レイジングループ

登録日: 2017/11/05 Sun 00:43:04
更新日:2023/07/04 Tue 19:25:46
所要時間:約 15 分で読めます





◆今作は公式からネタバレに関するガイドラインが設けられています。
撮影・動画配信以外に関しては明確な制限を設定されていませんが、この記事では基本それに従うものとします





おおかみをくくれ。

よみびとを絶やせ。

「人狼村」の禁忌を暴き、

「死の円環」をうち壊せ。




レイジングループとは、KEMCO制作のADV。
Android/ios、PC、PSVITA/PS4Nintendo Switchにて発売。


■概要

鈍色のバタフライ」や「D.M.L.C. -デスマッチラブコメ-」から続く、KEMCO制作のADV第5弾。
人狼ゲームループ物をモチーフにしており、閉鎖的な村の中で行われる狼探しの殺戮の宴の謎を
何故か「死んでも始まりからループする状況」に陥った主人公が迫っていくストーリーとなっている。

なお今作では人狼ゲームが、そのままゲームのモデルとしていることを明かしている。
そのためゲーム内での役職などは、名前は違うがほぼそのまま。
ただし「人狼ゲーム」そのものではなく、あくまで人狼ゲームがモデルの儀礼が出てくるADVのため、そこら辺は注意が必要。
また、ドワンゴとのコラボレーション作品となっており、ドワンゴクリエイティブスクール所属声優による
シリーズ初のボイス付き作品となっている。

公式での紹介は「長編ホラー・サスペンスノベル」。
そのため残酷表現も多く、イラストはないが文章では ぶっしゅぶっしゅなことに。
その手の表現が苦手な人のための「残酷表現OFF機能」も搭載されている。


元々はスマホ用のADVだったが、かなりのボリュームがありフルプライスでも十分な出来となっている。
その後、評判が良かったためかCS機にも続々と移植される流れとなった。
またCS・PC移植の際にパートボイスだったのがフルボイスに変更され、追加絵や加筆修正などが行われている。
PS4版はパッケージ版も発売され、Nintendo switch版は任天堂公式の「お客様が選ぶ!2017年おすすめソフトランキング」で6位にランクインされた。

注目が高くなったためか、2018年3月にはホビージャパンから設定資料や短編小説がまとめられた「レイジングループ完全読本」が発売された。
さらに2019年4月から、星海社より小説版が全7巻で発売が決定。
各巻には奈須きのこ虚淵玄、小高和剛、日向夏、イシイジロウ、芝村裕吏、竜騎士07による解説文が付属している。



  • OP「キリノネガイ」
    作詞:amphibian 作曲:乃々都 編曲:ドワンゴ 歌:D-LU-PS
  • ED「Last Acceleration」
    作詞:amphibian 作曲:乃々都 編曲:ドワンゴ 歌:芹沢千枝実(北澤志穏)
  • 劇中歌「しんないもうで」


なお、シリーズ恒例で公式でネタバレに関するガイドラインが設けられており、撮影や動画配信などをする際には
これに従ってほしいことが呼びかけられている。
ゲーム内の「おしらせ機能」で、動画配信不可能な場所まで来たら警告が表示されるように設定できる。
+ 今作に関しては
ルート『4.潜入』、チャプター『Q.入村方法は』で選択肢が出るまで。


■ストーリー


バイク旅行者「房石陽明(ふさいし・はるあき)」は、道に迷い、事故を起こし、山中をさまよう。
暗い茂みと冷たい沢を越えたところ、彼は見知らぬ若い女に救助され、酒宴に招かれる。

一夜明け、陽明は自分が「望ましくない場所」にいると気付く。
隔絶された地理、よそよそしい住人、奇妙な風習、信仰──。
回収されたバイクを修理し、早々に集落を去ろうとする陽明だが、
突如発生した夕霧と、住人のパニックに巻き込まれ、機を逸する。

その夜、彼は「人狼」に襲われ、死亡する。
しかし―気付けば、バイクで迷っている最初の夜に戻っていた。
再び休水集落に入った陽明は、怪物との遭遇と死を回避する。
翌日、集会堂に集まった住人たちは、驚くべき行動に出た。


曰く、かつてひとが殺めた神の使い「おおかみ」が復活した。
住人を殺して入れ替わっているおおかみを、合議で選んで「くくる」べし。
その恐るべき処刑儀礼は、名を「黄泉忌みの宴」といった──


