ドロヘドロ

登録日:2013/10/19 (土) 19:36:31
更新日:2024/11/28 Thu 23:27:54
所要時間:約 8 分で読めます




 中ノ奴ニナンテ言ワレタ? 


『スピリッツ増刊IKKI』2000年1号から『ゲッサン』2018年10月号*1まで連載されていた漫画作品。コミックスは全23巻。
著者は林田球。
2020年1月から3月にかけてアニメが放送。アニメ制作はMAPPA、シリーズ構成・脚本は『終わりのセラフ』『モブサイコ100』の瀬古浩司、監督は『牙狼-GARO- 炎の刻印』『賭ケグルイ』の林裕一郎。




あらすじ・概要
魔法によって頭をトカゲに変えられた記憶喪失の男・カイマンが、自分の本当の顔と記憶を取り戻す姿を描いたダーク・ファンタジー作品。

この作品をひとことで表すならば、ずばり「らくらく読めるグロ漫画」
中身は人がサラッと死ぬわ脳みそ出るわ体真っ二つになるわ内臓出るわとエグい描写のオンパレードなうえ、作品の雰囲気もゴミ溜めのごとく薄暗く退廃的……ではあるのだが、登場人物たちのマイペースさ、独特のユルさが光る。

殺し殺されが当たり前の世界観ゆえか乾いた価値観の者が多く、絵柄に反してあまり重さを感じさせない。





■用語1
▼魔法
本作の「魔法」とは、呪文を唱えたり、魔法陣を描いたりして発動させる…といったものではなく、
「魔法使い」と呼ばれる人種が 体内に持つ臓器 から精製した、黒い「ケムリ」のような物質が引き起こす現象である。
魔法使いは主にこの「ケムリ」を対象に噴射するなどして使用する。行使に特別な儀式が必要なものもある。

ケムリの種類は個々人によって異なり、使える魔法は原則的に1人1種類。
また、「ケムリを精製する器官」の生産機能や「ケムリを体外へ運搬する管」「ケムリの噴出孔」の太さ等も人によって異り、ケムリの噴出量や勢いも個人差がある。

これらは完全に先天性のものであり、どんな魔法を持って生まれるかはランダムで、何の役に立つのか分からない魔法を持って生まれる事もザラ。
そしてどんなに役立たずの魔法であろうが一生付き合うしかない。
魔法使いの世界ではこれらの優劣・魔法の稀少さによって社会的地位も大きく異なってくるため、生まれた瞬間に人生が決まると言っても決して過言ではない。
噴出孔の狭さなどは手術によって十分にカバーが可能なものの、手術費が払えない、貧しい者も多い。


▼魔法使い
「ケムリ」を精製する臓器を持った生物の事。
ほとんど全員人間と変わらない容姿・体構造をしているので事実上「亜人」とも呼ぶべき存在だが、動物の「魔法使い」もいるにはいる。
この作品においてはただ単に「魔法を使う人間」ではなく、そもそも普通の人間とは生物的な構造を異にする人種である。
魔法を使える分、能力的にただの人間よりも圧倒的に優れているため、ほとんどの魔法使いは人間を見下しており、「魔法の練習に使う実験動物」程度にしか思っていない。

ただし全くの別種というわけではないため、人間との間に子供を成す事も可能。
中には人間に友好的な魔法使いもおり、人間と魔法使いが結婚する事も稀にある。
ちなみに死後は例外なく地獄行きとなり、そこで悪魔からの責め苦を受けたり生前と変わらないコミュニティを築いたりしている。


▼ホール
人間の住む世界。
この世界は悪魔の住む「地獄」、魔法使いの住む「魔法使いの世界」、人間の住む「ホール」の3つに分かれており、
魔法使いがケムリを使って出現させる「ドア」を通って「魔法使いの世界」と「ホール」の往来が可能で、
ホールの住人は、人間を実験台とするべく現れる魔法使いによる魔法被害に頭を悩ませている。




