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アルスラーン戦記(荒川弘)

登録日:2015/07/04 Sat 19:02:37
更新日:2026/07/07 Tue 16:06:52
所要時間:約 6 分で読めます





少年は、そして王となる―


『アルスラーン戦記』とは、田中芳樹の大河ファンタジー小説を原作とした荒川弘の漫画。
『別冊少年マガジン』2013年8月号より連載開始。2026年1月現在、既刊23巻。

■概要


同作の漫画版は、かつて中村地里の手によるものがあったが、
本作はモチーフとされる古代ペルシアの習俗をかなり取材しており、特に甲冑のデザインの違いが顕著である。主なサブタイトルは〇〇王の災難と冬の終りである。

本作の熱狂的なファンの編集者が「荒川先生はアルスラーン好きだろうしコミカライズ企画をさせてください」と決めつけてコミカライズの企画を持ち込んで原作・編集・荒川が集まった最初の打ち合わせで実は未読と判明。
それでもめげずに「荒川さんが絶対気にいるので読んでください!ていうか読んでると思ってました!」と強く推して「読んでみたら案の定、持っていかれた」とのこと。
原作の田中氏から「好き勝手OK」のお墨付きをもらっており序盤からところどころ独自アレンジのあるコミカライズだが、中盤(特にアルスラーンのルクナバード探索編あたり)から原作と別展開を見せ、第2次アトロパテネ会戦から完全に独自展開に移行。ボダンなど多くの主要人物に「決着」がつき始めている。

2015年4月からTBS日5枠にてアニメ化された。
アニメは原作の第1部を中心に、全25話。
2016年7月より同じ枠で続編『風塵乱舞』(全8話)が放送された。

映像ソフトの販売元はNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンで、
この枠で初めてアニプレックスとバンダイビジュアル以外の企業から円盤が発売された。
もっとも、主題歌は例に漏れずソニーミュージックだが。

■あらすじ


大陸中部を支配する大国パルスは、西方の宗教国家ルシタニアの侵攻作戦を受けアトロパテネ平原で会戦し、誰もが予想していなかった大敗を喫した。
パルス国の王太子アルスラーンはこのアトロパテネ会戦で初陣に出ており、自軍が混乱・分断される中で敵中孤立の危機に陥ったがパルス軍の若手将軍ダリューンに助けられ、どうにか戦場外に脱出を果たした。
その後、隠遁生活を送っていたダリューンの旧友ナルサスとその従者エラム、自称旅の楽士ギーヴ、ミスラ神殿の女神官ファランギースを仲間に加え、王都エクバターナに帰還しようとするが、王都は既にルシタニアの手に落ち、父王アンドラゴラス3世はルシタニア軍に捕らえられていた…

こうして、アルスラーンの祖国を取り戻す旅と戦いが始まった。

■登場人物


【アルスラーン一行】

  • アルスラーン(CV:小林裕介)
主人公。パルス国王アンドラゴラス3世の長男、王太子。アトロパテネでの初陣当時、14歳。
王と王妃からは冷たくあしらわれるが、それでも心優しく、かつ戦いとなれば剣を振るうことにやぶさかではないまともな人物に育っている。周囲の教育が良かったのだろう。
しかし、初陣において信じるべきはずのものが信じられない事態が連続し、戸惑いと激動の中に投げ込まれた。だが周囲の予想に反してその芯は寛く頸く、逆境にあっても潰されることなく多くの戦いと駆け引きを経て王の器として成長してゆく。
ナルサスの評価は「あの方に必要なのは、いつもそうだが、時間だけだ」とのことで、寛容かつ賢明だが早熟の性はないといった所。

デザインが男の娘的で、姫殿下やらヒロインやらネタにされることも。1期EDでラクダにペロペロ(^ω^)されているときの顔はまさに牝!!
ナルサスの絵の被害者。

パルス国万騎長(マルズバーン)のひとりで、万騎長の最年少。パルス現職大将軍ヴァフリーズ公の甥っ子。
戦士の中の戦士(マルダーン・フ・マルダーン)猛虎将軍(ショラ・セーナニー)などの異名を持つ戦士。敵、味方双方から「人間相手ならまず負けない」と認識されており、その様相は化け物や怪物に例えられることも。単純な武力なら一行の中でも最強。王太子としてではなく、アルスラーン個人に対して忠誠を誓うようヴァフリーズに乞われ、またアルスラーンを守る道中でそれを自分自身の誓いとしていった。アルスラーンが冷遇されたり侮辱されたりするとぶち切れて大変怖い。
アルスラーン一家の物理担当筆頭だが、脳筋とは程遠く頭の働く人物でもあり、アトロパテネの混乱の中でも自分が置かれた状況を冷静に判断できていた。また人の心に寄り添う感性も持っており、アルスラーンの心の支え。
ナルサスとは旧知の間柄。
きれいなキンブリー

