星のカービィ スターアライズ フレンズ大冒険!編

登録日:2018/07/21 (土) 00:31:58
更新日:2024/03/18 Mon 16:37:41
所要時間:約 13 分で読めます






プププランドのみんなを救え!!



星のカービィ スターアライズ フレンズ大冒険!編』とは、角川つばさ文庫より出版している小説版星のカービィシリーズの一作である。
作:高瀬美恵
絵:苅野タウ・ぽと
対象年齢:小学中級から
価格:680円(税抜)


概要


つばさ文庫版星のカービィシリーズの第11弾。2018年7月14日に刊行された。


タイトル通り、ゲーム版の最新作『星のカービィ スターアライズ』のノベライズ。これでゲームのノベライズは3連続となる。
だが、従来と決定的に異なるのは一ヶ月後に発売された『星のカービィ スターアライズ 宇宙の大ピンチ!?編』と合わせて前後編の構成になっていること。
かつて『星のカービィ ロボボプラネットの大冒険!』では、一冊にストーリーを詰め込みすぎて駆け足気味な点をファンから指摘されていたが、今回はその反省をしっかりと活かした格好である。
多少ハブられたステージこそあれど、要所は押さえていてゲーム版のストーリーにとても忠実な作り。
具体的には原作での「へいわな国 プププランド」~「暗黒要塞ジャマハルダ!」までを描いており、例によって小説版独自の展開や解釈も随所に盛り込まれている。

本作ではカービィとフレンズ達の友情がフォーカスされており、協力し合いながら困難に立ち向かう勇姿が見られる。
その途中でフレンズの脱落と加入の経緯が詳しく描かれ、ある意味で原作のシステムをメタ的に表現している。
まあそのまま再現していきなり別人に変わったら只のホラーである。
また、フレンズの一部設定は「星の○○○○」での各人のポーズ画面を元にしている。

今回はオリジナルキャラクターが登場しないが、原作では登場しないゲームキャラの登場はある。



あらすじ


とつぜん空から降ってきたむらさき色のハートのせいで、プププランドの住民が凶暴になってしまった!
カービィはふしぎな力「フレンズハート」でみんなを助けだしていく。
そして、ワドルディやチリ―、ビビッティアたちと、ポップスターのみんなを守るための大冒険に出発!
そのゆくてに、強敵「三魔官」があらわれて!?
大人気ゲーム『星のカービィ スターアライズ』小説版だよ!

(裏表紙より引用)


登場人物


メイン


食いしんぼうで元気いっぱい。
吸いこんだ相手の能力をコピーして使える。

「デデデ大王のおなかが、はち切れたらたいへんだよ! かわりに、ぼくが食べてあげなくちゃ!」

呑気にお昼寝中の所、空から降ってきたフレンズハートに気付かないまま目覚め、上記のずれた理由から原作通りデデデ大王の城を目指すことに。
道中ではジャマハートに狂わされたポピーブラザーズJr.に襲われるものの、無意識にフレンズハートを使いこなして味方につけることに成功。
以後もフレンズハートを積極的に活かし、様々な人物らをフレンズにしながら冒険していく。
相変わらずのお人好しで、フレンズハートの効き目も薄いジャハルビートに対しても友達と信じて疑わなかったが、その純粋な姿勢が彼の心を変えることになる。

ちなみにフラン・ルージュから「ずんぐりピンク」と呼ばれた時には自分の事だとは全く思っておらず、そのことに気づいた時にはショックを受けていた。


デデデ大王の部下で苦労人。
カービィとは友だち。

「武器もないし、戦えないから。いっしょに行っても、役に立たないよ」

ジャマハートによってデデデ大王が変心した瞬間を目の前で見ており、正気に戻すべくカービィに助けを求めた。
その後は腹痛(後述)で動けないデデデの命令で、デデデ城の代表という形でカービィの冒険に同行した。
カービィやフレンズ達と比べて非力であることをコンプレックスに感じているが、それでも非力なりにカービィ達のため一生懸命に戦う。

