柳田理科雄のスーパーロボット最強決定大戦!

登録日:2014/12/18 Thu 16:04:29
更新日:2025/07/24 Thu 09:30:36NEW!
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1972年にマジンガーZが…いや、1963年に鉄人28号がお茶の間に現れてから、
数え切れないほどの巨大ロボットがブラウン管に、銀幕に、液晶に映し出されてきた。
スーパーロボットは数々の夢と希望を子供たちに与え、来る日も来る日も巨悪と戦い続けた。

そして1991年には数々のロボットが手を組み悪と戦うゲーム『スーパーロボット大戦』が発売され、
20年以上たった今なおスパロボシリーズは発売され続けている……。


しかし、こう思ったことはないだろうか。

「今まで登場したアニメの巨大ロボットを集めてバトルさせたら、どの機体が最強なのか?」と。

空想科学読本』で様々な巨大ロボットの実用性を考察していた柳田理科雄もその一人。
彼が原作を務めた漫画『空想科学大戦3』は、そうした巨大ロボットに関するお話だった。
その巻末に掲載されたのがこのコラム、『柳田理科雄のスーパーロボット最強決定大戦!』である。

柳田氏は(紙面の都合上)8作品から主人公機体を選び出し、トーナメント戦で1位を決めようとした。

勿論柳田氏がテレビの画面を見てただ漠然と最強議論のテンプレを作るわけがなく、
柳田氏の例のネタがそこかしこに入った代物に、(意図的に)突っ込みドコロ多数の代物になっている。


では、機体サイズや作品の世界観から選りすぐられた8機の勇者にご登場願おう。
なお、本コラムの初版は2000年10月に発行されたものである事に留意されたし。


「史上最強のロボットが見たいか~~ッ!!」
「うお~~~っ!!!」
「ワシもじゃ、ワシもじゃみんな! 機体入場!!!」

「全スーパーロボット入場!!!」


「使徒殺しは生きていた!! 更なる覚醒を積み鋼鉄の天使が蘇った!!」
「汎用人型決戦兵器! エヴァンゲリオン初号機だーッ!!」

「冥途の土産に移住とはよく言ったもの!! 惑星ロボの奥義が、今実践でバクハツする!」
「惑星間移住ロボ! ダンガードAだ!!」

「デカぁぁぁぁぁいッ説明不用!! 200m! 9800t!!」
「地球帝国所属、ガンバスターだ!!」

「ニュータイプに更なる磨きをかけ!」
「『連邦の白い悪魔』! ガンダムRX-78-2が帰ってきた!!」

「第六文明の無限力が、今ベールを脱ぐ!」
「伝説巨神イデオンが来てくれた―っ!!」

「ファンの前ならオレはいつでも宇宙翔ける翼だ!」
「可変機VF-1 『バルキリー』の名で登場だ!!」

「五大合体はこの機体が完成させた!」
「超電磁メカ! コン・バトラーVだ!!」

「俺達は君を待っていた!」
「どこに行っていたんだっ! 元祖っっ!!」
「黒鉄の城!! マジンガーZの登場だぁーっ!!!」

「…っと、リザーバーは特に来られていないようですっ では早速1回戦に移りたいと思います」



かくて選ばれた8体を見てマジンガーZがいることに心配するだろうか?
「中学生にもなって正座してマジンガーZを見ていた」と公言している柳田氏のこと、マジンガーZに有利な試合を組むのではないかと…
そこは柳田氏自身心得たもの、厳選なるくじ引きの元に対戦表が組まれ、最強のスーパーロボットの座を巡る争いが始まった。
果たして、勝者は誰になるのか! 戦わなければ生き残れない!!



第1回戦

第1試合 マジンガーZVSエヴァンゲリオン初号機

マジンガーZの身長は18m、全備重量は20t。

大してエヴァは身長は「40m~200m」と非常に大雑把な指定なのでここでは劇中の建物などと比較して40m説を採用。
体重は700t。これは水よりやや軽い程度であり、コルク並の軽さ(密度)のマジンガーZよりもずっと重いことになる。

ならばパワーはどうか? マジンガーZは65万馬力で、エヴァンゲリオンは特に規定はない。
しかし、エヴァはマジンガーZの2倍以上の体格、果ては自身と同等くらいの重さ(つまりマジンガー35体分)と思われる敵を数百m蹴っ飛ばし、
腕を握り潰し、バリアA.T.フィールド)を素手でぶち破り、敵をグッチャグチャにするようなヤツなのだ。

敵わぬと思った敵は自爆しキノコ雲が上がるほどの大爆発が起こったが、エヴァンゲリオンは無傷で突っ立ってる。

こんな奴どうやって倒せってんだ!