政戦両略に並外れた頭脳の持ち主。かつてチュルク・トゥラーン・シンドゥラの東方3国が攻めて来た際、流言を用いて内紛を引き起こし、見事撃退した天才軍師。
アンドラゴラス王からはその知略を重宝され、パルス国ダイラム地方の領主と宮廷書記官の任を与えられていたが内政面で諫言を繰り返し、これを疎まれたため辞職。
身分と役職を返上して隠遁生活を送っていたが、王都奪還の暁に宮廷画家として召し抱えることを条件に一行に加わる。
しかしダリューン曰く、絵はヘタクソ。実際その通りで、描きかけの絵を見たアルスラーンの感想は「いや...すごいものを見た」、そしてただの風景画(描きかけ)を見たジャスワントは硬直した。更にはその後ルシタニア軍の兵士への拷問にナルサス作の絵が使われるという恐ろしく不名誉な事も。
一行の中では圧倒的に頭脳派だが、実は剣術も達者で、ダリューンやキシュワードには及ばないながらも、千騎長すら一蹴するほどの腕前。

ナルサスの従者である解放奴隷の少年。
ナルサス所有の奴隷だった両親の遺言に従って、ナルサスに仕えている。
当初、アルスラーンに対してはやや冷たい態度を取っていたが、行動を共にする中でアルスラーンとの親交を深めていく。
ナルサスと結婚しようとしているアルフリードとは仲が悪いが、それでもお互い信頼しあっている良き関係。
剣や弓の扱いはできるもののナルサスやギーヴには劣る。しかしナルサスの知略を間近で見てきたからか咄嗟の行動力は高い。

自称・旅の楽士の女好きな色男。楽士としての腕前は確かであるが、それ以上に女の扱いに長けており、女奴隷をたらし込んで金庫の鍵を見つけ出す、使者として敵の城に入った時には女官達を侍らせ城の財宝を貰っていくなど、ただの色男ではない。
ファランギースを目当てに一行に加わるが、当の彼女からは相手にされていない。
王族というものに対して否定的な考えを持っている。しかし、アルスラーンが「王族らしくない」ことから興味を持ち始める。
敵の捕虜になったシャプールの「敵に穢されるより味方にとどめを」との言を受けて数十メートルの城壁の上から正確に眉間を射抜くなど弓の扱いに長けており、剣の実力も高い器用な男。

ミスラ神殿の女神官で自他共に認める絶世の美女。
先代の神官長の遺言により(本人曰く)半ば厄介払いのような形でエクバターナに派遣されるが、その途中でアルスラーン一行にギーヴ共々加入する。
精霊(ジン)なる謎の存在と交信する事ができ、敵の位置や相手のある程度の素性を読み取ることができ、キシュワード達と合流するまでは大いに活躍した。
剣や弓の扱いも達者で、特に弓に関しては馬の目を射抜くのは朝飯前、火矢を投石機の縄部分に城壁の上から打ち込み破壊など劇中でもトップクラスの存在として描かれている。
また酒に強く、ラジェンドラとギーヴと飲んだ時にはギーヴ曰く「自分が一杯飲む間に三杯は飲ませた」のに二人が酔い潰れるまで相手し、さほど酔った様子もなく寝酒を要求していた。
坂本真綾は日5枠の前作に引き続いて痴女ルックのキャラを演じることになってしまった。

  • アルフリード(CV:沼倉愛美)
山地で山賊を主な生業とするゾット族、その族長ヘイルターシュの娘。
陽気で気は強いが、捕虜となったルシタニア避難民の面倒をこまめに見てあげるなど細やかで情に厚い性格。
縄張りに侵入したヒルメス一党を父や手下と共に襲うが返り討ちに遭い、ナルサスに助けられた。そしてナルサスに恋心を抱き彼に父の敵討ちも兼ねてついて行くことになった。
アルスラーンと合流してからもそのまま同行し、アルスラーン陣営に参加することとなる。

