灰原哀

登録日:2010/11/20 Sat 21:16:51
更新日:2024/03/09 Sat 12:30:01
所要時間:約 24 分で読めます





組織に命じられて私が作った薬だもの


灰原哀とは、漫画名探偵コナン』の登場人物。
赤みがかった茶髪の少女で、物語の重要な設定に関わるキーパーソンの一人。
またこの名前は偽名で、本名は宮野志保。姉の姓名を灰原本人から聞いていたことに加え、『黒の組織との再会』にて敵が名前を口にしたのを聞いたことから、コナンは本名を把握している。

CV:林原めぐみ(共通)
演:柴田杏花(現:杏花)(哀*1)、香椎由宇(志保)


【初登場】

18巻の『黒の組織から来た女 大学教授殺人事件』。
コナン以来の転校生として帝丹小学校1年B組に転入してくる。
彼に興味を示し、転入当日に少年探偵団のもとに持ち込まれた誘拐事件の捜査に同行。
探偵団が犯人に追い詰められた際、犯人の拳銃で正確な射撃を行って相手を怯ませると共に窓ガラスを割ることで、事件解決の助けをする。
駆けつけた目暮十三警部は「なんてあぶない真似をするんだね君は!」と雷を落とすも、灰原は「だって、だって~!うわぁぁぁ~ん!」と嘘の大泣きをして場を切り抜けた。


【正体と幼児化まで】

事件解決後の帰り道、コナンに対して自らの本当の素性を明かす。
彼女――灰原哀こと宮野志保は「シェリー」のコードネームを持つ、コナンの追う黒の組織の一員だった。
卓越した頭脳を持つ科学者として、工藤新一の体を小さくした薬「APTX4869」の開発に携わっていたのだ。
APTX4869は殺人薬として使われていたが、志保は人を殺すための薬を作っているつもりは無く、その与り知らないところで勝手に毒薬として使われていた。
しかも実の姉である宮野明美が組織の陰謀によって殺されたことを知り猛反発、APTX4869の開発を中断するストを行う。
これに対し組織はシェリーの抹殺を決め、彼女は拘束され手錠をかけられた上で監禁されてしまう。
だが実はその時APTX4869を隠し持っており、「どうせ死ぬなら」という思いで服用したところ死なずに幼児化したため、監禁部屋のダストシュートから脱出に成功。
土砂降りの中、工藤邸の前で倒れているところを阿笠博士に拾われたのだった。

かつて「APTX4869を飲まされた中で唯一生死不明の人間」である新一の調査に参加しており、調査員と共に二度ほど工藤邸に侵入したことがある。
彼の家の所在地を知っていたのはこのため。

なお、実年齢については最初「84歳のおばあさん」と答えていたが、これは嘘。
自分の情報を隠したかったのか、あるいはただ単にからかっていたのかは不明だが、いずれにしても明美の妹としてはありえない年齢。
その後『競技場無差別脅迫事件』にて「本当はあなた(新一)とお似合いの18歳よ」とモノローグで訂正した。
その為、新一、蘭、園子平次和葉といった大半のレギュラーメンバーの高校生たちよりも一つ上ということになる。京極真とは同い年。
その他、組織の幹部というくくりでは最年少と思われる*2


【レギュラー入り】

阿笠に拾われてからは「灰原哀」の偽名を名乗り居候を始めるとともに、少年探偵団に引き入れられ行動を共にするようになった。
その名前の由来は「コーデリア・グレイ(グレイ=灰)」と「V・I・ウォーショースキー(I=あい)」、どちらも女性探偵である。


【出自と親族(及びその人間関係)について】

両親に宮野厚司と宮野エレーナ、姉に宮野明美がいたが、黒の組織絡みの原因で既に全員亡くしている。
日本人の父と日英ハーフの母の元に生まれたことからクオーター。組織にアメリカ留学させられていた頃には、東洋系の顔のせいで嫌がらせを受けていたといい、劇場版『黒鉄の魚影』ではその様子の一端が描写されている。
なお、明美は志保とは違い日本人の顔には見えることから、実の姉妹ではなく異母姉妹ではないかと言う説もある。後に幼少期の明美が描かれた際にはエレーナと厚司の下で育っていたことが判明したのでおそらく母親も同じであろうとは思われるが。
組織の思惑のせいで家族とは引き離されて過ごした期間もあるが、姉との仲はとても良く互いを大事に思っており、面会を許された際には一緒に過ごすのが定番だったようだ。