前作に引き続き、他のワドルディ達との区別で頭にバンダナを巻いている。
ただし、彼らと離れて活動する時だけは外して通常のワドルディとして活動。
仲間のワドルディから託されたパラソルで戦う。
その時はパラソルワドルディと呼ばれている。


自分勝手でわがままな、自称プププランドの王様。

「なんだ、きさまらァ……さては、オレ様の食べ物をうばいに来たな……」

城で退屈を持て余していた所、落ちてきたジャマハートを覗き込んだため無意識に吸収してしまう。
結果、目つきが悪くなっただけでなく、ひたすら食い物を要求し、限界も顧みずに食べ続ける凶暴な性格と化した。
最初のうちは言葉こそ発していたが、カービィ達との交戦時には獣のような叫び声を上げながら襲いかかり、戦闘中に筋肉ムキムキの姿に変身(カービィ曰く「気持ち悪い」)。
原作と違いこの形態でもハンマーを振るい暴れまくった末*1、アイスの属性をボムにまとわせたカービィとチリーの猛攻に破れ正気に戻った。

しかし、食いまくっていた食べ物が自身から漏れ出した邪悪な気で腐りかけていた為、正気に戻った後は盛大にお腹を壊してしまうハメに……
そのためカービィの冒険には加われなかったが、代わりにワドルディを代表として行かせた。


常に仮面をつけている。
いつも正々堂々としている、りっぱな剣士だが……?

「いや、ほうっておけ。カービィのペースに巻き込まれたら、甚大な被害が出る」

剣の手入れをしていた所、デデデ大王と同じくジャマハートに魅入られ暴走してしまう。
終始無言で無慈悲に襲いかかり、一度倒れても4人に分身して戦闘を続行するなど最初からバーサーカーっぷり全開。
しかも、後で(暴走していた)自分が負けたと聞いた時には思わず剣に手をかけそうになっていた。正気にもかかわらずこれである。
戦闘後は溶けて消える手前のチリーを預かり、カービィ達に同行はしなかったがメタナイツと共に一連の騒動の調査を買って出る。
その代わりに、何か判明するまでカービィ一行には待機を命じていた……が、しびれを切らしたカービィが独断でジャマハルダへ乗り込んでしまい、クラッと倒れそうになるのだった。



フレンズ達


「カービィ、カービィ! なんて、かわいいの! 大好き、カービィ!」

カービィが最初に戦い、友達にした爆弾使いのフレンズ。
底抜けに陽気で明るい性格で、フレンズ達の中では一番カービィに懐いていた。まあゲームからして目がハートだったし……
デデデ大王戦ではカービィに吸い込まれることでボム能力を与え、勝利に貢献した。
だが、その後の対ビビッティア戦では大怪我を負ってしまい、これ以上戦えなくなりビビッティアと入れ替わりで無念のリタイアとなった。


  • チリー
「カービィ! カービィ! わーい、カービィだぁ!」

カービィが2番目にフレンズにした雪だるま。
ポピー同様に明るい性格である。
デデデ大王戦ではボム能力のカービィにアクシデントから氷の属性を与え、ブリザボムに変化させ、自身も攻撃に参加して勝利を生み出した。
その後もカービィに同行し続けるが、セイントスクエアーズでメラーガガードの炎に包まれてしまい、溶けて小さくなるピンチに陥る。
応急処置(冷蔵庫の実体化)も正気を失ったメタナイトに阻まれたことで更に小さくなるも、彼が正気に戻った後はメタナイツの基地の冷蔵庫に入れられる形で事なきを得た。


「な、な、なんて芸術的! なんて感動的! なんてかわいらしい、ピンクの天使ちゃんなの! 信じられない、こんなかわいい生き物がいるなんて!」

カービィが3番目にフレンズにした絵描きの女の子。
元はプププランドから遠い地域の住まいで、アート学園に通っていた。
だが、ジャマハートの影響で学園の友達が皆おかしくなってしまい、なんとか逃げてきたものの自身もジャマハートの犠牲になってしまっていた。