迷信。狂気。怪物。そして「死に戻り」の不思議──
霧の中でゆらめく数々の怪異を、暴かねばならない。

そのためには、死ななければならない。
致死の選択を、やり直さねばならない。
“前”よりも、先に進まねばならない。

そのために、
投票に勝って、他人を処刑せねばならない。


(公式サイトより抜粋)



■システム

  • KEY
主人公・陽明の「死に戻り」での優位性を再現したシステム。
作中の行動や死と引き換えに情報(KEY)を手に入れることができ、必要なKEYが揃っていると新たな選択肢を選ぶことができるようになる。

初回はロックがかかっている選択肢が多いため、とりあえず先に進めて情報を集めることが重要。
BADENDでの展開で得られるKEYもあるので、選択肢をミスっても割とOK。


  • スト-リーチャート
ループ物なので複雑なシナリオだが、流れはチャート形式で纏められており、把握しやすくなっている。
既に読んだチャプターや選択肢に「いつでも・どこでも・何度でも」ジャンプでき、選び直すことが可能なため、選択肢の選び直しも楽。



■舞台

  • 藤良村
××県中北部の山間部に位置する村落・自治体。
広大な面積を持つがそのほとんどは中心に位置する猿梨山(さるなしやま)と周辺山林で構成されており
人口の約97%は猿梨山南側斜面の農村部・上藤良に居住している。

また中心の猿梨山は、藤良村ではこの名称は全く使われておらず、申奈山(しんないさん)、もしくは敬称付きの「申奈さん」「申奈様」と呼ばれている。
この申奈山は信仰の対象になっており、独自の信仰体系・祭祀が確立されている。
申奈様とは山の神であり、しもべであるおおかみ・へび・さる・からす・くもと共に黄泉人から守ってくれているとされている。

村は長者と呼ばれる「三車」・「日口」・「能里」・「回末」という4家が権力を握っており、
各家が衣食住・医療など村の運営に関わる分野を分担して担当している。
なお長者四家では申奈様のしもべであるへび・さる・からす・くもをそれぞれ家紋としており、これらのしもべを祭っている。


  • 休水
今作の舞台。
藤良村の山間の一軒家群に居住する世帯。
猿梨山の北側、上藤良とは逆側の地域に住んでおり、人口3%の部分の集落。

藤良村内部に位置しながら上藤良とはあまり関わりを持たずに生活を営んでおり、農業や狩猟を行っている。
しかし自給自足までには至らず、不足した食料品は上藤良の商店の仕入れ分から提供されている
現代の基準と照らし合わせると劣悪な居住間環境にあり、文明機器が殆どない前時代的な地域となっている。
例外的に子供衆には将来のために現代的な寮が用意されており、そこで現代とさほど変わらない生活や勉強を行なっている。


■よみいみのうたげのおはなし

むかしむかし よみのくにが 
ひとのくにのちかくにあったころ
ひとは よなよなわるさする 
よみびとに おびえておった

しんないさんは よみびとから ひとをまもらんとして
みつかいを つかわしなさった


ねやのはしため くもは よみのゆめを ひきとり
のきのはみて からすは よみのむくろを ついばみ
みずばのひもり さるは よみになきことばを おしえ
くらのみはり へびは よみのあざむきを とおみし
そして
かりばのあるじ おおかみが よみびとを くいころす


しんないさまの いうとおり
みつかいは ひとに かごをさずけた

かごによりて
ひとは さとをなし たはたをなし
こをなし さかえたという

+ しかし──
みつかいのうち おおかみは
ときにひとをばっし さいなみ
かりたてる おそろしい せめてでもあった


おおかみのらんぼうに たえかねた ひとは
ほかのみつかいと はかって
きりたつゆうべに うたげをひらいた


ししをくらい さけも たくさんのんで
やがておおかみは ねむってしまう
そこを みなで てあしをくくり
よみのくにへと おおかみを
つきおとしてしまった


さとは いっそう さかえたが

きりたつゆうべに おおかみは よみがえり
おのれをあやめし ひとを なきにせんと
さとに まぎれこむという


かくして ゆうぎりたつとき
ひとは みつかいのかごをうけ
うたげして よみびとをえらぶ

よみいみのうたげが はじまったのだ


■黄泉忌みの宴

休水で行われる、黄泉から戻り、ひとに化けてひとを食らうおおかみを退治するための宴。
集落の全員で話し合い、ひとの中から怪しい者を一人選び「くくる」と呼ばれる私刑にかける。

