尾藤リュウジ(鉄鍋のジャン)

登録日:2012/05/26 Sat 15:13:17
更新日:2025/09/19 Fri 23:10:57NEW!
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────もうかる話なら


鉄鍋のジャン!』の登場人物。

概要

【料理は速さ】という信念(と呼べるほどのものかどうかはわからないが)を持つ*1スキンヘッドの男で、大谷日堂秋山醤への刺客として差し向けた料理人
通称「XO醤のリュウ」と呼ばれ、スルメ・干し牡蠣・干しアワビの入った特製XO醤を用いて数々の料理人と金を賭けた勝負をして荒稼ぎしていた。*2

そもそもXO醬とは金華ハムや干しエビや干し貝柱という乾物、つまり干すことで旨味成分のアミノ酸を凝縮させた食品を複数使ってその味をさらに突き詰めた調味料である。
なのでこれだけを舐めて酒が飲めるほどに美味いのだが、それを活用してさらに味を高めた「料理」にするには技量が求められる。

そんな特製XO醤を使いこなせていたとは言い難く、ジャンが作った赤小玉ネギのXO醤を使った中華風シャリアピンステーキの前に敗北。
尊敬していた大谷に罵られて、そのまま物語から姿を消す。

このように序盤のチョイ役───というか一発屋のやられ役であり、あっさりと出番を終えた。
鳴り物入りで不敵に登場→あっけなく敗退という肩すかしなところから、名前の由来は四文字熟語の『竜頭蛇尾』かと思われる。




いいか 尾藤リュウジ 通称・XO醤のリュウはな

XO醤の産湯につかり母親の乳を含むより早くXO醤を口にして育ったんだ

オレの身体を構成している80%はXO醤でできていると言っても過言ではない

あらゆるXO醤を作り続けてきたオレの最新最強のXO醤が この錦上添花XO醤だ!!


だったが続編の鉄鍋のジャンRで彼はパワーアップして帰ってきた。顔は忘れられてたけどしょうがない。
ついでに【料理はXO醤】と信念も変わった。XO醤の産湯とか身体の80%はXO醤でできているとかグルマンくんかな? というか(XO醤が考案された)80年代後半生まれだとしたら初登場時は歳幾つだったの?

湯水スグルに雇われ、かつて自分と同じように敗れた蟇目、五行と共に五番町飯店に乗り込んでジャンに挑戦。

偶然、回鍋肉大会と化していていた五番町飯店にて、四川のポルチーニである牛肝菌と茶樹茸虎拳菌の乾物を使った錦上添花XO醤、そして豚の脳味噌の燻製を使った回鍋肉を披露。
茸の旨みと香りが凝縮された錦上添花XO醤の出来と料理の味はジャンが絶賛するほど。
……しかし、香りの強いXO醤と燻製にして香りの付いた豚のとは相性が悪く、香りがキツくなってしまった(ジャンとキリコ曰わく“香りがウルサい”)ことを指摘されてしまう。

続いてジャンと「1000円以内のフカヒレ料理」勝負で対決。青鮫の胸鰭とジャンから分けてもらった卵黄や金華火腿のスープを使った料理を作る。
1000円以内という値段設定をジャンから材料を貰う……もとい一人一レンゲにすることでクリアしたアイスクリーム仕立ての前菜だったが、アイス=甘いという先入観を持って食べた審査員から「しょっぱい」「マズイ」と評されてしまう。
しかし、甘いアイスクリームではなく前菜だということが分かれば評価は一転、弥一からも「実に斬新だ」と新しい発想の料理として高評価を受けた。
というか調理工程をその場で見てるんだから甘みの素になる糖分を入れてないことぐらいわかりそうなもんじゃね?

が、それでもジャン、蟇目、五行の三人には及ばなかった。 
結局ジャンに負け、その後はキリコの策によって安い給料で五番町飯店で働くことになった。
そのことを不満に思っている蟇目と五行とは違って、太鼓持ちなこともあってすっかり五番町飯店に馴染んでいるようである。

なお、自身のXO醤に関しては並々ならぬ誇りを持っており、そのことを馬鹿にした望月にキレてKOした。
が、如何せんXO醤に偏重し過ぎているのが問題である。結果、食材との組み合わせを考慮せず無策にすごいXO醤を放り込んで不協和音化してしまう、というのが負けパターン。
なので、彼は一流料理人ではなく、一流XO醤職人と思っておけば間違いはない。まっとうにやれば五番町飯店の従業員たちよりずっと腕は良さそうだが。