阿笠は昔、学会で厚司と会ったことがあると言及している他、
バーボンこと安室透も幼少期にエレーナと親交があり、ベルツリー急行でシェリー(に変装した怪盗キッド)と対面した際には、
「さすがヘル・エンジェル(エレーナ)の娘さんだ…よく似てらっしゃる…」と声をかけていたため、顔はエレーナ似のようである。
ちなみに『迷宮カクテル』での安室の回想に登場したエレーナの声は、アニメだと灰原役の林原氏が演じている。

また、クマができている状態でマスカラを付けた灰原の顔が「領域外の妹」ことメアリー・世良と瓜二つ。
加えて、作者の「誰かと誰かの母親が姉妹」との発言から、領域外の妹はエレーナの姉妹と考えられていた。
更に『迷宮カクテル』では、厚司がエレーナに向かって「君のお姉さんも…」と話すシーンが描かれたため、エレーナの姉がメアリーの可能性が高いと一部ファンからは見られていた。そして結果的にその通りであったことが後のエピソードで明らかとなった。
つまり灰原から見てメアリー・世良は伯母で、更に彼女の子供たちである赤井秀一羽田秀吉世良真純はいとこに当たることになる。
なお、青山先生本人はこのことが明かされる以前から、一応ファンからの質問に対して「赤井と明美がいとこ同士である」とは認めていた。

また、「家族の顔に変装させるのだけは得意」と評されていた工藤有希子がコナンを灰原に変装させた*3時、
中々に似ていたと言われていたので、工藤家ともどこかしらで遠い血の繋がりがあるのではないかと目されている。
その場合、APTX4869による幼児化した3人が全員何かしらの点において近い遺伝子情報を持っている事がキーになると読者の間では有力視されている。


【APTX4869について】

幼児化したことと毒薬を作っている認識ではなかったことやその他のヒントから、よく若返りか不老不死などが本当の目的だったのかと認識されているこの薬。
だが一方で、幼児化は若返りや不老不死に対する重要なアプローチになるにもかかわらず偶発的な作用だとか、
そもそも薬を「愚かなもので多くの人に価値を見出されない代物」などと言及してもいるため、それらとも違う可能性が高い。

実際は何を目指していたかや、細かな経緯は色々と推理は出来るもののまだ不明なままである。
『コナン』における重要な謎の一つなので、いずれは明かされるだろう。


【黒の組織との関わり】

黒の組織からは脱走した裏切り者とされ、命を狙われている。
特にベルモットはシェリー抹殺に執念を燃やしており、新出智明に変装して様子をうかがっていた。
正体を現した『黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー』では、「(殺されるのを)恨むなら、こんな愚かな研究を始めた、あなたの両親を恨むのね。」 とまで言及している。

また、ジンはシェリーにかなりの執着を見せているが、過去に何があったのだろうか……?
その他、シェリーが存在を把握しているコードネーム持ちはウォッカ、ピスコ、ライ、バーボン、キャンティ、コルン、ラム
セリフからしてウォッカとピスコ以外の幹部とは面識がなく、姉から話を聞いた程度だったようだ。またピスコとも幼少期以来会っていなかったため彼のことを全く覚えていなかった。
前出の面々の中に挙がっていないキール(水無怜奈)については不明だが、彼女の表向きの顔が不特定多数に知れ渡るアナウンサーであることから、水無怜奈=キールとは知らなくともどこかしらで顔と名前は見聞きしているかもしれない。


