ホビット 決戦のゆくえ

登録日:2014/12/31 Wed 23:39:12
更新日:2025/01/07 Tue 15:50:54
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THE HOBBIT

THE BATTLE OF FIVE ARMIES



※ネタバレにご注意ください。












『ホビット 決戦のゆくえ』とは、アメリカのファンタジー・アクション映画。
J・R・R・トールキンの児童文学小説『ホビットの冒険』の実写映画化第三弾である。



概要


北米公開日は2014年12月19日。日本公開日は2014年12月12日。
上映時間は145分と、『LOTR』シリーズの中でも最短となっている。
監督は前2作に引き続きピーター・ジャクソン。

当初の構想の二部作から三部作へと変更になり、完結編である今作は原作最大の目玉である『五軍の合戦』がメインとなっており、劇中の七割は合戦シーンで構成されている。
当初のサブタイトルは原作にもつけられた『ゆきて帰りし物語』だったが、現在の構成に変更されると作中のほとんどが合戦シーンとなり、肝心の『ゆきて』の部分があやふやとなってしまったため、大筋である『五軍の合戦』にタイトルも変更された。
前2作では抑え目だった『LOTR』名物の「敵味方入り乱れた大合戦」シーンは本作で爆発。
『二つの塔』のヘルム峡谷や『王の帰還』のペレンノール野の戦いに負けず劣らずの大迫力で観客の需要を抑えている。



物語


エレボール奪還のために邪竜スマウグの退治へと向かったビルボとトーリンらドワーフの一団だったが、彼らはスマウグの退治に失敗してしまう。
スマウグは山の下の王国から脱走し、湖の町へと飛来。町を炎に包み、阿鼻叫喚の惨状を引き起こしてしまった。
そこへ、捕らわれていたバルドが脱走し、半鐘の塔から黒い矢を射る。
そして、ついに彼は先祖が為し得なかった因縁に決着をつけるのだった。

惨劇から一夜明け、湖の町は壊滅。住む家を失った彼らは、バルド先導のもと、はなれ山の麓の谷間の町・デイルの廃墟へと向かう。
だが、スマウグが倒れエレボールの奪還に成功したトーリンは、王国の溢れんばかりの黄金の山にすっかり心を奪われ、今やその独占欲を隠そうともしなかった。
さらに、未だに見つからないアーケン石の行方ばかり気にし、部下のドワーフにすら疑いの目を向ける始末。それはまさに、晩年の祖父スロール王の生き写しであった。

やがて、エレボールに隠されたエルフの宝を手に入れるため、スランドゥイル率いる闇の森のエルフ軍も到着。全面攻撃を仕掛けるという。
争いを好まないバルドは町の復興のための報酬金を得ようとするが、欲に憑かれたトーリンはこれを拒否。
もはや双方との全面戦争も時間の問題となった。
トーリンの身を案じたビルボは、密かに隠し持っていたアーケン石をバルド達の元に届け、休戦の取引に利用しようとするが、トーリンは余計に逆上し逆効果に。

一触即発の最中、エレボール制圧のためアゾグ率いるオーク軍までもが乱入。
こうして、トーリン率いるエレボールのドワーフ一行と救援に駆け付けたダイン率いるくろがね山のドワーフ、バルド率いる湖の町の人間、スランドゥイル率いる闇の森のエルフ、ドル・グルドゥアから発ったワーグを駆るアゾグ率いるオーク、さらにはボルグ率いるグンダバドの連合軍の奇襲、大鷲の援軍なども加わり、五つの軍団の大混戦が始まった…。


登場人物


≪エレボール≫
◆ビルボ・バギンズ
演:マーティン・フリーマン(老年:イアン・ホルム)/吹き替え:森川智之(山野史人)
旅の仲間の忍びの者。
共に過ごすうちにトーリンには単なる雇い主を超えた想いを抱き、欲に溺れる彼を純粋に心配する。
戦争を止めるため、またドワーフ達に生きてもらうに忍びの者として裏で奮闘する。
しかし彼自身もしっかり指輪に対する執着が芽生えており…

◆トーリン・オーケンシールド
演:リチャード・アーミティッジ/吹き替え:東地宏樹
人徳に満ちた「樫の盾の王」だったが、黄金への欲望が肥大化する「竜の病」に取り憑かれ、今や見る影もなく暴君と化してしまった。
さらに、アーケン石が行方不明になったことから部下に対しても疑心暗鬼に取り憑かれ、その姿に最早彼に忠実だった周りの兵士達もドン引きしつつある。
一方で、歴戦を乗り越えたビルボには「真の友」と呼び、ミスリルの肌着の贈り物を与えるまでに信頼を重ねるが、アーケン石を盗んだことを知り、破綻してしまう。
混戦においても、親類が危機に陥っているのに静観を決め込もうとするが、忠臣らの言葉に心を開き、遂に「樫の盾の王」としての誇りを取り戻す。

