登録日:2011/04/19(火) 20:52:02
更新日:2025/07/24 Thu 10:08:15
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概要
マガジン(弾倉)は
英語で「magazine」。現在では一般的には「
雑誌・定期刊行物」を意味する事が多いが、原義はアラビア語で「倉庫(mahazin)」。
雑誌の意味は上記から「知識を蓄える場所」として派生したものとなる。
マガジンとは?
銃砲の
弾薬を予め装填しておき、発射の際に次弾を給弾する為の部品のなかで部品側にも機構があるものの総称。
機構というとバネやゼンマイ、弾切れを知らせる突起などが当たる。
リボルバー
拳銃のシリンダーや自動拳銃のグリップ中のアレ、ザクマシンガンについている丸くてデカいアレ等々が有名だろうか。
大体の大きさのイメージは以下。
- 9x19mm自動拳銃:シーリングライトなど向けの小さめのリモコン
- 5.56x45mmアサルトライフル:スマートフォンを2枚重ねた程度
- 7.62x51mmマークスマンライフル、スナイパーライフル:お札を畳まずに収納できる財布
アメリカ人のジェームス・パリス・リーの発明とされており、
イギリスでリー・エンフィールド銃が最初期のマガジン式の銃として有名。
もっとも当時は「分解清掃の際に邪魔にならないように」という配慮からで弾切れ時に交換するという考えはなかったらしく、戦間期にはチェーンで銃本体と繋がっていた。
戦後最も一般的なものはダブルカラムの銃下部脱着式ボックスマガジン。
弾薬はバネなどでテンションがかかっていて、マガジンリップで内部の弾薬の後端を抑えている。
マガジンリップの変形は
ジャムの原因となるので、撃ち切ったからといって安易に投げ置かず大事に扱う必要がある。
このテンションがなく、銃側に主な仕組みがあるものとして弾帯(ベルト)や保弾板がある。
素材
変形に強く長期保存に優れた金属製か樹脂製。
アルミ、鉄をプレスしたものがメインだったが、近年では外をベークライトで成形したりポリマー製のものが流行している。
AUG専用品やマグプル社のPMAG、最新型のAK-12用ボックスマガジン等は全体/一部が半透明となっており、残弾数が確認しやすい。
他には拳銃用などで穴をあけて残弾が見えるようにしている例があるが、異物混入のリスクがあるので一長一短。
中のばねは大抵金属製で、軍用のものは長年酷使し続けてもヘタりにくい。
弾を押し上げるマガジンフォロアーには突起や目立つ色がついており、マガジンが空になったことを銃(のボルトキャッチ)や射手に伝える役割も持っている。
バリエーション
ボックスマガジン
箱形のケースの中に弾薬が一列(単列式、シングルカラム)又は互い違い(複列式・ダブルカラム)等に並べられ、バネや重力、フレーム応力により順次送り込む形式。
構造が単純で安価で信頼性が高く、大量に持ってもかさばりにくい。しかし装弾数を増やすと銃本体から大きく飛び出してしまい容量に限界がある。
テーパーのかかったライフル弾では効率的、大量に収めようとすると湾曲した形になり、その形状から「バナナマガジン」と呼ばれることもある。
グリップの中に収めるマガジンで初の複列式は
FN ハイパワー。それまでは単列式が主流だった(MP40などそれ以前にも存在)。
トリガーの前後、直下など複数パターンがあるが、基本すぐ上にボルトの先端と排莢口が並ぶ。
伏せ撃ちで邪魔にならないように採用。フォアグリップ代わりに使用された。普通の銃のように下部に回転させることもできるがあくまで運搬用で、その状態では発砲できない。
- ガトリングガン(上部重力式)/ブレン軽機関銃(上部バネ式)
初期の銃ではばねの安定した量産が難しかった為重力を利用している。
その後は射手と別の装填手が交換しやすいように/重力による補助を受けるために上部に配置されることがある。
上部に寝かせて配置。当然送り込まれるまで弾丸は銃身と違う向きを向いているのでそれを偏向する機能がマガジンリップや銃本体に搭載されている。
出荷状態で多弾数を実現しているものの、装弾抜弾が難しく機構も複雑になる。
また、マガジン脱着位置がトリガーより後端に成っているライフルは『
ブルパップ方式』にカテゴライズされる。
これは銃の全長を切り詰めてコンパクトに設計出来て取り回しに優れる反面、人体のすぐ手前にマガジンがあるせいで交換が地味に面倒になるのと、機関部がより顔に近づくので射手が難聴気味になったり廃薬莢がクリーンヒットしかねないなどの問題もある。詳細は該当項目にて。
ドラムマガジン
ゼンマイ動力で送り出す円筒状のマガジン。
大量の弾丸をスムーズに送るのには最適だが、構造が複雑で故障しやすくコストが高い傾向がある。
そして一番に箱形と比べ大きく嵩張る。この為採用しているのは少数。
銃帯を丸めて収納しただけの物(MG34等)もあり見た目はドラムマガジンだが、それらは狭義には単なる弾薬箱に分類される。
アサルトライフルを改良した軽機関銃では、ボックスマガジン用のマガジン挿入口の設計をそのまま用いるために採用されることがある。
フィンランドのスオミ短機関銃に触発されて71連発のドラムマガジンを採用したものの、後々簡略化のためにボックスマガジンへ転向した。
