IMI タボールAR-21

登録日:2012/03/07(水) 11:14:37
更新日:2025/08/26 Tue 20:50:15
所要時間:約 4 分で読めます




性能

全長:725mm
重量:2800g
口径:5.56mmNATO弾
装弾数:20/30+1
発射速度:700~1000RPM
動作方式:ロングストロークガスピストン ターンロックボルト



概要

イスラエルのIMI社が1999年に公開したブルパップ突撃銃。現在はIWI社が製造。
AR-21はAssault Rifle, for 21st century(21世紀の突撃銃)の略で、「タボール」は、イスラエル北部にあるタボール*1山(新約聖書にてイエスキリストが聖天した地とされる)が由来。TAR-21とも呼ばれる。



歴史

当時配備していたM16A1/CAR-15やガリルシリーズの更新による自軍の近代化と外貨獲得を目的に、1994年からAAR90として5世代にわたり試作、研究がすすめられた。
要求としては以下の通り。
  • 車両内や市街戦に対応して全長を短くする
  • 野戦時でも平坦な中東の戦場に対応するため射程は十分に確保する
1997年には基礎が完成したとされ、2001年から実地試験を兼ねた配備が開始された。
1998年のトライアルでは工作精度や技術ノウハウが安定していなかったため作動不良続出でいったん落選。
改良を加え、改めて制式の座に就いたのは2003年である*2*3



特徴

5.56mmNATO弾対応の銃としては最後発に近いこともあるが、常に戦争の火種を抱えているイスラエルらしく堅実な作りとなっており特異な構造は少ない。だが、それがいい。

形状

要求を満たすためブルパップ式を採用。銃身長は18インチが確保されているが、15インチの短銃身のほうが好まれる。
ポリマーフレームで金属部もアルミ合金を使用。非常に軽く腐食にも強い。
軽量化目的で溝が多く彫ってあり、握りやすくもなっている。ストックは段差や溝が多い独特なデザインで、視覚的に小さく見せることで軽く感じさせる。
ハンドガードは銃身と触れておらず、射撃後の過熱防止に役立っている。
動作機構周りはAR-18を参考にしているとされるが、ロッキングラグが4つかつ大小がある独特なデザインで確実な動作と凹凸減少によるクリーニングのしやすさを目指している。
マガジンは標準でM16互換のSTANAGマガジンに対応し、アダプターによりガリルのマガジンも使用可能となっている。自動ホールドオープンにも対応。

操作性

左前方にあるコッキングハンドルはノンレシプロで射撃時に動かない。なお穴は冷却用の通気口も兼ねている。
セレクターはアンビでM16に近い位置、操作性となっている。
マガジンキャッチが側面ボタン式などではなく前方トリガーになっている。後方にはボルトリリースボタンがあり、弾倉交換時にアクセスしやすい工夫がなされている。
MARSドットサイトが標準装備だが、折り畳み式のバックアップアイアンサイトも装備されている。
アップデートで4面レール*4に対応したのでカスタマイズ性も確保されている。

整備性

機関部が収納されているストックは肩当て部を開けると銃身が取り出せ、掃除が楽に行える親切設計。
機関部もトリガーグループで一体化されており交換が容易。
排莢口は分解して左右切り替え可能。塞いだ側の排莢口からガスが漏れる事象があったが後々シールされて対処された。



バリエーション

  • TAR-21
18インチ銃身の通常モデル。

  • CTAR-21
15インチ銃身のコンパクト仕様。イスラエルでの一般的なモデル。

  • STAR-21
狙撃用の二脚、スコープ用トップレールを装備した簡易なシャープシューター仕様。CTR-21に同等のオプションを装備させたものも存在する。

  • GTAR-21
M203アンダーバレルグレネードランチャーを装備したTAR-21。ブルガリアのアルクス社製のものを使用する場合も多い。
現在ではIWI社製のGL40を使用する。

  • MTAR-21
330mm銃身でより小型のマイクロ仕様。パーツ交換でUZIのマガジンを使用する短機関銃としても運用可。後にX95として独立した。
第三世代より前はハンドガードがなかったりグリップ形状が独特だったりした。
ハンドガードが一体型サプレッサー向きの広い開口部の者となったほか、コッキングハンドルが左中央まで後退しており、マグキャッチがボタン式。

  • タボール2(タボールOICW)
MPRS照準器を搭載したモデル。

  • X95
2009年の大規模な方針転換およびカタログリニューアル計画として改称されたMTAR-21。
ハンドガードがレール一体型の別物となっている。
民間ではこちらのロングバレル仕様が主流。

  • タボール7
2017年発表の7.62x51mm弾に対応したモデル。SR-25の弾倉を使用する。

  • ジッタラ
インド独自のPDW弾といえる5.56x30mm弾を使用するモデル。



配備状況

イスラエルのほかコロンビア、トルコなど13ヶ国で採用。ブラジル、ウクライナではライセンス生産されている。
民間用として各国で販売されており、AUGP90FA-MASに続いて商業的に成功しているブルパップである。



フィクション

  • とある魔術の禁書目録…猟犬部隊が19,20話で使用。
  • CODMW2…TAR-21として登場。何故かロシア軍が使用してくる。
  • BF3…MTAR-21が工兵のアンロック武器として登場。
  • マブラヴ オルタネイティヴ…国連軍の装備品。
    更に言うと、アメリカ軍が使用している戦術機用の突撃砲(ライフル)であるAMWS-21もTAR-21をモデルにした物となっている。
  • バイオハザードⅡ アポカリプス…U.B.C.S.隊員たちが使用。ちなみにメインキャラの一人、カルロスの銃はタボールの前任銃のガリルである。
  • ブルーアーカイブ…トリニティ総合学園、シスターフッド所属の歌住サクラコが使用。武器名は「浄化の織り手」。徹底的かつ敬虔に手入れされているため、他者は触れることすら難しい一品。
    なおシスターフッドに所属するモブ生徒は前任のガリルを携行している。

トイガンでは、香港のARESからモデルアップしてます。ややリアヘビーだが、全体的に構えやすい一挺です。



余談

南アフリカのデネル社はガリルのライセンス生産をしており、その後ガリルをポリマーフレームで覆う形でベクターCR21を製造販売している。
外見こそタボールのようなブルパップ式だが発表が1997年と関連性は薄い。



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最終更新:2025年08月26日 20:50

*1 ヘブライ語で変貌の意味

*2 海外初進出であるインドでの実地運用から意見・要求を得て改良を加えたとされる

*3 いったん落ちてからの採用はUZIなども同様であるので、ある意味IWIの特性といえる。

*4 上面はオプション次第でフラットトップ化