ハイドロゾアロード(超越生命体)

登録日:2011/07/30 Sat 15:35:59
更新日:2024/08/16 Fri 23:26:02
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「人が人を殺してはならない」……。



【ハイドロゾアロード(Hidrozoa Lord)】

ハイドロゾアロードは『仮面ライダーアギト』の登場怪人の一体。
劇中でも特に問題発言問題描写の登場した、いわば超問題作とも呼ぶべきエピソードに登場した敵役兼被害者である。

G3ユニットに解散危機が持ち上がる第18・19話に1種1体が登場した。



【各個体の解説】

ヒドロゾア・イグニオ

種族:超越生命体(使徒)
個体名:Hydrozoa Ignio(炎の海月*1)
通称:ハイドロゾアロード
身長:202cm
体重:143kg
特色 / 力:落雷による自然発火能力
CV:佐藤正治

※気配が読み難く、ふらふらと神出鬼没の動きを見せる。

クラゲに似た超越生命体
頭部の上半分を覆う半透明の傘とその下に透けた不気味な顔、傘から伸びた髪の毛のような無数の触手が特徴。
首から下には金属製の首巻きや肩当てのような衣服を着ているが、よくよく見ると右半身は継ぎ接ぎだらけの革の寄せ集め、左半身は人体模型のような剥き出しの筋繊維でそれぞれ構成された極めておぞましい肉体を有する。
ふらふらと掴みどころのない、まるで幽霊のような動きをしており、任意の場所に稲妻を喚んで標的を撃ち、対象を焼き尽くす「不可能殺人」を行った。
劇中で「人体自然発火現象」との台詞が登場し、『仮面ライダー図鑑』でも上記のように記載されているが、あくまでも外部からの物理作用による作用なのでこの表現は誤りである。
……しかし、稲妻を喚ぶという現象はもちろん、稲妻による火傷はともかく、炎が発生する事や、それが人体を焼き尽くす可能性は「有り得ない」為、それら全ての要素がイグニオ(炎)の由来たる超能力の可能性はある。

機械制御されたパワードスーツである仮面ライダーG3にとっては天敵とも呼ぶべき存在であり、不気味な動きで翻弄した末に稲妻による一撃で戦闘不能に追い込んでいる。
特殊能力や予測不能の動きは脅威だが反面防御力は低く、G3の攻撃に大ダメージを受けており、更に仮面ライダーアギトが加勢に来た事で逃走……。

なお、この戦いの際に主である「謎の青年(闇の力)」の言葉に併せて喋る演出があり、人間の言葉を初めてアンノウンが喋った、としてドラマの演出上はもちろん、ファンの間でも話題になった。

……最終的にはストームフォーム形態のアギトとの砂浜での一騎打ちに敗れて倒された(稲妻に耐えたアギトのハルバートスピンによる斬撃)。

ハイパーバトルビデオにて再登場し、瞬間移動を駆使して仮面ライダーギルスを苦戦させたが、最期はギルスヘルスタッブで腹をぶち抜かれ爆死した。

他、本編との直接の関係は無いが、「やはり『アギト』は『仮面ライダークウガ』と同一の世界観なのではないか?」との視点で描かれた『HERO SAGA』の一編『PROJECT G1』では、
「雷」繋がりからの着想か「第4号」に極めて酷似し、なおかつ「雷」による自己進化能力をも備えた「G1システム」を同系種のヒドロゾア・テグラ(Hydrozoa Tegula)(覆う海月)が奪い、大暴れするエピソードが描かれており、最終的にはG-4X(!)、G-3マイルドと協力したアギトに撃破されている。
詳しくはGENERATION1にて。

【事件の経緯】

第18・19話

小沢澄子らG3ユニットに寝耳に水の事態が起こった……。
アンノウン関連事件の多発と、それに対するより効果的なG3ユニットの運用を目指し監視役を派遣……組織体制の見直しを図ると云う命令が下ったのだ。
しかも、警察庁からお目付役として派遣されて来たのは自身の名誉の為に事あるごとにG3ユニットを利用、あるいは敵対してきた北條透の尊敬する司龍二であり「アギト捕獲作戦」の失敗があるにもかかわらず、件の北條透までもが再びG3ユニットに編入されると云うのだ。
嫌悪感を示す小沢を尻目に、司はG3ユニットの功績を認め、激励の言葉を氷川誠らメンバーにかけるのだが……。