【装備】

やばい組織に命を狙われていて戦闘力も低いのに、恐らく物語の都合で防護面はあまり考慮されていない。
そのため、ミステリー作品だということもあり、一時期は読者の間で阿笠の黒幕疑惑が無駄に深まることになってしまっていた。
現在登場している阿笠のアイテムは使用者の身体能力依存な部分がやや大きいが、これも基本コナンが使うことを前提としているためで、阿笠の頭脳と器用さとコネなどから防護面を考慮したグッズを作るべきでは?という話にも繋がる。
一応後述の通り腕時計型麻酔銃は持っているらしい。

  • 探偵バッジ
  • 腕時計型ライト
探偵団の共通装備であり、灰原の所有する腕時計型ライトはコナンが使う腕時計型麻酔銃の予備でもある。

  • 犯人追跡眼鏡(スペア)
危険な事件に首を突っ込んでいるコナンと阿笠の居場所を知るために度々使用。
その普段使いのスペアとはまた別に一つ追跡眼鏡を隠し持っている。

その他、初登場エピソードでは拳銃を躊躇いなく発砲しているので、恐らく組織にいた頃に「実働部隊」ではないものの扱い方を仕込まれたのではないかと考えられる。


【性格・特徴】

非常にクールでドライな性格。
幼児化する前に飛び級で学校を卒業し科学者として働いてきただけあり、頭脳は優秀。
流石にコナン程の推理力はないが科学者としての知識は確かで、バラバラになった白骨死体を見てどこの骨が欠けているかなどを瞬時に判別した場面も。
『青の古城探索事件』『カルタ取り危機一髪』においては、コナンの推理を聞けない状況だった中、ほぼ独力で事件に関する全ての真相を見抜いてみせた*4
しかし当の本人は、『闇に消えた麒麟の角/キッドvs四神探偵団』にて宝が保管された山寺の仕掛けやキッドの真意を解明出来ずに「こういうの苦手…」とぼやいており、推理という行為に対して若干の苦手意識があるようだ。

事件以外の日常場面でも、その特殊な身の上を共有できる数少ない間柄なので、コナンが対阿笠や服部の時のように、新一としての砕けた会話をする。
コナン不在時には探偵団の監督役を担う。阿笠に世話を焼く様子はもはや妻の様相。

冷静な状態ならば人心については把握が上手い描写が割と見受けられる。
ただ、黒の組織が関わっていたり不審な人物が接近してきたりした際は冷静でいられず頭が回らなくなる。

初期のころは少し悲観的なきらいがあり、周囲を不安がらせるようなことを時折口にしていた。
ポエム哲学的な表現をすることも多い。
登場してしばらくの間は、『謎めいた乗客』で見られたように、裏切り者として黒の組織に殺されるであろう運命を諦観とともに受け入れようとしている節があり、自分から死にに行くような行動を取ることもあった。
その一方で純粋な心を持つ動物には心を開くこともあり、喫茶ポアロの通い猫だった大尉や、『灰原哀監禁事件』で出会った仔猫に注ぐ眼差しはとても優しい。

当初はかなりツンツンしていたが、灰原哀として生活し、歩美という友達ができたことで次第に角が取れてきた。
蘭の事は当初は複雑な思いからあからさまに避けていたが、後に『網にかかった謎』で彼女の言葉に感銘を受けて歩み寄った。
『黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー』では、
ベルモットの凶弾から身を挺して庇われて以来は亡き姉の面影を重ねているようで、決して悪感情を抱いているわけではない。

『漆黒の特急』で宮野志保の死亡を偽装したこともあってか、組織絡みでのプレッシャーからは少しずつ解放されつつある*5
歯に衣着せぬツッコミを入れたり、黒いジョークを飛ばしたり、ミーハーっぷりを見せたりとすっかり今の生活を満喫している様子。登場当初は、(組織の監視付きとはいえ)比較的普通の人生を送る事が出来た姉と自分を比較してぼやいていたりもしたが、ここに来てようやく彼女が望んでいたものが手に入ったと言えるかもしれない。
肉体年齢は小学一年生になってしまったが、精神年齢もまだ18歳。基本的にはクールなキャラを保ちつつも喜怒哀楽の感情をかなり表に出すようになり、年相応の少女らしい表情を見せる頻度が増えていて何よりである。

