スリーブ(TCG)

登録日: 2011/02/23(水) 09:07:50
更新日:2024/06/27 Thu 07:18:27
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スリーブとは、カードを入れるカードサイズの袋の事である。
目的は勿論カードの保護であるが、近年ではファッション(詳しくは後述)も含む場合もある。


■もくじ


■概要


その歴史は古く、トレーディングカードゲーム(TCG)が出来る前からトレカの保護用として誕生した。
この頃は透明のスリーブしかなく(柄が見えなくなるから当然だが)、かなり薄い最低限のものだったが、コレクションカードであるトレカでは十分であった。

1993年、Magic the Gatheringの誕生と共にデッキシャッフルにも耐える厚めのスリーブが誕生。

更にその後、裏が気にせず使える不透明のスリーブや、柄を印刷したスリーブも登場した。
近年はボードゲームのカードやシールを保護するスリーブも登場している。


■使用における注意点

スリーブは基本消耗品であり、特に裏面の傷や汚れが目立つようになったら新調を推奨する
特に競技性の高い大会に出るときは、イカサマと勘違いされる可能性もあるため注意が必要。

多重スリーブなどで、全てのスリーブを変えることが面倒な場合は、一番上のスリーブを消耗品として捉えておこう。
キャラクタースリーブのように変えが効かない物は、オーバースリーブを併用して丁寧に扱おう。

また、勘違いされやすい点として、スリーブによる保護は絶対的な物ではない
強い力が加わったり、いわゆるシャカパチ等をすれば普通にカードは折れ曲がるし、水没や日焼け等を完全に防ぐ事は難しい。
そうでなくとも、長年のシャッフルなどで傷んだりする可能性もある。
強固な保護を求める場合は、鑑定などに出した後に貸金庫などの暗所で保管するのが望ましい。

また、サイズに余裕がないスリーブを長年使っていると、スリーブからカードが出しにくくなったり、
逆にサイズが大きすぎるスリーブに入れて使用すると、中のカードがズレて損傷の原因となる。


■サイズ

スリーブは、その使用目的に応じて様々な種類やサイズがある。
サイズはミリ単位で様々なサイズがあるが、有名な物をいくつか紹介しよう(サイズは横×縦)。

・シールサイズ(50mm×50mm向け)

ビックリマン等の食玩のシールに合わせたサイズ。
少し余裕を持たせた「54mm×54mm」のサイズも販売されている。


・ボードゲームサイズ(56mm×87mm向け)

お邪魔者やソクラテスラ等のカードゲームに対応したサイズ。
ただし、スリーブに入れると、元のケースに収まらなくなる場合があるので注意。


・ユーロサイズ(59mm×91mm向け)

ドミニオン等のカードゲームに対応したサイズ。
ユーロサイズはメーカーによってサイズが異なるのでしっかりと確認してから購入しよう。
ただし、スリーブに入れると、元のケースに収まらなくなる可能性があるので注意。


・アーケードサイズ(57.5mm x 81mm向け)

三國志対戦やWCCF等のアーケードカードゲーム用のスリーブ。
注意点として、アーケードの場合、傷によって読み込まなく場合がある。
カードを激しく動かすゲームの場合、ローダーと併用するとより傷付きにくい。


・ミニサイズ(59mm×86mm向け)

遊戯王オフィシャルカードゲームバトルスピリッツカードファイト!!ヴァンガード等に対応したサイズ。
上記TCGにとってレギュラーサイズのスリーブは大きすぎる為、まずはミニサイズのスリーブに入れるのが基本
TCGのサイズとしてはマイナーなのだが、人気TCGばかりの為、コンビニ100円ショップ等にもあったりする。
Magic The Gatheringとかは入らないので気をつけよう!