一方、新たなるアンノウン・ヒドロゾア・イグニオが出現。
再び血縁者が狙われる可能性に注目した氷川は被害者の所持していた紙袋から「花村ベーカリー」に聞き込みに向かうが、偶然にもそこは美杉家を出た津上翔一のバイト先であった。
そして、司の顔を見て何故か表情を曇らせる店長の花村……。
何を思ったのか花村は翔一に自らのレシピを託し、「ピクルスサンドだけは作り続けて欲しい」と語るのだった。

その様子を見て訝しむ翔一だが、次の日の朝、花村は焼死体で発見されるのだった。
もし「アンノウン」による犯罪ならば、何故血縁関係の無い花村を狙ったのか……と疑念を抱く氷川らを司は打って変わった態度で責め立てるのだった。


突如アンノウンが項目冒頭の言葉を発した事実に驚く氷川らを尻目に司はG3ユニットを解散。自分と北條が後を引き継ぐ計画を上層部に進言する。

果たして、絶対の窮地に陥った小沢らG3ユニットの運命は……。



※以下、ネタバレ














全ては司龍二の狂言であった。
妹を殺したと思われる花村をアンノウンの仕業に見せかけて殺害。
罪から逃れる為にG3ユニットの活動が間違っていたとでっち上げる事で、全てを隠蔽しようとしたのである。



【関連人物】

今回の主役。
司の信念をドヤ顔で語る場面での「あらゆる偏見を排除し事実を事実としてのみ認める……」の場面には「お前が言うな」の声多数。
でも、今回はマジで漢。

  • 司龍二
演:寺杣昌紀(現・てらそままさき)
警察庁から派遣されて来たエリート刑事で、数年前に最愛の妹・さおり(演:堤あきこ)を失っており、その犯人として婚約を解消された相手である花村の行方を探していた。
そして遂に……。
なお、北條にも見られた自分の非を他人に転嫁し責任から逃れようとする行動は、司譲りだったらしい。

演じたてらそま氏は『仮面ライダーBLACK』にてシャドームーンの声を演じており、平成ライダーでは6年後の『仮面ライダー電王』にてキンタロスの声を演じることになる。

「花村ベーカリー」でバイトを始めた……今回はおとぼけ担当。

  • 花村久志
演:宮吉康夫
翔一の働く「花村ベーカリー」の店長。
かつての婚約者であるさおりに振られた後に殺害したとの疑惑を持たれていた。
実は劇中では真実が明かされていない為に未だに謎のまま。
が、『超全集』上巻でがっつり「犯人」と表記された

  • 石倉
演:浜田大介
「花村ベーカリー」の常連客でイグニオの本当の被害者の一人。
彼や埠頭の作業員が稲妻で燃やされるシーンはトラウマものである。

人が良すぎる為に計略に見事に嵌められる事に。
北條さんに感謝。

  • 謎の青年
「人が人を殺してはならない」……の台詞は印象的だが、こちらに関しても「お前が言うな」との声があった。

  • 警視庁幹部
G3ユニットの功績や仕事内容の検証もせず、司の口車に乗せられるままにG3ユニットを解散しかけた。
アンノウン事件への対策を口にしながら、唯一自分達の戦力として頼れるG3ユニットを何だと思っていたのだろうか。



【余談】

デザインは出渕裕が担当。
出渕氏が最も頭を悩ませたアンノウンの1体だったらしく、クラゲの要素は頭に集中させてハカイダーをイメージしてクラゲを丸々一匹被せ、中が透けて怖い顔が見えるように仕上げている。
身体の半分は皮をはぎ取って筋肉を剝き出しに、もう半分は複数の人間の皮を継ぎ接ぎにしたイメージでまとめている。
クラゲの半透明なイメージを表現する為に、左胸は肋骨が透けて見えるようにしている。
衣装・装飾は鎧的なカッコよさよりもビザール系の服を着せてSMチックに仕上げている。
全体的なモチーフはフランケンシュタインの怪物ではなく、『仮面ライダーストロンガー』のマシーン大元帥とのこと。*2

ラストで北條が司の罪を看破するシーンは全編通じての北條の見せ場。しかし、 事実上『アギト』の警察組織が検死を行っていない事になってしまうのだが。


【今回の教訓】

“怪人に罪を着せてはいけない……(闇の力からのお願い)”




「Wiki籠りが項目を荒らしてはならない」……。


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最終更新:2024年08月16日 23:26

*1 「Hydrozoa」は普通のクラゲのことではなく、クラゲに近縁な「ヒドロ虫(ちゅう)」を指す。「電気クラゲ」として有名なカツオノエボシもヒドロ虫の仲間。

*2 ホビージャパン『平成仮面ライダー怪人デザイン大鑑 完全超悪』P138より