仕方ないからここは体の小ささを生かして、スピードで翻弄するしかない。
マジンガーZの速力は時速360㎞。これで2倍の体格を持つエヴァの猛攻をしのげるか?

歩幅と足音の数から計測すると、エヴァの疾走速度は約時速200km。おお、これなら何とか持つぞ。
しかしエヴァの装甲にマジンガーZの武器は通用するのだろうか? 

チマチマ攻撃を仕掛けていれば、やがて操縦者のクラい少年はいきり立ち、ガムシャラに攻撃を仕掛けてくるだろう。
しかしこうなればこっちの物なのだ。スピードで勝っている分攻撃はかわせるし、走り続けていれば当然追いかけてくるだろう。
やがて電力を供給するアンビカルケーブルは伸び切って破断し、5分後にはピクリとも動かなくなる。

やったぞ! マジンガーZの勝利だ!
ママンが暴走したらどうするのかって?知らん


第2試合 ガンバスターVSダンガードA

ガンバスターは8機体の中でぶっちぎりの1位、ダンガードAもそれに次ぐ巨体を持つ。
ガンバスターは身長200m(トゲも合わせれば240m)、重量9600t。ダンガードAも200mもあるが、体重はたったの250tだ。

ちょっと待てーい、日本海軍の駆逐艦『島風』は全長129.5mだが、総排水量は2567tもあるぞ。いくらなんでもこいつら軽すぎるんじゃないか?

物体の重量は体積に密度をかけたものだから、身長比の三乗に比例する。
それから密度を計算すると、ガンバスターの密度は水の1/30、なんと発泡スチロール並みだ!!

ま、まあこれはまだ軽量化とかなんとか言えばごまかせなくもないな、ウン。
気を取り直してダンガードAはというと…水の1/500。嗚呼こりゃ駄目だ。これは塩素ガスの詰まった風船玉と同じくらいの比重である。

これではもはや勝負にすらならない。

ガンバスターは光速の99%を出すことができるが、
そんなことをしなくとも、身体がかすめただけでダンガードAはどこまでもゴロンゴロンと転がっていく……。

ガンバスター、余裕の勝利である。


第3試合 ガンダムVSイデオン

うーむ、顔だけはガンダムの同僚とそっくりだが、対戦相手とのサイズ差は5倍もある。
おまけにイデオンは全身にミサイルを仕込んでいるため接近戦など出来るわけもなく、遠距離戦でもこのサイズ差ではお釈迦様と孫悟空だ。
考えるまでもなく、イデオンの勝利。というか、イデオンを呼んだのが間違い!


第4試合 バルキリーVSコン・バトラーV

バルキリーは人型形態で12.86m、重量はたったの13tだ。しかしバルキリーは戦闘機から変形するので、これに関してはウラが取れている。
一方コン・バトラーVはみなさんご存知の通り57m、体重は550t。密度はバルキリーやマジンガーより劣るが、体格差は圧倒的だ。
どちらも戦闘機から変形するメカなので、ここでは戦闘機形態から戦闘を開始することにしよう。

ほぼ一瞬でファイターからバトロイドに変形できるバルキリーに比べ、アニメの画面ではコン・バトラーVは10秒程度で合体しているように見える。
しかしこれ、絶対にやってはいかんのである。

バルキリーはコックピットの位置がほぼ変わらないのであまり問題ないが、コン・バトラーVのように超スピードで合体すれば、
前機体のロケットエンジンの放つ炎に自ら突っ込み、たちまち空中分解してしまう。これでは戦闘前に自滅だ。

そうならなかったということは、あれは演出で実際はエンジンを切り、きちんと余熱が収まってからガシ~ンと変身しているとすればいい。
これにかかる時間はおおよそ96秒。やや長いが、まあスーパー戦隊のメカの中にはこのくらいかかる奴もいるし……。

いやちょっと待て。96秒もかかるということは、90秒近くバルキリーは変形したまま攻撃が出来るっちゅうことじゃないかい。

バルキリーの飛行速度はマッハ2.81と書いてあるが、実際は軽量なので130万kwの推進力が有ればマッハ6.8は出るはずだ。
コン・バトラーVの飛行速度はマッハ11と倍近いが、最高速度で合体したらたちまちお陀仏なので宝の持ち腐れ!
これでは合体に集中できず、戦闘も糞もあったものではない。

