ジェットロン

登録日:2012/09/13 Thu 12:42:56
更新日:2025/03/23 Sun 20:48:48
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ジェットロンとは、世界に広く展開している変形ロボット玩具『トランスフォーマー』シリーズに登場する悪のデストロン軍団に所属する航空部隊である。
ここでは初代カオスアニメ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』から連なるG1シリーズにおけるジェットロンを解説する。

この設定は日本版独自の設定であり、海外版では一つのグループではない。
海外ファンからは主に“Seekers”や“Decepticon Jets”のあだ名で呼ばれる。

なお、『トランスフォーマー ザ・ムービー』以降に登場する航空参謀サイクロナスやスウィープス参謀スカージも含まれる場合があるが、本項目では触れない。







【特徴】

デストロン軍団の中核となる戦闘要員。戦闘機にトランスフォームする為、全員飛べるデストロン軍団の中でも特に本格的な空中戦が可能である。

その戦力は物語初期のデストロン軍団でも屈指のものであり、数も火力もかなりの規模である。
実際に地球の航空部隊はいとも簡単に捻り潰され、航空戦力を持たなかった物語初期のサイバトロンは、彼らに幾度も苦戦を強いられた。

しかしながら、集団では脅威となる反面、個々の実力はリーダーのスタースクリームを除いて高いとは言えず、性格に難がある者(ニューリーダー病、馬鹿、臆病など)が多かった。
デストロンに新戦力が加わった物語後期ではあまりの使えなさにメガトロンからも「役立たず」呼ばわりされてしまっている。

ただし、デストロン軍団のメンバーの多くも似たようなものであることも留意しておいていただきたい。


しかしデストロンの勢力拡大や腹筋破壊工作に大きく貢献したのは紛れもない事実であり、一概にただの雑魚集団とは言い切ることの出来ない独特の魅力に満ちたチームである。



【シーズン1からのメンバー】

初代第1話から登場するメンバー。18話から登場するメンバーと区別する為にこちらは“初期ジェットロン”と呼ばれる。
全員F-15イーグル戦闘機(セイバートロンモードは三角錐のスペースジェット)にトランスフォームする。

リーダーがリーダーなので情けない面が目立つが、然り気無くコンボイに瀕死の重傷を負わせたり、結局負けはしたがエアーボットを翻弄したりと、失態を犯す一方で意外に活躍していることが多い。

外見的には全員色違いだったので、『トランスフォーマーシリーズ』名物作画ミスが極めて多かった

例:
  • 同じ画面内にスタースクリームが2人居る
  • スタースクリームがワープする(ワープできるのはスカイワープのみ)
  • その場にはスタースクリームしかジェットロンが居ないにもかかわらず、カットのたびにスカイワープと色が入れ替わる。
  • 本物のスタースクリームが遠隔操作している偽スタースクリームが爆散する瞬間を、他のデストロンに混じってスタースクリームが呆然と見守っている
  • サンダークラッカーの目の前にサンダークラッカーがワープする
  • 3人が並んでいるカットで全員サンダークラッカー
  • スタースクリーム以外のジェットロンが集合するシーンで、シナリオ上絶対その場にいないはずのスタースクリームが登場(他のカット的に本来はサンダークラッカーと思われる)
  • 「サンダークラッカー!ダージ!エネルゴンキューブを運べ!」と言われ、ダージとスタースクリームが飛んでくる
一応日本国内での放送時にはこれらの彩色ミスはある程度修正されていたのだが、それでもなお目立つという有様。
しかもややこしい事に作画ミスと気付かれないままアテレコされた事も多く(上記のスタスクがワープするシーンで、スカイワープ役の江原氏ではなく鈴置氏が喋る等)、余計に視聴者を混乱させた事もしばしば。
その為、れっきとした演出でも疑ってかかってしまった視聴者も多い……はず。

『ザ・ムービー』で3人とも退場しており、『2010』ではスタースクリームが幽霊として再登場することを除けば出番はない。


◆航空参謀スタースクリーム / Starscream

声 - 鈴置洋孝/英 - クリス・ラッタ

我らがデストロン軍団のニューリーダー(笑)。スタスク。
デストロン軍団のNo.2でジェットロンの指揮官だが、性格に難がありすぎて人望は皆無。直属の部下達からも上司だと思われていない始末。
詳しくは彼の項目へ。


◆航空兵スカイワープ / Skywarp

声 - 江原正士/英 - フランク・ウェルカー

初期ジェッツの黒い方。名前が表すようにワープ能力を持つ。スカワ。
メガトロンに忠実だが、頭が悪い。

実は地球で最初に目覚めたTFは彼である。
詳しくは彼の項目へ。


◆航空兵サンダークラッカー / Thundercracker

声 - 島香裕/英 - ジョン・スティーブンソン、ウォーリー・バー(海外版59話)