夕霧が立ったときにおおかみ様は「をちもどってくる」と伝えられており、
ひとは「宴の支度」と言われる「みそぎ」・「ものいみ」・「ゆめまくら」を行い、おおかみに備えなければならないとされている。
おおかみがいる間は濃い霧が集落を包み込んでしまい、おおかみがいなくなるかひとが全滅するまで宴は続けられる。
申奈さんのしもべの力も借り、ひとはこの宴でおおかみを黄泉に返さなくてはならない。


■基本ルール

●ひとの中に以下の者が紛れている。
・おおかみ
・へびの加護者
・さるの加護者
・からすの加護者
・くもの加護者

●これらの配役は、夕霧が立ったときに休水にいて「宴の支度」をしていた人間の中からランダムに決まる。

●おおかみがひとを全員殺す前に、宴でおおかみを探しだし、殺さなければならない

●おおかみは一晩に一人、ひとを殺す

●ひとは宴での協議によって一日に一人選び、私刑にかけることができる


●ひと側には、申奈さんからしもべの加護が与えられる
加護は一つに一人で、加護を与えられると、それぞれのしもべがその人に力を貸してくれる。

・へび(人狼ゲームでいう「占い師」)
一晩に一人、名前を紙に書いて枕元にいれておくと、その人間がひとかおおかみかを知ることが出来る。
・さる(人狼ゲームでいう「共有者」)
例外的に二人加護持ちがおり、互いにさるだということを知ることが出来る。
・からす(人狼ゲームでいう「霊媒師」)
前日の宴でくくられた人間が、ひとかおおかみかを知ることが出来る。
・くも(人狼ゲームでいう「狩人」)
一晩に一人、枕元に名前を書いて入れておくと、その人をおおかみから確実に守ることが出来る。


●加護は血文字で体に描かれる。これを他人に見せてはいけない。

おおかみは最大三匹。おおかみの数は申奈さまからひとに最初に知らされる。

●おおかみがいる間は集落を霧が包みこみ、出ることはできない。

●霧が起きている間は「宴の支度」と言われる、夜に体を洗う・一人一部屋で戸に鍵をかける・早寝をする、の三つの作法をしなければならない。

●ルールを破った場合、ひともおおかみも申奈さまから「けがれ」と呼ばれる罰を受け、死亡する。



■登場人物


  • 房石陽明(ふさいし・はるあき)
CV:荒井智
主人公。24歳の大学院生。
誰に対しても人当たりの良い好青年だが、好奇心に貪欲で首を突っ込みたがる癖がある。

なおループもののお約束としてループを繰り返すうちに性格や倫理観が歪んでいくというものがあるが
こいつの場合は序盤から周囲がドン引きするほどの合理的すぎる判断をズバズバ下していく。
プレイヤー視点から見ると人狼ゲーム攻略者として頼もしい一方、素で外道や悪党の部類なのでは?とすら感じられるかもしれない。
本人もそんな自分の性格については自覚している様子。


休水の住民

年少組

  • 芹沢千枝実
CV:北澤しおん
休水出身の大学生。21歳。
里帰りしていたところ、バイク事故にあった陽明に出会い、放っておけずそのまま休水に案内することに。

明朗快活で社交的。
休水でも高校生組に好かれており、年長者とも仲が良い。

  • 回末李花子(うえまつ・りかこ)
CV:岡村海那実
藤良村の長者の一つ「回末家」の現当主。
長者だが本人の意思で休水の一軒家で暮らしている。

年齢不詳の美女で、神職のような服装のため神秘的な雰囲気をまとっているが
その正体はよくすっ転ぶ、ドジっ子巫女。
長者の当主のため、藤良村の風習や伝説に詳しい。

  • 巻島春
CV:仮屋美希
休水に住む高校生組の一人。
鬱屈した心情を抱いており、ときおり妙なことを口走る。
両親はすでに他界しており、祖父である寛造と上手くいっておらず関係がギクシャクしている

何故かいつも子供用の水筒やワッペンを身に着けている。
潔癖症のきらいがあるのか、チャラチャラしているように見える陽明に攻撃的。

  • 織部泰長(おりべ・やすなが)
CV:松本恭平
休水に住む高校生組の一人。
聡明で礼儀正しい少年で、高校生組のまとめ役。
社交性も高い。

片親のため、母親に早く楽をさせてあげたいと考えている。

  • 醸田近望(かもしだ・ちかもち)
CV:生田 奈々
休水に住む高校生組の一人。ショタっ子。
どこか言動や感覚がズレている変人で、よく悪意のないイタズラなどの悪さをしている。
本人曰く「キキョーのふるまい」で、女装などもしている。

