合成獣人間(鋼の錬金術師)

登録日: 2014/10/01 (水) 20:41:24
更新日:2024/03/23 Sat 16:22:13
所要時間:約 4 分で読めます




合成獣(キメラ)人間(にんげん)とは、荒川弘の漫画『鋼の錬金術師』に登場する存在である。

彼等のことについて語る前に、まず作中における合成獣(キメラ)について説明したい。
合成獣とはその名が示す通り、二種類以上の動物を錬金術によって後天的に合体させた生物である。
こちらは全体としてそれほど登場頻度が高い訳ではないが、

  • 第一話でエドに瞬殺された、コーネロの飼ってたライオンとトカゲの合成獣
  • お父様』の間へ繋がる地下通路の門番達

等、比較的印象に残る役回りを演じることが多かった。






……さて。






先ほど合成獣の材料(ベース)として「二種類以上の動物」と言う条件を挙げた。
作中の描写的に脊椎動物同士なら(術者の技量にもよるだろうが)特に問題なく合成出来るようである。



……なら、もし人間と他の動物を合成したらどうなるのか?



彼等は、そんな錬金術師達の狂気によって生み出された産物である。




概要

彼等は主に、アメストリスの軍やその関係者による実験で生み出された。
これは錬金術師の禁忌にして国家錬金術師の三大制限「人を作るべからず」に抵触するため、表向きは存在しない事になっている。
その関係上、素体となった人間は主に軍人であり、マーテルの発言から主に負傷兵を利用していたようである。
また彼女は「気が付いたらヘビの体になっていた」とも語っており、被験者の同意どころか説明もなしに実験を行っていたようだ。
実際回想シーンから彼らは既に人間として扱われていなかったらしく、ドルチェットは檻に入れられた「失敗作」を目にしている。


なお合成獣人間は、そのタイプによって大きく四つに分けられる。

1.術者の技量が低い、もしくは動物のほうを主体にしたため人としての原型を殆ど留めていないもの(ニーナ、タッカーの妻等)

2.人間としての姿をある程度留めているものの、一目で分かるレベルで合成された動物の特徴が出ているもの(ビドー、ウルチ等)

3.人間としての姿をほぼ留めているもの(ドルチェット、マーテル等)

4.平時は人間の姿をしているが、有事の際に「変身」し合成獣としての姿と能力を発揮する者(ロア、キンブリーの元部下の四人等)



1のタイプは表向きは合成獣の権威とされていたショウ・タッカーによって合成された。
彼の技量がそれほど高くないのと、人間を材料としたことを悟られないためか動物寄りの姿となっており、人としての思考能力も著しく低下している。
なお彼は国家錬金術師の資格取得の為に妻を、三年後の査定を通るために娘と飼い犬を材料にしている。
タッカーの妻はその後「死にたい」と一言だけ喋って餌も食べずに死に、
ニーナとアレキサンダーは元に戻れる可能性もなく軍の実験所送りになるであろうと判断した傷の男に葬られた。
旧アニメ版においてはタッカーが軍に捕らえられて働かされ、第五研究所の囚人を材料にこうしたキメラを作らされていた。
タッカーがグリードの手引きでキンブリーと共に脱獄し、アーチャーに保護されて軍に復帰すると
リオール殲滅のために人語を話す軍用犬キメラを大量生産していた。
なお、この時アーチャーからエドの銀時計(旧アニメ版では錬成増幅装置)を渡されている他、
マスタングやキンブリーのものと思しき銀時計も工房に置かれていた。
今まで作った合成獣(キメラ)より出来がいいのは銀時計を複数使用したためと思われる。


2以降のタイプはアメストリス軍の研究機関によって軍用目的で(主に非公表の特務部隊員として)合成された。
作成目的か技術の差からか1に比べればはるかに人間寄りとなっている。
2のタイプは初期に合成されたタイプであり、ビドーはトカゲのしっぽが、ウルチはワニのような顎と牙が外見に出ている。
合成された動物の能力が色濃く反映されているものの、如何せん目立つためか早々に次のタイプが模索されたものと思われる。


3のタイプは中期に合成されたタイプであり、人間としての姿をほぼ留めつつある程度動物の能力も有すると言った塩梅である。
この時点でほぼ目的は達成されているのだが、思ったより合成した動物の能力が引き出せなかったためかこれも採用されず、次なるタイプとして4が研究された。


4のタイプは後期に合成されたタイプであり、合成獣人間の一種の完成形である。
普段は人としての姿を保っているが、戦闘時に某改造人間の如く獣人態に「変身」する。
これにより普段は人の姿で表沙汰に出来ない任務に従事しつつ、戦闘の際にのみその真の姿と力を発揮することが可能となり、作戦上の有用性は大きく増した。
なおこのタイプ内でも完成度に差があり、ロアは変身に少し時間がかかるが、キンブリーの部下四人は一瞬で姿を変えることができる。
また最も新しく合成されたと思われるザンパノは、イノシシ+ヤマアラシと言う二種類の動物と合成されており、
さらに背中からヤマアラシの針を飛ばすことが出来るという元の動物にない能力まで備わっている。



なお、上述のように被験者は全員が同意を得ずに合成されたのだが、
意外にもその殆どは(研究者を憎んではいるものの)現在の体を気に入っているらしい(「いろいろ便利だから」だそうである)。
もちろん全員がそうとは言えず、変身後の姿が醜いジェルソとザンパノは元の体に戻ることを強く望んでいる他、
タッカーの妻も一言「死にたい」と呟いた後絶食し餓死している。


ジェルソの語ったところによると負傷兵を利用したのもあってか彼らは合成獣(キメラ)にされた時点で死亡扱いとされ、表向きは「存在しない人間」となっている。
この扱いに加え、完全に実験動物扱いであったデビルズネスト組は迷うことなく脱走したが、おそらく「本命」であったキンブリーの部下四人は、
このような仕打ちを受けても変わらず軍に従い続けた。これもひとえに自分の家族や友人と言った「大切な物」を守るためである。



ちなみに旧アニメにおけるデビルズネスト組はイシュヴァール殲滅戦の切っ掛けを作った張本人である。
彼らは「イシュヴァールの過激派がアメストリスへのテロを目論んでいる」という嘘の情報を握らされてイシュヴァール人を大量に殺害し、
それが原因でイシュヴァール自治区の反アメストリス思想を爆発させた。
当人たちはテロ計画がでっち上げであると後で知って仰天したのだが時すでに遅く、旧アニメでは大悪党であるグランによって捕らえられ、
口封じのために全員合成獣(キメラ)にされた。(抵抗した兵はグランの部下によりその場で銃殺されている)




追記・修正は合成獣人間にされてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 鋼の錬金術師
  • 改造人間
  • ショッカー
  • 悪魔の所業
  • 狂気の産物
  • 仮面ライダー←ある意味
  • 合成獣
  • 獣人
  • 合成獣人間
  • キメラ
  • 合成獣人間
  • アメストリス
最終更新:2024年03月23日 16:22