・レギュラーサイズ(63mm×88mm向け)

Magic The Gathering、ポケモンカードゲームデュエル・マスターズ等のサイズ。
TCGのサイズといえば、こちらが一般的かつ種類も多く、TCGではないカードゲームにも同サイズの物がある。
大多数のキャラスリもこのサイズが基準になっている。

ミニサイズのTCGをそのまま入れて使うと、大きな隙間が出来てしまうので注意する事。
スリーブのサイズが合わないとカードが中でズレてしまい、逆にカードが痛むという本末転倒な事態になる。
とはいえ、一時的な保護に使用される事はあり*1、下手に動かしたりしないのであれば、何にも入れないよりはマシである
大抵のTCGが入る為、複数のTCGを掛け持ちする人は常に用意しておくと安心。


・スリーブガード

スリーブを保護する為のスリーブ。
「スリーブはカードを保護するものだろ?」と思うかもしれないが、スリーブの保護がカードを保護をより強固にする。
もっと大きい物もあるが、レギュラーサイズの2回り大きいサイズとミニサイズの2回り大きいサイズの2種類が一般的

やたら硬いものもある。
ってか一番硬いやつはもはやビニールですらない。

一方で質の悪い物も多く「破れない」「裂けない」「割れない」「刺さらない」 これら全てを満たすスリーブガードは稀。
出合ったら即買いしよう。


●種類

用途や目的によって様々だが、ここでは大まかな説明をする。
また、コレクション用に使用するローダーやスクリューダウン等も解説していく。

UVカット機能が付いた商品もあるが、完全に防ぐことは出来ない。
大切なカードは暗所保管しておくのが吉*2


・透明スリーブ

基本的なスリーブ。価格は100円~300円前後。

用途はコレクションカードの保護からデッキにと様々。
ただし、これだけでは薄い物も多く、対戦用、高額カードの保護として使うには耐久性に不安のあるスリーブも多い。
また、経年変化によってカードにぴったりくっついてしまい、スリーブからカードを出しにくくなる場合もある。

カードにぴったり装着できる物が多く、多重スリーブの1重目としての需要も高い。
カードのインナー(下着)とも言え、実際に「インナースリーブ」という商品名で売られている物もある。

安価で取り回しに優れる為、とりあえず保護、整理用にもオススメ。
一部TCGに存在する両面印刷のカードは、このスリーブで対戦に使わざるをえない。
その場合は、もう1重用意するか、ローダーを併用し、より強固な保護をして使用する事を推奨する。

100円ショップなどでも買えたりする。


・半透明スリーブ

片面が色つきの透明スリーブ。
色つきだが透明なので、中の柄が見える。

不透明や透明で十分な場合が多く、需要が少ない為、最近では減少傾向にある。
裏面が透けるとマークド扱いされる要因になるというのもあるのだろう。


・不透明スリーブ(カラースリーブ)

MtGのプロプレイヤーも御用達のまさしくTCG用スリーブ。
裏が不透明な為、若干の傷や印刷ミスも誤魔化せる優れもの。
デッキに使うスリーブならこれがオススメとされている。
キャラスリを使わない、もしくは禁止されている場合はこれを使う事になるだろう。
裏面が色付きの物はカラースリーブと呼ばれることも。

ただし、近年では石油価格の高騰等から(販売価格を抑えるために)質が落ちてるものも多々存在する。


キャラクタースリーブ(キャラスリ、痛スリ)

アニメやゲームなどのキャラクターが描かれているスリーブ。便宜上柄付きのスリーブを総称してこう呼ぶ。

柄付きスリーブは古くから存在するが、特定のカードゲーム向けの柄の物がほとんどであった。
しかし、ブロッコリーが発売した「キャラクタースリーブ」シリーズによってスリーブの流れは大幅に変わった。
このキャラスリは柄スリーブであるが、それまでに無かった「カードゲームに囚われないスリーブ」であり、ユーザーのカードの種類を問わずに使用できるこのスリーブは様々なユーザーに求められ、爆発的人気を誇るようになる。。
そうして、様々な会社がキャラスリ作成に乗り出し始めた。