  • 織部義次(おりべ・よしつぐ)
CV:鴨野孝昇
織部家の次男で、泰永の弟。14歳の中学生。
閉鎖的な環境にグレており、誰かれ構わず攻撃的に接する不良。
しかし親思いであり、根はいいやつ。

兄である泰長にはとある理由により複雑な感情を抱いている。


年中組

  • 室匠(むろ・たくみ)
CV:斉藤拓哉
休水に住む青年。35歳。
ガタイがよく、畑仕事を主に行っている。
休水の年長者と若者両方から頼りにされており、双方の間を取り持てる若頭。

余所者には一定の警戒心があるが、基本面倒見は良い善人。
また住民のことを信じており、殺人を起こすわけがないと考えている。

  • 能里清之介(のさと・きよのすけ)
CV:勝畑伸之介
藤良村の長者の一つ「能里家」の次男。32歳。
休水の一角にある場違いな建物「能里屋敷」に住んでいる。
高圧的な言動や家柄を鼻にかけた物言いが多く、休水ではあまり良く思われていない。
本人も休水のことを罵るような言動が多い。

クローズドサークルでよくいる「こんなところにいられるか!」的な人。
口は悪いが、言っていること自体は割とまとも。

  • 織部かおり
CV:植木由美子
藤良村在住の女性。37歳。
「水場」と呼ばれる休水の共同食堂を切り盛りしており、集落の食事を一手に引き受けている。

泰長・義次の母親で、穏やかで日和見気味な性格だが、母として厳しい面も持ち合わせている。


年長組

  • 巻島寛造
CV:松元一真
休水在住の猟師。61歳。
巻島春の祖父。

厳格で粗野な言動が目立つが、多大な決断力と発言力を有しており、
実質的な休水のリーダー。
余所者には厳しく、あまり良い顔をしない。

  • 山脇多恵
CV:鯛ゆみ坊
藤良村の名代で、最年長者の女性。73歳
室匠と同じく農業を営んでいる。

信心深い老婆で、休水の歴史や昔話にも詳しい。
また、価値観の違う若者や余所者には狭量な態度をとることが多い。


身元不明

  • 狼じじい
CV:小沢直樹
年齢不詳・身元不明の老人。
完全にボケて人事不省になっており、村を徘徊している。
徘徊しながら「おおかみがくるぞ」と喋っているため、このあだ名がついた。

  • めー子
CV:南美穂
陽明が事故にあう少し前に、休水の近くの川で保護された少女。
推定4歳。
「めぇめぇ」が口癖で、名前も住所も分からないことから「めー子」と呼ばれている。

藤良村では不吉とされる場所から来たため、住民からは不審に思われている。
現在は回末李花子の元で世話を受けている。


外来者

  • 馬宮久子(まみや・ひさこ)
CV:岩本悠花
休水を訪れている駆け出し記者の女性。29歳
理知的ではきはきとした口調が特徴。

元々がオカルト系志望だったが、食べていけないため現在はフードライターをしている。
珍味や奇食のレポートを主に仕事をしており、休水に来ているのもその一環。

  • 橋本雄大(はしもと・ゆうだい)
CV:百瀬晃人
巨漢のカメラマン。42歳。
馬宮の仕事上のパートナーであり、腕の良さから業界では名の知れた有名人。
威圧感のある風貌にもかかわらず無口であるため、得体のしれない人物。

とある理由により、なかなかストーリーに絡まない。


???

  • ひつじさん
CV:???
ゲームオーバーになった時にプレイヤーの前に現れるチュートリアルキャラ。
口は悪いが死んだ原因や回避するためのヒントを丁寧に教えてくれるいい羊。
話が終わると「次も元気に、死んでこい!」とプレイヤーを送り出してくれる。



■余談

  • 今作の時代設定は、2003年頃となっている。そのため、とあるシーンで神様の湯屋が出てくる映画を思い出すシーンがある。
    また2013年設定のD.M.L.Cの10年前となる。
  • 藤良村の場所設定ははっきりさせていないが、公式によると関東から近畿にかけてのどこかの山の中とのこと。
    ちなみにエイプリルフール企画での実写藤良村は中国地方で撮ったものらしい。




Rei-Jin-G-Lu-P


RAISING LOOP
-COMING OUTSIDER-


RAGING LOUP
-WHIRLS TO CLAWS-


楽境虜逋
-PARADISIACAL BABYLON-


零人グルウプ
-GAME OVER LORD-




今回の追記・修正はここまで! 次も元気に、死んでこい!

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最終更新:2023年07月04日 19:25