星のカービィ スターアライズ 宇宙の大ピンチ!?編

登録日:2018/08/22 (水) 00:02:43
更新日:2024/09/27 Fri 00:02:33
所要時間:約 13 分で読めます






仲間とともに、悪の野望をうちくだけ!!!



星のカービィ スターアライズ 宇宙の大ピンチ!?編』とは、角川つばさ文庫より出版している小説版星のカービィシリーズの一作である。
作:高瀬美恵
絵:苅野タウ・ぽと
対象年齢:小学中級から
価格:680円(税抜)


概要


つばさ文庫版星のカービィシリーズの第12弾。2018年8月15日に刊行された。


前作『星のカービィ スターアライズ フレンズ大冒険!編』の後編にあたる作品。
今回も多少ハブられたステージこそあれど、ゲーム版のストーリーに忠実な作りである。
原作での後半ワールド「遥か、きらめきの勇者たち」を中心に描いており、例によって小説版独自の展開や解釈も随所に盛り込まれている。

本作でもフレンズ達との共闘が見られる他、前作では味方としての出番が少なかったデデデ大王、メタナイト達も参戦。
また、三魔官とハイネス等の主要人物は刊行時期が時期なのもあり、原作のアップデート第3弾で明かされた事実や起こった事象とは矛盾する点が見られる。
とはいえ、ゲーム側で熊崎信也が明かした裏設定もちょっぴり反映されていたりする。

後編ということでストーリーも核心となるネタバレに触れているが、表紙の絵が思いっきりラスボスのネタバレをしているのはご愛嬌。


あらすじ


平和なプププランドにいきなり事件発生!
大切な仲間のジャハルビートが、氷華の三魔官フラン・キッスにさらわれた。
救出のために、ワープスターに乗って宇宙へと旅立ったカービィとワドルディに三魔官たちが次々に襲いかかる!
デデデ大王やメタナイトとも力を合わせて、すべての事件の原因となった黒幕を探し出し、宇宙を巻き込む悪だくみを食い止めろ!!
大人気ゲーム『星のカービィ スターアライズ』小説版だよ!

(裏表紙より引用)


登場人物


メイン


食いしんぼうで元気いっぱい。
吸いこんだ相手の能力をコピーして使える。

「そういえば、考えてなかった。フラン・キッス、どこにいるのかなあ」

前編の事件を解決後、のんきにいつも通りの暮らしを送っていたが、ジャハルビートがさらわれたと聞いて再び立ち上がる。
…が、その割には具体的な行き先をろくに定めないまま勢いだけで宇宙に飛び立ち、あまりの無計画っぷりにバーニンレオを呆れさせた。
更に当初は、ジャハルビートを助ければ今回の冒険はこれでおしまいと考えていたようで、三魔官の後を追おうと息巻く周囲とは対照的に「帰ってお昼寝したい」とゴネていた。
無論、三魔官を懲らしめなければおちおち昼寝も出来ないという事で、プププランドの平和とお昼寝タイム(原作通りである)のために決意を固めることとなる。
なお誰もが予想しただろうが、ザン・パルルティザーヌのフルネームは終始まともに言えなかった(後述の間違え方を見るに一応大体のニュアンスは覚えていた模様)


デデデ大王の部下でカービィの友だち。

「メタナイト様があんな頼みごとをしてくるなんて、よほどのことじゃないでしょうか」

メタナイトに協力する気/Zeroなデデデ大王に黙って抜け出し、カービィ、バーニンレオと共にジャハルビートを助ける冒険に出発する。
他の面々と比べて非力な欠点は如何ともしがたく、フラン・ルージュとの戦闘前にはぐれた時は謎の神殿を根城にするならず者に襲われてしまう。
しかし、咄嗟にこの世で一番強くて頼れる人物であるデデデ大王の名を叫んだ瞬間、彼が目の前に呼び出され……

ちなみに抜け出す際、他のワドルディに自分の代役を頼んだのだが、当然誰も彼もがオリジナルのように的確な仕事が出来る訳ではないので程なくボロが出てバレた。


自分勝手でわがままな、自称プププランドの王様。

「こまかいことは、どうでもいいわい。つまり、オレ様がアイツをぶっ飛ばしてもかまわんのだな?

前編で腹を壊したままであったため、自分が活躍できなかったことに不満をくすぶらせていた。
その矢先、バル艦長を通してメタナイトからカービィを呼び出して欲しいと回りくどいパシリのような頼まれごとを押し付けられ怒り爆発。
メタナイトが訪れても我関せずの姿勢を貫き、ワドルディが黙って出かけたことにへそを曲げてしまう。
だが、窮地に陥ったワドルディに召喚される形で仲間に加わり、敵対するフラン・ルージュに対して上記の台詞後に不意打ちとは言え一撃でノックダウンさせるという快挙を成し遂げた。
(後述するが、本シリーズにおける三魔官はどれも強敵として描写されており、カービィでも苦戦する相手である)