■キャラクター
▼ホールの住人
◆カイマン
CV:高木渉
主人公。魔法で頭部をトカゲに変えられた男。
トカゲ頭になる前の記憶が無く、自分に魔法をかけた魔法使いを探すべく日々魔法使い狩りに励んでいる。
何故か魔法が全く効かず、得意のナイフで容赦なく魔法使いを殺害しているため、魔法使いからは警戒されている。
口の中に謎の男がおり、自分にかけられた魔法と何か関係があるのではないかと睨んでいる。

食い意地の張った単純思考。餃子が大好きで、アルバイトが終わると毎日ニカイドウの食堂に入り浸っている。
連載初期は細身だったがいつの間にかガチムチマッチョに。


◆ニカイドウ
CV:近藤玲奈
カイマンの親友の女性。路地裏で倒れていたカイマンを見つけたのが縁で彼の魔法使い狩りを手伝っている。
食堂「空腹虫(ハングリーバグ)」を経営しており、特に餃子は絶品との評判。
それなりに繁盛してはいるものの、カイマンが日々のギョーザ代をツケまくっているためあまり儲かっていない。

格闘術の達人で、手刀で人の首を刎ねたりキックで頭蓋陥没させたり拳銃の弾を避けたりと超人レベル。
なので脱ぐと割と筋肉質。あとおっぱいと尻とふとももも大きいグラマー。
+ ネタバレ
実は魔法使い。それも非常に希少な「時を操る魔法」を持つ魔法使い。
しかし、幼少期にはじめて魔法が発動した際に起きた事故がトラウマとなり、自身の魔法を危険なものだと認識している。
その後二度と魔法を使わないと決め、自分の魔法を狙う者から逃れるためにホールへとやってきた。


◆バウクス
CV:江川央生
カイマンがバイトしているホール中央病院にいる医者。記憶を失って倒れていたカイマンを発見して介抱した。
スキンヘッドに刺青という風体の小太り中年で、自分が雇っている側ではあるもののカイマンには舐められ気味。
それでもいっしょに「リビングデッドデイ」*2に参加したり、自身が弟といっしょに結成している野球チームに入れたりとカイマン達の関係は良好。


◆カスカベ博士
CV:市来光弘
魔法使いについて研究している医者。実年齢64歳だが魔法で子供にされている。
「興味があるのは研究だけ」と豪語して憚らず、人並みの人情や良識も備えてはいるが、基本的に研究意欲を優先させる事がほとんど。
超が付くほどの楽観主義者で、並大抵の事では動じないどころか、何でも研究に結び付けようとするしぶとさを持つ。
関係者曰く「善意はないが腕は確か」「変態」。
なお、普段名乗っている名前は魔法使いである妻に因んでつけたペンネームで、本名は「ヘイズ」。

◆ジョンソン
CV:木村良平
G。ショッキング!




▼魔法使い世界の住人
◆煙 (えん)
◇魔法:「何でもキノコにする」
CV:堀内賢雄
魔法使いの世界での最大派閥である「煙ファミリー」のボス。

魔法の効果自体は単純なものだが、魔法の発生が早い上に汎用性が高く、かつケムリの噴射量が町ひとつを覆えるほどに多い。
また「キノコ型のパソコンを生み出す」「キノコ型の操り人形を生み出す」など応用性がチートレベルで高い。作中の魔法使いの中でも最強クラスの人物。

自身もエリート中のエリートである事に誇りを持っており、プライドが非常に高く、敵対する者に対しては徹底して冷酷。
その反面、普段から自分の屋敷を開放して部下達の衣食住の面倒を見ていたり、下っ端の藤田の相談にも直接乗ったりと、
仲間を何よりも大切にしており、ファミリーからの信頼は厚い。