ガーデーヴィ陣営に属していた元シンドゥラ国の間諜。
誠実で生真面目、温厚で義理堅い男。元々はガーデーヴィ派の宰相マヘーンドラの命令でラジェンドラ陣営に潜入していた。
ガーデーヴィの敗北、父のように慕うマヘーンドラの死で行き場を失っていたところをアルスラーンにスカウトされ、戦闘でアルスラーンに3度命を助けられた恩を返すべく陣営に加わる。
弓の扱いは描写されていないが、剣の実力はギーヴに劣らず、ダリューンも「かなり使える」と認める凄腕。
このコミカライズにおいては、外部からの加入者という事もあってかアルスラーン一家のぶっ飛んだ言動・考えに唖然としたりガッツポーズしたり、読者視点でのリアクションの代行者という面も担っている。
ナルサスの絵の被害者。

【パルス国】

  • アンドラゴラス三世(CV:菅生隆之)
パルス国王でアルスラーンの父。
武勇に秀でた王だが、自ら軍を率いたアトロパテネ会戦で大敗を喫し、ルシタニア軍に囚われてしまう。

パルス国王妃でアルスラーンの母。
夫ほどではないが、アルスラーンには冷徹な態度で接する。
エクバターナ占領後はルシタニア王に献上される。

  • ヴァフリーズ(CV:津田英三)
パルス国大将軍(エーラーン)。ダリューンの伯父にして、アルスラーンの武術指南役。
アトロパテネの会戦で撤退中に銀仮面卿に討たれ戦死。
会戦の前には甥であるダリューンにアルスラーン個人に忠誠を誓うように望むなど、
アルスラーンの出生に関わる、ある重大な秘密を知っていた。

パルス国万騎長。アトロパテネの会戦の時には、東方国境のペシャワール城塞をバフマンと共に守備していた。

2本の剣を使うことから、「双刀将軍(ターヒール)」とも呼ばれる。
先祖代々パルス王家に仕え、キシュワードを含めて1人の大将軍、8人の万騎長を輩出した名門の出。
告死天使(アズライール)と告命天使(スルーシ)という2羽の鷹を飼っており、伝令役としても重宝している。
アルスラーンが奴隷解放を即位後に行おうとしていることを打ち明けた際には、反対はしないものの、貴族等の反発を招くことを危惧した。
アルスラーン一行が城塞に到着後は、王都奪還の挙兵に応じる。

  • バフマン(CV:武虎)
パルス国万騎長。キシュワードと共にペシャワール城塞を守備する。
パトロアテネの会戦の前に、ある秘密をヴァフリーズより託され、苦悩することになる。
アニメでは、城塞内でアルスラーンがヒルメスに襲われたところを身を挺して庇い、死亡する。
かつてはヒルメスの教育係でもあった。

パルス国万騎長。左眼が一文字に潰れている。「ほら吹きクバード」の異名を持つ酒好きの男。
第一次アトロパテネ会戦での万騎長の半数が戦死または捕虜になる中を生き残った。その後は軍を離脱し各地を放浪、サームに請われ一時はヒルメスに仕えた。
反骨心が強く、気に入らない相手であれば、王族相手でもそっぽを向くようなところがある。
戦闘能力は非常に高く、自身をパルスで二番目の豪勇だと自負している。幅の大きな大剣を扱い、ザンデですら驚嘆するほどの豪腕で敵を兜ごと真っ二つにする力を持っている。弓は得意ではないと言いながらも射程内であれば問題なく仕留めれる技量を持っている。

パルス国万騎長。イスファーンの異母兄、同じ万騎長のクバードとの不仲は有名で、列に並ぶ時には必ず両端に離れて立つと言われるほど。
第一次アトロパテネ会戦でルシタニアの捕虜となる。エクバターナの城門前にて、ボダンによる拷問の最中にパルス軍によって殺されることを望み、ギーヴの放った矢によって射殺された。

  • ガルシャースフ(CV:乃村健次)
パルス国万騎長。第一次アトロパテネ会戦には参加せず、サームと共に王都エクバターナの守備の任に就いていた。優れた武将だったが、同僚のサームと比べると即戦即決派で、また奴隷に対しては冷淡な態度をとった。エクバターナ防衛戦で勇戦するも戦死する。

  • マヌーチュルフ、ハイル、クルプ、クシャエータ
パルス国万騎長。第一次アトロパテネ会戦に参戦し戦死する。


【銀仮面卿とパルス反乱軍】

ルシタニア王国客将。その名の通り銀色の仮面を着けている。
アトロパテネの会戦では彼の策が効を奏し、ルシタニアを大勝に導き、ヴァフリーズを討ち取り、アンドラゴラス王を生け捕りにした。
アンドラゴラスには個人的憎悪を持っているようだが……?
正体は先代パルス王オスロエス五世の息子・ヒルメス。つまり、「本来ならパルス国王を継ぐはずであったが、アンドラゴラスにより王位を簒奪された」として憎悪をたぎらせる。
一般には火事で死亡したとされていたが、実は生き延びており、アンドラゴラスへの復讐のためにルシタニアと結託して舞い戻って来た。