常に仮面をつけていて、
すべてが謎につつまれた剣士。

「これが悪夢でないなら、私は一瞬にして、戦艦ハルバードからこの場所へ移動させられた……ということなのか?」

三魔官の動きを察知し、カービィに協力してもらおうとデデデ大王に連絡係を要請したが、案の定へそ曲げられて自ら出向く羽目に。
もっとも、彼がデデデ城に出向いた時点でカービィはとっくに旅立っていた訳だが。
仕方なく戦艦ハルバードに戻ってお茶タイムしていると、カービィによって強制的に召喚。
流石の彼も何が起きたか理解が追いつかず、呆然としてしまった。
終盤のタメになるがやたらくどい解説役っぷりは必見。


フレンズ


「なにぃ? バカ言うな、オレはアイスクリームなんて大きらいだぜ! おやつはやっぱり、燃えるようにあつあつのあげまんじゅうとか……じゃなくて!」

本シリーズでは割とちょくちょく登場している、熱いお調子者。
これまでは脇役がせいぜいの扱いだった彼も、遂にフレンズとして戦いの場でも活躍することに。
ジャハルビートとはよく遊ぶ程度に仲良しとなっていたが、突然現れたフラン・キッスに太刀打ちできず目の前で連れ去れてしまい、助けるべくカービィ達と共に冒険へ出発する。属性相性では有利でも戦闘経験の差でやられたか。
小惑星フォルナでは炎の力でユグドラルウッズを怯ませた。本人曰く、ウィスピーウッズとの喧嘩で負けたことがないらしい。でしょうね。
小惑星フューではフラン・キッスに一矢報いて勝利するが、その後キッスを倒した件をあろうことかキッス大好きなフラン・ルージュの前で挑発めいて口走り、ルージュの逆鱗に触れてしまった。
ルージュとの死闘のダメージもあり、デデデ大王とメタナイトの召喚後は入れ替わりで離脱。カービィ達に炎の力を与えて見送った。


  • コモ
「おいおい、じいさん、人聞きの悪いこと言うなよ。オレは耳がいいだけだぜ」

小惑星フォルナに住むクモ。
フォルナを三魔官に荒らされたことで彼女らを憎んでおり、カービィと和解した長老のユグドラルウッズに命じられて渋々ながら吸い込まれ、スパイダー能力を与えた。
対フラン・キッス戦では戦闘中にコピーが解除され飛び出してしまうが、憎きフラン・キッスを糸まみれにして足止めを図り、フレンズ能力発動までの時間稼ぎに貢献。
勝利後は長老の言いつけを果たしたことから離脱し、次の星に飛び立つカービィ達を見送った。


  • ジャハルビート
三魔官の部下だったが、カービィの友だちになった。

「忠実なんだ。三魔官様たちは、命令を果たすまで、ぜったいあきらめないんだよ……」

元ジャマハルダ側の兵士。
本作では本拠地に彼の同類と思しき兵士らも登場。こちらのジャハルビートと違って感情を殆ど表さない無機質な兵士と化している。

魔神官が行おうとしている儀式の全貌や目的までは知らなかったが、かつては他の下っ端兵士ともども「とてつもないステキなことが起きてみんな幸せになれる」と疑うことなく信じ込んでいた。
しかし、初めてカービィという友達が出来てからは徐々に信用できなくなり、「魔神官は正しいのか」「触れた者を邪悪に染めるジャマハートの欠片を集めて本当に幸せになれるのか」と疑いを強めるようになった。

前編の冒険で改心し、プププランドで平和に暮らしていたが、裏切り者を許さない魔神官の命令でジャンケンで選ばれたフラン・キッスが襲撃。
そのまま宇宙船で連れ去られてしまうも、フラン・キッスが休息中のフューにまで駆け付けたカービィ達に助けられ、一行に加わった。
フラン・ルージュとの戦闘でボロボロになってしまった後は、カービィにスティック能力を与える(吸い込まれる)形でエピローグまでは一旦フェードアウトとなる。
魔神官の度を越えた狂乱ぶりを見なくて済んだという意味では救いがあったのだろうか……

ちなみに吸い込まれたその後、カービィはなんと最終決戦までスティック一本で立派に戦い通した




  • フラン・キッス
氷華の三魔官。
水と氷をあやつる。

「うらぎり者を許してはならないと、あの方がおっしゃったからです!」

  • フラン・ルージュ
業火の三魔官。
炎のわざを使う。

「……ジャマッデム……」

  • ザン・パルルティザーヌ パルメザンチーズ パルルルルルーヌ
雷牙の三魔官。
強力な雷で攻撃する。

「おまえたち、よもや、わすれたわけではあるまいな。あの方のご恩を」

暗黒要塞ジャマハルダを指揮していた、三魔官シスターズ
ポップスターからの撤退後も更に儀式のための活動を続け、裏切り者のジャハルビートを捕らえにフラン・キッスが再びポップスターに襲撃した。
やはり後編でも強敵として描写されており、カービィもフレンズ達との連携や助っ人の介入無しでは容易に勝てなかった。