また、蘭以外を意識していないゆえに無神経でデリカシーの無い発言をするコナンに対し、逆襲することもある。

[例]
  • 『湯煙密室のシナリオ』
自分と歩美がいる女湯(※事件現場)に入って調べ回ったことを「子供の裸を見たとしても全然問題ない」「尻しか見てないから大丈夫」*6と反省していないコナンに激怒、
パンツに唐辛子の粉を仕込んで尻に塗り付ける
  • 『甘く冷たい宅配便』
セーターの毛糸が全部解けて下着姿になってしまった灰原に対しコナンが無配慮に淡々と話を進め、
しまいには「パン一」(≒パンツ一丁)と言ったので鉄拳制裁を見舞う

順応性は高いようで、幼児化しても高校生探偵気分が中々抜けずにいたコナンより早く小学生のキャラクターに慣れている*7
というよりもコナンは小学生のキャラに慣れた以後も大人から見て『生意気なガキ』『現場を荒らすガキ』みたいな行動をしていることが多いので、彼よりも精神的に大人だと言える。
少年探偵団とも(危険から遠ざける目的もあって)適当にあしらい過ぎて逆に角を立てる結果になることも多いコナンと違い、比較的角が立たない様に立ち回っている*8

しかし、年頃の女性の生活や趣味にも興味があったのか、ファッション雑誌を読んでいたり、『探偵団はヤブの中』てはブランド品を欲しがったり、『タイタニック』を見ていたりする。他に、人間の負の面を描いたドラマが好みらしい
『最後の上映殺人事件』でゴメラの映画を見に行った時には、過ちを犯した科学者のシーンに対し、自分と重なるのもあるだろうが真っ先にそこの感想を述べている。ちなみに、この時彼女が見る事を希望した映画は『アインシュタインの栄光と苦悩の日々』。

弱点は『憎しみの青い火花』で判明した静電気
コナンから静電気対策法を教えてもらい、実践し克服した直後の彼女は別人のように明るかった。

意外と面倒見のいい面もあるらしく、阿笠のメタボ改善の為に食事制限をさせたり朝のラジオ体操に参加させたりと世話を焼いている。どちらかと言うと老人介護
また、コナンが事件捜査に加わったり推理を始める時に少年探偵団を上手くあしらうのも彼女の仕事。

黒の組織の人間が近くにいると、「匂い」と称する独特の感覚で察知できる。
10億円強奪事件を起こす前には姉の明美からも「匂い」を感じたというものの、対象が組織にいた期間や関わり方によって感覚が違うのか、どちらも既に構成員ではないにもかかわらず、潜入捜査中にコードネームを持っていた赤井には反応したが、『迷いの森の光彦』では末端の末端だった上にすぐ脱走した沼淵には反応していなかった。
その理由について、コナンは彼女が「普通」に近づけたからと考えているものの、それ以降も劇場版『黒鉄の魚影』では、コードネーム持ちが近づくと強いプレッシャーを感じている様子が見られた。

また、『迷宮のフーリガン』で判明したが、とある理由でプロサッカーチーム「ビッグ大阪」の比護隆佑選手の大ファン。
11人目のストライカー』では彼本人の前でカチンコチンになっていた。
『容疑者は熱愛カップル』では、比護が沖野ヨーコとの仲を噂され、そのことを新聞で見た時には目を点にして放心状態となり、『堤無津川凧揚げ』時点ではお気に入りだったはずのヨーコの曲も携帯から全消しした上で、同じく放心状態になっていた小五郎にこの噂の調査を(流石にお金は無いので)無償で頼み込んだ。
小五郎は誰かに頼まれないと調べるわけにもいかないと困っていた為、利害の一致からすぐに依頼を引き受け、灰原と二人して真剣な顔になりガッチリ握手していた。
更に『心のこもったストラップ』では比護選手のストラップを失くし放心状態になり行動不能な状態にまで陥ってしまうなど、彼が絡むといつものクールぶりは何処へやら、盛大なキャラ崩壊を起こす。