◆心 (しん)
◇魔法:「何でもバラす」
CV:細谷佳正
煙の部下の掃除屋。心臓を模したマスクを前後逆に被った大柄の男*3。マスクを脱ぐと金髪碧眼のイケメン
何でもバラバラに壊す魔法を持つ。生物は生きたままバラバラにできるため持って帰って尋問したりもできる。
喧嘩っ早く戦闘狂の気があるが、脳筋ではなく思考は冷静。総合的な戦闘能力は非常に高い。
武器は釘抜き付きのカナヅチ。
特技は早食い。

痛みに対して異常に鈍感。
戦闘時に能井とのコンビネーション戦法を取る事もあるが、内容は「能井が魔法で治しながら心が突っ込むだけ」というただのゴリ押しである。

基本的にぶっきらぼうな性格だが、自身を助けてくれた者に対しては命を張ってでも恩を返そうとする等の義理堅い一面もある。
また能井の裸を見て赤面するなど割と純情。


◆能井 (のい)
◇魔法:「何でも直す(治す)」
CV:小林ゆう
心を先輩と慕う掃除屋。身長209cmにも及ぶ超大柄で怪力マッチョの 女性 。マスクの下は銀髪の美女。
男勝りで細かい事は気にしない性格。心以上の戦闘狂でケンカ大好き。ただし心と違って脳筋で、自身の戦闘能力の高さゆえに慢心が酷い。
プライドも高く、一度負けた相手への対策すら嫌がるのが心の悩みの種。

何でもあっという間に修復する魔法を持つ。どんなに酷い怪我だろうが致命傷だろうが問題無く治す。変化形の魔法にかかった者も治せる。
そのため、脳を撃ち抜かれようが能井にとっては致命傷にならない。
ただそのせいで、敵の攻撃を避ける事すらサボる悪い癖が付いてしまっている。


◆藤田
◇魔法:「ケムリを弾丸のように飛ばす」
CV:高梨謙吾
煙ファミリーの下っ端。相棒をカイマンに殺されたため復讐に燃える。
魔法は噴射量が少ないため特に役に立たず、喧嘩も弱く、性格も小心者、とあまりいい所が無いが、
仲間意識は強く、何とかファミリーの役に立とうと奮闘している。

◆恵比寿
◇魔法:「生き物を爬虫類に変える」
CV:富田美憂
カイマンに魔法をかけた魔法使いである可能性があるとして、煙ファミリーに保護されているパンク少女。
小柄で痩せており、普段は髑髏のマスクを着用。
頭部へのダメージが妙に多く、そのせいでラリっている時期が多い。
正確にはファミリーの一員ではないのだが、キクラゲに懐かれている事もあり、ファミリーに馴染んでいる。

◆ターキー
◇魔法:「“生命ある人形”を生み出す」
CV:三木眞一郎
その名の通りローストチキンのようなマスクを被った男で、彼のみあだ名で呼ばれている。
彼が写真や人の記憶を元に作り出した人形は、必ずオリジナルの居場所に向かうという性質を持つ。その際オリジナルの生死は問わず、死体すら無い場合は死んだ場所に向かう。
人形制作のための材料や作業過程は完全に料理。

◆キクラゲ
◇魔法:「命を与える」
CV:鵜殿麻由
「死人を生き返らせる」という超・希少種の魔法が使える謎の生き物。
犬のような猫のようなヤギのような外見だが、何の生き物なのかは良く分からない。鳴き声は「ンニャ」。
ペットではなく、あくまで煙ファミリーの一員である。
煙に溺愛されている他、恵比寿にとても懐いており、よく一緒に行動している。
藤田はろくな事をしないので嫌い。

◆鳥太 (ちょうた)
◇魔法:「他者の魔法を解く」
CV:勝杏里
煙に恋する乙女 …の心を持つ、鳥マスクを被ったマッチョの男。
煙のパートナーを自称し、煙に熱烈なアタックを繰り返しているが、気持ち悪がられて全く相手にされていない。
それでも彼の溺愛するキクラゲの面倒やファミリーの敷地内で起きた殺人事件の調査を任せられたりと
信頼はされている様子で、魔法の稀少さもありファミリー内での地位はかなり高い。
敵対組織の者や恋敵には異常かつ露骨な敵意を剥き出しにするが、
それ以外の者に対しては非常に親身に接し面倒見も良い。

