基本セット(MtG)

登録日:2012/07/04(水) 11:53:17
更新日:2024/12/04 Wed 14:37:08
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基本セット/Basic Sets, Core Setsは、Magic the Gatheringにおける基本的なカードのセット。

【概要】

ストーリーを展開する拡張セット(エキスパンション/Expansion)とは別に、MtGの基本的なカードを収録した入門向けセット。
能力語に注釈がついていたり、複雑過ぎるカードは収録されなかったりと初心者にもわかりやすい構成となっている。

第○版となっている第4版~第10版は2年に1回の発売だったが、2009年の基本セット2010より1年に1回に変更になった。
年3回発売の拡張セットよりも長いスパンで発売される。

アンリミテッド〜第10版までは再録カードのみで構成されており、Foilなどの例外を除き白枠。
前述の通り基本的なカードが収録されているが、カードパワーを一定に保つ方針でかつ全て再録カードであるため、従来のプレイヤーからの不満の声もあった。

基本セット2010以降はセットの半数が新規カードとなるように方針が改められ、タイタンサイクルや悪斬の天使などの環境で活躍するカードも収録されるようになった。
また原点回帰としてファンタジー的な世界観を基軸とし、プレインズウォーカーなどのストーリーに関わるカードも積極的に採用されている。

【基本セット一覧】

■アルファ(Alpha/LA/LEA) 1993年8月発売 / ベータ(Beta/LB/LEB) 1993年10月発売

AlphaはMTG初のセット。あまりの爆発的人気に一気に売り切れてしまい、その後Betaが発売された。
基本的に内容は一緒だが、BetaではAlphaでの誤字や収録漏れカードを追加している。
また、Alphaのカードはカードの四隅が丸くなっている(後の第四版とアイスエイジにも似た仕様のものがある)という特徴があり、仮に混ぜて遊ぶなら不正防止のために裏面が不透明のスリーブに入れなければならない。まあ貴重なAlphaのカードを使って遊ぶプレイヤーなんてほとんどいないと思うが…
二つ併せてLimited Edition(リミテッド・限定版)とも呼ばれ、まだバランス調整段階で強いほうにも弱いほうにもぶっ壊れカードが多い。
また、未開封パックやレアカードの美品については非常に高額で取引される。基本土地や有用なコモン・アンコモンについても高額レアに匹敵する値段が付く…というか、下手なレアよりも余裕で高い。

■アンリミテッド・エディション(Unlimited Edition/UN/2E/2ED) 1993年11月発売

上記リミテッド・エディションの表記を一部変更して再版したセット。
収録カードは同じだが、今回から白枠が採用されている。こちらも高額だが、第1版のカード程ではない。

■リバイズド・エディション(Revised/Edition/RV/3E/3ED) 1994年4月発売

初めて収録内容の変更とルーリングの修正が行われ、また英語以外の別言語での販売も始まる。
イタリア語版はやたら長いこと販売されたため、日本ではテンペスト期辺りまでデュアルランドを手に入れる手段として重宝されたとか。
このセットの《セレンディブのイフリート/Serendib Efreet》はカードイラストも色も間違っているというエラーカードで有名だったりする。
かの有名なサマーマジックと言われるエラーセットは元はこのセットの修正版であった。

■第4版(4E/4ED) 1995年4月発売

初の日本語版での発売。黒枠版と白枠版の2種が存在するが、黒枠版のほうが多い。これ以降の基本セットに収録されたカードは再録禁止指定を回避している。
リバイズドからさらに収録内容が変更され、デュアルランドがここで基本セット落ち。ここまで残っていれば今ほど高くならなかったのに
しかし《精神錯乱/Mind Twist》《天秤/Balance》《露天鉱床/Strip Mine》等々ぶっ壊れカードはまだまだ何枚も収録されていた。

■第5版(5E/5ED) 1997年4月発売

この辺で全体のカードパワーを抑え始めた。
また、このセットから暫く基本セットが2年に1回のペースで発売されるようになる。

■第6版(クラシック/Classic/6E/6ED) 1999年4月発売

スタックルールなどの導入による大幅なルーリングの改訂が行われた。
また、これ以降初心者にとっては分かりにくい複雑なカードは採用されない方針となった。

■第7版(7E/7ED) 2001年4月発売

全てのイラストが新たに描かれ、また初めてプレミアム・カード(Foil)が導入された。
第5版・第6版に比べてさらにカードパワーが抑えられ、《ハルマゲドン/Armageddon》もここで基本セット落ちした。