ゲームでは具体的な過去が一切不明であった彼女らだが、本作ではその辺について少し掘り下げられている。
パルルが語る所によると、幼い頃は三人とも貧困にあえいでいたようで、食糧に困窮して雨風をしのぐ場所もない過酷な生活を強いられていた。
そこを当時のハイネスが拾い上げ、育ててくれたことから、ハイネスには三人とも強い恩義を感じ、忠誠を誓っている。
だがそれでも、最近の彼の豹変ぶりにはシスターズも内心戸惑っており、ルージュは裏切り者を逃したミスでパルルが折檻を受けたと知って狼狽えずにはいられなかった。

余談だが本作でザン・パルルティザーヌが他2人からどう呼ばれているか半公式ながら明かされた。
どちらもフルネーム呼びでフラン・キッスが様付け、フラン・ルージュが呼び捨てと何故か妙に距離がある。

ゲームの忠実なノベライズという事で、終盤には彼女らも悲惨な目に遭ってしまう訳だが、果たして救いはあるのか……?

前述の通り過去の描写についてはアップデート第3弾とは大きく異なる。ゲームではそれぞれが別の場所で命の危機に瀕した時にハイネスに力を分け与えられて生き延びた、というのが真相である。


三魔官をしたがえる魔神官。

「これはもう、われわれはぁ~……ホロビのみちをぉ~……たどるしかぁ~……なぁいので~……しょ~かぁ~~~~?」

神降衛星エンデにて儀式を執り行う魔神官。そして、三魔官を指揮していた全ての黒幕。

ゲーム版で少し語られていたかつて幼いシスターズを拾い上げた過去が詳しく語られている。パルルの言葉からは厳しくも優しい人物であったことがうかがえる。
しかし、今では正気を失っており、儀式に執心して部下にも暴力を振るう狂人と化してしまっていた。
裏切り者のジャハルビートを捕らえよと命令を下すも、大事な儀式を失敗できない苛立ちか、カービィ達の邪魔でジャハルビートを取り逃したことに激昂してか、報告者のパルルに折檻。
その後は原作通りの経緯をたどり、遂に自らの崇める神を誕生させるが……

ノベライズにあたり、三魔官は原作にない台詞が多く追加されているのに対し、ハイネスには追加台詞が一切無く、むしろ戦闘中の特徴的すぎる奇声の数々を台詞化という斜め上の原作再現が行われた。読む千葉繁
一方で限界オタクを超越するあの超早口長文台詞は流石に長すぎると判断されたのか、少し省略されている。
ゲームで狂乱の踊りと評された形振り構わぬ戦闘スタイルはありのままに描写され、三魔官を酷く扱う姿にカービィはおろか、部下を大切にするデデデ大王やメタナイトも義憤にかられる程であった。
児童文庫でも狂気が全くブレていないのは流石としか言いようがない。





その他

  • ワドルディレポート隊
公式Twitterで活躍する4人組のレポート隊。小説版にも登場経験がある。所謂「前回のあらすじ」にあたる部分を担当。バル艦長からの通信をデデデに繋いだのも彼らのうちの一人。

  • バル艦長
「むずかしいことではなかろう。部下に命じて、ひとっぱしり……」

冒頭のみ登場。
カービィに協力してもらいたいメタナイトの意向で、デデデ大王にカービィを呼び出すよう頼むものの、パシリ扱いされたデデデ大王が腹を立てて通信を切ってしまった。


  • ユグドラルウッズ
「フン、暑苦しいこぞうめ。ワシのまわりで、火を燃やすんじゃない」

小惑星フォルナに住まう、老木の長老。ユグどら焼きウッズ
見た目通り老人らしい口調で喋る。
三魔官によってフォルナを荒らされた恨みを抱いており、ひょんなことからカービィ達を三魔官の仲間と勘違いして襲いかかった。
しかし、フェスティバル能力の効果で陽気に踊って疲れた隙にワドルディから事情を説明され、早とちりだと分かって和解。
フラン・キッスが小惑星フューに向かったことを教え、カービィ達のためにコモを遣わせた。


  • 謎の神殿
小惑星メラーガにて登場。
名前は出なかったがほぼゲーム版のドリームしんでん。
ゲームと違って杖は無く、心に強く願った来て欲しい人物の名前を叫ぶことで、その人物が場所を超えて召喚される。
今ではならず者の住処と化していた。

  • 黒ずくめのならず者
小説オリジナル。
神殿に潜み、そこで休息をしようとした人を襲う追い剥ぎ。武器として槍を持っている。
迷い込んだワドルディを追い詰めるが、神殿の力で呼び出されたデデデには敵わず、ぶっ飛ばされて気絶し、デデデ達がフラン・ルージュを倒して戻ってきた時には逃げていた。
同シリーズの「メタナイトと銀河最強の戦士」で登場したグレイに続き、挿絵がないオリジナルキャラクター。

  • ジャマハート
  • フレンズハート
ハイネスの儀式で割れたハートの一部。
ニンドリ等で熊崎氏が明かした設定に基づき、明確にヤリの欠片の一部がフレンズハートであったと説明された。







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最終更新:2024年09月27日 00:02