  • カーラーン(CV:大川透)
パルス国万騎長だったが、アトロパテネの会戦で祖国を裏切りルシタニアを勝利に導いた。ルシタニア側についている...とアルスラーン達は思っていたが、本当はルシタニア側というよりヒルメス側についていた。
その後はアルスラーンの首を獲るべく略奪を行って炙り出そうとしたが、ナルサスの策によって逆に炙り出され、ダリューンに追い詰められて、事故同然に死亡した。

カーラーンの息子。カーラーンの死亡後は、父と同じくヒルメスに仕える。
戦闘では大剣を用い、ダリューンも驚く剛腕と情報収集能力でアルスラーン一行を追い詰めた。
追撃中、ダリューンとは二度対峙する。二度目の対峙で落馬し、ダリューンに槍を突き付けられ逃走しようとしたところを、ファランギースに射られて崖から転落した。

  • サーム(CV:家中宏)
パルス国万騎長。城砦の攻防に定評があり第一次アトロパテネの会戦には参加せず、ガルシャースフと共にエクバターナの守備に就く。
エクバターナ陥落時に捕らえられた後ヒルメスの秘密を知らされ、苦悩の末、ルシタニア人をパルスから追い出すことを条件に配下となり、参謀として活躍する。


【ルシタニア王国】

  • エトワール(CV:内山夕実)
バルカシオン伯に仕える、ルシタニア王国騎士見習い。
かつて捕虜としてエクバターナに連行されたが、町に降りてきたアルスラーンを人質に取り脱出に成功。
アトロパテネ会戦後は占領軍として再びエクバターナにやって来た。
アルスラーンの顔は覚えていたが、「タダの貴族のおぼっちゃん」という認識で、「お尋ね者のアルスラーン」だとは気付いていない模様。
ネタバレ:実は女性で、本名はエステル。
物語冒頭で捕虜として初登場するのは漫画版のオリジナル展開である。

  • イノケンティス七世(CV:桜井敏治)
ルシタニア国王。イアルダボート教の熱心な信者でもある。
酒の代わりに砂糖水を飲み、その外見は太りきっている。
政治への関心は薄く、弟のギスカールに殆どを任せている。
パルス占領後、敵国の王妃で異教徒でもあるタハミーネの美貌に惚れ込んでしまい、臣下の信用を失っていく。

ルシタニア公爵。イノケンティス七世の弟。
政治に関心を持たない兄に代わり、ルシタニアの実質的な最高権力者となっている。
政治と軍事の両方に精通し、臣下からの信望も厚い。
イアルダボード教にのめり込む兄や、狂信者であるボダンなどといった人物達に振り回される苦労人でもある。
兄からはいつも厄介事を押し付けられることや、兄というだけで王の座へとついたイノケンティスを憎んでおり、王位への野望を持っている。
剣の扱いも前線に出るルシタニアの将軍達には及ばないがそれでもかなりのものであり、隊を任せられる程の実力者であっても瞬殺は出来ないレベルのもの。

  • ジャン・ボダン(CV:斎藤志郎)
ルシタニア王国国教会の大司教であり、同教会の異端審問官。
イアルダボード教以外の宗教を認めず、焚書や虐殺を厭わない狂信者。
教会直属の聖堂騎士団を配下に持ち、ギスカールとは政敵の間柄。
異教徒であるタハミーネとの婚姻を望むイノケンティス七世に対しては怒りを露わにし、パルスの大図書館所蔵の書物を焚書する際には、国王の目の前で「異教徒の女にうつつを抜かす者は邪心を持っている」と言い放った。


【シンドゥラ】

シンドゥラ国第二王子。気さくであるが厚かましい一面を持つ青年。
笑顔の下に利己的な計算を隠した野心家であり、アルスラーンの協力を得て異母兄ガーデーヴィと王位を争う。
窮地に躊躇なく泣きつく一方でパルス軍を使い倒す算段を立てたり(当然ナルサスには看破されている)と妙に人間臭く、
アルスラーンを除いて一行からの印象はあまりよくないが、それでいて害意を抱かれるほどでもないという不思議な関係にある。



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最終更新:2026年07月07日 16:06