名探偵コナン 推理ファイル 恐竜の謎

登録日:2018/02/17 Sat 21:21:35
更新日:2025/08/22 Fri 00:05:18
所要時間:約 5 分で読めます




「名探偵コナン 推理ファイル 恐竜の謎」とは文字通り「名探偵コナン」のベースとした所謂「学習漫画」の1つである。
作画は特別編でおなじみの太田勝&窪田一裕コンビが勤めている。


あの名作「名探偵コナン 推理ファイル 昆虫の謎」同様コナン達と一緒に恐竜について学べる漫画だが、ただの子供向け漫画と侮るなかれ、
本作でコナンは、あの怪盗キッドや黒の組織とはある意味で比べ物にならない敵と戦うことに……。


【あらすじ】

コナン達の町で世界最大の恐竜博覧会が開かれ、小五郎の元に警備の依頼が舞い込む。
偶然恐竜に詳しい女性と知り合った事で興味を持ったコナン達少年探偵団も博物館を訪ねる。
そして、博物館に忍び込んだ不審人物を捕らえたコナン達だったが、その正体は例の女性――新庄薫だった。
そんな中、館内で(劇場版ではおなじみ)爆発事件が起き、目玉である「テツシゲサウルス」の頭部の化石が盗まれてしまう。
そして真相を探るコナン達の前に、更に大きな謎が・……。



【登場人物】

◆本編の登場人物

いつものように化石盗難の謎に挑む。
だが、そんな彼の前に最大最強の敵が……。

偶然見つけた謎の化石が原因で事件に巻き込まれる。
コナンと共に犯人に挑む勇敢な子供達。

大恐竜博の警備の依頼が舞い込み、張り切っていたが重要な場所に入れてもらえず憤っていた。

父の付き添いでやってきた。残念ながら全く活躍シーンはなし。
まぁ「相手」が相手だけに空手が通用したかどうか……。
京極さんでも相手になるまい…


◆本作オリジナルキャラクター

  • 徳山哲茂(とくやま てつしげ)
大恐竜博の主催者、テツシゲグループの総裁。
スキンヘッドに葉巻を咥えた、よく見かける裏で何かやっていそうな社長然とした風貌の男で、実際にこの人物の周りで金を巡った騒動が頻発しているらしい。
最大の恐竜に自分の名前をつけるのが夢であり、自身でで研究チームも組織しそれを実現。保険金もあちこちにかけており、小五郎は「保険金だまし取るために自分でやったかもしれない」と疑っていた。
だが最近博物館内を荒らされる事件が続発し、小五郎に警備を依頼した。

  • 西東慶江(さいとう よしえ)
テツシゲグループ秘書。
美人だが、徳山同様、何やら裏がありそうな女性。

  • 五十嵐晃(いがらし あきら)
テツシゲグループの古生物研究チームのチーフ。
白髪に髭、サングラスといかにもマッドサイエンティスト的な風貌の人物。
コナン達の持ってきた化石をレプリカだと判断し、預かる事にした。

  • 新庄薫(しんじょう かおる)
化石に詳しい女性、毎晩博物館に忍び込み化石を弄っていた。
果たしてその理由とは……

  • テツシゲサウルス
本作オリジナルの恐竜……の全身骨格の化石。
全長46m、推定体重110tというを除いた動物では到底考えられない大きさで、磁鉄鉱を含むため漆黒の輝きを放つ
だが爆発事件のドサクサに紛れ頭部だけを盗まれてしまう、おまけに現場は警備の厳重な密室、
果たしてどうやって盗み出したのか……。


【舞台及び題材となった古生物】

  • 大恐竜博
テツシゲグループ主催の世界一の恐竜博物館、数多くの化石が展示されている。
館内では電磁石で動く恐竜を模したリニアカーで移動することができる。
だが入場料は6000円と割高で、客が来るかどうか微妙。

  • バロサウルス
竜脚類の一種。
大恐竜博の目玉の一つだが、ワイヤーを切られだらけた姿にされる。

世界一可哀そうな名前の恐竜。該当項目参照。

  • エオラプトル
世界最古の恐竜の一つ。
新庄が逃げ回る際、恐竜に怯える三畳紀の原始哺乳類を思い返したシーンで登場。



以下、ネタバレ注意

















  • 大恐竜博の真実
「こんなの恐竜博じゃないわ……『怪獣博』よ!!」

実は展示されている化石の多くはデタラメに骨をくっつけたりありえないポーズをとらされていた詐欺まがいの者だった。
バロサウルスのワイヤーを新庄が切ったのも、元々バロサウルスが直立するという*1ポーズを取らされていたから。
これは見栄えを重視した徳山の指示であり、あのテツシゲサウルスも頭部以外は全てレプリカで無理矢理巨大な新種に見せたものあった。
薫はそれが許せず夜な夜な博物館に侵入し、レプリカを盗み出していたのだ。
だがその中には謎の骨(化石ではないとの事)が混ざっていて……。