■第8版(8E/8ED) 2003年7月発売

コア・セット(基本セット)と呼称を改められ、現行のカード枠に切り替えられる。これ以降の基本セットがモダンで使用できる。
マジック誕生10周年記念とし、アングルードを除く第8版発売以前のすべてのセットからセレクトされたカードが再録されている。
一方で、ここで《対抗呪文/Counterspell》が基本セット落ちした。

■第9版(9E/9ED) 2005年7月発売

一時期収録しない方針となっていたトランプルやプロテクションが復活。
また友好色でなく対抗色のペインランドが収録された。

■第10版(10E) 2007年7月発売

マジック誕生15周年記念とし、すべて黒枠で発売された。これ以降の基本セットはすべて黒枠に統一されている。
また、基本セットで初めて伝説のクリーチャーが再録された。

■基本セット2010(M10) 2009年7月発売

これまでの「第X版」というのを年号で表記するように改められ、毎年7月のペースで販売されることになった。
基本セットとしてはアルファ以来となる完全新規カードが登場し、プレインズウォーカーや神話レアが収録された。再録カードでも第4版以来の《稲妻/Lightning Bolt》、第5版以来の《白騎士/White Knight》といった過去に基本セット落ちしたものも含むパワーカードが何枚も収録された。

■基本セット2011(M11) 2010年7月発売

M10で多かった既存カードの同型再販ではない、完全新規カードの収録を進めている。それまで基本セットでは少なかった強力なサイクルとしてタイタンサイクルや力線サイクルが登場した。
ゲスト能力を収録する方針となり、今回は「占術/Scry」が使われている。

■基本セット2012(M12) 2011年7月発売

いわゆる一方通行が「呪禁(じゅごん)/Hexproof」としてキーワード化されたほか、「戦場から墓地に置かれたとき」を「死亡したとき」と表記するようになった。
ゲスト能力は「狂喜/Bloodthirst」。

■基本セット2013(M13) 2012年7月発売

基本セットとしては初となる多色カードが収録され、テーマはニコル・ボーラス様。
10版以来となる伝説のクリーチャーの収録のほか、上昇し過ぎたカードパワー抑制のため久々に大幅な弱体化が図られている。さらばタイタン。
またこのセットでアルファから唯一収録されていた大蜘蛛が落ちたため、いわゆる皆勤賞カードが遂に全滅した。
記録的な円高によりパック価格の値下げが行われ、エントリーセットにブースターパックが2パック付属するなど、お財布にとても優しいセット。
ゲスト能力は「賛美/Exalted」。

■基本セット2014(M14) 2013年7月発売

今回はチャンドラがフィーチャーされ、関連カードがいくらか収録された他、同時期発売のデュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2014でも主要キャラクターとして活躍する。
ルールにも幾らかの変更点があり、破壊されない→破壊不能というキーワード能力化、レジェンド・ルール、プレインズウォーカーの唯一性ルールの対消滅廃止などが挙げられる。
M10〜M13まで収録されたM10ランドはラヴニカへの回帰ブロックのショックランドとの相性の良さを考慮され、収録されず、このセットには2色地形が収録されなかった。
ゲストメカニズムは「スリヴァー/Sliver」。時のらせんブロック以来の登場となり、能力の影響範囲が自軍だけになるなど現代向けに調整されている。

■基本セット2015(M15) 2014年7月発売

今回はヴェールの呪いに蝕まれたガラクがフィーチャーされる。M13以来の多色カード(加えて新録)である「頂点捕食者、ガラク/Garruk, Apex Predator」として登場。同時期発売のデュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2015では彼を巡るストーリーが展開される。
第8版以来となるカード枠デザインの変更が行われたが、ホログラムの追加による偽造防止などが主体であり、大きな変更とはなっていない。
ゲストメカニズムは「召集/Convoke」。また、M14からスリヴァーも引き続き収録された他、M13以来の伝説のカードの収録や外部デザイナーカードの収録、新たな姿となって帰ってきたニッサ、対抗色ペインランドの収録など意欲的なカードセットとなっている。