初期ジェッツの水色の方。デストロンでも温厚な性格である分、隠れた苦労人。サンクラ。
くどいようだが詳しくは彼の項目へ。




【シーズン2からのメンバー】

初代第18話から登場する新メンバー。オリジナルデザインの戦闘機に変形する航空兵である。
初期ジェットロンと区別して“新ジェットロン”と呼ばれる。
初期ジェットロンがあまりに作画ミスを連発した為、全員に主翼の形が違う。
全員ロボットモードの頭部が尖っているのが特徴で、海外では“Coneheads(トンガリ頭)”と呼ばれる。玩具でも機首を背中に畳まず立てたままにする事で再現可能。
しかし結局ラムジェットとダージの色が取り違えられたり、編隊飛行している最中にスラスト色のダージやラムジェット色のスラストが登場(ちなみに後者のシーンでは、シナリオ上絶対その場にいないはずのブリッツウィングが混ざっている)したりと、やっぱり作画を間違えられた。

自称“銀河最強のジェットファイター”だが、その実態は初期ジェッツを更に駄目にしたような連中だった。
何だかんだで単体でも見せ場があるスタスク達と違い、3人組んで行動してもヘマを重ね、終いには敵前逃亡までかました事もある始末。
遂にはメガトロンからも役立たず呼ばわりされてしまった。

旧ジェットロンと異なり3人とも『ザ・ムービー』での戦いを無事生き延びており、『2010』にも登場する。扱いはさらに悪くなったが。

こちら側は個別項目はない。


◆航空兵ラムジェット / Ramjet

声 - 石井敏郎、島香裕、城山知馨夫(20、27話)、片岡弘貴(26話)、堀内賢雄(37話)、喜多川拓郎(54話)、阪脩(ザ・ムービー)、戸谷公次(2010・1話)/英 - ジャック・エンジェル

赤白の三角翼の戦闘機に変形する航空兵。
頑丈な頭部を持ち、高層ビルをも容易くブチ抜く体当たりが得意だが、避けられたりワーパスと体当たり(?)で勝負したら逆に機首が潰れたり、酷い時はメガトロンに誤爆したりエアーライダーとすれ違っただけで墜落したこともあり、当人はなかなか勇敢なのだが、やる気が空回り気味である。
元々はダージ、アストロトレインと共に宇宙刑務所に投獄されていた脱獄囚らしい。

初登場時にメガトロンからブリッツウイングと呼ばれているが、これはミスではなく当初は彼らの玩具発売が予定になかった為、彼がブリッツウイングと呼ばれるはずだった名残である。


◆航空兵スラスト / Thrust

声 - 島香裕、江原正士(19話)、石井敏郎(24話、2010・16話)、城山知馨夫(ザ・ムービー)、塩屋翼(2010・5話)/英 - エド・ギルバート

主翼にフィンが付いた赤い戦闘機に変形する新ジェッツその2。
普段は大口を叩いているが、いざ身に危険が及ぶと途端に臆病な本性が露になるチキン野郎。実際ラムジェットからもその点を指摘されている。
一応メガトロンへの忠誠心自体は高く、不死身の肉体になれるゴールデンラグーンを発見した際は「これで自分がデストロンのNo2になれる」と喜んでいた。

ちなみにサイバトロンに汚名を着せて宇宙に追放した回では、こいつが余計なことをした為、太陽に飲み込まれつつあったサイバトロンは地球に帰還出来た。*1
ありがとうスラスト!


◆航空兵ダージ / Dirge

声 - 難波圭一、堀内賢雄(19話)、江原正士(39話)、島香裕(2010・1話)、山口健(HM)/英 - バド・デイビス

青いボディに黄色い主翼のエンテ型飛行機に変形する新ジェッツその3。
血の気が多く短気な性格だが、第39話「トリプル・チェンジャーの反乱」ではあまりにカオスなデストロンの内情を見て思わず「やれやれ、何ともひでえ有様じゃねえか。まったく呆れたもんだ。」と漏らすあたり、むしろ一歩引いた感がある。
なぜか人間を運ぶことが多い。が、「ホイストハリウッドへ行く」ではホイルジャックの秘密兵器の失敗作を奪ったはいいものの重量オーバーで墜落、彼の救出のためにメガトロンらが奔走する事態になった。

玩具の説明では「デストロンで最も恐ろしく忌まわしい」などと書かれていたが全くそんな印象はない。



【その他のジェットロン】

アニメ版最初期や『トランスフォーマー ザ・ムービー』には初期ジェットロンと同型の無名ジェットロンが多数登場していた。
主に青緑、紫、薄紫、紺の者が多いが、稀にスタースクリームやサンダークラッカーと同色の者も登場する。
ただし後者は作画ミスの可能性もあり、断定は出来ない。

この他、セイバートロン星残留の保安部隊として活動していた通称“レインメーカーズ”なども存在する。

『ザ・ムービー』での描写を見るにその殆どがユニクロンとの戦いで戦死したようだが、『2010』にも生き残りとおぼしきジェットロンが映っている。

その中でも数名は2000年代以降になって設定が付け加えられたものもいる。
言うまでもないが個別項目はさすがにない。


◆航空宇宙兵サンストーム / Sunstorm

第1話に登場した保安部隊の一人。
設定では体内に内蔵した規格外の核融合炉によって熱を操る能力を持つものの、味方の健康状態にすら被害を及ぼすレベルの電磁波を常に放出している。
さらに本人はそうした能力を持つ自分を超自然的な存在であると思い込んでおり、二重の意味で周囲を遠ざけているという。電波系(物理)。