自分のことをか弱い乙女と評するが、実際は一度思い立ったら止まらないカービィ並みの暴走気質。
戦いでは頭の絵筆を振り回し、時にはキャンバスに描いたものを実体化させてサポートする。


  • プルアンナ
「アタシが案内するわ。だけど、みんな、気を付けてね。アイツ、本当に恐ろしいから」

ビビッティアの友達。
環境を汚す行為が大嫌いで、例えジャマハートに操られていてもそれは変わらない。
カービィ達のおかげで正気に戻ってからはフレンズの一人として活躍。

なおプルアンナも同様に思い立ったら止まらない暴走気質であり、彼女らとカービィ3人のせいでワドルディの気苦労が増えた。


ジャマハルダ組

  • ジャハルビート
「……なんだよ、友だちって……なんだよ、それ……くっ、わけがわからない」

三魔官に仕える兵士。
淡々とした機械的な口調で、敵対者には棒術でもって迎撃する。
カービィにフレンズハートを投げつけられても変化が無かったように思われたが、なまじ三魔官の兵士として以外の生き方を知らなかったために「友達」を始めとする未知の概念や感情に戸惑う様子を見せた。
(ジャハルビートからすれば)強引に友達認定してくる馴れ馴れしいカービィに心を開かず、最初は三魔官のもとに案内するだけだと言ってはばからなかったが……


  • フラン・キッス
水と氷をあやつる強敵。

「ワタクシは、暗黒要塞ジャマハルダを指揮する三魔官が一人、フラン・キッス」

  • フラン・ルージュ
炎のわざを使って戦う。

「オイッ! そこの~ずんぐりピンク!」

  • ザン・パルルティザーヌ
三魔官の長。雷で攻撃する。

「ただの俗物と見ていたが……フッ。なかなかの手だれのようだ」

暗黒要塞ジャマハルダを指揮するトップ達。前編にあたる本作での黒幕。
三魔官を名乗るだけに強さも伊達ではなく、三人とも各属性を操る強大な実力でカービィとフレンズ達を苦しめる。
兵士として無能なジャハルビートを切り捨てるフラン・キッスの一幕を除けば、戦闘前後の展開はゲーム版にかなり忠実である。出番がそれっきりなのも一緒
台詞・キャラ付けが独自に行われた第3弾のドロッチェ団(団長除く)と違い、基本的なキャラクター像が元から完成している上に、尺の余裕から忠実で丁寧な展開運びを重視したためだろう。

食い意地の張ったカービィにしては珍しく、初めて三魔官と聞いた時に「サンマ缶」などといったありきたりな聞き間違いを一切しなかった。缶詰はお嫌い?
それだけ彼にとっても油断ならない敵だと認識されていることがうかがえる。

どうでもいい事だが、三人全員が地の文でも一貫してフルネームで呼ばれている。ザン・パルルティザーヌも例外ではない。


  • 白いローブの男
冒頭で謎の儀式を行った謎の人物。
言うまでもないが、三魔官の長であるハイネスその人。
クリア済の人はお察しの通り冒頭だけの出番であり、本格的な出番は後編までお預けとなる。
原作ではザン・パルルティザーヌの口からその名が明かされるが、本作では前編の時点では明かされていない。

その他


「じっと見ていると、チョコレートソースをかけたくなるんだよな」

「オレは、ストロベリーソース派だな」

「アップルパイの上に乗せても、おいしそうだよ」

「ウェハースも必要だス!」

「ワシはぜったいあんこ派だ! あんこをのせた上に、黒みつをたっぷりかけて、その上からキナコを……」

登場して初っ端からアイス談義にかまけていた。何やってんだ。
もちろん仕事は真面目にやっており、無人偵察部隊を飛ばして暗黒要塞ジャマハルダの発見に成功するが……


  • ポン&コン
「二人合わせて!」
「阿吽の護獣!」
「ポンと!」
「コン!」

タヌキとキツネの子連れコンビ。
山の中で暮らしていたが、空からジャマハートの欠片が落ちてきた際に操られてしまい、三魔官に命じられて子供達と共にジャマハルダの門番となった。