『コナンと海老蔵 歌舞伎十八番ミステリー』においては、市川海老蔵の隠れファンであることが描写されており、
コナンとの通話で「(海老蔵には)興味ない」と言いつつも電話を切った後で「何着て行こうかしら」と軽く照れながら呟いていた。
その後、海老蔵と対面した際には子どものふりをしながらも明らかに興奮しており、自分から「探偵団の参謀」と名乗っていた*9


【恋愛模様】

当初はコナン=新一の事を単なる研究対象としか見ていなかったようで、歩美からの問いかけにも「そういう(恋愛)対象として見ていない」と答えていた。
しかし何度も窮地から救われ励まされてきた事で、徐々にコナンの事を意識するようになった。
コナン(新一)と蘭が相思相愛にあることも理解しており恋敵ともいえる蘭にそっけない態度をとったこともあったが、自身に献身的な蘭に姉の姿を重ねたことで態度を改めている。
表向きはこれまで通りクールに接しているが、コナンがに告白し損ねた事を知って上機嫌になる、
呆れながらも心配する、裸を見られたことを過剰に恥ずかしがる等、恋する少女というべき行動が節々に見られるようになった。
なお、『ホームズの黙示録』でコナン(=新一)がロンドンで(遂に)蘭に告白したことをどう思っているかは不明。
しかし、『紅の修学旅行』の際には修学旅行で解毒剤を渡すことを条件付きで許したが、「あまりイチャイチャしてはいけない」と釘を刺していることから幾らか気にしてはいる様子。
(↑後からどうでも良いと言い直してはいたが……?)
コナン本人は灰原のそうした感情に興味がなく無自覚だが、有希子は灰原と初対面の時点で彼女がコナンの顔を頻繁に見る姿から灰原の想いに即座に気付いている。


また、恋愛感情抜きにしてもコナンに対しては深く信頼を置いている。
『黒の組織との再会』で、杯戸シティホテルの一件ではピスコに殺される寸前にコナンが酒蔵へ到着した際、嬉しそうな表情を見せている。
劇場版『ベイカー街の亡霊』にて人工知能ノアズ・アークが仕掛けたデスゲームの中で、落ちてきた瓦礫からコナンを庇ってゲームオーバーになった際には、
私たちにとってのホームズはあなたよ。あなたにはそれだけのチカラがある…ホームズに解けない事件はないんでしょ?」と消滅前に言い残していた。
更に劇場版『探偵たちの鎮魂歌』では、自分たちに仕掛けられた爆弾の存在を知らされても「私たちの命、預けたわよ」と動揺一つなくコナンに自分の運命を委ねている。
『灰原の秘密に迫る影』で、自分たちが殺人犯に小屋に閉じ込められ焼殺されかかった時などは「遅い。助けに来るって信じていたのに」と文句を零していた*10
また、組織の匂いを感じて本能レベルで恐怖を感じていた沖矢昴を、「あの人は味方だ」とコナンに言われただけで、
それまでの恐怖を忘れたかのように仲間として受け入れるなど(この時の反応には当のコナンも驚いていた)、自分自身の勘や判断以上にコナンを信じている節すら見受けられる。

アニオリ回や劇場版では灰原のコナンへの恋愛感情を匂わせる絡みが意図的に増やされているように見受けられる。
灰原の声優にもジョークで「新一は蘭のものだからコナンは灰原にあげてほしい」とやや斜めな応援をされている。

一方でコナンからは「守るべき対象」としての見方が強い模様。
沖矢からも保護対象としてかなり念入りに(影から)見守られているが、公的にはFBIという立場、私的には宮野明美の妹という事情がある。

またその一方で円谷光彦からも好意を寄せられており、二人が中心となったエピソードも描かれている。


【鈴木園子との奇妙な縁】

灰原が現れる遥か以前、明美が漫画本編に登場した際、すでに灰原=宮野志保はその存在が示唆され、シルエットのみ登場していた。
この時まだ彼女の髪型はハッキリ決定されておらず、あいまいに描かれており、園子の髪型に似通っていた。

それから間もなく、鈴木園子が漫画本編に登場。
アシスタントの「こいつが宮野明美の妹か!」との誤解に対し、作者の青山剛昌氏は「アシが騙されるんだから読者も引っかかるかも」と内心笑っていたとのこと。