戦闘機ロボ対決では、バルキリーが柔よく剛を制す結果となった。
分離したら戦えるんじゃないかとか言ってはいけません


準決勝

第1試合 マジンガーZ VS ガンバスター

軽い軽いと散々馬鹿にしたガンバスターだが、それでも重量はマジンガーの490倍、体格は10倍以上だ。
敵は動かぬ的ではない。これでは足元でちびちびロケットパンチやブレストファイヤーを撃っても、動力系統を破壊しつくす前にやられてしまう。
ならば空に上がってみればどうだろうか。マジンガーZのジェットスクランダーはマッハ3で飛べる。うむむ。バルキリーより遅いじゃんか。

空を飛んで攻撃しようとすれば、当然ガンバスターも本気を出してマックス速度で…待てよ、地上で亜光速?
地球の引力圏を脱出する第2宇宙速度はマッハ32.5、太陽系を脱出するのに必要な第3速度はマッハ50だ。
つまり本気を出した瞬間、ガンバスターはたちまち前どころか上に向かってすっ飛んでいく!

当然戻ろうとするだろうが時すでに遅し、発生したGで操縦者は壁に投げつけた粘土玉のようにぺっしゃんこだ。
こうしてガンバスターは光速で飛ぶ棺桶と化し、マジンガーZは何もしない内に空へと消えたガンバスターの尻を追い続ける……。

やったぞマジンガーZ、まだ何もしていないのに決勝進出だ!
イナーシャルキャンセラー?知らん


第2試合 イデオン VS バルキリー

1回戦でガンダムを秒殺したイデオンともなれば、バルキリーのプレッシャーは半端ではあるまい。
全長150mの巨体を揺るがすには、もう合体途中でも狙うしかないが、イデオンは合体せずにそのまま出撃することも多い…。

こうなれば最早バルキリーはどうあがいても無駄だ。
全方位を一斉攻撃するイデオンミサイルと、そこらじゅう巻き添えにするイデオンガンが待っている。
恐らく、塵一つ残るまい。嗚呼、コラム内では名前すら上がらんうちに死んだ操縦者よ、とこしえに眠れ。

こうしてイデオンも予想通り決勝に進出した。
それにしてもホント迷惑なロボだな、イデオン。


決勝戦 マジンガーZ VS イデオン

いよいよ雌雄を決する時が来た。
サイズ差は相変わらず猫と象のケンカだが、こちらだっていつも逃げてばかりはいられない。
何せイデオンの圧倒的な火力に対抗するには、先に仕留めるしかないからだ。

よーし、必殺のブレストファイヤーをお見舞いしてやる!

だが、ブレストファイヤーには予備動作が有る。
イデオンのパイロットも「これはアカン」と判断し、迎撃してくるのではないだろうか。

ここは最強の破壊力を持つイデオンソードを使うとしよう。
何せこの技、惑星をぶった切って裏側にいる敵を蒸発させるほどの威力なのだから。

岩を蒸発させるエネルギーは、岩を溶かすエネルギーの倍以上だ。

これではぶつけ合った瞬間、ブレストファイヤーは一瞬で掻き消されて
マジンガーZはカゲロウのように蒸発してしまうことだろう。

というわけで勝者はイデオン。いやあ、あっけなかったなあ……。


待 て よ

光にも反動と言う物は存在する。ブレストファイヤーのように範囲を狭めて撃てば特に反動は無いが、惑星を溶かすとなれば話は別である。
イデオンソードを展開した瞬間、5650tしかないイデオンはそのまま反動でズゴゴゴゴと空に向かって飛んでいく
そしてその反動は、重力の数十倍でコックピットをギュギュギュのギューッと圧迫。うおっ、またパイロットがペシャンコに!!
この結果イデオンは剣を構えた棺桶と化し、空に飛びあがりながらも放たれたイデオンソードの光でマジンガーZは蒸発。
光の速度は30万㎞/sだから、イデオンが自滅するのとマジンガーZが消滅するのは絶妙なタイムラグがある!
じゃあどうやってここまで勝ち抜いてきたんだよ


よってマジンガーZの勝ちだ!!!
別にイデオンソードでしか倒せないわけでもないと思うけどね!

嗚呼、何ということだろう。
柳田氏が中学時代の永遠の憧れだった、日本初のスーパーロボット・マジンガーZが最強の座に輝いたのだ。
これほど柳田氏にとって嬉しい結論は無いだろう。マジンガーZよ、栄冠は今君に輝く!
好きだ! 好きよ! 僕らのマジンガーZ!!



史上最強のスーパーロボットは!! マジンガーZだ!!!!










どう見てもズルだって? 気にしなーい。
この方もきっとこの結果に喜んでいるだろう。





追記、修正はキーボードを打った反動で跳びあがって天井に頭をぶつけないように注意して行ってね!

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最終更新:2025年07月24日 09:30