  • ジャマハート
  • フレンズハート
冒頭の儀式で割れたハートの一部。
ジャマハートは触れた者を操られたかのように狂わせる力を持ち、フレンズハートは触れた者を友情に目覚めさせる力を持つ。

しかし、ゲーム版の時点でも一部プレイヤーから指摘されていた事だが
フレンズハートを当てられたフレンズ達の反応が洗脳を思わせるほど異様にフレンドリーな辺り、どちらも本質的に同じものを感じさせる。
ただし個人差はあるようで、プルアンナは普通の反応で、ジャハルビートはかなり効き目が悪い(ように思われていた)。
ジャマハートにも同じことが言え、デデデ大王とポン、コンは言葉を発し、メタナイトは無言、それ以外は不気味に笑い声を上げるだけであった。


  • 暗黒要塞ジャマハルダ
三魔官の拠点。あんこ要塞ジャム春巻き
ゲーム版では思い切りポップスターに降下してぶっ刺さっていたが、こちらでは雲の中に隠れる形でポップスター上空に浮いていた。
敵の拠点が雲の中というのは、黒い雲の一族を思わせるものがある。


もくじ


核心を避けた上で軽く紹介。

  • プロローグ
遠い遠い星で、謎の男が儀式を取り行っていた。
その結果、ハートの形をした何かが割れ……

  • 1 むらさき色のハートのかけら
デデデ城に落ちてきた謎のハートが、デデデ大王をおかしくさせてしまう。
ワドルディに助けを請われたカービィは、いつの間にか出せるようになった「フレンズハート」でフレンズを作りながら城に向かった。

  • 2 デデデ城の大決戦!
カービィ達を待ち受けていたのは、腐りかけの食べ物を一心不乱に食べ続ける異常なデデデ大王の姿。
凶暴と化した大王が彼らに襲いかかる!

  • 3 ポップスターの異変
おかしくなったのはデデデ大王だけではなかった。
プププランドとは違う所からやってきたというビビッティアが、身の周りに起きた恐ろしい事実を語る。

  • 4 みんなのこころを取り戻せ!
ビビッティアに頼まれ、彼女の友達であるプルアンナの住む森にやってきた。
やはり、彼女もまた怪しいハートに操られていた。

  • 5 仮面の剣士
プルアンナの証言をもとに、仮面の剣士がいるという遺跡に訪れる。
だが、ワドルディの予想通り正体は謎のハートに狂わされたメタナイトだった!

  • 6 ゆくてをはばむ、ポン&コン!
メタナイトの言いつけを破り、無断で暗黒要塞ジャマハルダに乗り込むカービィ一行。
門の前には阿吽の護獣を名乗る、ポンとコンが待ち構えていた。

  • 7 三魔官、登場!
敵の兵士、ジャハルビートを(無理矢理)仲間に加え、カービィ一行は奥に進む。
そこには三魔官が一人、フラン・キッスが待っていた。

  • 8 強敵だらけのジャマハルダ
どうにかフラン・キッスを退けたカービィだが、なんとも手ごわい相手だった。
しかし、次に待つフラン・ルージュもまた強敵で……

  • 9 最後の戦い!!
遂にジャマハルダの一番奥へたどり着いた。
最後の敵は三魔官の長、ザン・パルルティザーヌ!

  • 10 平和な国プププランド
ジャマハルダから無事に帰ってこれたカービィ。
おいしいものを食べに行く途中、あのジャハルビートが会いに現れる。






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最終更新:2024年03月18日 16:37

*1 原作では形態移行前にハンマーが吹っ飛んで消えている。