◆ホットリンク / Hotlink

第1話に登場した保安部隊の隊員。
バンブルとホイルジャックに火炎放射を浴びせていた紫色のヤツ。色がスカイワープと被ってる。

後年に追加された設定では、常にツールキットを持ち歩いている発明家キャラとなった。


◆ビットストリーム / Bitstream

第1話に登場した保安部隊の隊員。
サンダークラッカーに似たカラーリングのジェットロンで、暗号解読やハッキングに長けた電子戦のスペシャリスト。


◆ナセル / Nacelle

メガトロンに同行せずセイバートロン星に残留していたメンバーで、航空技術者。
新ジェットロンの新型ウィングを開発したという設定で、本人も試作品を装備している為に旧ジェットロンタイプのボディにスラストのウィングという新旧を折衷した姿をしている。

元ネタはタカラのカタログに掲載されたスラストの試作品。旧タイプボディ+スラスト主翼というデザインも主翼パーツ以外はサンダークラッカーを流用していたのが由来。
アニメ第1話にも登場したことになっているが、暗いボディカラーが背景と一体化してしまっている上にサンストームとホットリンクに隠れて殆ど見えていない。そもそも色合いもそんな似てないし
おそらく言われても存在を認識するのは難しいだろう。


◆アシッドストーム / Acidstorm

◆イオンストーム / Ionstorm

◆ノヴァストーム / Novastorm

保安部隊の隊員。
第6話「SOS!サイバトロン」にてセイバートロン星を訪れたサイバトロン戦士に人工的な酸性雨を発生させて攻撃した3人組のジェットロン。
いわゆる「レインメーカーズ」と呼ばれる。
緑色がアシッドストーム、青いのがイオンストーム、黄色いのがノヴァストーム。

ノヴァストームとサンストームが同一視されていた時期もあったが現在ははっきり分けられている。


◆レッドウィング / Redwing

コミックに登場したモブジェットロン。


これ以外にも、まだまだ存在する。

玩具展開

スタースクリームのみという事も少なくないが、流用が楽だからか大抵スカイワープとサンダークラッカーが、場合によっては新ジェットロンもリデコやリカラーで登場することが多い。
なんなら初代と関係ない作品でも、スタースクリームの同名キャラが登場する作品では結構な確率でリカラー商品が発売される。
作中でまともな出番があったのアニメイテッドのイケメンズぐらいだけど。

初代放送時には新旧6体のジェットロンが発売*2されたが、なぜかダージのみロボットポイント限定であった。
後にサンストームも発売されている。

『classic』、『変形!ヘンケイ!』でも新旧6体がデラックスクラスで登場。
久々のF-15型という事もあり人気を博した。
そのためか、後にレインメーカーズなども発売されている。

シージ』でサイバトロン星の姿を再現した三角形ジェットでボイジャークラスで登場。
新ジェットロンは残念ながら未登場。
この型も色違いが多く、お馴染みのスタスク、スカワ、サンクラに加えレインメーカーズやホットリンクなどが発売された。錆びた死体まで発売された。

『アースライズ』ではヘケヘケぶりとなるF-15仕様になり、こちらもボイジャークラスで登場。
ヘケヘケ版を基にしながらも様々な面で進化しており、評価が高い。
新ジェットロンもリデコで3体とも発売し、満を持して新旧6体がそろい踏み。...が、日本ではスタースクリーム以外の全員*3がタカラトミーモール限定品になっている。
後にダージとラムジェットだけ海外版『レガシー』シリーズで再版された。
またラムジェットはリカラーでG2ラムジェット、G2クラウドカバー、G2サンドストーム、エリートシーカー*4と多数のバリエーションが存在する。


『キングダム』ではスタースクリームが小型版のコアクラスで登場。デラックスクラスより小さいながらも、面白い変形をする。『レガシー』では色替えでスカイワープが登場。スタスクでナルビームだった武器が別のものに変更されていてその辺が不評。

『マスターピース』では3代とも初期3体が揃っているほか、初代ではサンストームなど色違いが、Ver1.5では強引なリデコで新ジェットロンも発売された。


―デストロンの追記・修正はなおも続いた!―

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最終更新:2025年03月23日 20:48

*1 この事実は本人含めて誰も知らない。最初に余計なことしてサイバトロンを目覚めさせてしまったスタスクみたいな状態。

*2 旧ジェットロンはダイアクロン「ジェット機ロボ」の流用。

*3 うちスカイワープとサンダークラッカー、ラムジェットとダージがそれぞれ2体セットでスラストのみ単品

*4 日本未発売のゲーム『トランスフォーマー・デバステーション』に登場するラムジェットの色を変えたような見た目をした中ボス。オプティマスプライマルのものと同じ刀剣状の武器を持つ。なお同作には他にもラムジェットの色変えモブ兵が2種類存在するがどういうわけかラムジェットは登場しない。