◆消 (しょう)
◇魔法:「何でも透明にする」
ファミリーの古参メンバー。能力を生かした暗殺や記憶消去を得意とする。
影が薄く、しょっちゅう存在を忘れられる。




▼レストラン丹波
魔法使いの世界にあるミートパイ専門のレストラン。
『口の中の男』や自身の記憶について調べるためにやってきたカイマンが一時身を置いていた。


◆丹波 (たんば)
◇魔法:不明
CV:稲田徹
レストラン丹波の「社長」。鋭い牙の生えたパンダのようなマスクと、
マスクに合わせた毛皮状の着ぐるみを着ているが、素顔は筋肉質な中年男性。
怒らせると怖いが、普段は義理堅く人情深い。
彼の作るパイは絶品で、その味は煙からもお墨付きを貰う程。
作中での発言から魔法は使える様だが最後まで魔法を使用することは無かった。


◆福山 (ふくやま)
◇魔法:「ケムリをぶつけたものをミートパイにする」
CV:寺島拓篤
レストラン丹波のウェイター。普段はバラクラバ(目出し帽)を被っていて、素顔は黒髪の美青年。
温厚な性格で見た目も気弱そうだが、魔法はかなりの凶悪性能。しかし使用するのは主に護身としてであり、積極的に使うことはない。


◆キリオン
レストラン丹波の従業員。地味で無口で無愛想な女性
普段は丹波と似たようなデザインの着ぐるみとマスクを着ているが、素顔は黒髪メガネのボーイッシュ美女。
彼女も丹波と同じく魔法を使う描写はないが…


◆飛鳥 (あすか)
◇魔法:「“エンジェル”という怪物を召喚し、どんな男も虜にする」
CV:前田玲奈
レストラン丹波の元従業員で丹波に惚れている。煙ファミリーの敷地での出店権を掛けた売上対決でレストラン丹波とぶつかった。
料理の腕はからっきしのため、売上対決では自身の魔法をかけた冷凍パイを売っていた。それでも魔法のおかげで勝負を有利に進めていたが、ギリギリで魔法が解けてしまった事と丹波が切り札として用意したキノコパイを煙が気に入った事で負けてしまった。
ちなみに、丹波は彼女の魔法をかけられ過ぎたせいで耐性がついてしまっている。(そのせいで解雇された)


■用語2
▼十字目
主に「魔法が(色んな意味で)使えない魔法使い」を率いる組織。
煙ファミリーのメンバーを殺害するなどして煙と敵対したため、数年前にほぼ壊滅状態に追い込まれる。
魔法の力を強化する「黒い粉」を売っている。

◆『口の中の男』
CV:ソンド
カイマンの口の中に居る男。カイマンの口の中に顔を突っ込んだ者に対して反応を見せる(大抵「お前は違う」としか言わない)。
両目に「十字目」の特徴である十字の刺青がある等、謎に包まれた存在。

◆毒蛾 (どくが)
「十字目」の幹部の1人。
他の十字目と同じく魔法が使えないが、昔受けた迫害の影響らしく、体液が猛毒という難儀な体質を持つ。
『口の中の男』や十字目壊滅の理由について何か知っている素振りを見せる。





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最終更新:2024年11月28日 23:27

*1 雑誌の休刊などにより『スピリッツ増刊IKKI』『月刊IKKI』『ヒバナ』『ゲッサン』と四誌を渡り歩いた

*2 年に一度ある魔法の瘴気が強くなる日。墓から死者が蘇り、それを一部のホール住人と僧侶達で駆除する。

*3 マスクを作り直してもらう時はちゃんと後ろ側にも目の穴を付けてもらっている。