◆フィーリ
演:ディーン・オゴーマン/吹き替え:落合弘治
イケメン兄弟の兄。
最期まで王と共に戦おうとするが、最期はあまりに無惨なものだった。

キーリ
演:エイダン・ターナー/吹き替え:土田大
イケメン兄弟の弟。
タウリエルに命を救われ、恋心をより深め彼女に母の形見のお守りを託す。
それをもって別れるが、思わぬ再会を果たし…。

◆バーリン
演:ケン・ストット/吹き替え:稲垣隆史
竜の病に取り憑かれ、正気を失う王に心を痛める。

◆ドワーリン
演:グレアム・マクダビッシュ/吹き替え:玄田哲章
黄金への欲望と王としての誇りの葛藤に苦悩するトーリンを諌め、彼を導く手助けをした。
彼の決戦にも同行し、獅子奮迅の活躍を見せる。

◆オイン
演:ジョン・カレン/吹き替え:小島敏彦
◆グローイン
演:ピーター・ハンブルトン/吹き替え:稲葉実
◆ボフール
演:ジェイムス・ネスビット/吹き替え:平田広明
◆ボンブール
演:スティーブン・ハンター
◆ビフール
演:ウィリアム・キルシャー
◆ドーリ
演:マーク・ハドロウ/吹き替え:茶風林
◆ノーリ
演:ジェド・ブロフィー/吹き替え:佐藤せつじ
◆オーリ
演:アダム・ブラウン/吹き替え:宮田幸季
今作では個人個人では目立たず、ほとんどモブのような扱いである。
強いて言えばボフールがビルボを逃がす手助けをするくらいか。

≪ドワーフ援軍≫
◆ダイン
演:ビリー・コノリー/吹き替え:石塚運昇
トーリンの先従兄弟。
東方のくろがね山の指導者で、エレボールの応援に自軍を率いて参上する。
猪ないしは豚に乗って戦場を縦横無尽に駆け回る、巨大なハンマーと兜いらずの
石頭から繰り出される強烈な一撃で、押し寄せるオーク共を次々と葬っていく等
引きこもり中のトーリンに変わってエルフ無双とはまた一味違うドワーフ無双を披露した。

≪闇の森のエルフ≫
◆スランドゥイル
演:リー・ペイス/吹き替え:森田順平
スマウグの死を聞き、かつてスロール王が独占していたエルフの宝の首飾りを強奪するため軍を率い、はなれ山に出兵。ついでに町を失ったバルドたちへ援助を差し伸べる。
この状況でもドワーフへの侮蔑は変わらず、徹底して自身の種族の永続のみを願う。
戦闘ではオオツノジカ突進や華麗な二刀流を振るい、まさにこの親にしてこの子ありの活躍を見せる。

◆レゴラス
演:オーランド・ブルーム/吹き替え:平川大輔
はなれ山へと襲来しつつあるオークを独自に追い、エルフ軍としてではなく単独で参戦。
ドワーフに情を寄せるタウリエルを見るうちに、父の態度に疑問を抱き始める。
戦闘では完全に主人公クラスの大活躍っぷり。コウモリにぶら下がりトロルを操り倒壊する岩の上を駆けまわる。誰かあいつを止めろ。

◆タウリエル
演:エバンジェリン・リリー/吹き替え:甲斐田裕子
レゴラスと共にオークを追うが、ドワーフを助けたことから追放処分を受ける。
心の中で育つキーリへの愛を抑えきれず、結果的にエルフ軍を捨ててドワーフ側に加勢し、キーリの窮地を救おうとするが…。

≪湖の町・エスガロス≫
◆バルド
演:ルーク・エヴァンス/吹き替え:山路和弘
家族を守るため、町を破壊し尽くす邪竜を伝説の黒い矢で見事弱点を射抜き、先祖の汚名を晴らした。
その功績をたたえられ英雄扱いされるが、家族を大事に考える彼は新しい統領の座を断る。
トーリンと平和的に解決しようとするが一蹴され、望まぬ戦いに駆り出され、町民達を率いていく。

◆統領
演:スティーブン・フライ/吹き替え:銀河万丈
町民を見捨て財宝を持って自分だけ船で逃げようとしたが、バルドが仕留めたスマウグの下敷きになり、あえなく死亡。
まさに自業自得の最期であった。