柄は全体的に萌え系が多いが、特撮作品や女児向けアニメ、阪神タイガース、お茶漬け海苔、風景、絵画、動物等のスリーブも出ている。

近年ではコミケ等でイベント限定スリーブや同人スリーブ等も登場している。
ただし、同人スリーブは著作権的な問題や品質にバラつきがある為、公式大会等での使用禁止(交換)を命じられたりする可能性がある。
使用は自己責任で。

このスリーブの最大の特徴としてはやはり「自分の好きなキャラをスリーブにできる」点である。
自分のお気に入りのキャラを、はたまたデッキコンセプトにピッタリなキャラを……用途は様々である。

上記のスリーブと比べて値段は高めで、定価なら1パック(60枚前後)500~1000円前後である。

更に、版権の都合と柄付きスリーブの特性上再販が基本的に無い為、人気の柄のスリーブはすぐ売り切れたり、
熱狂的ファンや転売ヤーに買い占められたりしてプレミア価格になることも少なくない。
逆にそれを前提で最初からプレミア価格で販売したり、カードのように買取を始める店もある。

詳細は項目で。

萌え系スリーブが苦手の人も少なからず存在するので注意すること。
また、同人スリーブを中心に卑猥なイラストの物も存在するが公序良俗は守ろう。


・ローダー

カードを保護するサプライの1種でハードスリーブよりも固く分厚いのが特徴。
1枚で20円~100円くらいし、通常のスリーブに比べて1枚の単価が高い。
似たようなハードカードケースが事務用品としても売られている他、TCG用の物が100円ショップでも販売されている。

基本的にコレクターやショップが高額カードの保護に使う為の物であり、カード保護の性能はスリーブよりも高い。
ただし、単体では水没などは防ぐことができない。
スリーブと併用することにより、より強固な保護をすることが出来る。

また、トレードやカードの販売などでカードを運搬ないし郵送する必要がある際にもよく使用される。
よほどの高額カードでなければ、安物や事務用品の物でも問題ない。

なお、シャッフルが困難になる上に、単価が高い事から実際の対戦で使われる事は滅多に無い。
ただし、デュエマの超次元ゾーンやウィクロスのルリグデッキ等、メインデッキとは別の領域に置くカードには使用される事もある。
カードを動かす必要があるTCAGでも愛用者が多く、筐体で動かしやすい材質になっているTCAG用のローダーも販売されている。

ちなみにデュエマのジャンボカードについては、100円ショップ等で事務用品として売られているA5のハードカードケースに収まる。
見た目や材質もローダーそのものなので、違和感も全くない。
A5のハードカードケースは未開封パックの保存にも適しており、コレクターにも愛用者がいる。


・スクリューダウン

2枚に分かれるアクリル製の板にカードを挟んで保護するサプライ。板はねじで固定する物が一般的。
ローダーより圧倒的に分厚く、カードを飾る場合や高額カードの保管によく使用される。
ローダー同様にスリーブと併用する事でより強固な保護が可能。
ただし、分厚い板で挟むという仕様上、カードがやパックに傷や跡が付きやすいとして好まない人もいる。

ネットでは割高な物が多いが、値段は安い(薄い)物で数百円前後、一般的な物であれば700~1000円くらいが相場。

これをデッキ枚数分を用意したら、シャッフルはおろか運搬すら困難になる為、ネタでもない限り対戦では使用されない。


・マグネットホルダー

スクリューダウンは分厚すぎるという人にオススメのサプライ。
こちらは1mm程の厚さで運搬、保管がしやすく、マグネット式で開閉が容易なのが特徴である。
こちらもカードを飾る場合や高額カードの保管によく使用される

人気の高い35ptのサイズは350円程なのだが、人気故かネットでは割高気味。


・フルプロテクトスリーブ

ポリカーボネート等の硬質な素材でできたサプライ。
こちらもカードを飾る場合や高額カードの保管によく使用される。
未開封パックを保護する製品もあり、コレクターであればお世話になる事があるかもしれない。
スクリューダウンとこれを併用できるようにするアクリルプレートも存在している。