フルオートショットガンであり、大量のショットシェルを発射するためにオプションとして採用。
アメリカのギャングの銃として有名。軍の短機関銃として採用されるにあたりボックスマガジンのみ使用するようオミットされた。
珍しく使い捨てを前提としており、軽量化されているのが特徴。
M16系統向け等多数の自動小銃向けにバリエーションを展開しているドラムマガジン。50~100連発が可能で民間市場ではそこそこ人気がある模様。
パンマガジン
「パン」は フライパン など円盤型、皿型、平たい鍋の意味。
ゼンマイ動力や銃から歯車で動力伝達されるものが主流で、ドラムマガジンとは違いこちらでは弾は弾頭を中心に向けてぐるりと配置されている。
主に機関部上部に水平に設置するが、まれに側面に垂直に設置するものもある。
こちらはダブルカラム化しにくい、弾にテーパーがかかっていないといけない等制限が強く、戦後はほとんど使用されていない。
ヘリカルマガジン(スパイラルマガジン)
比較的新種。細長い円筒状か多角柱で内部の螺旋状の溝に弾丸を収納し、銃の前方下部や後方上部に銃身と平行に取り付けて使用する。
大容量の弾薬をコンパクトに収める事が可能だが、構造が複雑な点に加えて前後に細長い形状のせいで残弾が減少するにつれ銃全体の重心バランスが崩れてしまう。
ボックスマガジン方式のビチャズがあとから発表された。
固定式
脱着式よりはだいぶマイナー気味。
ボルトアクション向け。実質的な1列ドラムマガジンで、5発程度の少ない弾を確実に給弾する事を念頭に置いている。
連発可能なショットガン
M1897や初期のレバー/ボルトアクションライフルなどで採用。
縦に並ぶため弾頭が前の弾の雷管を叩かないように先端が丸い/弾頭が引っ込んだ弾を用いる必要がある。
薬室を兼ねた丈夫な構造で、外的な力で回転し次弾を発射する形式。
弾数に制限がかかるものの、不発の場合でも即時に次弾発射に移ることができる。
余談
銃が違うとマガジンも勿論違うものとなるが、共用できる場合もいくつか存在。
- 89式とM16やその他5.56x45弾使用のアサルトライフル
NATO各国による提携を意識したSTANAGに準じているが、正式な規格ではないため一方的な互換となることがある。
G36のようにオプションパーツとして後から互換性を得た銃もある。
ベレッタやS&W等では同社の拳銃複数種類及びピストルキャリバーカービン(PCC)の間でマガジンの互換性を持たせていることがある。
マガジンの固定部が異なるので共用とは言えないが、M9のマガジンをグロック17に挿して手動で固定すると連射できてしまうという裏技がある。
比較的新規に参入した企業のPCCでは、信頼性の高く流通量の多いグロックピストルの各種マガジンと互換性を持たせることがデファクトスタンダードになっている。
特にFGC-9は3Dプリンターと市販のパーツで制作できてしまう短機関銃で、ミャンマー反政府軍の使用からかなり有名になった「危険な」3Dプリンター銃。
上記の通り既存の高品質なマガジンを流用する場合もあるように、マガジンはかなりの信頼性が要求される。
酷使されヘタってしまった場合、30発のマガジンでも装弾する数を1~2発減らして運用することがある。
L85の英国製初期マガジンはM16系列のものと微妙に仕様が異なり、歪みやすさなどから来る動作不良を指摘された。現在ではH&K社のスチールマガジンやPMAGを使用するようになっている。
マグプル社やランサー社のポリマー製マガジンはその点で信頼を勝ち取っている側面があるといえる。
10~20発を込めたマガジンへさらに弾を込めるのはバネが強すぎて補助器具なしには難しい。
もし観光地の射撃場などで装弾する機会があった際には、インストラクターさんの指示に従いつつ少し装弾数を減らすのもよいだろう(動作不良や銃への負担も下がる)。
海外でのお土産としては、曲がりなりにも実銃の部品なので飛行機の預け荷物としてもグレー。
どうしてもというときは装弾補助具やホルスター、マグポーチなど武器としての効能がない周辺機器にとどめよう。どうしても欲しい場合、通販等で正規輸入店から購入しよう(オークションで同じ実物マガジンを正規店以外から大量に以上購入するのはやめよう!…おっと誰か来たようd)
追記・修正よろしくお願いします。
- 架空の銃でマガジン装填が印象的なのというとブルースワットのディクテイターかな -- 名無しさん (2019-03-12 23:57:49)
- Kar98kはロータリー式じゃなくて普通の固定式ボックスマガジンでは?(ロータリーマガジンはジョンソンM1941とかで使われてるやつ) -- 名無しさん (2025-03-09 09:39:37)
- メタルギア ソリッド5では任務内容とプレイヤー次第では銃本体を差し置いてメインウェポンとなりえるマガジン君w -- 名無しさん (2025-06-24 10:40:06)
- 要素の順番を整理しました。 -- 名無しさん (2025-06-27 00:02:18)
- こちら情報量などの面から銃器部品に統合しようと思います。7/30めどとしていますので何かあればコメントをお願いいたします。 -- 名無しさん (2025-07-24 10:08:15)
最終更新:2025年07月24日 10:08