  • 新庄薫
  • 五十嵐晃
テツシゲサウルスの発見者は薫の父であり、その時の事故で亡くなっていた。
そんな父の研究ノートを盗み出して失踪したのが五十嵐博士……その正体は薫の祖父だった。
息子であるはずの父のノートを盗み出して徳山の元でレプリカを作り続けていることが許せず疎遠になっていたが、五十嵐の方は薫と連絡を取りたがっていた模様。
そんな背景を知りながらコナン達は捜査を続け、ついにトリックと犯人の目星をつけるが、突如何者かに捕まり連れ去られてしまう。
連れてこられたと場所は南の孤島にある謎の研究施設で……。










「わしが興味あるのはでかい恐竜かかっこいい恐竜! そして金になる恐竜だけだ!!」








  • 徳山哲茂
  • 西東慶江
実は化石盗難事件は彼らのでっちあげた狂言であった。
コナンの推理によると、爆発を起こしたのは館内のスプリンクラーを作動させる為*2で、水溶性の接着剤でくっつけておいた頭部が落ち、リニアを動かす要領で磁鉄鉱の化石を操作し、そのまま排水溝から抜け出る仕組みになっていた。実際に他の職員は知らなかったらしく「頭にだけこの特殊な接着剤を使った」「この接着剤で風呂場のタイルや傘を修理しようとしたが、すぐ剥がれ落ちた」「犯行時リニアのコントロール室で電力を大幅に上げていた*3」「他にも犯行時、何かしら遠隔操作をしていたらしい」と情報を漏らしていた。また、この為に穴が一つだけ水が減っていた。
排水溝は小さかったが、頭部の化石は数多くのパーツで構成されており、流れているうちに接着剤が剥がれバラバラになるので十分排水溝に隠せた。
その目的は化石にかけた保険金である研究*4を完成させるためであり、小五郎をよんだのも事件にリアリティを持たせるためだったのだ。

  • 博士の研究
徳山の強引な発掘で死んだ薫の父、五十嵐はそんな彼のノートを入手して彼の意思を継ぐことを決め、あえて徳山の手先となった。
同時に薫が行動を起こしていることを知り、ある生物の骨を盗ませ、自分とコンタクトを取るように仕向けていた。
そんな彼らをよそに徳山は目的の研究成果を見せる、
五十嵐の本業である遺伝子工学により生み出された、謎の骨の持ち主を――






まさしくあれは竜盤目獣脚類……。








コナン達の前に現れたのは何と本物のティラノサウルスのクローンだった。
灰原曰く、化石や琥珀からはDNAは採取できないとのことだが、実は薫の父のノートにはある場所が記されており、五十嵐がそれを信じ、北極圏のクレバスの奥深くへ行ってみるとそこで氷漬けでまるまる原型を保っていたティラノサウルスを発見。

そこから細胞を採取してテツシゲグループの施設でクローンを完成させた。
徳山は薫達を人質に五十嵐に恐竜のクローンを大量生産するように脅迫するが……。

だがティラノサウルスは徳山の予想を超える凶暴性とパワーを発揮、バズーカの直撃に耐えうる硬質ガラスを易々と砕き、彼と西東が乗った竜脚類型の車を餌と勘違いしたのか襲いかかってきた。
コナンと薫はスケボーに乗り囮となることで彼らを救い出す。
だが相手は地球の歴史上最強の肉食動物、そのパワーの前にはコナンの推理も阿笠博士の発明品も通じないと思われたが、コナンは上手くティラノサウルスを誘導して躓かせた。大きすぎて急に止まれず、足元に折った木の罠を仕掛けて転ばせて崖下へと落とす、そしてティラノサウルスは海中へと没したのだった。

その後、コナンの手引きで真相を知った警察に徳山と西東は逮捕、無論ティラノサウルスの事は信じてもらえなかった。
そもそも信じてもらえてもどうしようもないし、下手したら復讐のためにそのティラノサウルスをけしかけようとする人が出てくるかもしれないが…

そして薫と晃は2人で新たな化石を探す旅に出ることを決意、コナン達に今度こそ本物の恐竜と遊べる公園を作ると約束するのだった。

そんな彼らを思い出しながら、ティラノサウルスは大海原を悠々と泳いでいるのだろうか、それとも落ちて死んだのか…




だれか、誰か信じてくれ、



ティラノサウルスは本当にいるんだーーーーーー!!



追記・修正は恐竜と直に触れ合ってからお願いします。

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最終更新:2025年08月22日 00:05

*1 アメリカ自然史博物館でジョークとして展示された時に作られた嘘で、スタッフが「犯人が直した」と言及していた。

*2 それが原因でスプリンクラーが反応しないように爆発前に限り禁煙にしていた。その前にも徳山が別の場所で平然と喫煙して、事件後はこの部屋で平然と喫煙していた。

*3 実際に「故障したらどうする気だったんだ?」と思っていたらしい。

*4 目暮からは「いくら金額が膨大な上にレプリカがあるとはいえでもテツシゲサウルスの化石紛失までしてやるか?」と疑われ、コナンも「メディア王なら金に困らないだろ?」と不審に思ってはいた。