価格は2枚で300円前後。


・ホルダー

もはやスリーブではないがここに記載。
カードの鑑定会社である「PSA」等に依頼し、カードの鑑定完了後、希望すると専用のホルダーに収められて返却される。
電気小物のパッケージのように周りを超音波接着するので、一度収めてしまうと再開封するのにも手間がかかるため、実質的には封印とほぼ同様。
完全にコレクター向けだが、中には「PSA鑑定品だけでデッキが組める」人もいるとか。
デッキがとんでもない厚さになるのは目に見えているのでカジュアルプレイ以外でホルダーのデッキを使うのは止めよう。
そもそもホルダーは、状態のランクや識別用の番号などが書かれており、大会で使うと「スリーブ・カードの加工禁止」や「同一スリーブの使用」「スリーブ内にカード以外の物を入れてはいけない」等の規定に引っ掛かりかねない。


■多重スリーブ


多重スリーブとは、スリーブの上に更にスリーブを被せることである。

スリーブは当然ながら片側が開いているので、そこから埃等が入り込み、カードを傷付けてしまうことがある。
多重スリーブはそうならないように追加でスリーブを被せるようにすることである。

パワー9などを使用した高額デッキでよくみられたが、近年では多くのTCGで一般的になっており、小中学生でも当たり前のようにやっている。
また、近年ではキャラスリを守る為に多重スリーブをすることも多く、多重専用スリーブもある。

一方で、デッキが分厚くなってシャッフルや持ち運びに支障が生じたり、テキストが読みづらくなる、スリーブを用意・交換する際に出費が嵩むなどの欠点もある。

また、デッキのカットが困難になったり、テキストが判別出来なくなる程の多重スリーブを禁じてるTCGも多い。
TCGによっては多重スリーブそのものを禁じてる場合もあるので注意。
因みに知らない人も多いがデュエル・マスターズでは公式規定によってスリーブは3重、ヴァンガードでは2重までと決められている。

近年多重スリーブの上側となるスリーブに、デザインや名言の入っている物が増えはじめている。
そして、それを守るためのスリーブを買わなければいけないというおかしな事態が発生している。

例)
  • 「ざわざわ」(カイジ)
  • 「筋肉旋風」(リトバス)
  • 「孔明の罠」(三国志)
  • 「逃げちゃダメだ」「サービス、サービス」(エヴァ)
  • 「大丈夫だ、問題無い」(エルシャダイ)
など


●具体的なやり方


スリーブA・スリーブBと用意する。


スリーブAにカードを入れた状態でスリーブBを

スリーブB Л
     ↓
スリーブA Ц

このような向きにして入れる。
これで多重スリーブの完成である。

この際、当然Bのほうを大きくする必要があ る。Aのスリーブの2~4ミリ程度大きいものがオススメである。

尚、これを極めると10重や12重も可能だが、多重にすればするほどデッキが分厚くなるので注意。
12重とかジェンガ級の高さである。
これをバベルなどでやった日にゃもう……。


■黒化

正式な名称というわけではない。
2013年頃に国内生産されたスリーブの一部で発生した現象。
具体的にはZEXAL期の遊戯王OCG剣刃編アルティメットバトルバトルスピリッツの公式スリーブが該当。
使用した塗料に不具合があったらしく、開封後に一定の湿気と反応してスリーブの表面がじわじわと黒くなっていく現象が発生する。
開封後数週間で発生する現象かつ相談しても表面の擦れと勘違いされるため、非常に厄介。

追記、修正はスリーブを付けてからお願いし ます。

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最終更新:2024年06月27日 07:18

*1 勿論、そのままでは傷がつく要因になるので、対戦や保管の際はスリーブを移し替える事。

*2 コレクターは銀行の金庫に保管している事もある。