これをネタにされたのが劇場版5弾『天国へのカウントダウン』。
毛利家一行と共にパーティーに招かれた園子は灰原そっくりの髪型にセッティングして登場し、勘違いでジンに殺されかけるという窮地に陥った。


【宮野志保として登場した回】

コナンと違って元の姿へ戻ろうとすることは殆どないが、どうしても子供の体格で対応できない問題に直面したとき、やむを得ずに元の姿へ戻る時はある。
この様な理由は危険を把握していること・元の体に戻ってやりたいことが現状ないこと・今の生活を満喫していることなどが理由。
メタ的な話も交えると、コナンと新一は声優が違うため新一の出番を作る必要があるのに対し、灰原哀と宮野志保は声優が同じなのでその配慮が不要といった部分もある。

  • 黒の組織との再会
ピスコにより酒蔵に監禁されたとき。場所が酒蔵であったこと、大人なら手を張って登れる煙突があったこと、灰原が風邪をひいていたことから作戦を決行。
コナンから通信で指示を受け、パイカルを飲んで元の姿に戻った。
着る服が他に無かったために仕方無くその場にあった清掃員用のツナギを着た。

しかし登った先で待ち構えていたジンに狙撃され、逃げるため再び煙突の中へ転落し、さらに落ちた直後に体が再び小さくなったため作戦自体は失敗。
結局灰原が四苦八苦している間にコナンが居場所を突き止め、ジンが追ってくる前に上手く救出した。

  • 灰原の秘密に迫る影
2度目は少年探偵団のメンバーと共に群馬の山小屋に監禁されて放火されたとき。
とある女性を殺すのに使われた斧が小屋の中にあり、大人の体であればドアを破壊することが出来るため、念の為に用意していた解毒剤を使って元に戻った。
ドアをぶち破って少年探偵団を解放し、探偵団メンバーには灰原哀を「先に逃がした」と説明して誤魔化した。
更に大人時と子供時で殆ど声が変わらないことを活用し、探偵団から携帯で連絡を受けたときも地声で「先に逃げた」と言って口裏合わせのようなことを行っている。
この時は山小屋の中に置いてあった、殺された女性の荷物から衣服を拝借している。

  • 漆黒の特急
前述の事件の後日、ミステリートレインでも大人の姿で登場し、黒の組織のバーボンに拉致されかけた……が、
今回は偶然居合わせた怪盗キッドにコナンが仕事を押し付けており、大人灰原はキッドの変装だった
しかもベルモットが拉致した灰原を爆殺する算段であったため、身代わりとなったキッドがグライダーで逃亡しなければ殺されていた可能性がある。
何はともあれこの一件で(ベルモット以外の)組織の構成員に灰原は死亡したと認識された。

  • エピソード“ONE” 小さくなった名探偵
宮野志保時代が描かれた第1話のリメイク版。
組織の第4ラボの研究室にカードを入れて入る。APTX4869で亡くなったマウスがいた中、1匹だけ幼児化したマウスがいるのに驚き、
「面白いものを見せてあげるわ」と誰かを呼びよせようとしていた。
なお電話していた相手は青山先生によると、「電話の相手には意味がない(たぶん、今後も出てこない)とのことである。
新一の部屋を調査した際の様子もラストで描かれ、クローゼットの中に保管してあったダンボールに有希子が書いた「新ちゃんの子供服」なる箱の中身がゴッソリ無くなっていることに気付き、
新一が幼児化していることに気付いた。その後、APTX4869投与者リストにある「工藤新一 不明」を「死亡」と書き換えた。

本エピソードの公式サイト、OPやEDにおけるキャストクレジットは「宮野志保」ではなく「シェリー」である。


【正体を知る人】


工藤夫妻と平次は、灰原の素性についてコナン(新一)と阿笠から聞かされて「元・黒の組織の一員であり、新一同様に薬で幼児化して組織を脱走した」と、
概ね認識しているのは明らかだが、更なる詳細(平次の場合はAPTX4869を開発したことと本名の宮野志保、工藤夫妻の場合は本名の宮野志保)まで知っているのかについては、
2023年現在の作中における言及がなく、他の人物のように灰原の本名やコードネームまで聞かされているのか(正確な正体まで知っていると言える立場なのか)は不明。
なお平次からは「ちっさい(=小さい)姉ちゃん」と呼ばれている。