◆アルフリド
演:ライアン・ゲイジ/吹き替え:河本邦広
統領に見捨てられたものの悪運強く生き残り、新たな町の指導者であるバルドに媚を売る。
しかし戦争に突入しても無様に戦争から逃げ続ける、呆れるほどの生き意地の汚い男。
臆病者と罵られた時の彼の言葉はある意味名言。


≪白の会議とその協力者≫
ガンダルフ
演:イアン・マッケラン/吹き替え:羽佐間道夫
火の指輪<ナルヤ>の所有者。
前作で罠に嵌り死人遣いに捕えられ、生命力も吸われていたが、白の会議の仲間達に救出される。
その後、オーク軍の総攻撃をドワーフ一行に伝えるためはなれ山へと急行。
しかし、スランドゥイルもトーリンも頑なに自分の意思を曲げようとせず、戦争が勃発しかかってしまう。

◆ガラドリエル
演:ケイト・ブランシェット/吹き替え:塩田朋子
水の指輪<ネンヤ>の所有者。
窮地に陥ったガンダルフを救出しにドル・グルドゥアに現れる。
その活躍たるや、ネンヤで瘴気を跳ね除け、ガンダルフをお姫様抱っこし、さらには玻璃瓶をもって修羅のごとき覇気を解放し、中つ国最高クラスの力をまざまざと思い知らせた。
まさに敵に回すと怖い奥方である。

◆エルロンド
演:ヒューゴ・ウィーヴィング/吹き替え:菅生隆之
風の指輪<ヴィルヤ>の所有者。
今回は甲冑姿での剣術も披露。エルフの領主としてその名に恥じない活躍である。

◆サルマン
演:クリストファー・リー/吹き替え:大木民夫
最高位の魔法使いとして、全盛期の実力(物理攻撃)を見せつけた。
しかしきっちりとその後のフラグを立てている…。「サウロンのことはわしに任せろ」とは言い得て妙。
信じて送りだしたサルマンが(以下略
なお、ロード・オブ・ザ・リング及びホビット第1作で日本語吹替を担当した家弓家正氏は2014年9月に死去したため、本作では大木民夫氏が演じた。

◆ラダガスト
演:シルベスター・マッコイ/吹き替え:野島昭生
ガラドリエルらと共に応援に駆け付け、負傷したガンダルフをソリに載せて逃がした。
最後には美味しい所も持って行く。

≪闇の軍勢・その他の敵≫
◆アゾグ
演:マヌー・ベネット
スマウグの死を聞きつけ、絶好の機会としてエレボールの制圧のため大軍を率いて混戦の最中攻撃を仕掛ける。
そして復活した因縁の男と決着の時が…。ちょいちょいシリアスな笑いを提供してくれる。

◆ボルグ
演:ジョン・チュイ
湖付近でレゴラスと交戦して逃走し、その経緯で彼らにオーク軍の集結を知らせることとなった。
今回はレゴラスと因縁づけられ彼と死闘を繰り広げることに。一応、原作ではラスボスなのだが親父が生きてる設定に変更されたので割を食う。

◆スマウグ
演:ベネディクト・カンバーバッチ/吹き替え:大友龍三郎
前回でラスボス感たっぷりに湖の町へと襲来し、破壊の限りを尽くすが、実にあっけなく、自分を撃ち損ねた男の子孫の因縁に終止符を打たれることに。

◆死人遣い/冥王サウロン
かつて中つ国を支配せんと闇の力を振るっていた魔の精霊。
肉体を滅ぼされたと思われていたが、完全には死んではいなかった。
そして今もなお、完全復活の時を、それは密かに待っている…。

◆指輪の幽鬼(ナズグル)
かつて九つの力の指輪を与えられた人間の王。
今や死人遣いの手中に置かれ、傀儡として使われるだけの哀れな存在である。
幽体で、サルマンやエルロンドと互角の実力を持つ。






用語集

◆ミスリルの胴着
トーリンがビルボに友好の証として贈った着物。
硬くて丈夫な鉱物で織られた鎖かたびらで、あらゆる刃も通さない。これが真に役立つのは実に60年後のことである。

◆玻璃瓶
ガラドリエルが所有している、水晶で出来た小瓶。
中つ国の中でも神聖なるエアレンディルの光を集めて封じ込めたものであり、あらゆる闇を遠ざける効能がある。

◆グンダバド
北方の灰色山脈と霧ふり山脈の間にある、アゾグやボルグといったオークの拠点地。
かつての大国アングマールの拠点のひとつでもある。










THE END







or...




To be continued to

THE LORD OF THE RINGS







and...





THE LORD OF THE RINGS

THE WAR OF THE ROHIRRIM

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最終更新:2025年01月07日 15:50