バンクシーン

登録日:2011/12/27 Tue 11:28:13
更新日:2025/01/26 Sun 17:25:53
所要時間:約 3 分で読めます




バンクとは映像作品において、特定の映像を使い回すことで製作コストを抑える手法である。
実写の分野では「ライブフィルム(ライブ=ライブラリ(図書館)の略)」とも呼ばれる。主にアニメや特撮で使われ、一般ドラマではあまり使用されない。

バンクの名付け親は手塚治虫であるらしく、銀行が語源らしい。
日本では鉄腕アトムで本格的に導入され、このバンクシステムと、シーンの一部のみを動かすリミテッドアニメであることが日本初の毎週放送のテレビアニメとして製作出来た理由だとか。
テレビアニメの歴史とは切っても切れない関係である。

現在では変身・合体・必殺技等の毎回のお約束シーン用にあらかじめ作っておいた映像をバンクと呼ぶことが多い。
またコストダウンのために過去の映像から背景やちょっとしたシーンを使い回すのもバンクである(本来のバンクシステムはこちら)。

前者の意味のバンクは主に作画や特殊効果に手間のかかるロボアニメや変身物、特撮作品でよく見られる。
特にグッズの販促が関わる子供向け作品ではもっとも気合いを入れて作られるシーンであり、
作品を通しての作画監督やデザイナー、監督が直接関わることも多い。お約束の美学も相まって印象深い人も多いのでは?
変身・合体などのシーン自体を「バンク」と呼ぶのは正しくないが、使い回すことを前提としたような作りで、結果的に1回の使用に終わったものであればバンクと言っても間違いではない。
(夏服と冬服程度の違いとか…)
作品によってはストーリーの進行に応じてバンクが部分的にリニューアルされる、新規収録の場面をバンクへとシームレスに繋げるなど、制作陣が演出に工夫を凝らすのも見所である。

後者の意味で使われるバンクは場面全体で使い回されることもあるが、一部の素材を使い回すことも多い。
アニメなら通行人が一定間隔で同じ服の繰り返しだったり、雑魚のやられ方が同じだったりするのに気付く方も多いだろう。特撮でも車などの爆発シーン等でよく見られる。


必要以上にバンクを多用されると手抜き扱いされる傾向が強く、見る側も同じ動きの繰り返しに飽きるが、要所で入るバンクは効果的。
制作側としてもバンクを上手く使えれば作画コストを下げて作品を盛り上げる手段になるため、win-winである。


変身シーンではバンク映像に持っていくため、何かを羽織っていたらそれを直前で脱いだり、逆にバンク映像側を修正したりと工夫がなされることも。
女児向けアニメの変身の場合、光に包まれた裸体や、光でできた全身タイツないしボディスーツを纏ったような状態からバンクが始まるように構成して、どんな服装からでもバンクで変身できるようにするという演出が用いられることもある。
逆に、特定の動作や掛け声と同時に、いつもの服装から光のタイツ姿となって変身を開始するものもある。

たまにバンクミスで別の描写のバンクシーンを間違って使う例も*1


また、合体や変身のバンクはフラグとして使われるケースもある。バンクが始まるとき何か普段はない演出があった場合、失敗フラグが成立しやすい。

  • BGMがインスト、或いはイントロ部分が普段より長い
  • いつもとは別の、イマイチ盛り上がらないBGMが流れている
  • 普段敵キャラが映らない場面で敵が映る
  • 普段セリフがない場面でセリフが入る、普段とセリフが違う
  • 変身を試みる場面でそもそもバンクやBGMが使用されていない

など


なお、バンクで妨害やアクシデントがあっても成功するケースや、フラグなしに失敗するケースも当然ある。


《バンクを使いながら何かの失敗が発生した例》


黄金勇者ゴルドラン


合体中に攻撃されないお約束を破って敵ロボットが合体を妨害。
さらにその敵ロボットが合体メカを奪って合体してしまう。ロボット版NTR。
この他にも勇者シリーズではバンクに割り込まれて合体阻止を喰らうのがシリーズ1回はあるという、ある意味お約束の展開である。


空想科学世界ガリバーボーイ


ミスティの変身中に敵が攻撃。全裸の状態で変身が中断されてしまう。
元から作中でエロ変身扱いされていたので、それをギャグとしてさらに掘り下げた形となる。


デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!


アニメ本編では誰もやらなかった進化中に攻撃をくらった。
あと進化バンクが実は単なる演出ではなく、劇中の登場人物もパソコンで映像として見られることが判明した。


イナズマイレブン


相手が強いと、大体失敗する。
キーパーに至ってはイジゲン・ザ・ハンドなどやられるバンクまで存在する物も有る。


爆竜戦隊アバレンジャー


第1話で杉下竜之介が変身を試みるが、爺さんだったため体が耐えられずに変身が中断・解除されてしまう。
バンク部分の映像がこの場面のためだけに作られたマイナーチェンジである以外、特別なものはなかったが、変身する人が爺さんと言う時点でフラグ。
なお、厳密にはバンクシーンとは言えないものの「アバレッドが変身後の名乗り口上を述べている間にアバレキラーが攻撃を仕掛ける」という場面もあった。


デュエル・マスターズVSVSRデュエル・マスターズVSRF


主人公が劣勢時に一発逆転出来る切り札を引き出す、
いわゆる「今引き演出」のドロドロドローに失敗すると指が圧し折れ、尚且つ切り札を引けずにそのまま敗北する。
ちなみに、主人公がいつもと違う服装をしていると、このバンクシーンのために着替えるという定番ギャグがあるのだが、
ある回ではヒロインがそのための服を、
はい、バンク用だよ」というメタ発言と共に差し出す場面があった。
なお、この台詞はヒロインの中の人のアドリブだったりする。


チャージマン研!

別の意味での失敗例。
変身(作中では変装と呼ばれる)シーンにおいて、横に広げた腕を胸の前で交差させるのだが、この際に移動する腕が少しぶれていた。
ある時可哀想なお友達有志がコマ送りにした後に、コマの順序を入れ替えてみると、スムーズに動くことが判明。
どうやら、よりにもよって見せ場のバンクシーンにおいてコマの順序を誤り、しかも最終話に至るまで修正されずにいたようだ。
さすがオシャレなアニメ。


超獣戦隊ライブマン

こちらは合体シーンなどのバンクではなく、本来の意味でのバンクが失敗している例。
主役ロボの強化形態であるスーパーライブロボが初登場回で爆炎の中を突き進んだシーンはその後もバンクとして使用されていたのだが、この際右肩のパーツが途中で外れている。
爆炎などで画面が霞むため、初見の視聴者が見落としやすいのがせめてもの救い。
プロップとスーツの細かな違いなど制作者が誤差としている部分に対する揚げ足取りではなく、本当に意図せぬ状況が発生していたのに意図してかやむを得ざる事情かバンクとして繰り返し使われてしまった。



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最終更新:2025年01月26日 17:25

*1 例えばアニメロックマンエグゼシリーズでは普通のバトルチップ装填シーンがシンクロチップになっていたり、本編の端末の色とバンクシーンの全く色が違う、などの描写がよくあった。