映画版に範囲を広げると、『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』の峰不二子、『純黒の悪夢』に登場したラムの部下キュラソーが加わる。

また怪盗キッド世良真純FBIの面々は正体を知っていると断言できないながらも、灰原哀=宮野志保という接点に少なからず作中で関わった描写がある。

『灰原の秘密に迫る影』において一時的に灰原が宮野志保に戻った際に彼女が志保と知らないまま接触または映像でその顔を認識したのは、
少年探偵団の3人、毛利蘭毛利小五郎鈴木園子の6人である。
とは言え元々何をしていたのかすら全く知らないので、今のところほとんど影響は無い。
また、この話で撮られた志保の姿(が映ったムービー)を毛利探偵事務所に忍び込みPCハッキングで覗き見たバーボンは、その事をベルモットに報告していた。


【アニメオリジナルエピソード】

情報収集力・分析力が高く、頭脳が優秀な事からコナンには「相棒」と称されたこともある。
劇場版限定でコナンから調べ物を頼まれる事も珍しくなく、『名探偵コナン 大怪獣ゴメラvs仮面ヤイバー』では、
最近なんだか相棒とかから使いっパシリに格下げされた気がするんだけど?」と愚痴っている。
ただし、これらはアニメオリジナルエピソードや劇場版限定の設定であり、様々な設定を輸入する事が多い原作者だが、相棒設定を公式とする気配は今のところはないようだ。

アニメオリジナルエピソードでは少年探偵団のメンバーが登場する回に登場しない事があるが、『リアル30ミニッツ』や『恋する商店街』などのように稀に灰原が登場して探偵団が登場しないという逆のパターンもある*11
阿笠と探偵団が登場する回に関しては基本的に登場する事が多かったが、近年は『カーテンの向こう側』や『ホワイトアウト』のように阿笠が主催の場合であっても理由があって登場しない事もある。
基本的に赤井(沖矢)や黒の組織が登場しない為か、『灰原哀監禁事件』などのように原作以上に人質にされたり誘拐されたりする事がある。
なお、近年は灰原と探偵団の組み合わせだと殺人以外を扱う事が多く、阿笠が登場すると殺人事件が発生する傾向がある。

コナンなどにも言える事だが、話の都合上エピソードによって設定が変わる場合がある。
例として、原作回『割れない雪だるま』や劇場版『沈黙の15分』などの目的地が気温の低い場所であってもほとんどのエピソードでは普通に同行していたが、上記の『ホワイトアウト』では「寒いから」という理由でコナン、阿笠、探偵団と同行せずに家で留守番をしていた。
それに対し同じくアニオリの『誰にもとけない氷の罠』や『吹雪に消えた恋人』では普通に同行し、雪遊びを楽しんでいる描写もあったので矛盾が生じている。

アニオリの出番は少ないほうではなかったが、2021年以降はコメディ系のエピソードが増えた関係か登場回数が大幅に減り、2021年だと『米花商店街ダストミステリー』と『汽笛の聞こえる古書店3』のわずか2作品の登場にとどまっている*12
2022年も4作品しか登場しなかったが、2023年は劇場版のメインキャラである為か12作品に登場しており、年によっては出番差が非常に激しくなっている。


