害を出していたのは事実である為、周囲の人間がジェームズを支持したのも無理からぬ話ではある。

また、リリーもジェームズの悪戯は悪質だと批判はしつつもスネイプに対しても「貴方が一緒にいるマルシベールやエイブリーもマグル生まれに酷い事をしてるのだから縁を切りなさい」「私の友達(マグル生まれ)に酷い事をしたのよ」と再三忠告しており、友人としてスネイプを庇う姿勢は取るものの、スネイプが一方的な被害者だとは思っていない。

因みにスネイプはマルシベールやエイブリーが行っているマグル生まれへの迫害を「あれはちょっとした冗談」として軽く扱い続け、「マルシベールやエイブリーと縁を切りなさい」という部分は聞かず「ジェームズは酷い」の部分だけを聞いて満足げにするなどリリーの誠意を踏みにじり、信用を失っていった。*5
「ジェームズがスネイプとリリーの仲違いの原因を作った」という意見もあるが、ぶっちゃけジェームズがいなくてもスネイプが改心しない限りリリーが結ばれる事はなかっただろう。

ジェームズはスネイプの事は嫌っていたが、先述のように命に関わるような事態となった時には救出に向かっている。
またジェームズはスネイプがリリーに思いを寄せている事には気づいていたがその事を誰にも喋らなかった。実際にルーピンや魂の双子である親友のシリウスにすら喋っておらず、誰もセブルスがリリーを好きであることを知らなかった。

先述した作中で明かされた度を超したスネイプへの攻撃や、序盤で親友であるシリウス、ルーピン、またハグリッド等の過剰なまでの持ち上げもあり、最終巻で漢を見せたスネイプとは対照に、読者からは賛否が別れるキャラである。
また、ハリーと長年険悪だったダドリーと最終巻で和解し、ドラコ・マルフォイとも呪いの子で最終的に和解を果たしているのも対比となっているのもジェームズに不利な面があると言える。

その後、作者がチャリティで執筆した前日談で、ホグワーツ在籍時になんとシリウスと一緒に二人乗り+ノーヘルでバイク*6を走らせ、パトカーで追ってくる警官二名&死喰い人三名相手に派手なチェイスをやらかし、挙句の果てにパトカーを魔法で宙に持ち上げ死喰い人にぶつけるという方法で撃退し逃走したことが判明している。
一応言っておくとパトカーはちゃんと無人である。

前述したように当時は死喰い人の活動が活発で魔法使い界の世相はかなり暗かった。
そんな中でジェームズはシリウスと二人して強く明るく逞しくバカ全開で青春を謳歌していたのである(巻き込まれたマグルの警官にとっては悪辣な人災でしかないが)。

映画ではエイドリアン・ローリンズ(吹き替え:後藤敦)とロビー・ジャーヴィス(学生時代/吹き替えなし)が演じている。
エイドリアンは映画『賢者の石』が公開された時点で既に40を越えていてどうみても21歳には見えないが、それは父親としてのイメージを最優先した為であるらしい。




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最終更新:2025年06月12日 13:43

*1 「枝分かれ」という意味。枝分かれした角を持つ牡鹿に変身する「動物もどき」であることに由来。

*2 ポジションは原作ではチェイサー、映画ではシーカー

*3 これは両親が高齢になってから生まれたのが大きい。

*4 5巻・下のシリウス、リーマスのセリフから読み取れる。

*5 スネイプはリリーさえ無事なら良いと考えていたが、リリーがそれを喜ぶ訳がない

*6 本編でも度々登場したあのバイクである。当たり前だが運転していたのはシリウス。