■マジック・オリジン(ORI) 2015年7月発売

今回は5人のプレインズウォーカーの誕生がフィーチャーされる。
この版を最後に基本セットを廃止するという計画だったため、半ば独立エキスパンションのような形になっている。
常盤木能力の入れ替わりが行われ、果敢、占術、威迫(2体未満のクリーチャーにブロックされない)が常盤木入りするとともに、黎明期から常盤木だった土地渡りとプロテクション、そして畏怖の代替能力扱いだった威嚇が常盤木落ち。
この中でプロテクションは「常盤木」の一段下の「落葉樹」能力として扱われており、必要に応じて再登場すると予告されている。(このセットにもプロテクション持ちクリーチャーが収録されている)
ゲストメカニズムは「両面カード」。5人のプレインズウォーカーの覚醒を表現するのに適切だとしてチョイスされた様子。

■基本セット2019(M19) 2018年7月発売

マジック・オリジン以降は一部のカードが「番外カード」のような形でデッキビルダーセットなどに封入される形で基本セットの再録枠をある程度維持していたが、3年ぶりに基本セットが復活する
理由としてはカードパワーが低く売れ行きが悪い…という商売事情よりも、
従来の再録枠で調整していたトーナメントでのバランス調整が、基本セット廃止による再録カードの縛りにより機能しなくなったため。
バランス調整のためには必要でも、フレーバー重視で作られる各エキスパンションでは入れられないカードが多すぎたという。
流石にコプターやらエネルギーやら「ちゃんと対策カードがあれば禁止されなかった」物が多いのを反省したらしい。
「初心者のマジックの導入にふさわしいセット」を目標に開発されており、ゲストメカニズムは一切なし*1で収録キーワード能力は常盤木だけにされている。
BOXプロモが非常に強力な上にここでしか手に入らない新規カードであり、これ目当てで箱買いするプレイヤーも多く見られた。
基本セットを買い控えする上級者プレイヤーをプロモで釣っている、入手しづらいものを強力カードにするのはいかがなものかと問題視され、これ以降のBOXプロモのカードパワーはまずまずに抑えられた。

■基本セット2020(M20) 2019年7月発売

チャンドラが再びフィーチャーされたセットで、灯争大戦に引き続きレア・アンコモンのプレインズウォーカーが存在する。占術土地が再録され、力線は再録を含む新しいサイクルが作られた。
ゲストメカニズムはプロテクションと有色アーティファクトと宝物。
「複雑すぎる」という理由で一度常盤木落ちしたプロテクションが復帰したことなどからわかる通り、シンプルな代わりに明らかな下位互換カードを入れる方針から構築の一線で活躍するパワーカードを入れていく方針へと切り替わった。
……が、それが災いしてか基本セットとしては初めて《死者の原野》、《夏の帳》、《裏切りの工作員》という3枚ものスタンダードの禁止カードを輩出する結果になってしまった。

■基本セット2021(M21)2020年6月発売

テフェリーがフィーチャーされたセット。また猫と犬の対立もテーマにされている。
《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》、《悪斬の天使/Baneslayer Angel》、《ルーンの光輪/Runed Halo》などの過去の強力カードが多数再録され話題となった。
ゲストメカニズムは祭殿、果敢、そしてまさかのフェイズ・アウト。

2021年度以降は再び基本セットが発売されなくなり、《ショック/Shock》《選択/Opt》《精神腐敗/Mind Rot》などの定番カードがスタンダードを去り*2、はじめてチャンドラがスタンダードから姿を消すことになった。

■ファウンデーションズ(FDN)2024年11月発売

M21以降4年ぶりに復活した基本セットの後継とも言えるセット。
これまでの基本セットは他エキスパンションと同じサイクルでローテションしていたのだが、ファウンデーションズは2029年までの5年間スタンダードで使用可能*3という特例が設けられており、他のエキスパンションよりも長く使えるセットとなる。

通常のブースター以外にも完全な入門者向けの「ビギナー・ボックス」、特殊拡張セット「ジャンプスタート」、日本絵師を積極採用したイラスト違い「ジャパン・ショーケース」など新規獲得や間口を広げる試みが多数行われている。
ただし「ファウンデーションズ」の名を冠するセット商品だがスタンダードでは使えないものが存在している点には注意。上記の「ジャンプスタート」もスタンダードでは使えない。

新規と再録は半々ぐらいだが、再録組もスタンダードを離れて久しい《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》や《審判の日/Day of Judgment》といった往年の名カードが再録され話題となった。
ゲストメカニズムはキッカー、フラッシュバック、スレッショルド、上陸、陰鬱、強襲、



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最終更新:2024年12月04日 14:37

*1 1枚だけ両面カードが存在するが

*2 次のイニストラード:真夜中の狩りでいずれも上位互換が出た

*3 もっと伸びる可能性もあるとのこと