【余談】

  • 2巻収録の『奇妙な人捜し殺人事件』の時点で存在がほのめかされていたが、登場は18巻収録の『黒の組織から来た女 大学教授殺人事件』と大きく開いている。
    というのも、もともと10巻前後で出すはずが、伏線張りの事件が(当時はここまでの長寿番組になる予定がなかった為)アニメ13話で改変され、
    姉は死なないわ黒の組織は全く関係ないわで出せなくなってしまったから。
    • このため、アニメでは灰原登場に際して明美の死を描いたオリジナルエピソードが直前に挟まれている。
    • ちなみに、志保に代わって原作10巻に登場したのが服部平次である。
  • 偽名は「コーデリア・グレイ」と「V.I.ウォーショースキー」に由来する、と作中で語られているが、
    「本当はアイリーン・アドラーのアイ」と『ダヴィンチ』2014年5月号に掲載された佐藤健氏との対談で青山先生が明かしている。
    • 同対談で灰原は幸せになれるのかという質問には「名前が哀だからなぁ」と語っている。
  • 声優は大人に戻ったときも林原めぐみが担当するが、子供時に比べて微妙に声が低い。
  • 同一人物ながらコナンと新一は個別にキャラクター紹介されることが多いが、灰原と宮野志保は同一での紹介が多い。
    • 同じくコナンの場合は声優が変わるため(声変わり前のため)工藤新一登場回は新一が派手に活躍して中の人である山口勝平に出番が与えられるが、
      こっちは中の人が同じなので、殆ど元の姿に戻ることもなく、元の姿での活躍も少ない。
  • アニメでは映画やOVAも含めて髪の色が変更され続けており、基本設定の茶髪でも時期によって微妙に色合いが異なる。画像検索してみるとその色の違いは一目瞭然。

  • 小さくなる前の光景と思われるOP第41弾『謎』では、新一と蘭の前を黒の組織の車でジト目で見ながら横切っており、
    運転手と隣に乗っているのも黒の組織の関係者と思われるが詳細は不明。
    このことは『エピソード“ONE” 小さくなった名探偵』でもラスト(正確には中盤)でも描かれている。

  • 2023年公開の総集編『灰原哀物語 黒鉄のミステリートレイン』では、冒頭のキャラクター紹介のナレーションは灰原によるパロディーバージョンになっている。更にその終盤*13では「ミラクルキュートなサイエンティスト」と名乗っており、またそれを聞いて笑ったコナンに一発お見舞いした模様(笑)。


「ちょっと、絶対追記・修正してよ。しなかったら抹殺よ!」
「するって...いいから早く編集終わらせてくれよ...」

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最終更新:2024年03月09日 12:30
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*1 演じた杏花は灰原役で芸能界デビューとなった。なお、声は林原の吹き替え。

*2 スピンオフも含めるなら灰原ではなく『特別編』のジュネリックが最年少。

*3 灰原を付け狙う怪しい人物がまだいないかどうかを確かめるためにコナンの要望でやったらしい。

*4 ただし前者の事件ではその直後犯人に捕まって殺される寸前という状況に追い込まれ、辛くも仲間達の助けによって事なきを得た他、後者でも犯人に自分達の会話が盗聴されていることに気付いていなかったためコナンが助けに来なければ危険な状態に陥っていた可能性が高いが。

*5 ただし、『名探偵コナン 大怪獣ゴメラvs仮面ヤイバー』で映画撮影に参加した時は組織にバレるのを防ぐ為に帽子をかぶっている。

*6 前者は一応犯人の行動について語ったことだが、後者は完全にコナンの素の考え。

*7 志保の境遇を考えると、普通の学生生活を満喫できていなかったからかもしれない。また作中では、灰原自身が同じクラスに同じ境遇のコナンが既に居たことを早く順応できた理由として挙げている。

*8 その為、アニオリ回で灰原が登場しなかった場合は、少年探偵団が勝手に行動してピンチを招く事も少なくない。

*9 灰原は基本的にこういった遊びに出かけるイベントの類はパスする事が多く、阿笠が主催の場合を除くと大抵欠席している。

*10 もっとも、コナンは灰原たちがそんな状況になっていた事すら知らなかった状態からのスタートだったので、犯人の特定や救助が遅くなったのは仕方のない所はあるが

*11 『女子会ミステリー』のように灰原と歩美が登場し、元太と光彦が登場しないという特殊なパターンも存在する。

*12 前者に至っては本来は2020年に放送されるエピソードだった為、実質1作品だけの登場ともいえる。

*13 「迷宮なしの名探偵」に当たる箇所。