制作料理

  • XO醤(エックスオージャン)炒双鮮(シャオスワンシェン)
無印における制作料理。
イセエビとホタテをスルメ・干し牡蠣・干しアワビを入れた自家製XO醤で炒めたシンプルな料理。
味の要であるXO醤は好評を得たが、実際の所単に旨いXO醤で具をただ炒めただけと使いこなしているとは言い難く、ジャンから「そんな最高のソースを使っていながらこんなものしか作れないのか!?」「能ナシのハゲ」とボロカスに酷評された。
実際両者の料理を食べ終わった後だと「出来上がりは美味しかったが食べ比べると全てにわたって物足りない」と酷評されて情けなく敗北。
そのまま無印での出番を終えた。


  • 錦上添花(ヂヌシャンティエンホア)XO醤(エックスオージャン)(極上の香りがするXO醤)/江湖飘香回鍋肉(ヂャンフウビャオシャンホイグォロウ)(これが本当の世界一美味しい回鍋肉)
続編の『R』で制作した回鍋肉。
茹でた豚肉に瞬間燻製した豚の脳みそを合わせた一品。味付けには茶樹茸・四川産のボルチーニ茸・しし茸等の香り高い茸の乾物を複数混ぜたオリジナルXO醤「錦上添花XO醤」を用いている。
燻製脳みそのスモーキーな香りと濃厚でまったりとした味が豚肉に移って、マグロの大トロの炙り焼きのような味わいに変化。XO醤で香り高いキノコの風味もプラスした自信作。
ジャンも一応は評価しており「ベーコンとフォアグラを一緒に食っているような香りと濃厚さ」と評している。
……が、肝心の燻製脳みそと錦上添花XO醤の味と香り同士がぶつかり合ってお互いに喧嘩しているような状態に陥ってしまっており、皿の傍にユリのような香りの強い花を飾られるだけでバランスの悪さが際立ち、酷く不味く感じ食欲迄低下する致命的欠陥を抱えているのが弱点。
リュウジ以外からは満場一致で「両方とも使うのではなくどっちか片方だけにメインを絞って使えばよかった(要約)」とちょっとフォローはされていた。

なお追加でフォローするならば錦上添花XO醤の出来栄え自体は自ら「オレの進化した最新最強のXO醤」「最高傑作」と自画自賛しただけあって、ジャンが「スゲーの作りやがったな!」「キノコのXO醤とはよく考えたぜ」と素直に美味いと認めた完成度の極上品。
材料が海産物メインだった従来のXO醤から発想を大きく転換した点を高く評価していた。


  • 脆香魚翅冰淇淋(ツォェイシャンユイチイビンチィリン)(1レンゲ盛り フカヒレ入りアイスクリーム~XO醤の香り~)
「1皿1000円のフカヒレ料理」というお題で作った料理。
「1皿1000円」への回答として1皿1レンゲ盛りに仕上げてある。
当初は他の3人が使い終わって余った食材をちょろまかして食材費をケチろうと目論むという相当にせこい手段*3を取っていたため審査員から失望されていたが、その後1レンゲにまとめたことで一定の評価を得た。

金華ハムから取った塩スープに卵黄と生クリームを加えて塩アイスに仕上げてフカヒレをアイスの中にブレンド。
塩アイスの上をXO醤を混ぜたパン粉でコーティングしてからバーナーで炙って香ばしい焼き目を付けたアイスクリーム仕立ての冷製前菜。
そのためアイスは一切甘くない塩味。塩アイスの冷たい味わいとフカヒレの食感、コーティングされたパン粉の熱々で香ばしい味わい。2つの温度差が売りの前菜で、XO醤の生臭さもバーナーで焼く時に消し去られた考え抜かれた一品。

これまでの評価を覆す普通に賞賛される出来栄えの料理に仕上がったが、残る五行・蟇目・ジャンの皿と比べると格落ち扱いの皿となった。
だがジャンの作った「1レンゲしかない1人前で食べた人を満足させる」料理が正解だったことを考えると、リュウジの料理は「前菜なので1レンゲで満足できなくても問題ない(むしろ満足させてはいけない)」と解釈することもできるため、他2人の料理に必ずしも劣っているわけではない。
少なくとも「同じ料理をおかわりさせる事を前提にしている」他2人の料理*4*5と比較すると「プラスでメイン料理を頼む事が前提」なリュウジの料理の方がまだお題の真意には近いと考える人もいるだろう。



追記・修正はXO醤を使ってからお願いします。

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最終更新:2025年09月19日 23:10

*1 作中では「速さは美味さ! それが中華の鉄則ですっ」と発言しているぐらい。ポリシーとして掲げているかと言われると微妙。

*2 このやり方は大谷から教わったもの。

*3 本人もそれでタダにならないことは重々承知で、あくまで「敵情視察」が狙いだとモノローグで語っていた。

*4 お題を出した経同盟メンバーたちの鼻を明かすためという狙いもあったが。

*5 ちなみにこの経同盟メンバーは皆一様に「あわよくばスグルを利用して一儲けしてやる。できるなら利益を独占してやる」と考えており、(この漫画ではまあまあありがちな)腹黒くていけ好かない連中である。